2023.5.19

セカンドハラスメントとは?原因や二次被害を防ぐ対策について解説

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問題を深刻化させてしまうセカンドハラスメントは、企業運営において防止しなければならないものだ。この記事では、セカンドハラスメントの意味や原因となること、防止するための対策などをわかりやすく紹介する。さらに発生した際の対処法や実際の事例も解説するため、併せてチェックしよう。

セカンドハラスメントとは

セカンドハラスメント(セカハラ)とは、セクハラやパワハラなどのハラスメントを受けた人が、その被害を周囲に相談したことによって起きる、次に起こるハラスメントのことである。勝手に周りに広められてしまったり、相談者側が責められたり、バッシングや嫌がらせを受けたりするなどの二次被害が起こることを指す。

勇気を出してハラスメントの相談をしたにもかかわらず、加害者以外の人たちからの反応によってさらなる精神的苦痛を受けることを、セカンドハラスメントと言うのだ。ケースバイケースではあるものの、ハラスメントを受けた人が周りの人からの対応に威圧感を覚えた場合などが該当する。

セカンドハラスメントは、知識不足や認識の甘さによって、対応者が加害者となってしまうことがある。相談を受ける側の対応によって、誰でもセカンドハラスメントの加害者になる可能性があることを理解しておくことが重要だ。

企業には、できる限り職場環境の改善に努める義務がある。もしもハラスメントを解決すべき立場の相談窓口の担当者が、労働者からの申告に対してセカンドハラスメントをしてしまうと、法令違反となってしまう。

この場合は企業の責任が問われ、慰謝料や損害賠償の対象となる可能性がある。企業への甚大な損害を招く恐れがあるため、管理職や相談担当者に対して適切な対応ができるような教育が必要だ。

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セカンドハラスメントの原因

セカンドハラスメントの原因となり得るものは、以下の通りである。

<被害者の心情や状況への理解不足>
想像力の欠如が、セカンドハラスメントの大きな原因だ。被害者の心情や状況への理解が不足し、苦しみを理解しないままで相手を傷つけてしまうような言動をしてしまう。

この場合、声をかけている側は「気にするほどのことでもないよ」などと、親切心から話しているつもりであるかもしれない。しかし、実際には相手に精神的ダメージを与えてしまい、周囲から孤立させてしまう可能性があるのだ。

被害者は、被害を受けてしまったことを認める苦しみや、事実を打ち明ける苦しみを感じている状態である。本人がどう受け取るのかに思いを馳せた上で言葉を選び、本人に寄り添う姿勢でいることが重要だ。

<セカンドハラスメントへの理解不足>
セカンドハラスメントの加害者は、自身がハラスメントの当事者であることへの意識が足りない。セクハラなどと比べると浸透されていないハラスメントであるため、加害者になり得る状況での対応への理解が不足し、セカンドハラスメントが発生しやすくなっているのだ。

ハラスメントの被害者にとっては、パワハラやセクハラなどの加害者のみではなく、その周りの人達も黙認し続けた存在として映っているかもしれない。責任の一端がありながら、他人事のように気休めを言われたらどう感じるか、ハラスメントの被害者側の立場から想像してみると多少理解が深まるだろう。

<企業のハラスメントに対する周知不足>
企業側が「当社でハラスメントは起こらないだろう」といった甘い認識をしていると、周知不足となってしまって問題が出てくる恐れがある。ハラスメントに対する問題意識が薄くなってしまったり、相談窓口が上手く機能しなかったり、再発防止策が徹底できなかったりなどの問題が起こり得るのだ。社内ルールの整備徹底も含めて、企業としての対応がきちんとできているかどうかを確認しておくことが重要である。

セカンドハラスメントを防ぐための対策

セカンドハラスメントを防ぐために企業側でできる対策の例は、以下の通りだ。

<ハラスメント相談窓口の開設>
チーム内や直属の上司などの内部の人に対する相談によって、ハラスメントの加害者に話が伝わってしまって逆効果となる恐れがある。社内に相談窓口を設置し、情報が周りに漏れないようにすると、被害者が適切な相談相手を見つけやすくなるだろう。

<ハラスメント相談窓口の担当者への教育>
ハラスメント相談窓口を設置するだけではなく、担当者への教育も重要である。セカンドハラスメントの大きな原因となるのは、相談を受けた人がハラスメントの当事者であるという意識を持っていないことだ。知識不足によってハラスメントを生み出すことになり得るため、社内研修や資料、記事の共有などを行うと良いだろう。

<誰もがNOと言える環境の構築>
あまり自己主張をしないでいると、ハラスメントの被害者になりやすいものだ。誰もが意見を言いやすい環境が整えられるようにリーダーを育て、日頃のコミュニケーションから経営者やマネージャーと信頼関係を築いていくことが対策になり得る。

