2020.9.24

コロナの影響でインターンシップはどうなる?2022年卒のインターンシップ最新動向

読了まで約 6

・今年の採用活動でインターンシップ参加者が内定者となった割合は?

・採用戦略の大きな柱の一つになったともいえるインターンシップ

・7月にインターンシップに参加した学生のうち、「Webのみ」の割合は?

・Webでのインターンシップ開催について学生側の満足度は?

・開催期間と報酬で分類できるインターンシップのタイプ。

・採用直結インターンシップが期待される背景とは?

コロナ禍でインターンシップはどうなる?

HR総研が7月に発表した「2021年卒&2022年卒採用動向に関する調査」の結果(調査期間:2020年6月22日~7月2日 調査対象:上場企業・未上場企業の採用担当者 回答数240件)を見ると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下で実施された採用活動と、22年卒学生の採用活動に関する動きがわかる。
ProFuture株式会社/HR総研

まず、2021年卒採用活動において、「面接選考を開始した時期(予定含む)」についての設問では、「8月以降」という回答が最多で18%、次いで「前年11月以前」が12%、「2月」「3月前半」がともに11%となっている。このことから、この調査の実施時期である6月末~7月初旬において、まだ面接選考を開始していない企業が2割近くあることになる。この数字は、前年より11ポイント増加していて、コロナ禍の影響により面接選考の開始時期が遅れていることを示唆している。

インターンシップを実施した企業の中では、インターンシップ参加者が内定者となった割合は81%となった。

企業規模別に見ると、社員数1001名以上の大企業では、64%の企業で内定者にインターンシップ参加者がおり、インターンシップを実施した企業の中では97%とほとんどの企業で内定者にインターンシップ参加者がいることが分かる。

このように、ほとんどの企業で内定者の中にインターンシップ参加者がいるという現象は、緊急事態宣言により、本来であれば採用活動のピークに当たる時期に対面式の面接ができず、それまでに対面での接触機会のあったインターンシップ参加学生の中から選考するというケースが多数あったためとも考えられる。

もはや採用戦略の大きな柱の一つになったともいえるインターンシップだが、ウイズコロナ時代では、企業はどのような形式で開催を予定しているのだろう。

「新型コロナ対策を考慮した実施予定のインターンシップ形式」という設問に対する回答では、「少人数制にする」が最も多く64%、次いで「オンラインで実施する」が55%、「参加者にマスク着用を義務付ける」が54%などであり、この3つの対策は半数以上の企業が実施を予定していることになる。

また、今後の施策の中で重視するものについて聞いた「2022年卒採用でより重要になると思われる施策」という設問には、「オンラインでの自社セミナー・説明会」が最多で42%、次に「オンラインでの面接」が38%、「自社採用ホームページ」が31%などと、オンラインを活用した採用活動の施策が上位となっている。また、インターンシップについても「オンラインでのインターンシップ」が21%と対面での「インターンシップ(オンライン除く)」の回答数19%より重視されていることがわかる。

2021年卒採用で急激に広まり、もはや主要な採用手法の一つとなったオンライン採用は、オンラインインターンシップを含め、ウィズコロナにおける重要な採用活動となっていて、2022年卒採用では、より強化すべき施策と認識されていることがうかがえる。

Web版インターンシップは受け入れられたか?

では、オンラインインターンシップは学生の側にはどう受け取られているのだろう。

マイナビが実施した「2022年大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査」(実施時期:7月20日~7月31日 調査対象:マイナビ2022会員のうち22年3月に卒業見込みの大学3年生、大学院1年生 調査方法:会員にメール告知・Webフォームにて回答 有効回答数:5015人)によると、7月にインターンシップに応募したことがあるかどうかを聞いた設問に対して「応募したことがある」との回答は85.9%であり、「参加したことがある」との回答は24.7%だった。

前月(6月)との比較では、応募したことがある学生は6.3ポイント、参加したことがある学生は15.6ポイントの増加であり、7月に入ってインターンシップへの応募・参加ともに拡大している様子が見て取れる。

さらに、7月にインターンシップに参加した学生のうち、参加したインターンシップの形式が「Webのみ(対面なし)」と回答した割合は73.9%となった。例年ならば夏のインターンシップは学生の夏季休暇期間である8月に実施されることが多いが、Webのインターンシップであれば時間や場所の制約を受けにくいため、7月でも実施することができ、学生側も参加しやすい環境にあったと考えられる。

