マーケティング分野で「リーチ」という言葉を使う場合には、「広告や投稿を見た人の数」を意味します。
リーチ向上は「顧客の獲得」「アカウントの成長」につながるため、マーケティングにおいて重要視される指標のひとつです。
この記事はリーチの意味について解説します。InstagramなどのSNSや広告においてリーチを向上させる方法も紹介しますので、最後まで読んでいただくことでリーチ向上を目指すためのヒントになるはずです。
目次
リーチとは
リーチ(reach)という言葉を直訳すると「到達する」という日本語になります。
スポーツでは「腕を伸ばしたときの長さ」や「ラケットやスティックが届く範囲」という意味で、「リーチが長いので有利」といった使い方をします。
この章では、マーケティングやSNSにおけるリーチの意味について解説します。
マーケティング用語としての意味
マーケティングで「リーチ」という言葉を使うときには、「広告を見たユーザーの数」を指します。リーチが多ければ、広告が多くの人に届いていると判断します。
例えばAさんとBさんが広告Cを見た場合には、リーチは2とカウントします。Aさんが広告Cを2回見た場合には、リーチは1です。ただしAさんがパソコンで1回とスマホで1回広告Cを見た場合には、リーチは、2とカウントします。異なるデバイスやブラウザで閲覧した場合は、別のユーザーとしてカウントされるのです。
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Instagramでのリーチ
Instagram(インスタグラム)におけるリーチとは「ある投稿を見た人の数」です。リーチ数が多いと、投稿が多くのユーザーに見られていることを意味します。
リーチが向上して投稿が多くの人に見られれば、アカウント自体の認知度が上がるため、Instagram運用においてリーチは重要な指標となっています。
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関連用語との違い
マーケティング用語としての「リーチ」には、混同しやすい言葉がいくつかあります。違いを認識しておきましょう。
フリークエンシー
フリークエンシー(frequency)とは頻度という意味で、マーケティングでは「接触頻度」を表します。
つまり、フリークエンシーは「ひとりのユーザーが、ひとつのWeb広告や投稿を何回見たか」の指標です。リーチが広告接触の「広がり」を示すのに対し、フリークエンシーは「深さ」を示します。
1回広告を見ただけでは行動に移さないユーザーも多いですし、反対に何回も広告を表示されると鬱陶しいと感じるユーザーも存在するでしょう。そんな時に役立つのが、ディスプレイ広告や動画広告を同じユーザーに何度も表示されないように表示回数を制限するフリークエンシーキャップ機能です。フリークエンシー機能を活用することで、ひとりのユーザーに対するフリークエンシーを最適化します。
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インプレッション
インプレッション(impression)とは、Web広告やSNS投稿が表示された回数のことです。「imp」と略して表記されるケースが多くなっています。
表示回数なので、同じユーザーに対して複数回表示された場合も、すべてカウントされます。例えばAさんが同じデバイスで同じ広告を4回見たら、インプレッションは4(リーチは1)です。
関連記事:インプレッション(impression)とは?意味や類似用語との違い、増やす方法
PV(ページビュー)
PV(Page View、ページビュー)は、Webページが閲覧された回数を指します。Aさんが同じサイトを3回訪問して、同じ広告を3回閲覧した場合、PVは3(リーチは1)です。
Webページにアクセスしても広告が表示されなかった場合は、PVは伸びますが広告のリーチは0のままとなります。
関連記事:PV(ページビュー)とは?UUやセッションとの違い
エンゲージメント
エンゲージメント(engagement)とは、広告や投稿への反応数(アクション数)を示す指標で、主にSNSマーケティングの分野で使用されます。
例えば以下のようなものが広告や投稿へのアクションです。
● いいね
● リツイート
● 投稿した画像のクリック
● 投稿内のURLのクリック
広告や投稿が表示された時点で、リーチは1です。ただし何らかのアクションがなかった場合には、エンゲージメントは0のままになります。
関連記事:エンゲージメントとは?マーケティングにおける意味合いを徹底解説
