2022.4.20

自己効力感とは?自己肯定感との違いや高め方をわかりやすく解説

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自己効力感とは自分の能力を信じられる状態のことを指す言葉であり、似た言葉として使われる自己肯定感とは意味に違いがある。今回は基礎知識や自己肯定感との違い、心理学における3つのタイプなどを紹介する。ビジネスシーンで必要な理由や高め方も併せてチェックしよう。

自己効力感とは何か

はじめに自己効力感とは何かを理解するために、基礎知識から解説する。自己効力感とはどのようなもので、自己肯定感とはなにが違うのか、また心理学の観点から見た自己効力感のタイプ分けについて詳しくチェックしていこう。

自己効力感とは?自己肯定感とは違う?

そもそも自己効力感とは、「自分ならばできる」と信じることである。わかりやすくいうと、なんらかの課題に直面したときに「無理そうだ」と思うのではなく、「自分の能力であれば課題を克服できる」と期待や自信を持てるなら、自己効力感が高い状態だ。

「自分ならばできそう」と感じられるか否かは、実際に余裕があるかどうかではなく、思い込めるかどうかである。「もしも失敗したらどうしよう」という不安ばかりが強い状態では、課題に対して挑戦しづらくなってしまう。

しかし、自己効力感が高くてポジティブに考えられる状態であれば、尻込みすることなく行動に移していけるだろう。たとえ失敗した場合でも、必要以上に落ち込まずにポジティブな気持ちのままで再チャレンジが可能だ。

自己効力感と似た言葉には、自己肯定感がある。自己肯定感とは、能力に関係なく無条件に「自分には価値がある」という感情を持つことだ。なにか優れた点があるかどうかに関係なく、自分の価値や存在を肯定できる気持ちであり、自己肯定感も仕事のパフォーマンスを左右するものである。

一方の自己効力感とは、自分の能力を認知して信頼できるかどうかだ。これは今までの行動や成長、学習などを踏まえて、自分なりの根拠を持って自分の能力ならばそれだけのことができると信頼するのである。

心理学での3つのタイプ

心理学では、自己効力感を以下の3つのタイプに分けている。

・ 自己統制的自己効力感
・ 対人関係における「社会的自己効力感」
・ 学習に対する「学業的自己効力感」

それぞれどのようなものか、詳しくチェックしていこう。

自己統制的自己効力感

1つ目のタイプが自己統制的自己効力感だ。一般的に自己効力感について表現する際は、この自己統制的自己効力感を指している場合が多い。これは自身の行動のコントロールに対して信頼できているタイプの自己効力感であり、初めての仕事でもポジティブな気持ちで対応できる。

対人関係における「社会的自己効力感」

2つ目が社会的自己効力感だ。対人関係における自己効力感を指しており、これが高い人は他者の気持ちに寄り添ったり、共感したりすることが上手である。一般的に対応しにくいと感じるような相手であっても、「自分ならば仲良くできる」と信じて接し得るため、良好な人間関係を築けるといわれている。

学習に対する「学業的自己効力感」

3つ目のタイプが学業的自己効力感である。これは学習に対する自己効力感を指しており、これが高い人は難関なスキルやノウハウを習得する場合であっても、尻込みせずに積極的に学んでいける。

今までの学業における達成感によって育まれるものだといわれており、難易度の高い学校や資格に合格できたなどの成果を挙げているケースで学業的自己効力感が高くなる。

ビジネスで自己効力感が必要な理由

自己効力感が高い状態であればポジティブな気持ちになり、さまざまなメリットがある。なかでも、ビジネスにおいて自己効力感が必要な理由は以下のとおりである。

・ モチベーション向上につながる
・ 向上心や挑戦しようという意欲につながる
・ 失敗を次に生かすことができる

それぞれ詳しくチェックしていこう。

モチベーション向上につながる

1つ目の理由は、モチベーション向上につながることだ。自己効力感が高い状態ならば向上心も高く、自身の能力を開発するモチベーションなどが高い状態を保てるといわれる。

日本では、モチベーションを「動機づけ」や「やる気」を指す言葉として使う場合がある。ビジネス用語として使う場合は、仕事に対する意欲の上下についてモチベーションという言葉を使うケースが多い。

モチベーションが上がった場合には生産性の向上につながるが、下がった場合には離職のリスクが高まってしまう。このように、モチベーションはビジネスにおける重要な要素なのである。

関連記事:モチベーションとは?意味やアップさせる方法を分かりやすく解説

向上心や挑戦しようという意欲につながる

自己効力感が高い状態は向上心や挑戦する意欲につながることも、ビジネスで重要視される理由のひとつだ。「自分ならば大丈夫」と信じられるため、チャレンジ精神が旺盛な状態で未経験の分野などでも積極的に挑戦しやすい。

