ゆとり世代とは1980年後半から2000年初頭に生まれた、ゆとり教育を受けた世代です。子どもの個性や多様性を重視した価値観の醸成や詰め込み型教育の脱却を目指し、ゆとり教育が導入されました。個々を尊重する姿勢やITリテラシーの高い世代ですが、ストレス耐性に弱い、上昇志向が強くないといった特徴もあります。
これらゆとり世代の特徴を詳しく理解すると、マーケティングやビジネスを円滑に進めることが可能です。
この記事ではゆとり世代だけでなく、その他呼び名のある世代との違いや特徴について解説します。
ゆとり世代をマーケティングのターゲットとした際に有効な方法、ビジネス上の付き合い方も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
ゆとり世代とは
ゆとり世代とは一般的に1987年から2004年に生まれた世代を指し、2024年時点で20歳から37歳の人が該当します。1998年の学習指導要領改定に伴い「ゆとり教育」が実施された世代がこの名称で呼ばれています。ゆとり教育は個人の価値観や多様性を重視し人間性を豊かにする、ゆとりを大切にする目的で採用されました。それ以前の詰め込み型の教育世代と教育内容が大きく変わった世代です。
ゆとり世代は1991年にバブル崩壊、2008年にはリーマンショックを経験しており、日本経済が不透明かつ低迷した時代に育ちました。また1995年には阪神淡路大震災、2011年は東日本大震災などの自然災害を見てきた世代でもあります。
厳しい社会情勢や大災害の影響もあり、環境や社会問題への意識が高く、堅実な生活を望む人が多い傾向があります。一方で、競争意識や主体性の低い世代とも呼ばれ、ネガティブな評価をされることも少なくありません。
ゆとり教育とは
ゆとり教育では1980年度から段階を経ながら、教育指導要領に沿った学校教育が展開されました。1998年度の学習指導要領に「生きる力とゆとり」という言葉が記載されており、この部分がゆとり教育と呼ばれる由来と言われています。
日本は1970年代まで、知識の大量暗記に重点を置いた詰め込み型教育が中心でした。しかしこの教育方針が問題視され、文部科学省は学習指導要領を改定しました。具体的には、以下の取り組みがされています。
● 授業時間の縮減
● 総合的な学習時間の創設
● 調べ学習の実施
● 成績評価を相対評価から絶対評価に変更
● 中学および高校での外国語必修化
ゆとり教育では詰め込み型教育から余裕のある学習時間や内容に改正し、子どもたちの考える力や実践力の育成を狙いとしました。しかし授業時間の削減により子どもの基礎的な知識や技能が不足し、学力の低下が指摘されました。学習に取り組む子供とそうでない子供が二極化し、教育格差も深刻化した世代です。
現行は教育改革として、詰め込み型教育とゆとり教育それぞれの良い部分を組み合わせ、脱ゆとり教育を目指しています。
さとり世代やZ世代など他との違い
ゆとり世代以外にも各年代や特徴によって、異なる呼び名があります。ここからは以下の5つの世代について解説します。
● さとり世代
● Z世代
● ミレニアル世代
● つくし世代
● プレッシャー世代
さとり世代
さとり世代は1980年代後半から2000年代前半に出生した人々を指します。物欲が低く、昇給や昇進にこだわらない生活に安定を求める世代です。バブル崩壊や阪神淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災などの大不況や大災害を経験しており、日本の経済にあまり良い展望を持っていません。
人生の転換期に安定した生活を過ごすことが困難であったため、人生設計は安定志向です。
なお、さとり世代はインターネット環境が著しく発展した時代に出生しており、生まれた頃からインターネット環境が身近にありました。日常的にあらゆるネット情報を取り入れ活用しており、デジタルデバイスの大きな変遷期を体験しています。
インターネットがライフスタイルに大きな影響を与えている、ITリテラシーの高い効率重視の世代です。
Z世代
Z世代とは1990年代半ばから2010年代前半に出生した人々を指します。インターネットでの情報収集をメインとし、新聞やテレビなどマスメディアの活用頻度が低い世代です。Z世代は他の世代と比較してYouTubeやSNSの利用時間が長く、若年層になると顕著です。
