■フレームワークとは何か?
■採用マーケティング分野におけるフレームワークとは?
■採用マーケティングが注目されている理由
■採用活動においてフレームワークが有効である理由
■採用ペルソナの設定とは?
■採用マーケティングに使われる代表的な3つのフレームワーク
フレームワークとは何か?
優秀な人材の確保は、どの企業においても重要な課題であると言えるが、激化する人材獲得競争のなかで、採用の難易度は年々高くなっている。
そのような状況で、最近では自社のニーズに合う人材を獲得するために、マーケティングの手法と視点を取り入れて採用活動を行う「採用マーケティング」という考え方のもと、経営やビジネスなどで用いられてきたフレームワークが採用活動にも適用されてきている。
関連記事:採用マーケティングの取り組み。成功につながる採用戦略の立て方
そもそも、「フレームワーク(framework)」とは、「骨組み」や「構造」といった意味を持つ英単語で、ビジネス分野で使われる場合、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや共通の考え方、思考の枠組みのことを指す。
つまり、問題解決や意思決定が必要な場面で検討すべき項目やポイントを整理して、パターンに落とし込んで、誰でも考えやすくしたツールといえる。
採用マーケティングの分野では、ビジネスフレームワークとして開発されたものを、採用の場面で応用するのが一般的で、ターゲット人材や自社の強みと弱み、他社との差別化ポイントなどを洗い出すことを目的としている。
変化が多い経営戦略やマーケティングの分野では、状況の整理と全体を把握するための方法として、多数のフレームワークが作られてきた。
それらのフレームワークは、採用戦略の立案や、実践の場面でも非常に有効となる。
採用の場においても、人材不足の厳しい環境下で必要とする人材を確保するために、さまざまな要因の分析と判断をする、複雑な思考が必要とされるようになったからだ。
本稿では、採用マーケティングにおけるフレームワークについて、有効である理由や代表的な3例などを紹介していこう。
なぜ採用活動においてフレームワークが注目を集めるのか
採用マーケティングとは、自社のニーズにマッチした人材を獲得するために、マーケティングの視点と手法を取り入れ、戦略的に採用活動を進めていく考え方のことで、新しい採用の概念として、昨今、注目を集めている。
採用マーケティングが注目されている理由は、少子高齢化によって労働人口が減少したことで、多くの求職者が企業へ自ら応募し、そのなかから企業が人材を選ぶ時代から、求職者が働きたい企業を選ぶ時代へと変化しているからだ。
また、採用手法が多様化していることも大きい。
特にスマートフォンやSNSなどのツールを活用したダイレクトマーケティングやリファラル採用など、さまざまな施策が現れている。
そのため、採用ツールの選択によって、求める人材にアプローチできるか分析する必要が出てきたのだ。
関連記事:採用マーケティングにおける採用手法の選び方。ダイレクトソーシングやリファラル採用の効果とは
このような採用の困難化や多様化の対策として、「どのような人材に」「どのような方法で」「どのようなメッセージで」自社の魅力を知ってもらうかの戦略を練ることが必要不可欠となってきている。
その整理や全体のバランスを把握する際に、マーケティングで使われている考え方が役立つということで、採用マーケティングは広がっている。
採用を戦略的に行っていく必要があるからこそ、経営戦略やビジネスマーケティングで使われていたフレームワークは、採用活動においても有効であるのだ。
フレームワークによって情報の整理や分類化を行うことで、思考が整理され、必要な論点を漏れなく検討することができる。
その価値は、採用マーケティングにおいても同様で、採用活動を始めると、採用手法の選定からはじまり、説明会の開催、応募者の管理、面接や面談などの業務を同時並行的に行うこととなり、採用担当者は非常に多忙となる。
だからこそ、採用マーケティングを取り入れ、計画に落とし込んでいく過程で、素早く簡潔に状況整理ができるフレームワークを使ってプランを練りこむことが大切なのだ。
代表的な3つのフレームワークとは
採用マーケティングに使われる代表的なフレームワークとして3C分析・4C分析・SWOT分析の3つがあげられる。
