2021.10.21

23年卒学生の就活。企業人事が知っておきたい今後の動向予測

読了まで約 6

■2023年卒の就活スケジュール

■2023卒年の就職活動におけるポイントとは?

■就活生側から見る2023年卒の就職戦線

■コロナ禍の就活で不安なこととは?

■今後の企業が行うべき採用活動

23年卒学生の就活日程はどう変わるのか そのポイント

まだまだ先行きの見えないコロナ禍の中、2023年卒の採用活動を始めてみたものの、今年の採用市場がどのような動向になるのかまだ予測できていない、あるいはまだ活動に踏み切れていない人事担当者も多いのではないだろうか。
採用手法やスケジュールの多様化、感染症対策で一気に普及したオンライン採用の影響など、不確定な要素も多いなかではあるものの、まずは2023年卒の就活スケジュールの全体像を見てみよう。
毎年の就活スケジュールについての議論は、経団連(日本経済団体連合会)と政府が中心となって進められるが、2023年卒のスケジュールも2022年卒と同じ方針で進めていくことがすでに決定している。
つまり、2023年卒の場合、すでに今年の夏から大学3年生向けのインターンシップが開催されており、10月頃からは外資系企業や経団連非加盟企業のエントリーが始まっている。

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さらに、2022年の3月には、本選考のサイトが公開、個別や合同での企業説明会が実施され、6月からは本格的に選考がスタート、しだいに内々定が決まっていく、という流れだ。
就活スケジュールを確認したところで、2023卒年の就職活動においてポイントをおさえておこう。
それは、オンラン化がさらに進むということに他ならない。HR総研の2023年卒採用活動の予測調査では「オンライン化の予測」で、大企業では「オンライン化の動きが強まる」が49%とほぼ半数で、「現状を維持する」が37%となり、合わせて86%の企業が現状維持以上のオンライン化の動きを予測している。中堅・中小企業でも7割以上の企業で現状維持以上を予測している(ProFuture株式会社/HR総研

グラフ:HR総研の2023年卒採用活動の予測調査

新型コロナの流行をきっかけに、オンラインでのインターンシップや説明会、選考の実施を迫られたが、2020年の段階ではまだ、その対応が間に合わない企業も多かった。
しかし、時間が経過したことで、現在は各企業がすでに一通りオンライン化への対応が完了している。
感染防止の観点だけでなく、時間や場所の融通がききやすい、多くの学生と接点を持つことができる、などをメリットと捉え、継続していく企業も多いだろう。
また、2021年卒の就活では、新型コロナの影響から多くの業界・企業で採用選考スケジュールの後ろ倒しや採用計画そのものの見直しが行われ、それに伴って、2022年卒の採用計画がスムーズに立てられなかった企業もあった。
特に飲食業界や、航空業界、観光業界への影響は大きく、採用自体が困難となったケースも見られたほどだ。
このような状況から就職氷河期の到来を懸念する声もあがっていたが、2022年卒の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は1.50倍となっており、長引くコロナ禍の経済停滞にもかかわらず、企業の採用意欲は高いといえる。

23年卒学生の就活に対する意識は?

オンライン選考を活用する企業が増加し、採用スケジュールの大幅な遅れなどは起こらないと見られる23年卒の採用市場だが、就活生側は今年の就職活動をどう考えているのだろうか。
株式会社ディスコが発表した「2023 年卒学⽣の職業意識とインターンシップに関する調査」から読み解いてみたい。
まず、自分たちの就活戦線が2022年卒の先輩たちに比べてどうなると考えているのか、を「就職戦線の見方」の設問から見てみると、「非常に厳しくなる」と回答した学生が19.3%、「やや厳しくなる」と回答した学生が44.2%と、程度の差はあれど前年よりも厳しい戦線となることを予想する声が6 割を超えている。
しかし、前年の調査で同じ回答をした学生が88.4%と9割近い結果であったことを考えると、2022年卒の就職活動の様子や内定率を見て、コロナ禍が絶望的な状況をもたらしているわけではないかもしれない、と少し楽観的な考え方をする学生も増えているようだ。

次に、「コロナ禍の就活について不安なこと」に対する回答を見てみよう。
こちらは、「採用数の減少」が77.0%で最も多く、次いで「インターンシップの減少」が54.6%、「学業と就職活動の両立」が47.4%、「就職に関する情報の不足」47.3%と続く。
前年調査に比べると多くの項目でポイントの減少が見られ、今後よくなるだろうという期待感も伺えるなかで、「課外活動・アルバイトなどができず、アピールできない」は34.5%で前年比+8.1ポイント、「ゼミ・研究活動が進まず、アピールできない」は26.9%で前年比+0.9ポイントと増加している項目もあり、この増加した項目の内容から、コロナ禍によって長期にわたって通常通りの学生生活を送れていないことが、就職活動にも支障をきたすのではないかと不安に思う学生が少なくないことが伺える。
実際に「思うように学生時代ならではの経験を積むことができていない。<文系男子>」といったコメントも寄せられている。
また、「コロナ禍の影響による不安はない」はわずか 2.1%にとどまったことからも、学生たちがコロナ禍の就職活動に対してさまざまな不安を抱えていることは明らかだ。

さらに、「オンライン中心で就活が進んでいくことへの抵抗感」への回答を見ていくと、「とても抵抗がある(対面中心で進めたい)」の回答は8.9%と1割未満であったものの、「やや抵抗がある」の45.4%と合わせると半数以上の学生がオンライン中心の就職活動に対して何らかの抵抗感をおぼえていることが明らかとなった。
その理由として、「オンラインだと実際の仕事が経験しにくいので、入社してからギャップができるのではと思う。<文系男子>」や「PC の画面越しだと自分の良さをアピールできる自信がない。<理系男子> 」などといったコメントが寄せられた。
この調査の結果から、2023年卒の学生は、2022年卒の先輩たちの様子を見ていることで、多少は前向きに考えることができているものの、依然として多くの学生がコロナ禍の就職活動に対して不安を抱いていることが見て取れる。

参考:株式会社ディスコ「2023 年卒学⽣の職業意識とインターンシップに関する調査」

秋のインターンシップなど今後の活動は?