インターネットを媒介として興味関心のある情報を取り入れるため、自分の生活に必要な情報を取捨選択するスキルに長けています。
価値観は保守的であり消費意識も保守傾向が強く、事前情報を多く収集して、商品やサービスを購入します。一方で自分の趣味や関心ごとには消費を惜しまない傾向が強く、流行語ともなった「推し活」に積極的な世代です。
SDGsの概念が普及した世代でもあるため、多様性を重視した人生観を持ち、社会問題への関心が高い傾向にあります。
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ミレニアル世代
ミレニアル世代とは1980年から1990年代半ばごろまでに出生した人々を指します。IT革命とともに成長したデジタルパイオニア世代であり、パソコンやスマートフォンなどさまざまなデジタルデバイスの使用を得意としています。
生まれたときからインターネットが普及しているZ世代よりもSNSの使用時間が少ない点が特徴です。ミレニアル世代は情報収集の手段としてデジタルデバイスを多く使用するなか、人間関係を重視し、仲間意識が強くコミュニケーションにおいて共感を重視します。
子ども時代にインターネットが急速に普及しましたが、ホームページやSNSによる情報発信や情報収集をしてきた世代でもあり、自分だけでなく他人への共感や評価を重視する傾向にあります。
ワークライフバランスの概念が浸透した世代でもあり、仕事のために私生活を犠牲にする働き方は好みません。休日出勤や長時間労働、サービス残業などが恒常化している職場での勤務は望まない傾向にあります。転職への抵抗が少なく、柔軟な働き方を求める世代です。
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つくし世代
つくし世代とは1985年以降に出生した人を指します。他人に尽くす、献身的に人と関わることを重視しており、人に尽くす傾向が強いことから「尽くし世代」と呼ばれています。
1987年以降に生まれた人を指すゆとり世代という言葉が社会に浸透し、若者へのネガティブな印象が世間に認知されました。つくし世代はゆとり世代が持つネガティブなイメージを、好意的な視点から捉えた言葉です。他人への思いやりを重視し、他人に尽くすことを喜びとするためサークルやSNSなどのコミュニティイベントに力を注ぎ、人との信頼関係を重視します。
強制や支配から促される行動ではなく、自由意志を尊重している世代です。他人からの抑圧や無理強いされることを嫌う傾向にあります。
インターネットが普及した時代に育っており、新たなデジタルデバイスやシステムの活用に抵抗感は低く、積極的に関わる姿勢があります。
プレッシャー世代
プレッシャー世代とは1982年から1987年に出生した人を指します。バブル崩壊や就職氷河期、大災害など世界情勢が不安定な時代を体験しており、自力での解決が困難な、プレッシャーの強い時代を乗り越えてきた世代です。
就職氷河期世代とゆとり世代の間を指す世代であり、時代の大きな変化を経験しているため情報分析力や自立心が高い人が多い傾向があります。インターネットやデジタルデバイスの発展や普及も経験しており、身の回りで起こる変化への柔軟な対応ができる特徴があります。
社会への高い適応力が求められた世代であり、時代の大きな変遷を耐え抜いてきた世代です。
ゆとり世代の主な特徴
ゆとり世代には以下の9つの特徴があります。
● ITリテラシー、スキルがある
● 自己肯定感が高い
● 多様性を受け入れる
● 環境や社会問題に関心がある
● 効率やコスパを重視する
● ストレス耐性が低い
● 上昇志向が強くない
● プライベートを大切にする
● 転職への抵抗がない
ITリテラシー、スキルがある
ゆとり世代は幼少期よりデジタルデバイスに触れる機会が多く、インターネット環境も整備されておりITリテラシー、スキルが高い特徴があります。インターネット上の検索エンジンやSNSによる情報収集も日常的に使いこなし、デジタルスキルの高い世代です。
ITリテラシーが高ければ効率よく情報処理をするだけでなく、常に進歩するデジタルデバイスを効果的に活用でき、セキュリティリスクの低減も可能です。ゆとり世代はAI技術の発展による新しいソフトウェアやデジタルツールへの抵抗が少なく、デジタルトランスフォーメーションの推進が期待できます。
