2022.5.19

プロセス評価とは?なぜ必要なのか、導入時の注意などを分かりやすく解説

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プロセス評価とは、目標を達成できるかどうかだけにこだわらず、成果に至るまでのプロセスに着目した人事考課の手法を指している。今回はプロセス評価とはなにか、関連する用語との違いなどを紹介する。評価方法によるメリットや評価をおこなう際の注意点も併せてチェックしよう。

プロセス評価とは?過程を評価する意味

プロセス評価とは、成果主義や業績評価とは異なり、プロセス自体に着目した人事考課の手法だ。まず、そもそもプロセス評価とはどのようなものかを解説する。過程を評価する意味や成果主義との関連、コンピテンシー評価との関連についてそれぞれ詳しくチェックしていこう。

プロセス評価とは

プロセス評価とは、目標を達成できるかどうかだけではなく、成果に至るまでのプロセスに着目した人事考課の手法である。成果のみを追い求めた場合には、それまでの過程にさまざまな要因があったとしても、短期的な結果が出ない限りは頑張りが評価されない。プロセス評価によって、結果に至るまでの行動や活動についても適切なものであるかを評価できるようになり、人材育成のためにも有効な手法であるとされている。

成果主義との関連

成果主義とは、成果のみを評価するプロセス評価とは対極にある評価方法だ。日本ではバブルが崩壊してから年功序列制度ではなく、成果主義による評価である「業績評価」がされるようになった。近年は成果主義が主流となっているが、結果のみを基準としていると月ごとや半年ごとなどの短い期間での業績にばかり目がいってしまい、長期的な視野での利益が見えなくなってしまいがちになる。

また結果のみに注目していると時間をかけずに成果を出そうとして、多少間違っていてもいいからと考え、価値の低い成果を増やしてしまうことがあるため注意が必要だ。たとえば、アンケート調査の調査手法で不正をおこない、調査を実施したという結果のみを作ろうとした、といった実例がある。

このような短絡的な成果を出そうとさせないためにも、プロセス評価に注目が集まっているのだ。

また、プロセス主義では努力が的確に反映されやすくなるため、モチベーションを保ちやすくなり、チャレンジ精神を育てられるだろう。プロセス評価によるメリットの詳細は後述するが、このように成果主義ではフォローしきれない部分に対応できるようになるため、プロセス主義が求められているのである。

関連記事:モチベーションとは?意味やアップさせる方法を分かりやすく解説

コンピテンシー評価との関連

コンピテンシー評価は行動評価とも呼ばれており、業務遂行のための行動を評価するもので、プロセス評価に含まれる方法である。コンピテンシーとは「行動特性」のことであり、職種や業務内容にあわせて「あるべき人材の姿」として企業側が社員に期待することを評価基準としている。

仕事ができる人材の行動特性が基準となっており、結果ではなく行動を重要視して評価するものだ。そのため、中身をごまかされる恐れがある成果主義とは違い、適切な行動のうえでの成果を求めやすい。

プロセス評価のメリット

プロセス評価にするメリットは、以下のとおりである。

・ 結果だけでは判断できない、過程を評価できる
・ 定量的な評価ができれば、わかりやすい評価になる
・ コンピテンシー評価が機能すれば、パーパス経営につながる

それぞれ詳しくチェックしていこう。

結果だけでは判断できない、過程を評価できる

プロセス評価を取り入れると、結果だけでは判断できないような過程の部分まで評価できるようになる。先述したような結果だけを追い求めたことによる不正などの弊害は、プロセス評価を取り入れることで防止できるだろう。

また成果を挙げている社員だけではなく、その周りでサポートしている社員を評価することもできるようになる。たとえば営業職の場合、成果を挙げるためには大きな売り上げを残した社員の頑張りも重要であるが、その周りの社員によるアドバイスや営業補佐によるアシストなど、さまざまな要因が隠れている。

業績評価では結果だけで判断するため、これらのサポートは正当に評価されにくい。正しい行動をこなしていても、数値を出していない社員は能力のない人、努力していない人のように見なされてしまいがちになるのだ。

しかし、プロセス評価をおこなうことにより、目立った成果を挙げられる社員以外であってもきちんと評価できるようになる。

社員から見ても、正当に評価してくれる会社だとして安心感を持ってもらえるだろう。行動自体を評価してもらえることで、機会に恵まれずに成果を得られなかった場合であっても、落ち込み過ぎずにモチベーションを維持しやすくなるのである。

定量的な評価ができれば、わかりやすい評価になる

業績評価は、数字として結果に出やすい受注や売上などをもとに評価するため、人事考課を具体的かつ定量的におこないやすいやり方だ。定量化可能な評価項目については、具体的に課題解決のための方法を提示しやすいのが特徴で、多くの企業で業績をのばしてきた実績がある。

プロセス評価は結果を出すまでに必要なコミュニケーションや提案など、数値化しにくく見えにくい部分を重視した考え方だ。成果を挙げるまでのプロセスを見える化して評価することになるため工夫が必要ではあるものの、業績評価と違ってより公正かつ客観的に評価できるようになる。