参加したWeb開催インターンシップの種類については(複数回答)、企業や業界の知識を深める「座学講座型」が最多で55.8%だった。問題解決に挑む「グループディスカッション・グループワーク型」も多く51.3%となった。現場の社員と交流して業務を体験する「同行体験型」は7.1%にとどまった

一方、Web開催のインターンシップについて、インターンシップを通して企業や仕事への理解度を聞いた設問(有効回答数:847)では、「理解できた」が49.0%、「どちらかというと理解できた」が46.7%となっていて、合わせて95.7%が理解できたことになり、Web開催のインターンシップでの企業・仕事への理解度はかなり高い水準にあるといえる。

また、Webでの開催について学生側の満足度を聞いた「Web開催のインターンシップに対する全体的な満足度」という設問(有効回答数:863)では「満足できた」が42.6%、「どちらかというと満足できた」が47.6%との回答で、合わせると90.2%が「満足できた」と回答、9割以上という多くの学生がWebでのインターンシップ開催に満足していることがわかる。

Webと対面でのインターンシップに対する印象を聞く、「参加したインターンシップのうち、最もよい印象を持ったインターンシップの開催形式」という設問に対しては、「Webのみ(対面なし)」という回答が最も多く63.3%、次に「対面のみ(Webなし)」という回答が28.9%、「対面とWeb」の併用は7.8%にとどまり、学生の側もWebでのインターンシップに好印象を抱いていることがわかる。

さらに、自由回答による「Web開催のインターンシップに対する全体的な満足度の理由」という設問では、満足した理由として「企業側が学生の理解が深まるよう、工夫を凝らしていた」「Webであっても質疑応答が丁寧であった」「遠方から参加しやすかった」などの声があった(一部抜粋)。 一方で不満足な理由としては「コミュニケーションが取りにくい」「職場の雰囲気が伝わらない」などが挙げられ、こうした課題をどう克服するかが、今後のWeb版インターンシップが定着するかどうかを左右するといえよう。

採用直結インターンシップとは?

2020年6月16日付けの朝日新聞一面に「インターンシップを採用に直結 まず院生、産学が試行へ」という記事が掲載された。

内容は「経団連がインターンシップについて、採用と結びつけることを解禁するよう、政府に要請していることがわかった」というもの。

インターンシップは政府のルールでは「教育の場であり、採用・選考の手段としては認めない」というのが、公式見解となっている。

しかし、政府のルールには強制力はなく、インターンシップ直結型の採用は、すでにIT企業や外資系企業を中心に導入が広がっているのが現実だ。

特に今年は、新型コロナウイルスの感染拡大で3月頃から、4年生の採用選考が思うように進んでいないという事情もあり、3年生のインターンシップについては、この夏の実施分から採用にも結びつけられるよう、政府に見直しを迫った形だ。

こうした背景から、いままで主に外資系やベンチャー企業で導入していた採用直結インターンシップが、いよいよ国内企業でも普及する兆しを見せている。

では、採用直結インターンシップとはなにか、その代表的な開催パターンから分類してみよう。

インターンシップには企業によってさまざまな形があるが、大まかに分類すると、1日から1週間以内で開催される短期型と、一週間以上に及ぶ長期型があり、その中でも学生に報酬が支給される有給型と支給されない無給型に整理することができる。

とはいっても1週間以上の長期にわたり学生を拘束して無給、ということは考えられないので、実質的には短期有給と短期無給、長期有給の3パターンがあることになる。

そして、このそれぞれのパターン採用に直結するタイプとしないタイプがある。 参加が採用に直結するか、しないか、という観点も加味して順を追って見てみよう。

1.  短期無給で採用に直結しない
開催している企業の数が最も多く、いままで日本企業が政府のルールを守って行ってきたのが「短期無給で採用に直結しない」というタイプだ。

1日で終わる1dayタイプが多く、実際にやることもオフィス見学や会社紹介を聞いたり、その後に社員懇親会があるというもので、グループワークなどの選考フローはほぼ実施されない。

実質的には企業紹介であり、1日であっても実際に会社を見てもらうことで学生とのミスマッチを低減したい企業が多く導入してきた。

ただし、採用に直結していないため、後の選考過程で離脱し、人材が他社へ流れるというリスクも大きい。このため、多くの企業において採用直結型のインターンシップへの移行が期待されているのだ。

