2022.3.17

コンセプチュアルスキルとは?意味や重要性、高め方を分かりやすく解説

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コンセプチュアルスキルとは、とくに企業のマネジメント層に求められているスキルを指し、物事の本質を見極める能力のことである。本記事では、コンセプチュアルスキルに関する基礎的な知識を紹介する。重要性やスキルを高める方法まで確認し、実際の仕事にも活かしていこう。

コンセプチュアルスキル=概念化能力

コンセプチュアルスキルとは、「概念化能力」や「目利き力」とも表現されるスキルである。はじめに、コンセプチュアルスキルの基礎知識から理解していこう。

コンセプチュアルスキルとは

コンセプチュアルスキルとは、物事を多角的な観点から見て総合的に判断し、本質を見極める能力のことだ。ハーバード大学の経営学者であるロバート・カッツ教授が提唱し、ビジネスに欠かせないスキルのひとつとされている。

コンセプチュアルスキルは、知識や情報を体系的に組み合わせて概念化できるスキルであるため、コンセプチュアルスキルがあると、「どうするのが良いのか」、「なにが正しいのか」、「本当の解決策はどのようなものか」が理解できるようになるのである。

マネジメント層に必要なスキルのひとつ

コンセプチュアルスキルは、とくに企業のマネジメント層に求められているスキルだ。ビジネスでは、基本的にロジックが主となって物事が動いていくものの、それだけでは多くの人と同じことをして行き詰まってしまうものだ。ロジックを超えたひらめきが重要であり、それはコンセプチュアルな思考が得意としている分野である。

それでは、マネジメント層に必要なそれ以外のスキルもあわせてチェックしていこう。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、特定の職務を遂行するために必要とされる能力のことである。職務遂行能力とも呼ばれており、職務をおこなうための専門的な知識や業務処理のスキルを指している。テクニカルスキルの内容は、職務によって異なるものである。

ヒューマンスキル

周囲と円滑な関係を作り、維持する能力をヒューマンスキルという。人間を扱う技能や対人関係能力ともいわれ、リーダーシップやコミュニケーション力、ネゴシエーション力、プレゼンテーション能力などが含まれている。

コンセプチュアルスキル

物事の本質を把握する能力のことを、コンセプチュアルスキルという。知識や情報などをもとに複雑な事象についても概念化できるスキルであり、コンセプチュアルスキルがあると物事の大枠や抽象的な考えが理解できるようになる。思考力や対応力、追求力などが挙げられる。

コンセプチュアルスキルはトップマネジメントになるほど必要

管理職を下級(ローワー)、中級(ミドル)、上級(トップ)と3つの階級にわけた場合、上位の階級ほどコンセプチュアルスキルが重要視されるようになる。下級(ローワー)とは係長や主任クラスの管理職を、中級(ミドル)とは部長や課長クラスの管理職を、上級(トップ)とは組織の指揮や管理を担当する役職に就く経営層のことを指す。

上層部の仕事は、売上や成果への責任やさまざまな問題の解決、多様なステークホルダーとの調整、意思決定など多岐にわたる。コツを誰かに教えてもらえるわけでもないため、自身で物事を総合的に判断し、本質を見極めるコンセプチュアルスキルが重要視されるのである。

関連記事:トップマネジメントとは?ISOにおける定義、役割と責任

コンセプチュアルスキルを構成する能力例

コンセプチュアルスキルを構成する能力には、さまざまなものがある。たとえば、思考力や対応力、追求力などであり、そのなかにはロジカルシンキングやチャレンジ精神などのさまざまな要素が含まれているのである。ここからは、コンセプチュアルスキルを構成している能力の例をチェックしていこう。

思考力

コンセプチュアルスキルを構成する能力のひとつに思考力がある。思考力とは考える能力や感覚や内容を分析して判断する能力のことで、ロジカルシンキングやラテラルシンキング、クリティカルシンキングが含まれている。それぞれの思考力を確認していこう。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは論理的思考とも呼ばれ、物事を体系的に整理して根拠を示し、結論を導く思考法のことである。直感や経験値に頼るのではなく、本質的に物事を捉えられるようになる考え方で、原因の根本となるものを追究し、解決に向かっていけるようになるものだ。

さまざまな課題を解決しなくてはならない管理職にとって、欠かせない能力のひとつといえるだろう。ロジカルシンキングが身に付いていると客観的に物事を捉えられるため、情報を整理して簡潔に物事を説明できるようになる。

関連記事:MECE(ミーシー)とは?ビジネスで使えるロジカルシンキングの基本を解説

ラテラルシンキング

固定概念や既存の論理に捉われず、さまざまな視点から自由に発想する思考方法のことをラテラルシンキングという。革新的な発想でイノベーションを起こしたり、変化に適応したり、既存のものから新しいアイデアを生み出したりしたいときに活用できる思考法である。

関連記事:ラテラルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いとビジネスに活かす具体的な方法とは

クリティカルシンキング

物事の前提を疑う、批判的思考とも呼ばれる思考法がクリティカルシンキングだ。前提条件を疑うことで、客観的な視点で物事を考え続けられるようになり、物事の本質を理解して最適解を導き出す思考プロセスのことである。

