「マネジリアル」は「経営者」という意味の英単語です。すなわち、マネジリアル・マーケティングは「経営者の広い視野にもとづいて市場戦略を立てること」を指します。経営者が会社内のすべての部署を統括したり調整したりして顧客のニーズに応え、利益を追求していくことがマネジリアル・マーケティングの肝となります。
営業や企画、広報といったマーケティングに直接的に関わる部門はもちろん、製造や技術、人事、経理、総務など、ほかの部門においても経営者が指揮をとって市場や顧客の開拓や利益を追求していく。こうしたマネジリアル・マーケティングを実践することで、会社を挙げてマーケティングに取り組める体制が整い、利益が生まれる体質に改善することができます。
たとえば、製造や技術部門であれば「ユーザー目線で顧客が使いやすい商品を作ろう」「コストカットを実践して利益をアップさせよう」といった工夫ができます。人事部門が自社のマーケティング戦略について知っていれば、それに適した人材の採用・育成が可能となります。一部の部門だけがマーケティングのことを考えるのではなく、経営者が陣頭指揮をとって全社的にマーケティングを実践し、利益を追求していくことこそがマネジリアル・マーケティングなのです。
マネジリアルマーケティングの事例
ここでは、マネジリアルマーケティングの事例についてご紹介します。
●トヨタ自動車
日本を代表する自動車メーカーの一つであるトヨタ自動車。生産現場では常に改善を繰り返し、品質の向上に努めてきました。こうした製造部門、技術部門の努力の積み重ねが、トヨタブランドを支える「品質」を確立したといえます。
トヨタ自動車には「トヨタ生産方式」と呼ばれる独自の工場運営方式が存在します。 徹底的にムダを排除し自動化、必要なものを必要なときに必要な量だけ調達して供給する「ジャストインタイム」です。こうした独自の考え方にもとづいて工場を運営することで生産効率をアップし、経費を削減することで、利益が出やすい体質となります。今では多くの企業が、「トヨタ生産方式」を導入するまでになりました。
また、トヨタ自動車は子会社であったトヨタマーケティングジャパン(TMJ)を2018年4月に本体へ統合しました。今までTMJに外注していたマーケティングが社内で行えるようになり、商品企画やプロモーション、販売戦略まで一貫してスピーディーにかつ確実に行うことを目的としています。このような体制の再編もマネジリアル・マーケティングの理論にもとづいたものだと考えられます。
参考記事
・マネジリアル・マーケティングとは?基本の概念と具体例をご紹介