■テレワーク下において問題視されているコミュニケーション不足
■社会に出てから身につけるべき必須スキル「雑談力」とは
■「共有のテーマ」から会話の糸口を掴むことがポイント
■鉄板の雑談ネタ10選
■会話が続く雑談の7つのコツ
テレワーク時にこそ求められる「雑談」の力
新型コロナウイルスの蔓延により緊急事態宣言が何度も延期されるなかで、オフィスのような人が密集した環境で業務を行うことが困難となり、多くの企業でテレワークの導入が進められてきた。
そして宣言解除後も、引き続きテレワークを続けるという企業も少なくない。
しかし、テレワークは通勤時間の解消や業務効率の向上というメリットがある一方、コミュニケーションが取りにくいといった課題も多いことが知られてきた。
実際に、テレワーク下において「従業員への意思伝達が難しくなった」、「従業員同士の意思疎通が難しくなった」、「チーム間の連携が難しくなった」と感じている企業も多く存在している。
HR総研が実施した、「社内コミュニケーションに関するアンケート2021」(調査期間:2021年1月20日~26日/調査対象:企業の人事責任者、担当者/有効回答:250件)によると、企業規模に関わらず7割の企業で、社内コミュニケーションに課題を抱えている実態が明らかになった。(ProFuture株式会社/HR総研)
▼自社の社内コミュニケーションに課題があるか
では、テレワーク時でも問題なく良好なコミュニケーションを取リ続けるには、どのようなことに気をつければいいだろう。
その解決のカギはズバリ、「雑談」である。
雑談は一見、非生産的な行動に思われるが、いまや「雑談力」という言葉があるほどそのスキルは重要視されている。雑談にはコミュニケーションを活性化させるだけでなく、ストレス軽減や新たなアイデアのヒントに繋がるなどといったメリットから、ビジネスを円滑にするツールとも言われている。
いまや「社会に出てから身につけるべき必須スキル」とも言われている雑談力は、エクセル操作と同じく、学んで身につけるものだという認識が浸透しつつあるのだ。
コミュニケーション不足によって生じるデメリットが問題視されているテレワーク時だからこそ、工夫によって従業員同士の雑談の機会を増やし、強固なチームワークを形成することが必要となってくるだろう。
しかし、いきなり雑談をしろと言われてもどうしたらいいかわからない人も少なくないはずだ。
そこで本稿では、雑談をするうえで役立つテーマやネタ、コツについて解説していこう。
雑談が苦手でもテーマとネタがあれば困らない
「雑談力は重要なビジネススキルである」と頭ではわかっていても、「何を話したらいいのかわからない」、「面白い話ができない」、「話すことに自信がなく、自分から雑談を振ることができない」など、雑談に対して苦手意識を持っているという人も多くいるだろう。
反対に、自分は得意だと思っていても実際にはコミュニケーションに役立っていないこともある。
スムーズに雑談を持ちかけるために必要なことは、唐突に話を始めるのではなく、何かしら「テーマを提示する」ことだ。
なにも面白い話をしなければいけないということはなく、その場にいる人たちの中で共通していることは何か、つまり「共有のテーマ」を考えることで、話の糸口をつかめばよい。
逆に面白い話であっても共有のテーマが見いだせなければ、周りがついてこれず、空振りに終わるだろう。
できるだけ多く、場を和ませることのできるテーマを用意しておくことが、スムーズな雑談を成功させるためのポイントとなるのだ。
具体的にテーマとして考えられるのは、次のようなものがある。
・社会
・仕事
・プライベート
テーマが決まれば、そこに沿ったネタを振っていけば良い。
以下、テーマ別でネタを列挙していこう。
<鉄板の雑談ネタ10選>
・社会
1. 天気や季節
2. 最近のニュースや時事ネタ
3. 世間で流行っていること
4. スポーツや芸能、話題のドラマ
政治や宗教など、個人の思想によって論争が起きやすい話は避けるのがベターだ。
また、スポーツについても熱心に応援しているチーム等がある人に対しては、そのチームについて悪いことは言わない、またはその話題は避けるなどの気遣いが必要だ。
・仕事
5. 今行っている業務
6. 忙しさについて
7. 今後やりたいこと
場合によっては愚痴に発展してしまうことや、業務上の機密事項など話してはいけないこともあるため、注意したい。