リーチの重要性
リーチの重要性について解説します。
認知拡大につながる
リーチの獲得は認知拡大に直結します。多くのユーザーに広告や投稿を見てもらえれば、より多くの人にブランド・商品や企業について知ってもらえるためです。
つまり新商品の認知拡大や新ブランドのローンチにおいて、リーチ獲得は重要な目標のひとつとなります。
広告効果の最大化につながる
リーチが大きくなれば、広告効果も大きくなります。多くの人に商品・サービスを認知してもらえれば、商品・サービスに興味をもってくれる人も増えると考えられるためです。
リーチが広がることで、新たなターゲット層にアプローチする機会が生まれる可能性もあります。
ただし広告が1回表示されただけでは、実際の行動に移さないユーザーも少なくありません。リーチを向上させつつ、適切なフリークエンシーでユーザーにアプローチすることも重要です。広告接触の広さと深さ、どちらも大切となります。
なおフリークエンシーは一般的に3~7回程度が望ましいとされますが、商品・サービスの認知度やキャンペーンの内容によっても異なります。
フォロワー獲得が期待できる
SNSにおいては、リーチ数増によってフォロワー獲得も期待できます。投稿は多くのユーザーの目に触れるものですから、それを見てフォロワーになってくれる人も増える効果が期待できるのです。
逆に言えば、まず投稿を見てもらわないと、フォロワーにもなってもらえないということです。いくらきれいでおもしろくて役に立つ広告や投稿を作成しても、見てもらえないと意味がありません。
こうした理由で、SNSにおいてリーチを向上させるためには「どうやって投稿を見てもらうか」を考える必要があります。SNSでリーチを向上させる方法については、のちほど解説します。
Web広告でリーチを向上させるには
Web広告でリーチを向上させるための方法を紹介します。
ターゲティングの精度を上げる
まずはターゲティングの精度を上げることが重要です。ターゲットを明確にすることで、ターゲットの興味を惹きつけやすい効果的な広告配信が可能になるからです。
反対にターゲティングがブレていると、商品・サービスに関心をもちそうにない層に、広告を無駄打ちしてしまうことになりかねません。
例えば小学生向け通信教育教材なら、小学生の子どもをもつ親世代にターゲットを絞る必要があるでしょう。住宅展示場の広告なら、住宅購入を検討している層をターゲットにする必要があります。
関連記事:ターゲティングとは?戦略的なターゲット設定の方法と成功例
クリエイティブの改善
広告クリエイティブの改善も、リーチ向上に効果的です。
優れたクリエイティブは、ユーザーの目を引き付けます。ターゲットが明確化していれば、ターゲット層に好まれやすい色や画像を使用してクリエイティブを作成でき、より高い効果が期待できるでしょう。
また、テキスト情報を表示する場合には、ターゲットの興味を引きやすいタイトルをつけることも重要です。
クリエイティブを改善することで、リーチ向上だけではなく、広告表示後のコンバージョン率(CVR)向上も期待できます。
関連記事
・クリエイティブの意味は?バナー広告など効果的な広告運用のポイント
・コンバージョンレート(CVR)とは?計算や改善方法
配信時間の調整
リーチ向上には広告の配信時間も重要です。ターゲット層によって、広告を見やすい時間帯が異なるためです。
例えば学生や社会人なら、「平日の朝と夕方、電車に乗っている通勤・通学時間帯」「お昼休憩の時間帯」などがWeb広告に触れやすい時間となります。広告プラットフォームの機能を使用すれば、予約投稿でそのターゲットが広告を見やすいタイミングでの出稿が可能です。
SNSでリーチを向上させるには
SNSでリーチを向上させる方法を紹介します。
投稿頻度を増やす
まずは投稿頻度を増やすことが挙げられます。投稿を増やすことでフォロワーの目に留まる可能性が高くなりますし、フォロワー以外に見てもらえる可能性も高まります。
Web広告出稿と違ってSNS投稿(SNS広告除く)にコストはかかりません。そのため投稿頻度増は、金銭的コストをかけずにできるリーチ向上方法といえるでしょう。
ただ繰り返し高頻度で似たような投稿をすると、「迷惑なアカウント」と判断され、敬遠されることもあります。
ユーザーに好まれ、保存などのアクションをしてもらいやすい、「役立つ投稿」「季節・時間に合う投稿」を心掛けましょう。ユーザーのアクションが増えることで、発見タブなどに投稿が表示されやすくなり、リーチ向上が期待できます。
関連記事:【初心者向け】Instagram(インスタグラム)の使い方を徹底解説!登録~投稿までを完全ガイド!