企業としては、今後は秋のインターンシップなどを活用し、まずは2022年2月までを見据えた採用活動が重要となってくるだろう。
ここでは、今後企業が行うべき採用活動について見ていこう。

1. 秋冬のインターンシップ
夏にされる実施イメージが強いインターンだが、秋以降に実施するメリットもある。
たとえば、学生の業界理解が夏時期よりも進んでいること、選考までの期間が短いため繋ぎ止めがしやすく、選考まで進んでもらえる確率が上がること、などがあげられる。
秋以降にインターンシップを実施することによって、夏にはアプローチすることができていなかった学生にも注目してもらえたり、夏は多くの企業でインターンシップが開催されるため、秋の方が参加しやすいという学生とも接触できるだろう。
また、オンラインでインターンシップを実施することで、遠方に住んでいる学生などにもアプローチしやすくなる。
ウェブ会議ツールを活用してのグループディスカッションや社内見学、社内会議への参加など、自社に合った内容を検討することで、より多くの学生に自社の魅力をアピールすることができる。
秋以降のインターンシップは、学生の業界理解度を考えると、夏に実施される内容よりも、具体的に企業への理解を深めてもらう内容や、企業における職種ごとの仕事内容を理解してもらえるような内容にすると良い。

2. ウェブでの情報公開
就職活動のオンライン化が進むなかで、学生側の情報収集も企業のホームページやSNSなど、ウェブで行われることが多くなっている。
募集開始前である今の時期から、インターンシップや会社説明会の動画、採用情報についての記事などをウェブで公開することで、本格的な就職活動が開始される前にも学生たちにアプローチすることが可能だ。

2023年卒の就活スケジュールから見ると、インターンシップをはじめ、すでに水面下での採用活動は始まっているといえる。
コロナ禍やオンライン化がもたらす学生たちの不安を理解し、配慮しながら、自社に合った採用活動を行っていくことが、2023年卒採用の成功につながる鍵であると言えるだろう。

まとめ

・採用手法やスケジュールの多様化、オンライン採用の拡大など、新型コロナは採用市場にも多大な影響をもたらした。不確定な要素が多く、まだまだ先行きの見えない状況ではあるが、2023年卒の就活スケジュールは、2022年卒と同じ方針で進めていくことが経団連(日本経済団体連合会)と政府によって決定された。つまり、全体像としては、2021年夏から大学3年生向けのインターンシップが開催されており、10月には外資系企業や経団連非加盟企業のエントリーが開始、2022年の3月に採用情報が解禁、6月からは本格的に選考がスタートするという流れとなる。

・2023卒年の就職活動においてポイントとなるのは、オンラン化がさらに進むことだろう。新型コロナの流行をきっかけにオンラインでの採用活動へのシフトを迫られ、苦労した企業も多かったが、現在では各社で体制が整っている。オンラインならではのメリットに注目して継続していく企業は多いだろう。また、2021年卒の就活では、新型コロナの影響から多くの業界・企業で採用選考スケジュールの後ろ倒しや採用計画そのものの見直しが行われ、一定の業界ではその影響の大きさから採用自体が困難となった。就職氷河期の到来を懸念する声もあがっていたが、2022年卒の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は1.50倍で、長引くコロナにもかかわらず、企業の採用意欲は高いといえる。

・就活生側は今年の就職活動をどう考えているのだろうか。株式会社ディスコが発表した「2023 年卒学⽣の職業意識とインターンシップに関する調査」で、自分たちの就活戦線が2022年卒の先輩たちに比べてどうなると考えているのかを問うてみると、前年よりも厳しい戦線となることを予想する声が6 割を超えた。しかし、前年の調査で同じ回答をした学生が9割近かったことを考えると、2022年卒の就職活動の様子を見て、コロナ禍が絶望的な状況をもたらしているわけではないかもしれない、と少し楽観的な考え方をする学生が増えていることが伺える。

・同調査における、学生の「コロナ禍の就活について不安なこと」は前年調査に比べると多くの項目でポイントの減少が見られ、今後よくなるだろうという期待感も伺える。しかし、「課外活動・アルバイトなどができず、アピールできない」は34.5%で前年比+8.1ポイント、「ゼミ・研究活動が進まず、アピールできない」は26.9%で前年比+0.9ポイントと増加しており、 コロナ禍で思うような学生生活を送れていないことが就活に影響することを不安視する学生が増えているようだ。また、オンライン中心で就活が進んでいくことについても、半数を超える学生が少なからず抵抗感を持っていることがわかり、ミスマッチや画面越しで行われる就活の難しさを不安に思う声が寄せられている。

・今後の企業側の流れとして、まずは2022年2月までを見据えた採用活動が重要となってくるだろう。たとえば、次のような採用活動の実施があげられる。1.秋のインターンシップ:夏に比べて学生の業界理解も進んでいることが多いため、具体的に企業への理解を深めてもらう内容や、企業における職種ごとの仕事内容を理解してもらえるような内容にすると良い。2.ウェブでの情報公開:就活のオンライン化が進むなかで、学生側の情報収集もウェブで行われることが多くなっている。募集開始前から採用に関する記事や動画をウェブで公開することで本格的な就活開始前からアプローチすることが可能だ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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