2023.2.1

エッセンシャルワーカーとは?意味や職種の定義を分かりやすく解説

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近年、エッセンシャルワーカーの重要性が高まっている。今回はエッセンシャルワーカーの意味やその概要、主な職種、注目された背景、抱えている課題などを紹介する。さらに、どのような支援がされているのかも解説するため、併せてチェックしよう。

エッセンシャルワーカーとは?

エッセンシャルワーカー(essential worker)とは、医療や福祉などのような日常生活の維持に欠かせない職種で働いている人々のことを指す。新型コロナウイルス感染症の影響の拡大をきっかけに、エッセンシャルワーカーの重要性が高まり、この言葉が多く使われるようになった。また、エッセンシャルワーカーの仕事を取り巻く環境も、新型コロナウイルス感染症の影響によって大きな変化があったと言われている。

エッセンシャルワーカーに当たるのは、例えば以下のような業種に勤めている人々だ。

<公共サービス>
医療、介護福祉、教育、保育、自治体、公共交通機関など

<生活インフラ>
水道、電気、ガス、通信など

<小売業>
物流、スーパー・ドラッグストア・コンビニといった生活用品を扱う店など

新型コロナウイルス感染症の影響によって、近年は世界中で「ロックダウン」と呼ばれる都市封鎖や、外出の自粛などが相次いだ。しかし、このような緊急事態下においてもエッセンシャルワーカーの重要性は高いとされている。

重要性に対する感謝や尊敬の念を込め、日常生活の維持に重要な役割を担う労働者に対して、エッセンシャルワーカーという呼称を使うようになったのだ。

エッセンシャルの意味

そもそも「エッセンシャル」とは、英語の「essential」のことである。これは、「きわめて重要な」「必要不可欠な」を意味する言葉だ。

「労働者」を意味する「ワーカー(worker)」を組み合わせることで、直訳すると「必要不可欠な労働者」となる。つまり、社会基盤を支えるためになくてはならない労働者を表す言葉だ。

また、同様の労働者を「クリティカルワーカー(critical worker)」や「キーワーカー(key worker)」と呼ぶ場合もある。「クリティカル」とは「決定的な」や「重要な」を意味し、「キー」とは「鍵」や「基幹」を意味する。

海外におけるエッセンシャルワーカー

海外におけるエッセンシャルワーカーも、基本的に同様の意味合いで使われている。新型コロナウイルス感染症に感染してしまう危険性がある中でも、ライフラインを止めないようにと現場で働き続けている人々に対して、感謝や尊敬の気持ちを込めた呼び方だ。実際に、エッセンシャルワーカーへの感謝を伝えるために、ブルーライトアップや夕方の拍手などの行動に移した事例もある。

また、エッセンシャルワーカーによるストライキが発生したことでも注目を集めた。これは、新型コロナウイルス感染症の危険性が高まる中でも労働に従事しているものの、十分な安全対策や待遇、手当などがなされていないとの非難が高まって起きたものだ。企業側はサービスを維持するために要求に応えざるを得ず、時給や残業手当など様々な面での見直しを行っている。

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エッセンシャルワーカーの主な職種

それでは、人々の生活の基盤を支えるエッセンシャルワーカーについて、代表的な職種とその具体的な仕事内容をチェックしよう。エッセンシャルワーカーの主な職種は、以下の通りだ。

<医療関係>
「医師」「薬剤師」「歯科医師」「看護師」「助産師」「救急救命士」などの医療に従事する人々である。非常事態による人手不足や待遇の悪化などがありつつも、最前線で戦い続けている。様々な課題を抱える、代表的なエッセンシャルワーカーだ。

<福祉関係(介護・保育)>
介護や保育に従事する「介護士」「幼稚園教諭」「保育士」などである。高齢者や幼児などが相手であり、密集・密接・密閉の「三密」を避けることが困難な、感染症リスクの高い仕事だ。働く環境や処遇の改善、人手不足などの課題がある。

<交通・物流>
「公共交通機関の運転手」「公共交通機関の職員」「宅配便のトラック運転手」「配達員」などである。物流事業者は中小零細企業も多く、処遇の改善が課題だ。

<公務員>
行政サービスを提供する公務員もエッセンシャルワーカーに当たる。「公立保育園保育士」や「学童保育支援員」などは非正規公務員であり、低処遇で雇用が不安定である。

<小売・販売業>
スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどで働く人々だ。不特定多数との接触が避けられないなどの課題がある。

<1次産業>
農業・林業・水産業で働く人々である。食料自給率の維持は国の重要問題であるものの、労働の過酷さや、収入が不安定になりがちであることなどで従事者が減っている。

<教育関係者>
小学校や中学校などの教育機関で働く人々だ。ICT教育の強化によって、リモートでも勉強可能な環境が整いつつあるが、生徒や保護者などへの直接的な対応は必要なままである。