投稿時間の工夫
Web広告の出稿時間と同様に、SNSでも投稿時間の工夫が重要です。多くの人がSNSを開いている時間帯(アクティブになる時間帯)に投稿することで、リーチ向上が見込めるためですね。
一般的に以下の時間帯は、多くの人がSNSでアクティブになると考えられます。
● 通勤通学の時間帯
● 昼休憩
● 夜、家に帰ってからリラックスする時間帯
ただしSNSでアクティブになる時間帯はターゲット層によって異なります。また同じ時間帯でも曜日によって反応が違うケースもあるので、テストを繰り返してベストな時間帯を見つけましょう。
ハッシュタグの活用
SNSではハッシュタグの活用もリード向上に役立ちます。
ハッシュタグ検索するユーザーが多いSNS(Instagramなど)では、投稿に適切なハッシュタグを入れておくことで、フォロワー以外へのリーチを見込むことが可能です。
投稿にまったく関係ないハッシュタグを入れると迷惑な投稿であると判断され、印象が悪くなるので、投稿との関連性が高いハッシュタグを設定しましょう。
人気のあるハッシュタグはリーチが広い一方で、競合が多いというデメリットもあります。反対にニッチなハッシュタグは、リーチは狭いものの特定のターゲットに刺さりやすくなり、ユーザーのフィードに表示される可能性も高まります。
こうした理由から、メジャーなハッシュタグとニッチなハッシュタグの組み合わせをおすすめします。
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フォロワーとのコミュニケーション
フォロワーと積極的に適切なコミュニケーションを取ることもおすすめです。例えば以下のようなコミュニケーションの取り方があります。
● コメントやDMへの返信
● 他ユーザーの投稿にコメント
● 他ユーザーの投稿をリポスト
コミュニケーションを取って親近感を抱いてもらうことで、シェアが増え、リーチも広がっていく効果が期待できます。
ストーリーズの活用
ストーリーズの活用もおすすめです。
インスタの通常投稿は他の投稿に埋もれて見てもらえない可能性もありますが、ストーリーズは目につきやすいメリットがあります。ストーリーズだけをざっとチェックするユーザーもいます。
ストーリーズの投稿方法は、通常投稿をしたあとに「ストーリーズに投稿を追加」を選ぶだけです。それほど手間はかかりません。リーチを増やすためのひと工夫として、ぜひやっておきましょう。
またリール動画も人気であり、検索画面でも大きく表示されることから、リールの活用もおすすめです。
関連記事:Instagram(インスタグラム)ストーリーの使い方を徹底解説!効果的な手法も教えます!
プロフィールの定期的な更新
SNS運用でリーチを伸ばすためには、プロフィールの定期的な更新もおすすめです。
プロフィールに適切なワードを盛り込むことで、アカウントがキーワード検索で表示されやすくなるためです。とくにビジネス系SNSでプロフィールから仕事の受注につなげたい場合には重要となります。
また、プロフィールがまったく更新されていないアカウントは「管理がおざなりで胡散臭い」とユーザーに感じさせてしまう可能性もあります。掲載されている情報が古い場合、現状と異なっていて信頼できないと判断されるリスクもあるでしょう。
まとめ
リーチとは広告・投稿を見た人数のことです。リーチを向上させることは、広告効果の向上やSNS運用の成功において、大きな意味をもちます。
広告やSNSにおいてリーチを向上させるには、まずターゲティングが重要です。ターゲットに合わせて、「見られやすい日時に投稿する」「興味を惹きつけやすい画像を使う」などの工夫が可能になるからです。
また広告プラットフォームやSNSには「予約投稿」「効果分析」など、リーチを向上させるために使える機能がありますので、上手に活用することで効果的な運用を行いましょう。