だが、その概要を紹介する前に、採用マーケティングのフレームワーク活用に不可欠な「採用ペルソナ」の設定について解説しよう。
採用ペルソナの設定とは、採用したい人物像を明確かつ詳細に定義していくプロセスだ。
まず、ペルソナとはマーケティング分野で広く活用されている言葉であり、商品やサービスを開発・販売するにあたって設定される具体的なユーザー像のことを指す。
採用ペルソナも同様で、その設定にあたっては、年齢や性別などの基本的なプロフィールをはじめ、経験やスキル、人柄や価値観、行動特性といった内面的・行動的な部分にまで踏み込んで、詳細な人物像に落とし込んでいくことがポイントとなる。
1つのペルソナに採用したい人物像を集約しきれない場合には、ペルソナを複数作成しても良い。
ただし、複数作成した場合でも、1つひとつのペルソナの人物像を具体的なものにする必要がある。
関連記事:採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説
ペルソナを設定したら、それをフレームワークに当てはめていく。
では、冒頭で紹介した代表的なフレームワークについて一通り見ていこう。
1. 3C分析
3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字を取っており、それら3つの状況を分析することで、事業の成功要因を導くマーケティングフレームワークだ。
これらの3つの視点を採用マーケティングに当てはめると、Customerは「設定したペルソナ」、Competitorは「採用における競合他社」、Companyは「自社の魅力、強み・弱み」となる。
3C分析を行うにあたっては、まず、「Customer」を設定するところから始める。
そして、自社の目線で考えるのではなく、「Customer(設定したペルソナ)」から見たときに「Competitor(採用における競合他社)」はどこで、「Company(自社の魅力、強み・弱み)」は何なのかを考えることが重要だ。
自社の取り巻く環境を客観的に分析していくことで、競合他社と差別化できるポイントや、自社の強みがわかるなど、新たな発見が期待できる。
また、3C分析は、「Customer(候補者の個人名)」「Competitor(候補者が受けている企業名)」「Company(自社)」といったようにミクロなスケールで使うこともできる。
マクロに捉えることで全体から見ることができたり、ミクロに捉えて突き詰めることができたりなど、視野の広さを調整が容易にできることは、3C分析をフレームワークとして用いることの大きなメリットと言える。
2. 4C分析
4C分析とは、サービス・製品を顧客視点で分析する方法で、「Customer Value(顧客にとっての価値)」「Customer Cost(顧客がかけるコスト)」「Convenience(顧客にとっての利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の4つの要素を整理したものだ。
この4C分析も、「顧客」を「設定したペルソナ」に置き換えることで採用マーケティングに活用することが可能で、計画の詳細設計や採用プロセスを考えていくのに有効なフレームワークだ。
たとえば、Customer Valueは「ペルソナが自社に入社することで得られるメリット」、Customer Costは、「ペルソナから見た自社に入社した場合のリスクや懸念点」、Convenienceは「自社への応募・日程調整・連絡のしやすさ」、Communicationは、「コミュニケーションチャネルや交流の場を設けなどコミュニケーションが取りやすいか」となる。
これら4つの視点から、ペルソナに選ばれる会社となるための自社の魅力やアピールポイントを明らかにすることができる。
関連記事:4Cとは何か?4C分析の意味や活用方法、知っておきたい5Cや4P分析との違いも解説
3. SWOT分析
SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」という4つの要因から、自社の分析をメインとするフレームワークだ。
採用マーケティングで用いる場合は、Strengthは「自社の強み」、Weaknessは「自社の弱み」、Opportunityは「市場変化における機会」、Threatは「市場変化における脅威」と置き換え、内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を洗い出す。