<生活・公共インフラ>
電気・水道・ガス・通信などのインフラに必要な業種で働く人々である。緊急性やなくなったときのリスクが高い。ごみ収集もインフラに必要不可欠な仕事だ。

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エッセンシャルワーカーが注目された背景

エッセンシャルワーカーがなぜ注目されるようになったのか、その理由や背景についてもさらに詳しく見ていこう。

先述の通りエッセンシャルワーカーとは、新型コロナウイルス感染症の影響拡大と共に注目を集めるようになった言葉である。外出自粛の要請やロックダウンなどがなされ、感染リスクがあると分かっている中でも、エッセンシャルワーカーは世の中を支えるために働き続けなければならなかった。

エッセンシャルワーカーの重要性が増し、該当する人々に対する感謝や敬意の念が高まった。さらに、エッセンシャルワーカーへの援助やサポートの必要性が強まったことで、注目が集まるようになったのだ。

ただし、日本などの先進国を中心に人手不足が顕著な職種でもある。待遇や対策などに不満が集まっており、海外ではストライキが発生していることでも注目され、課題への対応が必要な仕事だと言える。

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エッセンシャルワーカーが抱える課題

現状、エッセンシャルワーカーが抱える課題や問題点には、以下のように様々なものがある。

<賃金が低く、待遇が悪い>
業務負荷が高い割には、賃金や待遇が釣り合っていないことが課題と言える。労働時間が長く、休日休暇が取りにくいうえに待遇が低い傾向にある。

<人手不足による従業員への負担>
慢性的に人材が不足してしまっていることが多い。代わりの人材がいないことで休めなくなってしまうなど、従業員への負担が大きい。

<社会基盤に関わることへの認識不足>
社会基盤に関わることであるのにもかかわらず、十分な認識がなかったことで就労環境や賃金が改善されずに問題のあるままになり、人手不足につながっている。

<業務上のリスクの高さ>
緊急事態でもリモートワークに変えられないなど、業務上のリスクが高い。長時間業務に当たる場合が多いこと、責任の重い仕事が多いことなどにより、心身共に大きな負担となってしまう恐れがある。

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エッセンシャルワーカーに対する支援事例

このように、エッセンシャルワーカーは日常生活を支えるために欠かすことのできない人々でありながら、様々な課題を抱え続けている。一人ひとりに対する負担も大きく、責任やリスクの大きさに対して十分な待遇を受けられていないのが実状だ。

新型コロナウイルス感染症に関しては、感染リスクや風評被害などもあり、仕事を辞めてしまう人が増えた。もともと慢性的に人材が不足してしまっているケースが多いことなどもあり、支援の必要性が高まっている。

それでは、行政や自治体、企業でのエッセンシャルワーカーに対する支援事例を見ていこう。

行政の対応

厚生労働省では、医師や看護職員の処遇改善につながる支援策として、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」や補助金制度を新たに設けた。医療従事者の復職促進や離職防止、人材配置転換などの具体的な指針も示している。

また、「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」により、医療従事者に対して最大20万円の慰労金を給付した。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000628618.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000655159.pdf

自治体の対応

青森県おいらせ町では、エッセンシャルワーカーにも関連する「事業継続支援給付金」を支給した。これはもともと新型コロナ対策として製造業や建設業、運送業などを対象として支給していた給付金であったが、その後支援の対象事業に小売業とサービス業を追加した。これにより、行政サービスを担うエッセンシャルワーカーもこの給付金の対象となったのだ。

また、埼玉県川島町ではエッセンシャルワーカーに対する感謝・応援メッセージを募集した。

企業の対応

企業でも、エッセンシャルワーカーに対する支援が行われている。例えば、スーパーやドラッグストアでは、従業員に特別手当があった。

イオン株式会社では全国のパートやアルバイトに特別手当を支給した。これは、役員が月額報酬を自主返納し、それを資金の一部として実施したものだ。

またダイアナ株式会社は、「ダイアナエッセンシャルワーカー応援スニーカー」として、エッセンシャルワーカーに対する感謝を表して1,300足ものスニーカーを提供した。

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まとめ

エッセンシャルワーカーとは、医療や福祉などのような日常生活の維持にかかせない職種で働いている人々のことだ。新型コロナウイルス感染症の影響の拡大と共に、注目を集めるようになった言葉である。

外出自粛やロックダウンなどがなされていても、エッセンシャルワーカーは感染リスクを負いながら、世の中のために働き続けなければならなかった。そのような人々への感謝の気持ちを表して、この言葉が用いられている。

ただし、エッセンシャルワーカーは欠かすことのできない重要な職種でありながら、様々な課題を抱えている。日本では海外のようなストライキはないものの、人材不足が顕著だ。重要性などをしっかりと理解し、実際の企業活動でも支援や待遇の改善などを検討していこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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