今までは目に見える仕事の結果だけしか評価されなかったことが、成果に繋がらなかった部分も褒められるようになり、理解しやすく納得度の高い評価ができるようになるだろう。正当に頑張っていたのにたまたま成果を挙げられなかったことによる見当違いな叱責がなくなり、モチベーションの維持に役立てられる。

コンピテンシー評価が機能すれば、パーパス経営につながる

ビジネスの分野においてコンピテンシーとは、「業績を上げている人にとって好業績の要因となっている行動の特徴や、その特徴を備えているかどうかの指標」として使われる。コンピテンシーは与えられた役割で優れた成果を出す行動特性であり、人に焦点が当たっているもので、企業全体を評価するためにはコアコンピタンスの考え方が有用だ。

関連記事:コアコンピタンスとは?意味や具体例を解説

コンピテンシーに対する評価が適切に機能すれば、パーパス経営につながると考えられる。パーパスとは「目的、意図」と訳されることが多い言葉である。パーパス経営とは自社の存在意義を明確にし、社会的に存在価値の高い企業になるためにパーパスを重視した経営をおこなうことだ。

パーパス経営のメリットには、ステークホルダーの共感を呼び支持してもらいやすくなること、従業員のエンゲージメントが高まること、革新や変化を実現しやすくなることがある。

関連記事:パーパスとは何か?企業経営における意味とパーパス・ブランディングの取り組み方

プロセス評価の注意点

プロセス評価をおこなう際に注意すべき点は、「できるだけ具体的な目標を設定すること」と「業績評価と組み合わせること」である。それぞれのポイントについて、どのように注意が必要なのかをチェックしていこう。

できるだけ具体的な目標を設定する

プロセス評価をおこなう場合には、できるだけ具体的な目標を設定することに注意するべきである。

業績評価では目標を数値化しやすく、わかりやすい目標を立てやすいものの、目先の目標達成にばかり目がいってしまう特徴がある。対するプロセス評価では、数値化しにくく曖昧な評価制度となってしまう可能性があるのだ。プロセス評価の場合は基準となる評価ポイントが企業によってさまざまで幅広いため、明確で具体的な目標設定が重要となる。

数値目標を具体的に立てた場合であっても、対象者の頑張りだけでは達成できない可能性があるだろう。「アポイントメントを1ヵ月に〇件取る」というような目標では、成果に繋がらなかった場合に評価がしにくくなってしまう。

そのためには「いつ、どこで、だれが、なにを、どうする」といったように、5W1Hにもとづいてできるだけ具体的に目標を設定することが重要だ。どのように行動すべきなのかをパッと見て理解しやすい状態にしよう。

また、優先するべき仕事の順位やプロセスの重要度をはっきり設定し、会社内部で共通認識として持つようにすることも重要である。

適切な目標の設定ができたならば、評価後の振り返りもしやすくなるだろう。具体的な目標設定ができていれば、達成できた点と達成できなかった点がわかりやすい。また、達成できなかった理由も分析しやすくなるのだ。

業績評価と組み合わせる

プロセス評価をおこなう際には、業績評価と組み合わせて活用するのがおすすめである。プロセス評価にも業績評価にもそれぞれ異なるメリットがあるため、組み合わせることでうまくバランスを取るとさらにうまく評価できるようになるだろう。

プロセス評価にしたことで結果を追い求めなくなってしまい、生産性が伸び悩んで結果をだせなくなってはいけない。しかし、業績評価によってプロセスが正当に評価されず、目先の利益のみを追求して本来やるべきことをやっている人が評価されないことも問題である。プロセスが評価されないことで、社員の離職につながってしまう恐れがある。

人事評価制度としては、プロセス評価と業績評価は真逆ともいえるようなアプローチ方法だが、組み合わせることでそれぞれのメリットがあるような評価ができるだろう。成果に焦点を当てつつ、どのようなプロセスを辿ったのかも評価するようにしよう。

関連記事:
テレワーク・在宅勤務での人事評価制度はどのように変わる?評価の軸はプロセスから成果へ
相対評価と絶対評価を分かりやすく解説。最近の傾向はどっち?

まとめ

プロセス評価とは、目標を達成できるかどうかだけではなく、成果に至るまでのプロセスに着目した人事考課の手法である。成果のみを追い求める成果主義や業績評価では、成果に至らないことにさまざまな要因があったとしても頑張りが評価されない。プロセス評価をおこなうと、結果に至るまでの行動や活動についても適切なものであるかを評価できるようになるため、人材育成のためにも有効な手法であるとされている。

プロセス評価のなかには、コンピテンシー評価も含まれている。コンピテンシー評価は業務遂行のための行動特性を評価するもので、「あるべき人材の姿」として企業側が社員に期待することを評価基準としている。

プロセス評価での評価を取り入れると、結果だけでは判断できないような過程の部分まで評価できるようになる。結果だけを追い求めたことによる不正などの弊害や、成果に直接的につながらない業務への評価漏れは、プロセス評価を取り入れることで防止できる。プロセス評価をおこなう際に注意すべき点も理解し、実際の業務に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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