リフレーミングとは、物事の捉え方を変えて違った感じ方ができるようにすることであり、ビジネスシーンにも役立つ思考だ。今回はリフレーミングの意味や効果、種類、方法、具体例などを紹介する。さらに用いる際のポイントも解説するため、併せてチェックしよう。
目次
リフレーミングとは?
リフレーミングとは、物事に対する捉え方を変えて違った感じ方を持たせることである。コミュニケーション心理学(NLP)の用語であり、固定概念や思い込みを見直すことで、新しい見方ができるようになるための思考だ。
リフレーミングを表現する上で、「コップ半分の水」という有名な話がある。コップ半分の水を見たときに、「もう半分しかない」と考えるのか、あるいは「まだ半分もある」と考えるのかによって、感じ方が大きく異なるという話だ。
このように同じことであっても、どのように考えるのかによって感じ方が大きく異なる。そのため、ネガティブな考えになる物事や欠点として見えていることであっても、リフレーミングによって考え方を変えることで、良い点として感じられるようになるのだ。
固定概念や思い込みの見直しは、日々の不満やストレスの軽減になり、より良い心理状況を保つことにつながるものだ。また、自信をつけることや人間関係を円滑にすることにもつながっていくため、ビジネスシーンにおける人材育成やマーケティングに役立つ手法としても近年注目を集めている。
ポジティブシンキングとの違い
リフレーミングは、ネガティブな考えをポジティブに捉えられるようになる思考の在り方だ。そのため、「ポジティブシンキング」と似ていると感じる方もいるだろう。
ポジティブシンキングはリフレーミングと似ている部分があるものの、考え方自体が異なる思考だ。以下、それぞれの思考の特徴を示す。
● ポジティブシンキング:物事を常に前向きに捉える思考
● リフレーミング:感じ方や解釈を見直し、新しい視点に気づくことによる発想の転換を促す思考
ポジティブシンキングでは、常にポジティブな考え方になるためにネガティブな気持ちを隠すことがある。一方のリフレーミングは、相手の立場に立って相互理解を深め、共感することからアプローチを始める心理学の手法だ。単純に前向きになろうとするだけではなく、新しい視点に気づくことによる発想の転換を促しているという点で、これらは大きく異なっているのである。
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リフレーミングの効果
ビジネスシーンにおけるリフレーミングの効果やメリットは、大きく分けると以下の通りだ。
● モチベーションアップにつながる
● 人間関係の円滑化によってチーム力が高まる
● 気持ちの切り替えが上手くなる
● 課題解決能力が高まる
別の視点で捉え直せるようになることで、他者の言動をプラスに捉えられるようになり、モチベーションアップにつなげられる。大事な場面で緊張してしまっても、成長につながる貴重な場面だと感じ方を変えられたならば、良いパフォーマンスが期待できるだろう。
他者の短所が目に付いていたところ、長所にも気付けるようになり、人間関係が円滑になる効果もある。また、もしも失敗してしまったとしても、良い経験になったと考えられたならば、上手く気持ちを切り替えられるようになる。
リフレーミングによって、ピンチをチャンスだと感じるようになることも可能だ。そのため、すぐに諦めていたことでも、乗り越えるための方法を考えられるようになり、課題解決能力が高まるだろう。
このように、リフレーミングによって様々な効果が期待できる。
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リフレーミングの種類
リフレーミングには、「状況や事象に関するもの」「行動に関するもの」「内面や性格に関するもの」の3つの種類がある。それぞれの種類をシーンに合わせて上手く使い分けることで、よりリフレーミングの効果が期待できるだろう。3つの種類の詳細は、以下の通りだ。
<状況や事象に関するもの>
実際の出来事や状況に対して、枠組みを捉え直すことである。ネガティブな事象があったときに解釈を変えることで、次の対応をポジティブに考えたり、仕事へのモチベーション維持に役立てたりできる。また、今は不都合なことであっても、条件が違った場合にはプラスに転換できると気付くきっかけにもつながる。
<行動に関するもの>
自身の行動や相手の行動をとらえ直すことである。行動に関するリフレーミングによって、ついついしてしまいがちな行動の癖を改めることにつなげられる。
例えば失敗してしまったとき、多くの人は結果にのみ目がいきがちだ。しかし、行動に関するリフレーミングでは、「どのように方法を変えれば成功するだろう」などと行動の捉え方を変える。これによって行動の癖を改め、今後の改善につなげられるようになるのだ。
<内面や性格に関するもの>
「性質」や「性格」もリフレーミングの対象だ。人の性質や性格の見方を変えることで、他人の悪い面ではなく、良い点に気付けるようになる。環境の変化によって相手の短所を長所にもできるため、内面や性格に関するリフレーミングは、適材適所の配属転換にも役立てられる。
