・採用ブランディングに有効なミートアップとは?
・コロナ禍で広がるオンラインミートアップ。
・オンラインミートアップは手軽に始められる採用ブランディングの一つ。
・採用活動にミートアップを開催するメリットとは?
・ミートアップ開催における3つのデメリット。
・ミートアップ開催のポイントとは?
目次
ミートアップ(Meetup)が注目される背景
優秀な人材を獲得するための採用戦略は、企業の成長ステージによって異なる。
スタートアップでは経営陣に近い人脈から人材を紹介してもらい、会社の現状と将来像などを説明して入社してもらう採用が多いだろう。
成長期に入り拡大を目指す企業では、求職サイトや採用オウンドメディアなどを活用しながら、採用基準なども整備して体系的な採用を実施することになる。
では、拡大期の企業において実施すべき体系的な採用とはどのようなものだろう。
それは、オンライン採用が浸透し、SNSで情報共有が飛躍的に拡大したウィズコロナ時代の現在では、中長期的な展望を踏まえた採用ブランディング戦略ということになる。
情報の受け手が情報リテラシーを高めている現在、採用マーケティングでターゲットをしっかりと絞り、オウンドメディアなどで自社の姿を正しく発信していくという、採用ブランディングが重要性を増しているのだ。
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これに企業ブランディングも重ね合わせて、一貫した採用戦略を立案することが人材獲得競争に勝利するポイントだ。
一方で、採用ブランディングは、「大企業がコストとマンパワーをかけて実施するもの」というイメージがあるのも事実だ。しかし、拡大期にある企業ほど、企業規模の大小や資金のあるなしに関わらず、採用活動の基軸として採用ブランディング戦略が必要不可欠だといえる。
なぜなら、拡大期にある企業の多くでは、事業が順調に拡大していく一方で、人材が追いつかないという状況にあるからだ。これは、ビジネスチャンスを逃すだけでなく、企業の将来に影を落としかねない大きな問題となる。
増大する仕事量を効率的・効果的に処理し、併せて顧客満足度をも高めるような優れた人材を採用し、自社の求めるエンゲージメントの高い人材へと育成していくことは、ほとんどの企業が抱えている課題といえるだろう。
しかし、採用戦略に採用ブランディングが必要だとは理解しても、具体的に何をすれば良いのかわからない。採用ブランディングの方法を見ても、自社で実施できそうなものが見つからない。といった企業も多い、そんな背景から、採用ブランディングに効果的な手法として注目されているのがミートアップだ。
もともと、「Meetup」とは2002年にアメリカで誕生したWeb上のプラットフォームサービスのこと。「Meetup」は、登録して、自分が興味のあることや趣味を選択するだけで、共通の仲間を集めることができ、その仲間と交流会を開催することができるというサービスだ。
そこから、オフラインでの交流会イベントも含めてミートアップと呼ばれるようになった。ミートアップとは、気軽に参加できる交流会と総称することができる。
このミートアップが企業の採用活動に取り入れられはじめたのは、2015年頃といわれている。
当初は気楽に参加できる会社説明会的な形式で使われることが多かったが、2016年にメルカリがミートアップを取り入れ、LT(ライトニングトーク:5分程度の短いプレゼンテーション)のみのイベントを開催して以来、さまざまな形式で採用活動に取り入れる企業が増えている。
特にコロナ禍によって外出がままならない現在、従来オフラインで行ってきたミートアップをオンラインで開催する動きも広がっている。海外ではオンラインミートアップが行われているが、日本では実際に顔を合わせて行う、オフラインのミートアップの方が一般的だった。
しかし、オンラインミートアップは地域に関係なく参加でき、地方や海外など、どこに住んでいても等しく交流できる場なので、アフターコロナの時代になったとしても、ミートアップの一つの形として定着していくと考えられている。
このため、オンラインミートアップは手軽に始められる採用ブランディングの手法のひとつとして、最近、特に注目され始めているのだ。
ミートアップのメリット、デメリット
ミートアップには主に次の4つのメリットがある。
1.自社のファンを増やせる