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自己肯定感が高い
ゆとり教育ではそれ以前の教育体制とは異なり、詰め込み型の教育は推奨されませんでした。個々の強みや興味関心を重視した教育が実施されており、カリキュラムにしばられない総合的学習時間の増加や週休5日制が導入されています。
余暇活動をする時間が確保されたため、自主的な活動や習い事に挑戦する機会が増え、個性や能力を伸ばす機会が多く得られました。一人ひとりの生き方が尊重され、社会に必要かつ重要であると認められた経験から、ゆとり世代は自己肯定感が強いといえるでしょう。
多様性を受け入れる
ゆとり世代にはそれぞれの個性を尊重しながら人間関係を構築する教育が実施されてきました。自分とは異なる価値観や文化、思考を持つ人たちへの寛容さがあり、多様性を認めることができます。インターネットが普及した世代でもあり、オンライン上のコミュニティへの参加に抵抗が少ない点も特徴です。
また、ゆとり世代は相手を尊重する姿勢が強いため自己主張が強くなく、チームワークを大切にして物事を遂行する傾向があります。競争社会において自分だけが利益を得るのではなく、個性を大切にしながら共存することを試みる世代です。
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環境や社会問題に関心がある
ゆとり世代はバブル崩壊や震災など、不安定な社会情勢を経験しながら育った世代です。地球温暖化や大気汚染などの環境問題、ジェンダーや人種差別などが社会問題として大きく報じられ始めた年代でもあります。インターネットでの情報収集にも慣れ親しんでいるため、国際問題への意識が高い人が多い傾向にあります。
これらの背景により、ゆとり世代は環境や社会問題への関心が高い世代であり、グローバルな視野や価値観を持っての行動が可能です。
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効率やコスパを重視する
ゆとり世代は効率や「コストパフォーマンス(費用対効果)」、いわゆるコスパを重視します。短期的な損得よりも、中長期的な視点で価値があるかどうかを判断し消費行動をします。不安定な社会情勢のもと育ってきた背景があり、ブランド志向が低い点が特徴です。世間からの評価よりも自分にとって価値があるかどうかや、実用性に重きを置きます。
また情報収集のツールが多様化しており、インターネットデバイスを活用する機会が多い世代です。疑問点やわからないことはインターネットなどで素早く検索し、最良な回答をより早い手段で得ようとする傾向があります。
ストレス耐性が低い
ゆとり教育では順位を付けず競争を避け、個性を尊重されてきたため、ストレス耐性が低い特徴があります。上司や顧客から叱れると、どのように対応すれば良いのかわからなかったり、ストレスへの対処方法が適切にできなかったりと繊細な部分があります。指摘に対しても過剰に反する傾向にあるといえるでしょう。
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上昇志向が強くない
経済的に不安定な時期に育ったため、安定した職場環境を選ぶことが多く、上昇志向は強くありません。ゆとり世代は就職先として公務員や、倒産リスクの低い大企業を選択する傾向にあります。就職活動ではワークライフバランスを優先し、給料よりも残業時間やノルマの低さを重視しています。
ゆとり教育では過度な競争や順位付けは推奨されておらず、競争意識が低い点も上昇志向が強くない要因です。学業の成績は相対評価ではなく絶対評価に移行した世代でもあり、他人と比較しての目標達成に慣れていません。
出世や昇給よりも仲間意識が強く、チームワークを重視して仕事に取り組む世代です。
プライベートを大切にする
ゆとり教育では授業時間の短縮が導入され、余暇時間が増加しました。ワークライフバランスの考え方が日本で注目されたこともあり、働き方は仕事とプライベートを分ける傾向にあります。
残業や長時間労働の有無、自由意志で有給取得が可能かなどを就職活動の軸とする人も少なくありません。業務時間外の飲み会など、会社都合での行事の参加に消極的な世代といえます。
転職への抵抗がない