対応力

対応力もコンセプチュアルスキルを構成する能力のひとつである。対応力に含まれる要素もチェックしていこう。

多面的視野、俯瞰力、洞察力

多面的視野とは複数の視点から考える能力を指し、全体像や本質を見抜けるようになって対応力が上がるスキルである。俯瞰力とは物事を広い視野で捉えて全体像を理解する能力であり、目標達成にむけてどうすればいいのかが理解できるようになるものだ。洞察力とは、表面に見えていることだけではなく、物事の本質を理解する能力であり、応用力の基礎を支えるものである。

受容性、柔軟性

受容性とは、自分と違う価値観を受け入れられる能力だ。自らの意見が相手とは異なっていたとしても、相手の意見のなかから受け入れられる部分や共通点を見出すことができる。また、なにかがあっても状況にあわせて臨機応変に対応できる能力である柔軟性も、対応力に含まれる要素のひとつである。

追求力

追求力もコンセプチュアルスキルを構成する能力のひとつだ。追求力に含まれる要素もチェックしていこう。

知的好奇心

知的好奇心とは新しいものに対して興味を持ち、恐れずに挑戦できる能力のことである。知的好奇心があると、新たな知識や手法を試すことに拒否感がなく、積極的に取り入れられるようになる。スピーディーに対応することが重要なビジネスの世界では、知的好奇心を持っていると行動の原動力になるため、重要視されているものだ。

探求心

探求心とは物事に対して深く興味を持ち、表面上だけではなく本質について考察し、分析する能力である。探求心がある人は、ビジネスにおいて途中で妥協することなく、根気強く積極的に取り組むことができるといわれている。成功に導けるまで追い求めるため、商品やサービス、仕事の方法をより良いものにしていけるという特徴がある能力だ。

チャレンジ精神

チャレンジ精神がある人は、経験したことのない分野や仕事でも恐れずに挑戦できる。高い壁があっても失敗を恐れたり諦めたりせずに、さまざまな手段を試して果敢に挑戦しようとする特徴がある。チャレンジ精神をもって前向きに仕事をおこなうことは周囲にも良い影響があり、リーダーとして必要なスキルといえるだろう。

コンセプチュアルスキルの高め方

先述のとおり、マネジメント層に求められているスキルのひとつがコンセプチュアルスキルである。実際にコンセプチュアルスキルは、仕事のさまざまな場面で活用できるスキルであるため、マネジメント層ではない20~30代の若手社員でも身に付けておきたいものだ。スキルを高めて仕事に活かしていけるように、コンセプチュアルスキルの高め方をチェックしていこう。

自分で目的を考える習慣

自分で目的を考える習慣をつけると、コンセプチュアルスキルを高めていくことができる。自分の一つひとつの行動と、その行動は何のためにおこなっているのかという目的を考える習慣をつけることで、本質を見抜くスキルが高められるのである。

ビジネスシーンではさまざまな経験をするものだ。そこから物事がうまくいく場合の本質や、うまくいかない場合の要素、共通性を見出して分析することで、成功を導くための本質的な要素が理解できるようになってくる。

挑戦とリフレクションを続ける

挑戦とリフレクションを続けることも、コンセプチュアルスキルを高めていくために重要だ。過去を何度でも思い返すことを反芻(はんすう)や反芻思考ともいい、気持ちがネガティブになることもある。しかし、反芻思考のなかでもリフレクションは失敗の理由に注目して同じ失敗を繰り返さないようにと前向きな気持ちに起因する振り返りのため、自己成長につながる思考といえる。

挑戦し、リフレクションを繰り返すことで、成功や失敗における本質、共通性を見出せるようになる。物事の認識をより深められるうえ、成功の秘訣や失敗しないために注意するポイントなどが理解できるようになるだろう。

関連記事:反芻思考とは?意味や対策のマインドフルネスについても解説

アントレプレナーシップを意識する

アントレプレナーシップは「企業家精神」ともいう。高い創造意欲を持ち、リスクを必要以上に恐れることなく、積極的に挑戦してイノベーションを興していく姿勢や発想力などのマインドを指した言葉である。「起業家精神」と一緒にしてしまいがちであるが、企業家精神とは企業を興すだけではなく、多くの部下を率いてその企業の経営に取り組む人を指すことに違いがある。

新しい価値観を主体的に生み出すアントレプレナーシップとは、経営者層や幹部候補にとって重要な精神だといわれているほか、従業員にとっても需要が高まっているスキルである。アントレプレナーシップには創造性やイノベーション、マネジメントスキル、学び続ける精神などが必要となる。

関連記事:アントレプレナーシップ(企業家精神)が、新時代のリーダーに求められる資質として注目される理由

まとめ

コンセプチュアルスキルとは、「概念化能力」や「目利き力」とも表現される。ビジネスに欠かせないスキルのひとつだといわれており、物事を多角的な観点から見て総合的に判断し、本質を見極める能力のことである。コンセプチュアルスキルは自身で判断することが多いトップマネジメントになるほど重要視されるスキルだ。

コンセプチュアルスキルを構成する能力には、思考力や対応力、追求力などさまざまなものがある。さらにそのなかにも、ロジカルシンキングやチャレンジ精神などさまざまな要素が含まれている。

コンセプチュアルスキルの高め方をチェックしてスキルを高め、仕事に活かしていけるようにしよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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