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セカンドハラスメントが発生した際の対処法

ハラスメントが発生した際に、会社側がどのような対応を取るとセカンドハラスメントを防止できるのか、対処法についても確認していこう。セカンドハラスメントの対処法には、以下のようなものがある。

<ハラスメント被害者の話を傾聴する>
ハラスメント被害者の話を聞くこととなった場合には、必ず話を親身になって傾聴することが重要だ。ハラスメントは非常にナイーブな問題であるため、下手にアドバイスや同情などの言葉をかけようとしたり、あなたの感想を言ったりすると、セカンドハラスメントになってしまいかねない。

「そんなことくらいでハラスメント?」「あなたの思い込みでは?」「考えすぎじゃない?」といった否定的な言葉は、相手の信頼を裏切ってしまうことになるため、言わないようにしよう。

本当にハラスメントなのかどうかは、個人で判断するべきでないことであると相談を受ける側が認識し、まずは被害者の話を聞いて状況を確認することがポイントだ。

<ハラスメント問題は相談を受けた人だけで処理しない>
ハラスメント問題を相談されたときは、個人で決めつけて処理してしまわないことも重要である。適切に対応してくれる口の堅い上司や、ハラスメント相談室などの専門部署に相談してみよう。

不特定多数に知られないようにプライバシーへの配慮を行った上で、ハラスメントを検証して企業として対応していく。ハラスメント解決に向けた姿勢を示すことで、被害者が安心できる環境作りをすることが重要だ。噂になってしまうと被害者が会社に居づらくなってしまったり、被害者との信頼関係が壊れてトラブルになってしまったりするため、対応には十分に注意しなければならない。

<弁護士や労働組合などの第三者の専門家を頼る>
もしも本人が職場に通勤できなくなってしまったときなど、重大な事態に陥ってしまったときには、第三者の専門家を頼ることも視野に入れておこう。弁護士や労働組合などに頼ることで、適切に対処しやすくなるだろう。

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セカンドハラスメントの事例

実際の事例には、以下のようなものがある。

<相談時に被害者の責任を追及してしまう>
相談を受けている際に、被害者の落ち度があるかのように言ってしまうケースがある。「なぜ安易に二人きりになったのか」「男性を誘うような態度をしていたのではないか」など、被害を相談した側が悪いと言われたように感じる受け答えは、セカンドハラスメントになってしまいかねない。こうなると、被害を相談しない方がまだましだと感じられて、泣き寝入りの増加につながってしまう。

<ハラスメントの存在を信じない>
実際にハラスメントがあった際に、事実を軽視されてしまうことでセカンドハラスメントと捉えられるケースがある。例えば、「あなたの考えすぎだ」「少しは我慢しないといけないよ」「〇〇さんがそんなことをするはずがない」などと言われてしまうことなどだ。

目撃者がいないケースや会社において加害者の評判が良いケースでも、ハラスメント被害を受けている可能性がある。被害者本人が具体的に証言している場合などは、しっかりと調査する必要があるだろう。

<被害者のプライバシーに対する配慮が欠けてしまう>
セクハラ被害などはセンシティブな問題であり、被害者のプライバシーへの配慮が必要だ。しかし、被害者のプライバシーに対する配慮が欠けて噂になってしまうケースがある。

噂になってしまっては、非がなくてもその後働きにくくなってしまいかねない。十分に配慮する必要があるだろう。

<相談内容が加害者側に伝わってしまう>
相談を受けた内容が、加害者に伝わることに起因するセカンドハラスメントもある。被害者はすでに精神的にダメージを受けているため、十分な配慮が必要な状態だ。ハラスメント被害を相談した事実が加害者に伝わってしまうと、できるだけ円満に解決したい被害者側の気持ちを守れなくなる。

<被害者側がペナルティや異動などをさせられてしまう>
ハラスメントの被害者であるにもかかわらず、ペナルティを受けてしまったり、異動などをさせられてしまったりするケースがある。通常、ハラスメントの加害者側を異動させたり、退職を促したりして対応を取ることが多い。しかし、加害者側を異動させられない場合に、被害者にしわ寄せがいってしまうことによるセカンドハラスメントの事例もある。

さらに、被害者をモンスター社員扱いする、周りに警戒されて会社に居づらくなる、ハラスメント加害者を擁護する、被害者に過度なプレッシャーをかけるなどのセカンドハラスメントも起こり得る。

まとめ

セカンドハラスメントとは、セクハラやパワハラなどのハラスメントを受けた人が、その被害を周囲に相談したことによって起きる二次被害のことである。勝手に周りに広められてしまったり、相談者側が責められたり、バッシングや嫌がらせを受けたりするなどが起こり得る。

企業としても、セカンドハラスメントをしてしまった場合には、甚大な損害を招く恐れがある。そのため、管理職や相談担当者に対して、適切な対応ができるような教育が必要だ。

今回ご紹介したセカンドハラスメントを防止するための対策や対処法、事例などをしっかりと理解した上で、実際の企業活動に役立てていこう。

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監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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