バブル崩壊後は雇用情勢が厳しくなり、年功序列制度や終身雇用制度が崩壊し、一つの企業で定年まで勤続することが困難となりました。ゆとり世代は子どもの頃にバブル崩壊やその余波を経験し、リストラや退職勧奨を目の当たりにしています。
これらの社会情勢からゆとり世代は一生同じ企業で働けるとは考えておらず、転職への抵抗がありません。雇用が安定しており、自分の能力に合った職場環境を望む傾向にあります。
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ゆとり世代をターゲットにしたマーケティング
ゆとり世代をターゲットにしたマーケティングをする場合、以下の4点を取り入れましょう。
● デジタルマーケティング
● 価値観に訴える切り口
● 体験型マーケティング
● ストーリー性を持たせた訴求
デジタルマーケティング
ゆとり世代は子どもの頃からデジタルツールに触れる機会があり、IT技術の進歩とともに成長してきた世代です。革新的なデジタルデバイスやツールの操作に抵抗が少なく、ネットショッピングや銀行の口座開設までをインターネット上で操作可能です。
FacebookをはじめとするSNSの発展期に育った世代でもあるため、ソーシャルメディアの活用が生活に根付いています。パソコンやスマートフォン、アプリ、SNSを利用しての消費行動が可能であり、BtoCであればデジタルマーケティングに重点を置くべきでしょう。
ゆとり世代は共感力が高く、SNSに投稿された体験を自分のことのように感じ、各種機能でシェアや拡散をします。商品やサービスの情報発信する際は、共感や拡散しやすいコンテンツを作成しましょう。ゆとり世代は企業広告よりも、自分が支持するインフルエンサーや友人からの口コミを信頼する傾向にあります。
ゆとり世代へのデジタルマーケティングを効果的に実施するには、幅広い人に親しみや共感を持ってもらえる拡散力の高い情報を発信しましょう。
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価値観に訴える切り口
ゆとり世代は物欲が低く、必要最低限の商品やサービスで生活の質を向上させようとする傾向があります。実用的かつ自分にとって本当に必要なものを購入するため、消費行動において品質や価値を重視します。
また、ゆとり世代は人間の生活が社会や環境、経済に与える影響を意識し始めた世代です。サステナブルな商品やサービスへの関心が高く、持続可能な社会の実現といった価値観に訴えるマーケティングを実施しましょう。
例としては、温室効果ガス削減を狙いとした消費電力の少ない電球や、人権に配慮した国際フェアトレードで認証を受けたコーヒー豆の開発販売が挙げられます。フードロス削減に向け、売れ残りそうな商品を見切り品として売る方法も、価値観に訴えるマーケティングの一つです。
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体験型マーケティング
ゆとり世代は物欲が低く、実用性の低いものに消費行動を取らない傾向にあります。自分にとって価値があるかは実際に手に取って魅力を感じてもらう必要があるため、販売促進には体験型マーケティングが効果的です。体験型マーケティングは食品や酒造メーカーに多く採用されており、店頭やイベント会場、SNSと連動して実施する企業も現れています。
特定の期間商品やサービスを低価格または無料で利用できるトライアルキャンペーンも効果的な体験型マーケティングの手法です。例として商品のサンプル提供や、映画やテレビ番組の見放題サービスの無料利用が挙げられます。
ゆとり世代はSNSの活用頻度が多いのも特徴です。体験型マーケティングの内容がSNSで拡散されれば、体験者だけでない人へのマーケティング効果も期待できるでしょう。
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ストーリー性を持たせた訴求
ゆとり世代は口コミやレビューへの共感や実感を重視して消費行動を取ります。SNSやホームページなどで商品やサービスの情報収集する人も多く、ゆとり世代へのマーケティングはストーリー性を持たせた情報を訴求しましょう。
商品やサービスがユーザーに共感されると、SNSでシェアや拡散され潜在的な顧客層へのアプローチが可能です。ストーリー性を持たせたマーケティングが成功すれば認知拡大が見込め、より多くのファンの獲得も期待できます。
