2022.6.20

ピラミッドストラクチャーとは?ロジックツリーとの違い、具体例を紹介

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主張を論理的に展開するためのフレームワークにはさまざまな種類があり、ピラミッドストラクチャーもその一つである。主張と根拠を上から下に向かって展開する手法で、相手にわかりやすく伝えられるのがメリットだ。基本的な仕組みや作り方、ロジックツリーとの違いなどを確認しよう。

ピラミッドストラクチャーとは?ロジックツリーとの違い

ピラミッドストラクチャー(ピラミッド構造)とは、論理展開に役立つフレームワークの一種である。主張とその根拠をピラミッド状の図にまとめることで、情報を整理して伝えられるのが特徴だ。

ロジックツリーと形式が似ているが、両者は根本的な役割が異なる。ピラミッドストラクチャーの仕組みや活用シーン、ロジックツリーとの違いを理解しておこう。

ピラミッドストラクチャーとは

ピラミッドストラクチャーとは、話の流れを論理的に組み立てるための手法である。米国の大手コンサルティング会社が開発したフレームワークで、ビジネスにおけるさまざまな場面で活用されている。

ピラミッドストラクチャーの基本的な構造は、以下のとおりだ。

画像:ピラミッドストラクチャーの基本的な構造

ピラミッドの頂点には、話の論点である「メインメッセージ」を配置する。下段にはメインメッセージを支える「キーメッセージ(=根拠)」を入れ、主張の正しさを示す根拠をさらに加えていく。

ピラミッドストラクチャーの大きな特徴は、縦のつながりと横のつながりが成り立つことだ。縦のつながりでは、ピラミッドの上部がピラミッドの下部を要約する形となっている。横のつながりでは、論理的な共通点をもつ考えがグループ化されている。

ピラミッドストラクチャーを用いると、結論に至るまでのプロセスをわかりやすく伝えられるだろう。話を論理的に展開できるため、他者に説明する際はもちろん、自分の考えを整理する際にも役立つ。

ロジックツリーとの違い

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーは、どちらもロジカルシンキングの手法だ。ただし、両者は異なる役割をもつ点に注意しよう。

ピラミッドストラクチャーは、主張や根拠の正当性をわかりやすく説明するために用いられる。結論を頂点に置き、根拠を展開することで内容を整理できるのだ。

一方のロジックツリーは、主に問題解決の手法として使われる。初めに課題や問題を設定し、それらを構成する要素や原因を分解することで解決策を導くメソッドだ。「現状を容易に把握できる」「適切な解決策を発見できる」などさまざまなメリットがある。

どちらも主題となるテーマを設定してから肉付けするプロセスは共通しているが、どのような目的で用いられるかが異なるため、状況に合わせて使い分けよう。

活用シーン

ピラミッドストラクチャーは、プレゼンテーションを行う際の資料に用いられることが多い。プレゼンテーションでは主張や考えをわかりやすく伝える必要があるため、話を論理的に展開できるピラミッドストラクチャーが適しているのだ。

また、社内会議で上司を説得する場面や、取引先に交渉を持ちかける際にもピラミッドストラクチャーが活用される。主張とその根拠を視覚的にまとめると、相手は話の流れを体系的に理解できるため、交渉を有利に進められるだろう。

なお、ピラミッドストラクチャーの活用シーンは他者に説明する場面だけではない。自分の考えを論理的にまとめ、思考を整理する際に使うことも可能だ。判断に迷った際にピラミッドストラクチャーを用いると、考えがまとまって意思決定しやすくなるだろう。

ピラミッドストラクチャーの作り方

ピラミッドストラクチャーの作り方には基本の型がある。作成する際の順序は以下のとおりだ。

1. 結論を決める
2. 枠組みを考える
3. 情報を整理しグループに分ける
4. ピラミッドの縦のつながりをつくる
5. 確認する

順序に沿って結論や根拠を整理することで、考えをピラミッド構造にまとめられる。他者にわかりやすく説明するため、または自分自身の思考を整理するために、ピラミッドストラクチャーの作り方を押さえておこう。

結論を決める

ピラミッドストラクチャーを作る際のファーストステップは、結論を決めることだ。考えの肝となる部分や強く主張したいことを洗い出し、ピラミッドの頂点に配置しよう。例えば、「新規事業を展開すべきか」「既存事業を拡大すべきか」などが挙げられる。

一定のテーマがあり、テーマに対する意見としてピラミッドストラクチャーを作成する場合は、テーマに沿った結論を設定しなければいけない。的外れな結論を出さないためには、テーマをきちんと理解することが重要である。

枠組みを考える

結論を設定したら、どのように論理を展開するかの枠組み(=フレームワーク)を検討しよう。わかりやすく説明すると、主張の正しさを証明するために必要な根拠を洗い出す作業だ。

ピラミッドストラクチャーの枠組みは、MECE(ミーシー/ミッシー)であることが求められる。MECEはロジカルシンキングの基本ともいえるフレームワークで、必要な要素を網羅しつつ、漏れと重複がないことを意味する。