また、「きっと解決できるはず」と考えて諦めにくくなるため、行動量が増えて仕事の成果を挙げたり目標を達成しやすくなったりできる。

失敗を次に生かすことができる

自己効力感が高い状態だと失敗を次に生かせられることも、ビジネスで自己効力感が必要な理由だといえる。挑戦していることは最終的にはできるはずだと信じられるため、必要以上に落ち込まずに打たれ強い状態でいられる。次はどうすればうまくいくだろうかと考え、失敗から学び、次に生かせるのである。

関連記事:反芻思考とは?意味や対策のマインドフルネスについても解説

自己効力感を高めるには

先述のとおり、自己効力感を高めることでビジネスなどの成功につながるメリットがある。自己効力感は子どもの教育において取り上げられることがよくあるが、社会人になってからでも高められるものである。

それでは、自己効力感を高めるにはどうしたらいいのだろうか。

心理学者のアルバート・バンデューラ氏が提唱する4つの要因

自己効力感が高い考え方を身につけるには、心理学者であるアルバート・バンデューラ氏が提唱する4つの要因が関連している。関連する4つの要因とは、以下のとおりである。

・ 自分で積み重ねる「成功体験」
・ 他人の成功を観察する「代理体験」
・ 励ましをもらう「言語的説得」
・ 心身の健康「生理的説得」

それぞれ詳しくチェックしていこう。

自分で積み重ねる「成功体験」

1つ目の要因は、「成功体験」を自分で積み重ねることである。自分で乗り越えて達成した、成功したという成功体験によって自己効力感を高められる。

これは、小さなことでも成功体験を重ねることによって効果があるものだといわれている。また、労力や時間をかけて達成できた場合には、より大きな自己効力感につながるとされる。

挑戦することが大事ではあるものの、難易度が高すぎて不適切な目標を繰り返し設定してしまった場合には、達成できなかったという体験を積み重ねてしまうため逆効果になってしまう恐れがある。大きな目標を立てたい場合には、達成可能な目標を作って段階的にステップアップしていくと良いだろう。

他人の成功を観察する「代理体験」

2つ目の要因は、「代理体験」として他人の成功事例を観察することである。自身の成功ではなく、他人の成功ストーリーであっても自己効力感を高めてモチベーションを上げられるものだ。

これは、とくに自身に近い状態の人が成功を収めたストーリーが効果的である。クラスメートや部活の仲間などが成長してできるようになった事例に触れたり、目指した目標を達成している人の事例を知ったりすると良いだろう。

これは実際にその場を見るだけではなく、話を聞いたり記事を読んだりすることでも効果があるといわれている。

励ましをもらう「言語的説得」

3つ目の要因は、「言語的説得」として周囲からの励ましをもらうことである。自己効力感が低くて自信のない人は、自分の能力や状況、環境などに対してネガティブな言葉を吐いてしまいがちだ。

ネガティブな言葉を何度も吐いていると、自分に言い聞かせ続けることになってしまい、より自己効力感を下げてしまう。そのうえ、周囲の人がよくネガティブな発言をしている場合にも、同じように自分の思考がネガティブになってしまいかねない。

反対に、周りの人から「あなたならできる」や「よくできたね」などというように、ポジティブな言葉で励ましてもらい、褒めてもらうことで自己効力感を高められるのだ。この場合、やみくもに励ますのではなく、説得力のある声掛けをするとより自信をつけられるだろう。

心身の健康「生理的説得」

4つ目の要因は、身体的かつ心理的な健康状態による「生理的説得」である。ストレスが多い、体調を崩してしまったなど、精神的にも身体的にも落ち込んでしまっていると、「自分ならばできる」と思い続けることが難しくなってしまうだろう。

そのため自己効力感が高い状態でいるには、心身の健康が重要なのである。これは「幸福」や「健康」を意味する「ウェルビーイング(well-being)」と呼ばれる概念だ。睡眠や食事、運動などで日々の生活リズムを整え、身体的にも心理的にも良好でいられるように気を配ろう。

関連記事:ウェルビーイングとは?企業経営において関心が高まっている理由

まとめ

自己効力感とは、わかりやすくいうと「自分ならばできる」と信じることである。「自分ならばできそう」と感じられるか否かは、実際に余裕があるかどうかではなく、思い込めるかどうかだ。

自己効力感が高くてポジティブに考えられる状態であれば、尻込みすることなく行動に移していけるだろう。失敗した場合でも、必要以上に落ち込まずにポジティブな気持ちのままで再チャレンジが可能だ。

自己効力感と自己肯定感の違いは、自己肯定感が能力に関係なく無条件に「自分には価値がある」という感情を持つことであるのに対し、自己効力感は自分の能力を認知して信頼することである。

自己効力感が高いとモチベーション向上やチャレンジする意欲の増加、失敗を次に生かせるなどのメリットがあり、ビジネスでも注目されている。自己効力感が高い考え方を身につけるには、自身の「成功体験」や他人が成功したことの「代理体験」、周りからの「言語的説得」、心身の健康による「生理的説得」の4つの要因が関連している。

自己効力感を高めるための方法などを理解し、常に高い状態でいられるようになろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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