2. 短期無給で採用に直結
1.に対して、いままで経団連の影響を受けない外資系企業や、ベンチャー企業で多く行われていたのが「短期無給採用に直結する」タイプだ。

最短1日という短期間で採用が見込めるという点で、就活初期に内定を取っておきたいと考える層が多く参加するため、情報感度の高い優秀な学生が獲得できるとされている。こうした人材を、経団連に属しているような日系企業が採用活動を開始する前に内定を出して囲い込もうという目的で開催されることが多い。

これに対抗して、日本の企業も早期に同様のインターンシップを開催することができるようにする、という動きが現在の政府をも巻き込んだ採用市場の流れへとつながっている。

3. 短期有給で採用に直結
優秀な人材を囲い込むために、学生の負担の少ない短期で、しかも報酬ももらえるというメリットを用意して学生にアピールするのが「短期有給で採用に直結する」タイプだ。

これは、ベンチャー企業が開催することが多く、短期にも関わらず、有給でかつ採用も行われるので採用効率とコストメリットの両方を追求する企業で実施されることが多い。 また有給とはいっても、労働の対価としてではなく、多くの場合が賞金や報奨金であり、課題を提示してそれを解決するというかたちのコンペティションや、グループワークによるチームごとのプレゼンテーションなどの形を取ることが多い。

企業側としては、就活初期に優秀な学生を賞金や高めの報酬で集め、その学生に「○○のインターンシップに参加しました」といった情報発信をしてもらうことで、企業認知度を高める役割も期待でき、人材獲得に加え広報にも使えるという一石二鳥の施策だといえる。

一方、学生の側も参加するだけで手当や交通費が支給され、課題に合格すれば少なくない報奨金が得られるうえに、就活初期段階での内定まで望めるので人気は高い。

しかも、情報感度の高い優秀な学生が集まるので、就活仲間を作って他では得られない情報を交換し合えることも大きなメリットといえる。

ただし、倍率が高く選考基準が高いのもこのタイプの特徴だ。

4. 長期有給で採用に直結
長期にわたって一緒に働いていくうちに、その企業のカルチャーと学生がフィットしている状態を生み、その間に学生の志望を探り、社員が学生を誘うことで採用に結びつけるのが、「長期有給で採用に直結する」タイプだ。

仕事の内容が一般に浸透していないスタートアップや中堅クラスのベンチャー企業で行われることが多く、学生の側も報酬が得られるためアルバイト感覚で参加しながら企業のナマの情報が得られるというメリットがある。

自分の進みたい業種をある程度絞っている学生なら、アルバイトをする代わりにインターンシップに参加した方がスキルを身に着けながら企業のこともよく理解できるので、最近では大学1、2年時から参加するという学生も増えている。

まとめ

・インターンシップを実施した企業の中では、インターンシップ参加者が内定者となった割合は81%で、ほとんどの企業で内定者にインターンシップ参加者がいることになる。

・2021年卒採用で急激に広まり、もはや主要な採用手法の一つとなったオンライン採用は、オンラインインターンシップを含め、ウィズコロナにおける重要な採用活動となっていて、2022年卒採用では、より強化すべき施策と認識されている。

・Web開催のインターンシップについて、インターンシップを通して企業や仕事への理解度を聞いた設問に対して、「理解できた」、「どちらかというと理解できた」を合わせて95.7%となり、Webインターンシップでの企業・仕事への理解度はかなり高い水準にある。

・Webでのインターンシップ開催について学生側の満足度を聞いた設問では、満足できたが42.6%、どちらかというと満足できたが47.6%との回答で、合わせると90.2%が満足できたと回答。満足度がかなり高いことがわかる。

・経団連がインターンシップについて、採用と結びつけることを解禁するよう、政府に要請するなど、採用直結型インターンシップへの期待は高まっている。

・インターンシップには、1.短期無給で採用に直結しないタイプ、2.短期無給で採用に直結するタイプ、3.短期有給で採用に直結するタイプ、4.長期有給で採用に直結するタイプがあり、今後普及が見込まれるのは、採用に直結するインターンシップだ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

get_field('cf_general_profile_name', 39);

『MarkeTRUNK』編集部

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から
知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。
さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。
独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

関連記事 RELATED POSTS

関連資料ダウンロード RELATED POSTS

メルマガ会員登録で最新マーケティング情報やトレンド情報、セミナーイベント情報をチェック!

メールマガジンのサンプルはこちら