・プライベート
8. 出身地
9. 最近ハマっていること
10. 健康について
いきなり結婚や出自、家庭の細かな事情など、プライベートに踏み込みすぎる話題やコンプレックスに触れるような話題に持っていくのは、信頼を失ったり警戒されてしまう可能性もあるため、避けるべきだ。
また、健康についてもセンシティブな情報を含む可能性もあるため、ネガティブな話題にならないよう、多くの人が共感できるような当たり障りのない話題を振る配慮が必要だろう。
コミュニケーションを助ける雑談のコツ
雑談はテーマとネタが良ければある程度続けられるものだが、さらに効果を高めるにはいくつかのコツがある。
雑談に苦手意識がある人もコツを覚えて、実際に使ってみることでスキルを上げるとよいだろう。
会話が続く雑談のコツとしてあげられるのは、以下のようなものがある。
<会話が続く雑談の7つのコツ>
1. 挨拶+1ネタを意識する
雑談の入り方としてまず意識したいのが、挨拶の後に+αで1ネタを添えて、雑談の流れに運ぶことだ。
「おはようございます。」や「お疲れ様です。」に加えて、天気や気温の話、近くに見えているものをネタにするなど、その場で違和感のない内容であれば何でもOK。
重要なことは挨拶だけで終わらせずに、そこから雑談に繋げることだ。
2. 自然な褒め言葉をかける
相手を褒める言葉をかけることで、雑談のきっかけが作れて、雑談力も向上する。
服装や髪型、人柄、仕事に関することなど、相手の良いと思ったところを、気づいたタイミングで褒めることで雰囲気も和やかになり、ポジティブな会話が生まれる。
また、髪の毛を切るなど相手の様子が変化した場合には、「髪の毛切りましたか?似合っていますね。」など、変化への気づきとそれに対する肯定的な言葉をかけてあげると良いだろう。
3. 相手について質問をする
雑談への入り口として、相手に質問をすることも雑談をするための大切なコツだ。
たとえば、相手が新しいものやこだわりのありそうなものを身につけていた場合には「その○○はどこで買われたんですか?」といった感じに聞いてみると良いだろう。
さらに先ほど紹介したようにポジティブな褒め言葉をプラスするとさらに雑談が発展することも期待できる。
4. 相槌を打ちながら話を聞く
雑談力向上への近道は聞き上手になることだ。
つまり、雑談を続けるために大切なことは、自分だけが一生懸命に話すのではなく、相手にも気持ちよく話してもらうことだといえる。
うまく相槌を打ちながら話を聞くことは、相手も自分の話をきちんと聞いてもらえているという感覚を持つことができるため、気持ちよく話をしてもらう手段として非常に効果的だ。
また、単に相槌を打つだけでなく、「5S」と呼ばれるテクニックを意識することで、より雑談力は上がる。
「5S」とは「驚き(Surprise)」、「茶化し(Spoof)」、「残念(Sorry)」、「疑念(Suspect)」、「共感(Sympathy)」の頭文字を集めたもので、これらの感情を相槌に乗せてリアクションを取ることで、より相手と親密なコミュニケーションを取ることが期待できる。
5. 受け答えの際に話を広げる
相手からの質問等に受け答えをする際に「Yes」、「No」の返答だけでなく、そこから連想できる情報などを一言付け加えて返答することも雑談を続ける方法の1つだ。
話題を連想ゲームのように広げていって会話を楽しむことが、雑談を続け、苦手意識を克服するためのポイントとなるだろう。
6. 軽く「自分いじり」を入れる
会話のラリーが生まれない雑談は、相手との親密度を上げることには結びつかないだろう。
たとえば、「今日は日差しが強くて暑いですね。」と話しかけた場合、これだけでも適切な内容ではあるのだが、「そうですね。」とだけ返ってきた場合、そこで会話が終了してしまい、話が広がらない。
そのような場合、軽く「自分いじり」を加えてみることで相手の反応が変わる可能性がある。
先ほどの内容に「日焼け止めを忘れてマスク焼けしてしまいました!」というように少しだけツッコミどころを与えることで、相手も返答がしやすくなり会話が進んでいく。
「自虐」になってしまうと重くなるため、少しの「自分いじり」や軽い「失敗談」などを交えることで、会話の盛り上がりが期待できるだろう。
7. 口角を上げ、親しみやすい印象を与える
スムーズに雑談を続けるには、会話のネタだけではなく自身の印象も重要になってくる。
