2022.3.18

協調性とは?ある人を面接で見極めるには

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協調性とは、自分と異なる立場や利害、意見、考え方を持つ人とも、同じ目標に向かって助け合い、協調して行動できる能力である。今回は、協調性の基本的な概要や特徴などを紹介するとともに、協調性を高める方法や面接での見極め方も解説する。実際の仕事に取り入れていこう。

協調性とは?チームワークとは違う?

はじめに、協調性とはどのようなものか、基礎知識からチェックしていこう。さらに、ビジネスシーンで協調性が必要な理由や、似た言葉としてイメージされやすいチームワーク、イエスマン、同調とはどう違うのかなどを紹介する。

協調性とは

そもそも協調性とは、自分と異なる立場や利害、意見、考え方を持つ人たちとも協調し、同じ目標に向かって行動できる能力のことを指す。周囲の意見をきちんと察知し、お互いに助け合い、ときには譲り合いながら業務を進めていけるため、双方にとって満足がいく結果になるように遂行していけるのが特徴である。

ビジネスシーンで協調性が必要な理由

ビジネスシーンにおいては、この協調性が重要視される。協調性が必要である理由は、自分一人だけですべてを完結するような仕事はほとんどなく、上司や同僚、顧客など価値観の違う相手と社内外問わずに関わり続けることになるためだ。

自分の考えを押し通すだけではなく、相手の主張を理解して交渉や協力をしながら業務を進行していく必要がある。そのため、独りよがりだと思われると能力があっても評価されないのだ。

ビジネスシーンでは相手の意見におもねるだけでなく、場合によっては関係する様々な立場の人を説得するような、主体的な協調性を持つことが求められている。

チームワークとの違い

「チームワーク」とは、チームのなかで業務をスムーズに進行させていくための力である。自分のやるべきことを進めながら、チームメンバーに関してもサポートしていくことを指す言葉だ。

協調性は、チームに限らず様々な相手に対しておこなうものである。周囲のメンバーへ主体的に働きかけていくことを意味しており、チームワークよりも範囲が広く、さらなるアピールポイントになる言葉だといえるだろう。

このように、チームワークと協調性とは似ているが異なるものだ。しかし、同じようなものだとして受け取られていることも少なくないため、それほど違いを重視しなくてもいいだろう。

イエスマンとの違い

協調性と混同されやすい言葉に「イエスマン」もある。しかし、これはチームワークとは異なり、意味が大きく違う言葉である。

イエスマンとは自分の考えをいわずに、多数派や相手の意見に対してすぐに「イエス」と従ってしまう人のことだ。対して協調性を有する人とは、自分の考えや意見を持ってそれをしっかりと表現しつつ、周囲の意見に合わせられる人のことである。

周りに合わせるという点が同じように見えるかもしれないが、「自分の考えを持っていること」と「周りに流されているだけ」では、根本的な違いがあるのだ。

同調との違い

「同調」も、協調性と似た言葉だと思われやすい。同調とは、周囲の意向をすべて受け入れて行動することを指す言葉だ。周囲の意向ばかりを取り入れるため、自分の考えは捨てた状態になる。

対して協調性とは、周囲の意見に合わせつつも自分の意見を持っている状態であるため、同調とは異なるものなのだ。

協調性のある人はどのような人か?高めるためのサポート

協調性のある人はどのような人か、その特徴の例と協調性を高めるためのサポート方法をチェックしていこう。

協調性のある人の特徴例

まずは、協調性のある人が持つ特徴の例を紹介する。

観察力・洞察力に優れている

協調性のある人は洞察力が高く、相手の感情の動きを察知することに長けており、周りの空気を読むことが得意である。初めて訪れた企業や現場でも、その場の人間関係を瞬時に見抜ける能力があるといわれる。このように、協調性のある人は観察力や洞察力に優れており、決定権を持つ相手やどのように対応するとスムーズかが判断できるため、すぐにその環境に馴染めるのだ。

コミュニケーション能力がある

協調性のある人は、誰とでもすぐ打ち解けられるほどコミュニケーション能力が高い人である。初対面の相手ともすぐに協力し合って業務を遂行することが可能で、周囲との人間関係を良好に保てる。また心に余裕があり、笑顔を絶やさないことも協調性のある人の特徴である。

他者のサポートができる

協調性のある人は、個人での成果よりもチームワークを重視しており、他者のサポートが上手だ。観察力や洞察力に優れているため、全体の状況や周囲の人間関係、相手の状況をよく理解し、先読みでフォローすることがうまいのである。

協調性のある人は、困ってなさそうに見える人やフォローに気後れしてしまうような相手に対しても、さりげなくサポートできるという特徴がある。

協調性を高め、チームを機能させるには

先述したように、協調性のある人は周囲との人間関係を良好に保ち、他者に対して先読みのフォローをおこなうなど、チームにとって良い影響を与える人材である。

それでは、一人ひとりの協調性を高め、チームを機能させるにはどのようにしたらいいのかをチェックしていこう。

チームビルディングの実施

チームビルディングとは同じ目標の達成に向けて、チームの一人ひとりが自身のスキルや経験を主体的に発揮できる組織を作ることである。ビジネスシーンにおいては、個人個人ではなくチームで目標達成に向けた取り組みをおこなうことが一般的だ。

