CxOの読み方は「シーエックスオー」で、企業の業務や機能において最高責任者を指す言葉だ。今回はCxOとはどのようなものか、またその役職がどうしてできたのかなどを紹介する。主なCxOの役職と役割、珍しいCxOの例、CHROと人事部長の違いも併せてチェックしよう。
目次
CxO(シーエックスオー)とは?執行役員とは違う?
CxOの読み方は、シーエックスオーである。はじめにCxOに関する基礎知識として、以下の内容を解説する。
・ CxO(Chief x Officer)とは
・ CxO呼称のはじまり
・ 執行役員との違い
それぞれの内容について、詳しくチェックしていこう。
CxO(Chief x Officer)とは
そもそもCxOとは、「Chief x Officer」のことだ。「Chief」とは組織の責任者のことで、「x」は業務や機能のこと、「Officer」とは執行役のことを指す。「x」の部分には役割や業務の頭文字を代入するというものだ。
ビジネスニュースなどでは「CEO」や「CIO」、「COO」、「CFO」など、似たような名称で呼ばれるさまざまな役職が出てくる。これらはすべてCxOの種類だ。たとえばCEOとは「最高経営責任者」を意味する言葉であり、このような企業活動における業務や機能において、とくに高い地位の責任者を総称してCxOと表現している。
CxOは、とくに欧米や外資系の企業で大きな役割を担っており、近年ではグローバル化を進める国内企業でも広まってきている役職だ。
CxO呼称のはじまり
CxOという呼称は、経営の監視役である取締役と、業務を取り仕切る執行役とを明確に分けることを目的として、企業で取り入れられはじめたと考えられている。ちなみに取締役は「Director」、執行役は「Officer」と呼称している。
欧米流の企業統治では、これらを別々の役職であると明確にすることで、企業運営の健全化と素早い経営判断ができるようにしている。欧米企業でCxOの呼称が使用されはじめたのは、1980年代だった。これが、国内企業でも取り入れられたという流れだ。
欧米企業におけるCxOと国内企業で呼称するCxOは、法的な位置付けや意義、役割の異なる部分があり、厳密にいえば同じものではない。しかし、欧米流の企業統治の良い部分を見習うために取り入れている手法といえるだろう。
国内企業におけるCxOの権限や責任には法的な裏付けがなく、「社長」や「会長」などと同様に、組織内での職制を示す役職名である。そのため、同じように呼称している場合でも企業によって役割や意味が微妙に異なる可能性があるのだ。
執行役員との違い
CxOは専門分野において業務執行の統括を担うが、日本の法制では代表取締役や取締役、執行役員、代表執行役や執行役などが会社の業務執行を担う者として定められている。そのためCxOは、代表取締役や取締役、執行役員などを兼務するケースが多い。
執行役員とは、取締役会の意思決定を受けて事業の陣頭指揮をとる人のことである。日本では、もともと事業の陣頭指揮を含めて取締役がおこなっていた。
しかし、経営判断もおこなう必要があって多忙すぎること、会長や社長のような職位では、なにに関して責任を負っているのかがわかりにくいことなどが課題だった。そのため、事業の監督に関しては取締役ではなく執行役員がおこなうようにすることで、取締役は経営に、執行役員は事業に専念できるようにしている。
CxOも執行役員も事業を執行するという点では似ているが、CxOは経営者の立場からプロフェッショナルな観点で判断し、企業価値や戦略を提言する者だという特徴がある。
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主なCxOの役職と役割
CxOの役職にはさまざまな種類がある。主なCxOの役職は、以下のとおりである。
・ CEO(最高経営責任者)
・ COO(最高執行責任者)
・ CFO(最高財務責任者)
・ CIO(最高情報責任者)
・ CMO(最高マーケティング責任者)
・ CHRO(最高人事責任者)
それぞれの役職とその役割を詳しく見ていこう。
CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)
CEOとは日本語で「最高経営責任者」を指す言葉で、「Chief Executive Officer」の頭文字をとったものである。企業の経営に関する最高権力者であり、日本企業でいう場合の代表取締役会長などが該当する役職だ。
CEOは取締役会による選任と株主の委託を受けて、企業全体での経営方針を決める。そのため、多くの事柄に関して経営上の判断をおこなう立場を担っている。
COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)
COOとは日本語で「最高執行責任者」を指す言葉で、「Chief Operating Officer」の頭文字をとったものである。執行部門での最高責任者であり、企業運営の実務的な業務を担っている。
経営判断の責任があるCEOに次いでNO.2の立場になるケースが多く、CEOとともに企業経営の中核を担う役職だ。経営の中核を支えている役職には、このあと紹介するCLOやCMOといった、さらに専門的な分野に対する責任者もいる。
CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)
CFOとは日本語で「最高財務責任者」を指す言葉で、「Chief Financial Officer」の頭文字をとったものである。財務部門を担う責任者であり、会計部門の管理だけではなく、投資の資金を調達する戦略を立てたり交渉をおこなったりする。
CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)
CIOとは日本語で「最高情報責任者」を指す言葉で、「Chief Information Officer」の頭文字をとったものである。ITシステムや情報の管理、情報を活用する戦略などを立案、実行する。
なお、同じようにCIOと表記していても、「Chief Investment Officer」を指す場合もある。この場合には情報に関する責任者ではなく、「最高投資責任者」を表している。
CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)
CMOとは日本語で「最高マーケティング責任者」を指す言葉で、「Chief Marketing Officer」の頭文字をとったものである。マーケティング関連の最高責任者であり、投資に対する効果を上げることなどのミッションを受け持つ役職だ。
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CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)
CHROとは日本語で「最高人事責任者」を指す言葉で、「Chief Human Resource Officer」の頭文字をとったものである。同じく「最高人事責任者」を指すものではあるものの、異なる表記に「CHO」や「Chief Human Officer」がある。
なお、CHROと人事部長の違いについては後述する。
珍しいCxOの例
CxOにはさまざまな種類があるものの、法律で定められているものではないため、企業ごとに違ったCxOがある。なかには珍しいCxOもあり、その例を挙げていこう。
CHO(Chief Happiness Officer:最高従業員幸福責任者)
この場合のCHOとは日本語で「最高従業員幸福責任者」を表しており、「Chief Happiness Officer」の頭文字をとったものである。最高従業員幸福責任者は、従業員が幸福を感じられるかどうかをマネジメントする責任者だ。
幸福だと感じている人ほど離職率が低く、生産性が高い傾向にあるといわれており、従業員を幸福にして企業にとっても従業員にとっても良い状態を作ろうとする企業で取り入れられている。「幸福」や「健康」を意味する「ウェルビーイング(well-being)」は昨今、企業経営において関心が高まっている概念だ。
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ただし、CHOを「最高人事責任者」としている企業もあるため注意しよう。
CLO(Chief Learning Officer:最高人材・組織開発責任者)
CLOとは日本語で「最高人材・組織開発責任者」を表しており、「Chief Learning Officer」の頭文字をとったものである。それぞれの人材が自発的に学び、互いに良い影響を与えていく組織作りをおこなうためにできた役職だ。
このCLOが「最高法務責任者」を意味する企業もある。この場合は「Chief Legal Officer」を略したものだ。最高法務責任者は、法務部門の顧問弁護士を兼務する場合もある。
CCO(Chief Culture Officer:最高文化責任者)
CCOとは「最高文化責任者」を意味しており、「Chief Culture Officer」の頭文字をとったものである。CCOは社内カルチャーの責任者で、事例では社内に良い空気感を作れる人が任されていた。
CTO(チーフたまごっちオフィサー)
この場合のCTOとは「チーフたまごっちオフィサー」を指している。これは「たまごっち」をヒットさせたバンダイにある役職で、魅力的なキャラクターたちを展開する戦略を練る役職である。
ちなみに、一般的にCTOというと「Chief Technical Officer」のことであり、「最高技術責任者」を指すケースが多い。
CHROと人事部長の違い
最後に、CHROと人事部長の違いをチェックしていこう。
CHROとは
先述のとおり、CHROとは「最高人事責任者」を指す言葉である。CHROは人や組織に対する責任を持つ者であり、役員として設置されているケースが多いようだ。
人事部長との違い
CHROと同じく人事に関する責任者といえる人事部長との違いは、人事部長が一部署の責任者として定義されていることである。人事の実務に関する責任者が人事部長であり、経営戦略から見た人事や組織づくりの責任者がCHROであると認識すればよい。
このようにそれぞれ異なるものであり、CHROが人事部長よりも上の役職として位置づけている企業が多いようだ。ただし、企業によっては両方を兼務している場合もある。
まとめ
CxOとは「Chief x Officer」のことで、企業活動における業務や機能における責任者を総称した言葉である。「Chief」とは組織の責任者のことで、「x」は代入する業務や機能のこと、「Officer」とは執行役のことを指す。
ビジネスニュースなどでは「CEO」や「CIO」、「COO」、「CFO」など、似たような名称で呼ばれるさまざまな役職が出てくるが、これらはすべてCxOの種類だ。企業ごとに違ったCxOがあるケースが確認されていて、なかには珍しいCxOの種類もある。
これらの認識をはっきりさせ、ビジネスの場において意味を理解できるようになろう。