主張に対する根拠がMECEになっていれば、網羅性が高く、無駄のないピラミッドストラクチャーを作成できるだろう。想定外の疑問や矛盾点を指摘されにくくなるため、主張の説得力をより高められる。

枠組みをMECEに考えるためには、「多数の仮説を立てる」「多角的な視点で検討する」などが有効だ。必要な要素を洗い出して漏れをなくし、体系的でありつつ内容が重複しない構成を考えてみよう。

関連記事:MECE(ミーシー)とは?ビジネスで使えるロジカルシンキングの基本を解説

情報を整理しグループに分ける

枠組みが確定したら、次なるステップは情報のグルーピングだ。頂点であるメインテーマに関連するさまざまな情報を集め、共通する内容をグループに分けよう。その際、結論につながる情報であれば、ジャンルを問わず収集することが重要だ。

例えば、新規事業のピラミッドストラクチャーを作成する場面を考えてみよう。「競合他社と自社の状況」「顧客のニーズ」を枠組みに加えた場合、収集すべき情報の例として以下が挙げられる。

競合他社の状況 自社の状況 顧客のニーズ
・競合他社の市場シェアの割合
・代表的なブランドの有無 など
・既存の販路や技術を活用できるかどうか
・自社の強みを生かせるかどうか など
・潜在的規模の大きさ
・市場の成長率の高さ
・特にニーズのある部分は何か など

収集した情報は、ピラミッドストラクチャーの頂点を支える根拠となる。可能な限り多くの情報を集め、枠組みに当てはめながら必要な情報と不要な情報を整理しよう。

ピラミッドの縦のつながりをつくる

情報のグルーピングができたら、整理した情報からメッセージを抽出し、ピラミッドの縦のつながりを構築する段階に入る。その際、単に情報を要約するのではなく、「情報からわかることは何か」「どんなことを証明できるか」を具体的に解釈することが重要だ。

縦のつながりでは「抽出したメッセージ=根拠」が成り立つが、無理なこじつけでは論理が破綻しかねない。客観的かつロジカルに抽出するために、ロジカルシンキングの基本である「演繹法」と「帰納法」を用いて検討してみよう。

演繹法とは、一般的なルールや論理に観察事項を加え、必然性の高い結論を導き出す思考法である。一方の帰納法では、いくつかの観察事項をベースにして一般論を導く。

例えば、販路拡大を検討する際に「潜在的なニーズが見込まれる」「既存の技術を応用できる」などのデータがあれば、「自社にとってメリットが大きい」と判断できるだろう。

確認する

グルーピングした情報が何を示すのかを考え、主張を支える根拠としてメッセージを導き出したら、最終的な確認作業に入る。「こじつけの解釈になっていないか」「縦のつながりがスムーズかどうか」をチェックしよう。

確認する際のキーワードとして、「So what?(=何がいえるのか)」と「Why so?(なぜそういえるのか)」が挙げられる。集めた情報から「何がいえるのか」を確認し、反対に抽出したメッセージから「なぜそういえるのか」を検証するのだ。

「So what?/Why so?」を自問することで全体の流れを整理し、論理的に問題がないかどうかを確認しよう。

ピラミッドストラクチャーの事例

ピラミッドストラクチャーの理解を深めるために、ここでは具体的な事例を挙げる。例として設定するメインテーマは、「社員のボーナス支給額を上げるべきか?」だ。ボーナス支給額を上げるべきだと主張すると仮定し、ピラミッドストラクチャーを作成してみよう。

社員のボーナス支給額を上げるべきか?

まずは、「社員の生産性」「会社の業績」「採用活動」を枠組みに設定する。続いて、枠組みをもとにしてメインテーマにつながる情報を整理する。

情報を精査してグルーピングしたら、メッセージを抽出しよう。例えば、「ボーナスの増額は社員のモチベーションにつながる」からは、「社内全体の生産性アップが期待できる」というメッセージを導き出せる。

メッセージの抽出後は「So what?/Why so?」を問いかけ、客観性に問題がないかを忘れずに確認しよう。

以下は、これらのステップをもとに作成したピラミッドストラクチャーの一例である。その他にもさまざまな情報を加えると、より納得感のあるピラミッドストラクチャーが完成するだろう。

画像:ピラミッドストラクチャーの例

その他にも、「社内会議をオンラインに移行すべきか?」「フランチャイズ展開に踏み出すべきか?」など、ピラミッドストラクチャーはさまざまな議論に活用できる。議論すべき内容がある場合は、内容に合わせてメインテーマを設定し、必要な情報をもとにピラミッドを組み立ててみるのがおすすめだ。

まとめ

ロジカルシンキングを実践する際は、ピラミッドストラクチャーを作成するのが有効である。主張とその根拠をピラミッドのように展開することで、情報をわかりやすく伝えられるほか、自分の思考を整理できるだろう。

作り方には決まった型があり、結論や根拠を順序に沿って整理すれば情報を体系的にまとめることが可能だ。主張をロジカルに伝えるべき場面では、ピラミッドストラクチャーを活用してみよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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