どんなに優秀な人材であっても不得意な分野があるなど、個人で可能なことには限りがあるものである。より高いパフォーマンスを求めるため、自分にとって不得意な部分はチームのほかの人が補い、それぞれのスキルを上手に活かすことが求められている。

近年では、メンバーの能力を最大限に発揮し得るチームを作れるように、チームビルディングを促すためのプログラムを実施する企業が増加傾向にある。

このチームビルディングを促すためのプログラムには、ワークショップやグループディスカッション、ゲーム、イベントなど様々な種類がある。自社に合うものを取り入れてみるといいだろう。

関連記事:テレワーク・リモートワーク時代のチームビルディングを進めるために大切なこととは

チーミングを取り入れる

チームをより良く機能させるためには、チーミングを取り入れるのもおすすめだ。チーミングとは新しいチーム運営のあり方のことで、チームワークをさらに良くする方法を模索し、実践する取り組みを指す言葉である。社会情勢が変動しやすく、先の見通しが立てにくいといわれる現代において重要視されている概念だ。

チーミングとはリーダーだけで推し進めず、チームメンバー全員が意見を交換してそれぞれの主張をまとめ、相互理解を深めてより良いチームを作っていく方法である。チーミングを実施するためには、協力しやすい環境を整備したうえで目標やビジョンを共有し、メンバーが安心して質問や意見交換ができる状態にしておく必要がある。

関連記事:チーミングの意味とは?チームが機能するために必要なこと

コミュニケーションのローコンテクスト化

協調性を高めてチームをうまく機能させるには、コミュニケーションのローコンテクスト化も重要だ。コンテクストとは文脈や背景、状況、脈絡などの意味がある言葉を指し、コミュニケーションに必要な文化の共有度合いを表している。

コンテクストにはローコンテクストとハイコンテクストがあり、ハイコンテクストとは文化の共有度合いが高い状態を、ローコンテクストとは文化の共有度合いが低い状態を意味する。

文化の共有度合いが高いハイコンテクストは、共通認識や文化的背景、知識が前提条件としてある状態で話を進めていく状態である。対して文化の共有度合いが低いローコンテクストは、会話の際に事前の情報や文脈からの読み取りを必要とせず、伝えるべきことはすべて理解しやすい表現で直接的に言語化する状態だ。

曖昧さがないだけに誰にでもわかりやすくなり、コミュニケーションの齟齬を避けられるため、チームをうまく機能させるために活用できる方法である。

関連記事:コンテクストとは?意味やビジネスシーンでの使い方を解説

面接での見極め方

選考において特に重視することのアンケート結果では、上位に協調性がランクインするほど企業では協調性のある人材を求めているものである。

協調性には、与えられた環境のなかで周りにあわせて仕事をおこなう「消極的な協調性」と、自分から周囲に働きかける「積極的な協調性」がある。このうち、多くの企業が採用したいと考えているのは、積極的な協調性のほうだといわれている。

面接においては、この積極的な協調性を確認する手法として、協調性やチームワークを意識した経験談を語らせるとよいだろう。また、グループ面談をおこなって見極める手法もおすすめだ。グループ面談の場合には、自分の意見を主張するだけで終わるのか、あるいは他者の意見を認める発言が入るのかといった点をしっかり確認しよう。

協調性、チームワークを意識したこれまでの経験を聞く

面接の際は、候補者に対して様々な質問をする。そうして候補者の答えをどんどん掘り下げていき、そこに協調性があるか否かを判断するとよいだろう。その場合「協調性についてどう考えるか」、「そう考える理由は」、「具体的なエピソードは」、「協調性を発揮できた場面は」といった質問をおこなっていく。

また、同じようにチームワークに関しての質問をするのもおすすめだ。

まとめ

協調性とは、自分と異なる立場や利害、意見、考え方がある人とも協調し、同じ目標に向けて行動できる能力のことである。ビジネスシーンでは、ほとんどの仕事で上司や同僚、顧客など価値観が違う相手と社内外問わずに関わることになるため、協調性がとくに重要視される。

いかに協調性が重要であるかは、選考におけるアンケート結果で協調性が上位にランクインしていることからも明白だ。なかでも、企業が求めているのは積極的な協調性である。

協調性のある人は、周囲との人間関係を良好に保てたり、先読みして他者をフォローできたりなど、チームにとって良い影響を与える。協調性を高めてチームを機能させるためには、チームビルディングの実施やチーミングを取り入れること、コミュニケーションのローコンテクスト化などの取り組みをおこなうと良いだろう。

面接での見極め方などとあわせて参考にし、協調性の高い人材を効果的に集めていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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