新型コロナウィルスへの感染対策として、あらゆる場面でFace to Faceのコミュニケーションが制限される中、在宅でのオンラインミートアップの人気が増加している。
最近では、meetup.comだけでなく、オンラインミートアップのための専用プラットフォームなども登場して、利用者は急増しているという。
こうしたプラットフォームを利用してミートアップを始めることも、手軽に開始するには有効だが、採用オウンドメディアにミートアップを組み込むことも可能だ。
この方法では、趣味やスポーツ、社会問題、仕事への考え方などさまざまなテーマから、自社に合うものを選択し、そのテーマに沿ったオンラインミートアップを開催することで、共通の認識を持った仲間を集めることができ、自社のファンへと育てていくことが期待できる。
ミートアップは、多くても10名程度で小規模に開催することが多い。少人数の方が、1人1人としっかり交流を育むことができるからだ。また、ミートアップを通じて自社のファンが増えれば、さらにその人たちの友人にも興味を持ってもらえる可能性が高まる。こうしてファン層を拡大させ続けることもミートアップのメリットだ。
2.社員との交流により社風を理解してもらえる
ミートアップでは、現役の社員との交流をはかることができ、生の声で質疑応答などが可能だ。これは参加者にとっても有益な情報となる。ミートアップによる社員との交流を通じて言葉や写真だけでは伝わりづらい社風を理解してもらえる可能性が高まる。
また、海外や遠隔地などで会社訪問が困難な場合でも、オンラインミートアップならば社員との交流が可能となり、コンタクトできる人材の幅が大きく広がることにもなる。
社員との交流という点では、懇親会もそのような機会になり得る。
・関連記事:内定者懇親会の内容とは?内定者のエンゲージメント・入社意欲を高める方法、オンラインでも実施できる内容をご紹介
3.採用に繋げやすい
勉強会や討論会などの一部の例を除いて、基本的にミートアップはリラックスした雰囲気で行われることが多い。会社の情報を伝えるにしても、会社説明会のような堅苦しい雰囲気にせず、参加者が打ち解けやすい雰囲気で開催することが可能だ。
お互いにリラックスした状態でコミュニケーションを行えば、話も弾み、ヒアリング(理解)、セレクション(選抜)、アトラクト(動機づけ)、クロージング(合意形成)という4つのステップも自然な形で踏むことができ、自社にとって有望な人材を採用することに繋げやすくなる。
4.低予算で開催可能
採用業務において、採用コストは重要な問題となるが、オンラインミートアップなら、インターネット環境さえあれば社内で開催することができるので、コストは大きく抑えることができる。
特に採用オウンドメディア上でミートアップを開催すれば、告知から開催まで自社で行えるので、専用プラットフォームに支払う費用も発生しないため、さらに低コストで実行することが可能だ。
反対にデメリットとしては、主に以下の3つがあげられる。
1.企画が大変
ミートアップでは、LT(ライトニングトーク)と呼ばれる5分程度で話せるテーマを用意することが一般的だ。また、一度だけの開催では効果はなく、採用に活かすためには継続して行うことが重要となる。そのため、毎回企画を考える労力を要することになる。
参加者が興味を持ち、ある程度盛り上がるような企画を考えることは、結構大変な作業だ。逆にいえば、よい企画さえ考案できれば、そのミートアップはほとんど成功しているといっていいほどだ。
また、単発で毎回企画を考えながら開催するのではなく、6ヶ月とか1年とかのスパンで、連続した企画案を考案しておき環境の変化に合わせて毎回アジャストしていく、という開催方法が無理なく継続していくためには有効だ。
2.集客が大変
ミートアップを開催しても人が集まらなければ意味がない。集客にはかなりな労力とコストを払ってでもしっかりと対策を行う必要がある。
大切なことは、ミートアップの告知に適した媒体を活用することであり、自社の採用オウンドメディアやSNS以外にも、ミートアップの告知に適した媒体はいくつかあるので、そこから選択することも考えておきたい。
3.人手が必要
採用業務にミートアップを活用する場合、現役の社員が参加することが効果的だが、通常の業務があるので負担が増えることにならないように配慮する必要がある。
協力してくれる社員の予定を調整する場合、一人に負担が集中しないよう、5分、10分など、時間を区切って参加してもらうなど、うまく調整することが必要だ。
オンラインミートアップ実施のポイント