特に画面を通してしか表情が見えないテレワークにおいては、少しでも不愛想な態度や仏頂面に見えてしまっては第一印象が悪くなり、そもそも雑談に入れないことすらあり得るのだ。自分がこれらの「話しかけにくい人」に当てはまっていないかチェックして、いつも以上に表情や態度を柔らかくするよう意識することで人との会話も生まれやすくなるだろう。
また、親しみやすい印象を与えるために特におすすめなのが、意識的に口角を上げることだ。
口角が上がることで表情が明るくなるため、周囲からの印象もよくなり「話しかけやすい人」になることができるだろう。
関連記事:リモートワークだからこそ気を付けたい!ノンバーバルコミュニケーションの心得
冒頭でも述べたように、テレワークは業務効率の向上などのメリットも期待できる反面、コミュニケーション不足によって孤独感が生まれ、精神的な負担がかかる場合も多い。
コロナ禍によって急速にテレワークへの業務の切り替えが進み、顔を合わせて業務を行う機会が減ったことで気軽な会話が難しくなり、従業員同士のやりとりも少なくなっていることで心に不安を抱える従業員もいることだろう。
そんな今だからこそ、出社した際や、在宅の場合でもチャットツールやweb会議ツールなどを用いて少しの時間でも意識的に雑談を行うことは、リフレッシュや心の切り替えに繋がり、良いパフォーマンスをするための秘訣となるのではないだろうか。
関連記事:コロナ禍でもコミュニケーションを活発化。継続率99%を誇る社内SNSで叶える業績アップ、離職率改善の具体例
まとめ
・長引くコロナ禍の影響により緊急事態宣言が何度も延期されるなかで、多くの企業でテレワークの導入が進められ、宣言解除後も引き続きテレワークを続けるという企業も少なくない。しかし、テレワークは通勤時間の解消や業務効率の向上というメリットがある一方、コミュニケーション面での課題も多いことが知られてきており、実際にそれを実感している企業も多数存在している。
・コミュニケーション面での課題が問題視されているテレワーク下において、その解決のカギとなるのが「雑談」である。「雑談力」という言葉があるほどそのスキルは重要視されており、いまや雑談力は「社会に出てから身につけるべき必須スキル」であり、学んで身につける能力だという認識が浸透しつつあるのだ。雑談にはコミュニケーションを活性化させるだけでなく、ストレス軽減や新たなアイデアのヒントに繋がるなどといったメリットかあり、コミュニケーション不足が問題視されているテレワーク時だからこそ、従業員同士の雑談の機会を増やし、強固なチームワークを形成することが必要となってくるだろう。
・「雑談力は重要なビジネススキルである」と頭ではわかっていても、雑談に対して苦手意識を持っているという人も多くいるだろう。反対に、自分は得意だと思っていても実際にはコミュニケーションに役立っていないこともある。
スムーズに雑談を持ちかけるために必要なことは、何かしら「テーマを提示する」ことだ。その場にいる人たちの中での「共有のテーマ」を考えることで、話の糸口をつかめばよい。具体的なテーマとして考えられるのは、社会、仕事、プライベートについてなどがあげられる。
・雑談のテーマが決まれば、そこに沿ったネタを振っていけば良い。鉄板の雑談ネタ10選をテーマ別に紹介しよう。[社会]1.天気や季節、2.最近のニュースや時事ネタ、3.世間で流行っていること、4.スポーツや芸能、話題のドラマ。[仕事]5.今行っている業務、6.忙しさについて、7.今後やりたいこと。[プライベート]8.出身地、9.最近ハマっていること、10.健康について。相手の立場や親密度によって、避けた方が良い話題や踏み込みすぎない方が良い話題もあるため、配慮は忘れないようにしておきたい。
・会話が続く雑談の7つのコツとしてあげられるのは、次のとおりだ。1.挨拶+1ネタを意識する、2.自然な褒め言葉をかけてあげる、3.相手について質問をする、4.相槌を打ちながら話を聞く、5.受け答えの際に話を広げる、6.軽く「自分いじり」を入れる、7.口角を上げ、親しみやすい印象を与える。テレワークはメリットもある反面、コミュニケーション不足によって孤独感が生まれ、精神的な負担がかかる場合も多いため、出社した際や、在宅の場合でもweb会議ツールなどを用いて少しの時間でも雑談を行うことで、リフレッシュや心の切り替えに繋がり、良いパフォーマンスをすることに繋がるのではないだろうか。