リフレーミングの方法
リフレーミングの方法には、以下のようなものがある。
<言葉の定義のリフレーミング>
短所が長所になり得るように、言葉にも異なる解釈が可能だ。言葉の定義自体をリフレーミングすることで、別の意味で解釈できるようになる。例えば、臆病という言葉は「慎重でリスクマネジメント能力が高い」とも言えるだろう。
また、言い換えによってプラスの表現にも変えられる。「主体性がない人」は「協調性がある人」に言い換えるなどすれば、プラス面の発見につなげられる。
<仮定のリフレーミング>
考える際に、「もしも〇〇ならば」と仮定することによって、自分の考えを広げられるようになる。考えが行き詰まってしまったときには、「もしも上司ならば、どのように対応するか」、「もしも今日中に完成させる必要があるならば、どうしたらいいのか」などと考えてみよう。仮説や前提によって発想が広がり、アイデアが閃きやすくなる。
<時間枠のリフレーミング>
過去・現在・未来などの時間軸によって、物事の捉え方を変化させる方法もある。例えば、今の事象は将来にどのような価値があるのかを考えることで、希望と異なる配置転換であっても、経験を積むためのチャンスだと捉えられるようになるのだ。
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リフレーミングの具体例
リフレーミングの具体的な活用シーンとして、以下のような例が挙げられる。
<仕事で大きなミスをしてしまったとき>
「もうダメだ」「周りから仕事できないやつだと思われているはず」と思ったときにも、リフレーミングの活用によって前向きな考えを持てるようになる。「もしも親友が同じ状況だった場合、どのように励ますのか」という視点で考えてみると、異なる感じ方ができるようになるだろう。
<人間関係での悩みがあるとき>
人間関係の悩みがあるときなどは、大きなストレスがかかってしまうものだ。このようなときには、言外のコミュニケーションや自分の対応も意識しつつ、相手との関係性についてリフレーミングしてみよう。「細かな点まで指摘してくれたため、大きなトラブルには発展していない」、「この対応は、この人にとっては普通なのかもしれない」などと考えていくことで、悩みが解決に向かうかもしれない。
また、相手が冷たいと感じた場合には、「そう感じることに根拠があるのかどうか」をリフレーミングしてみると良いだろう。例えば、「ひどい言葉があったのか」「今仕事がとても忙しいのではないか」「フォローしなくても大丈夫だと思ってもらえているのではないか」などと客観的に振り返ってみる。その結果、異なる解釈ができることもあるだろう。
<自信がなくなってしまったとき>
自信をつけることは難しいことではあるものの、短所を長所として捉え直すことで自信につなげられる。自信がなくなるとマイナスの思考に囚われてしまいがちになるため、意識的にリフレーミングすると良いだろう。
「自信がなくなった出来事は、どうすれば起こらなかったのだろうか」「自分が目指している像は?そうなるためには、まず何から取り組めば良いのか」などと考えてみよう。
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リフレーミングのポイント
リフレーミングのポイントは、以下の通りだ。
● 他者へリフレーミングするときには理解と共感を大切にする
● リフレーミングは長期的に行う
● 反省するべきところは反省する
他者に対してリフレーミングする場合には、相手の心に寄り添うことが重要だ。ただ前向きな考え方になるようにコントロールするのではなく、自分の言葉が相手に与える影響と相手の気持ちを大切にしながら話を進めていく。
リフレーミングは1つの技術であるため、すぐに習得しようとするのではなく、長期的に実践してしっかりと身に付けていくことがポイントだ。1日に1度はリフレーミングするなど、毎日の習慣にすると良いだろう。
またリフレーミングでは、ただ単にポジティブな考え方に切り替えるのではない。反省すべき点から目を逸らしてしまわないようにすることにも注意が必要だ。
反省しなくなることで成長を阻害する恐れもある。しっかりと反省しつつ、経験を積めたことに対しては前向きな考え方ができると良いだろう。
まとめ
リフレーミングは、固定概念や思い込みを見直すことで、新しい見方ができるようになるための思考だ。「コップ半分の水」の話から分かるように、ネガティブな捉え方をしていたことでも、ポジティブに考えられるようになる。
ビジネスシーンにおけるリフレーミングの効果やメリットは、「モチベーションアップにつながること」「人間関係の円滑化」「気持ちの切り替えが上手くなること」などだ。様々な効果が期待できるため、上手く取り入れると良いだろう。
反省するべきところは反省することや、他者へのリフレーミングには理解と共感が大切なことなど、活用のために押さえておくべきポイントもある。これらの情報をしっかりと理解し、実際の企業活動でも活用していこう。