SWOT分析した内部環境要因と外部環境要因を掛け合わせ、より思考を深めていく。
「強み」×「機会」=強みを活かして機会を得る
「強み」×「脅威」=強みを活かして、脅威に対策を講じる
「弱み」×「機会」=弱みへの対策を講じ、機会を活かす
「弱み」×「脅威」=リスクを最大限回避するための対策を講じる
自社の分析を外的要因・内的要因それぞれから行うことで、自社が戦っていくべきところ、逆に戦ってはいけないところ、対策を講じるべきところも見えてくるだろう。
採用マーケティングにフレームワークを活用し、自社の状況を整理することは、自社の魅力や強み、競合他社との差別化ポイントなどが見えてくるため、自社にマッチした優秀な人材を確保するための手助けとなるはずだ。
関連記事:SWOT分析とは?現状分析をした上で戦略策定に繋げる方法
まとめ
・人材獲得競争の激化に伴い、採用の難易度が年々高くなっている近年、自社のニーズにマッチした人材を獲得するために、マーケティングの手法と視点を取り入れて採用活動を行う「採用マーケティング」という考え方のもと、経営やビジネスなどで用いられてきたフレームワークが採用活動にも適用されてきている。「フレームワーク(framework)」とは、「骨組み」や「構造」といった意味を持つ英単語だ。ビジネス分野で使われる場合、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ思考の枠組みのことを指す。
・採用マーケティングの分野で使われるフレームワークは、ターゲット人材や自社の強みと弱み、他社との差別化ポイントなどを洗い出すことを目的とし、ビジネスフレームワークとして開発されたものを、応用するのが一般的だ。人材不足の厳しい環境下では、必要とする人材を確保するために、さまざまな要因の分析と判断をする複雑な思考が必要とされるようになったことから、採用の場面でも、フレームワークの使用は非常に有効だとされている。
・採用マーケティングが注目されている理由は、少子高齢化による労働人口の減少により、企業が人材を選ぶといった時代から、求職者が働きたい企業を選ぶ時代へと変化していることだ。また、採用手法が多様化していることもあげられる。採用ツールの選択によって、求める人材にアプローチできるかどうかを分析する必要が出てきたのだ。採用の難化や多様化の対策を講じる際、その整理や全体のバランスを把握するためにマーケティングで使われている考え方が役立つということで、採用マーケティングは広がっているのだ。
・採用活動は戦略的に行っていく必要があるからこそ、経営戦略やマーケティングで使われていたフレームワークは、採用活動においても有効であるといえる。フレームワークによって思考が整理されることで、必要な論点を漏れなく検討することができるのだ。採用活動をスタートすると、説明会や面接・面談など複数の業務を並行的に行う必要があるため担当者は忙しくなる。だからこそ、素早く簡潔に状況整理ができるフレームワークを使ってプランを練りこむことが大切なのだ。
・採用マーケティングでフレームワークを活用する際に必要不可欠なのが、「採用ペルソナ」の設定だ。採用ペルソナの設定とは、採用したい人物像を明確かつ詳細に定義していくプロセスだ。その設定にあたっては、年齢や性別などの基本的なプロフィールをはじめ、経験やスキル、人柄や価値観、行動特性などの行動的・内面的な部分にまで踏み込んで、詳細な人物像に落とし込んでいくことがポイントとなる。
・採用マーケティングに使われる代表的なフレームワークとして、次の3つがあげられる。1.3C分析:「Customer」「Competitor」「Company」の3つの要素から、自社の取り巻く環境を客観的に分析していく。2.4C分析:、「Customer Value」「Customer Cost」「Convenience」「Communication」の4つの要素から、自社を顧客視点で分析していく。ペルソナに選ばれる会社となるための自社の魅力やアピールポイントを明らかにすることができる。3.SWOT分析:「Strength」「Weakness」「Opportunity」「Threat」の4つの要素から自社を分析していく。自社が戦っていくべきところ、戦ってはいけないところ、対策を講じるべきところが見えてくる。