では、オンラインでミートアップを開催する場合、どのように実施すればいいだろう。
主に以下7つのポイントで行うことができる。
1.LT設定
前述のとおりLT(ライトニングトーク)の設定がミートアップの成否を握る。5分程度で話せる短いテーマを設定しよう。メルカリがミートアップを成功せたのも、巧みなLT構成にある。
堅苦しいテーマでは気軽な交流会という本来の目的から外れてしまうが、逆に内容が薄い、軽すぎる話題では参加者の興味を引くことができないので注意が必要だ。
自社から参加する社員に合った内容にする、反対に参加者の目的意識に沿ったテーマを選ぶなど、エンゲージメントの側面からテーマを選択することも有効だ。
2.継続開催
たとえ最初に開催したミートアップで手応えが感じられなくても、そこでやめてしまってはファンを増やすことはできない。大切なのは継続して開催することだ。
前述のとおり、毎回単発でテーマを考えると苦しくなってくる。連続したテーマをあらかじめ設定し、告知しておくとよい。
また、自社からの告知だけでなく、参加者がミートアップに参加したことをSNSで発信することで、自然にミートアップの開催が拡散し、興味を持つ人も増加していくことになる。
継続して行いながらPDCAサイクルを回すことで、より効果的なミートアップへとブラッシュアップさせていくことが重要だ。
関連記事:PDCAサイクルの具体例を徹底解説します!成功・失敗の要因を説明!
3.オープン参加
ミートアップはあくまでも採用選考ではない位置づけで行う。そのため、参加はオープンであることが重要だ。
年齢や学歴で制限を設けずに受け付け、定員を超えた場合は抽選にするなど、公平に実施する必要がある。
もちろん、中途入社希望者や転職、入社を希望していない人も潜在的なファンとして扱い、参加を受け付けるようにしたい。
4.少人数開催
採用担当者が1人1人と話をして人柄を把握したうえでアプローチできるように、できれば10名以下を目安に少人数で開催したい。
これは回線が混んで不安定になることを回避する意味でも有効である。
5.社内会場
参加者に社内の雰囲気を肌で感じてもらうことはシンパシーの醸成に有効だ。会場をオフィスの一角にする、休息スペースや社員サロンなどがあるなら、そういった空間を利用して開催するなど、できる限り会社内の様子を見せる工夫が必要だ。
適当な部屋がない場合でも、会社内で露出しても問題ない空間を見つけて、少しでも社内の雰囲気を感じてもらうアイディアを盛り込んでおきたい。
6.社員参加
社員から直接、会社のリアルな話をしてもらうとよいのは前段でも触れたとおり。その上で、複数の社員に登場してもらい、情報提供担当、質問担当、盛り上げ担当、など役割を分担しておくとスムーズな運営に役立つ。
7.限定情報
ミートアップに参加しないと入手できない情報を提供することは、ミートアップ成功のための重要なカギとなる。採用サイトなど、他で得られる情報ではなく、社員のリアルな本音や知られざるエピソードなど、そこでしか聞けない話を提供したい。
そうすることで、参加者から、「ミートアップに参加すれば他では知りえない情報が入手できる」という情報が拡散されるようになり、さらなる参加者希望者増へと結びつけることができる。
まとめ
・採用戦略に採用ブランディングが必要だとは理解しても、具体的に何をすれば良いのかわからない。自社で実施できそうなものが見つからない。といった企業も多いという背景から、ミートアップが注目されている。
・ミートアップとは、自分が興味のあることや趣味を選択するだけで、共通の仲間を集めることができ、その仲間と交流会を開催することができるというサービス。ひとことでいえば、気軽に参加できる交流会である。
・オンラインミートアップは地域に関係なく参加でき、地方や海外など、どこに住んでいても等しく交流できる場なので、アフターコロナの時代になったとしても、ミートアップの一つの形として定着していくと考えられている。
・ミートアップには主に次のようなメリットがある。1.自社のファンを増やせる、2.社員との交流により社風を理解してもらえる、3.採用に繋げやすい、4.低予算で開催可能
・1. 企画が大変、2. 集客に工夫が必要、3. 人手が必要、3つがミートアップのデメリット。
・オンラインでミートアップを開催する場合のポイントは、1.LT設定、2.継続開催、3.オープン参加、4.少人数開催、5.社内会場、6.社員参加、7.限定情報、の7つ。