ゆとり世代は個性を伸ばし多様性を認める教育を受けており、大量消費より商品が持つ個性やストーリー性を重視して消費行動を起こします。社会的な評価よりも個人にとって魅力的かを重視するため、商品のターゲットを明確にし、共感されるマーケティング戦略を立案しましょう。
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ゆとり世代とビジネスで上手く接するには
ゆとり世代とビジネスで上手く接するには、以下の5つに留意しましょう。
● 価値観を尊重する
● 感情的に怒ることはしない
● 指示を具体的にする
● フィードバックをする
● 業務時間外のコミュニケーションを強要しない
価値観を尊重する
ゆとり世代は個性を大事にしており、想像力が豊かです。クリエイティブな思考や柔軟な発想を持ち、既存の枠組みにとらわれない解決策を考えることが得意です。詰め込み型の教育ではなく、自分の意見を大切にした教育方針のもと育ったため、新しい視点やアイデアを想像できます。
新規事業の開拓や未経験の領域に事業展開する際、豊かな想像力は顧客のニーズ獲得や売上アップのヒントになるかもしれません。ゆとり世代の個性や価値観を尊重することで、解決が困難な課題にも多角的な視点からアプローチできるでしょう。
感情的に怒ることはしない
ゆとり世代では競争や差別化など、人との比較を推奨しない教育方針が取られていました。そのため人から叱られることに慣れておらず、指導方法によっては委縮させてしまう可能性があります。ゆとり世代とビジネスで接する際は、感情的に怒ることはせず大声や早口での叱責、威圧的な言葉の使用は控えましょう。
またゆとり世代は個性や多様性を重視した教育もされており、挫折に慣れておらず、失敗は恥であるという認識があります。成長を促すにはミスの原因と改善策を一緒に考え、アドバイスする姿勢が重要です。
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指示を具体的にする
ゆとり世代は競争意識の低さもあり、積極性が低く自発的な行動を得意としない傾向にあります。指示や命令がないと行動するのが困難で、自分で仕事を見つけることを苦手とします。
自主性は低いですが、適切な指示があれば実直に仕事に取り組める点もゆとり世代の特徴です。ゆとり世代とビジネスで上手く接するには、指示を具体的にして必要事項を簡潔に伝えましょう。指示する際は内容や期限、優先順位を明確にすると行動しやすいでしょう。
フィードバックをする
ゆとり世代は個性を尊重された教育を受けているため、褒められることには慣れていますが、𠮟られることには慣れていません。叱られた際の感情のコントロールが難しく、ストレスを抱えたままでいると休職や離職につながるため注意が必要です。
ゆとり世代と円滑にコミュニケーションを図るには叱るだけでなく適切なフィードバックが重要です。フィードバックを適宜行い、本人の努力や長所を認めると、業務へのモチベーションや主体性、信頼関係を育むことにつながります。また、ゆとり世代は社会的な意義や目的を持つ仕事に関心があるため、叱るよりも貢献した点を褒めると成長促進が期待できます。
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業務時間外のコミュニケーションを強要しない
ゆとり世代は余暇活動に費やせる時間が多かったため、プライベートな時間を重視します。ワークライフバランスの考えも普及した世代であり、仕事とプライベートを両立する傾向があります。
親睦会などのイベントは自由参加にし、業務時間外のコミュニケーションを強要しないようにしましょう。休日の過ごし方や家族関係のことを聞き出さず、ビジネスにおける仲間として接すると信頼関係が構築できます。
まとめ
ゆとり世代は独自性や個性を大切にし、環境や社会問題への意識が高い強みがあります。一方でストレス耐性や競争心が低く、上昇志向が強くないなどビジネスで上手く接するには留意すべき点もあります。各々の価値観を尊重し、適切なフィードバックを適宜する工夫をするとゆとり世代と円滑なコミュニケーションおよび信頼関係の構築が可能です。またゆとり世代をマーケティングのターゲットとしたときは、デジタルマーケティングや価値観に訴える切り口での情報発信、体験型マーケティングの実施をしましょう。