MP3とは、音楽などのデジタルオーディオをエンコードするためのデータ圧縮形式です。
コンパクトディスク(CD)音源に近い音質を持ちながら、ファイルサイズが大幅に縮小されたファイルです。
また、MP3はMPEG-1 Audio Layer 3の略称です。
原理
CDの音声ファイルなど、圧縮していないデータに存在する人間の耳では聞き取りにくい、あるいは聞き取れない周波数の音を取り除いてデータ圧縮されたファイルです。
CD品質のデジタルオーディオと比較すると、一般的にMP3ではサイズを75〜95%圧縮できます。128 kbit/sの固定ビットレートでエンコードしたMP3ファイルは、元のCDオーディオの約9%のサイズのファイルになります。
圧縮のレベルは様々で、よりCD音源に忠実なエンコードをすればするほどファイルサイズは大きくなります。
また、MP3は不可逆圧縮であるため、圧縮によって失ったデータを元に戻すことはできません。
歴史
MP3は、ドイツの会社Fraunhofer-Gesellschaftが開発し、1987年にMP3技術の特許も取得しました。
そして21世紀初頭には、パソコンの普及とMP3ファイルの一般化、そしてMP3プレーヤーの普及も相まって、一般消費者はMP3形式の楽曲を簡単に入手できるようになりました。そしてインターネットによるオンラインサービスによって、消費者は音楽ファイルを世界中にいる何百万人もの人と共有することができるようになりました。
ミュージシャンなどがダウンロード可能なMP3ファイルをオンラインに掲載するようになった後にも、著作権のある録音物の無許可配布を防止するために音楽レーベルは法的措置を取りました。
その中で、米Apple社のiTunes Storeを代表とするインターネット上の正規の電子商取引サービスサイトが立ち上がり、数秒でダウンロードできる楽曲を個別に販売し、音楽著作物の流通を変えました。
また、音声ファイルの圧縮形式としてAACなどもMP3の他に用いられています。AACはMP3の後に普及した規格ですが、米Apple社がMacや音楽プレーヤーのiPodなどでの標準音楽ファイル形式として採用したことにより広く利用されています。
現在
上記のAACは、MP3よりも高圧縮で高音質なため現在ではMP3よりも広く活用されています。さらに音楽ストリーミングサービスの台頭もあり、消費者がMP3ファイルを直接扱うことは少なくなっています。
また、2017年4月23日、MP3の基本特許に対するライセンスプログラムが終了しました。
開発者は技術ライセンスを取得することなくMP3を使用できるようになっています。