クエリパラメータとは、URLに情報を付加し、サーバーに情報を送信する文字列です。UX向上やデータ収集・分析に役立つので「Webサイト開発」「マーケティング」「データ分析」において広く活用されています。
この記事では、クエリパラメータの基本的な仕組み(構成)や種類、具体的な利用シーンについて解説します。
マーケティング担当になったばかりの方にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
クエリ パラメータとは
まずはクエリパラメータの意味や目的を解説します。
URLの末尾に付加される文字列
クエリパラメータ(クエリ文字列、URLパラメータ、クエリストリング)とは、URLの末尾に追加される「?」以降の文字列のことです。
以下の画像ですと、URL末尾の「?」以降がクエリパラメータとなります。
「?」以降の文字列によって、URLに情報を付加し、サーバーに情報を送信しています。
クエリパラメータを使ってサーバーに情報を渡すことで、「サイト内での絞り込み検索」や「アクセス解析」が可能になります。
クエリパラメータの基本的な形は「?パラメータ名=値」や「?パラメータ名A=値A&パラメータ名B=値B」です。構成要素を分解して説明すると以下のようになります。
?:パラメータの開始を示す
パラメータ名(変数、属性名):パラメータの名前(color、sizeなど)
値(属性値):パラメータの値(red、xlなど)
&:複数のパラメータを繋げる・区切る
クエリとは
クエリ(query)とは「問い合わせ」「質問」「検索」という意味をもつ言葉です。
Web分野においては、クエリは「特定のデータを取得するための、ソフトウェアへの要求を示す文字列」や「検索条件」という意味になります。
ユーザーが検索エンジンで検索窓に入力する検索ワード(「クエリとは何か」「スマートウォッチ 比較」など)は、検索クエリと呼ばれます。
関連記事:クエリ(query)とはなにか?SEO、IT用語としての様々な意味を解説
パラメータとは
パラメータ(Parameter)とは、「媒介変数」「補助変数」「母数」「引数」「設定値」などの意味をもつ言葉です。
ITやWeb分野での意味をざっくり説明すると「プログラムの動作を決定するために指定する数値や文字列」「プログラミングや数学で使う、変化できる数」となります。与える値を変えると、出力結果やシステムの動作も変わります。
パスパラメータとの違い
クエリパラメータと似た言葉に、パスパラメータ(Path Parameter)があります。パスパラメータはクエリパラメータと違ってURLのパスに埋め込まれ、「?」以降の記述は使いません。
パスパラメータが埋め込まれたURLの例は以下の通りです。
http://example.com/users/00001
クエリパラメータと使い分ける際のポイントは、「ユーザーID・商品コードなど、一意なリソース(重複のないリソース)を示すときにはパスパラメータを使う」となります。
クエリ パラメータの種類と目的
クエリパラメータの種類と目的について解説します。
パッシブパラメータ
パッシブパラメータは、ユーザーの流入元を識別するために用いられるURLのパラメータです。
Webマーケティング分野では、「LPへのリンクがクリックされやすい広告」「ユーザーがECサイト内で商品を探す動線」の分析などに使われます。
例えばリスティング広告をクリックすると、遷移先のLPには流入経路を示す以下のようなパッシブパラメータが付いています。
※以下画像ではパラメータが長いため、一部のみの表示となっています
なお「パラメータのないオリジナルページ」と「パッシブパラメータありのページ」では、ページの表示内容は同じです。パッシブパラメータはサイトの表示内容には影響しないので、ダミーパラメータと呼ばれることもあります。
アクティブパラメータ
アクティブパラメータは、ユーザーが指定した条件のページを表示するためのものです。
例えば、ECサイトでは「色やサイズを指定して商品を探す」「評価順や価格順に商品を並べ替える」といった場合に使われます。
アクティブパラメータはパッシブパラメータと違い、サイト上に表示されるコンテンツの内容や表示順に影響します。
Webアクセス解析ツールにおけるクエリ パラメータ
Webマーケターが覚えておきたい、Webアクセス解析ツール(Google Analytics4)におけるクエリパラメータ(パッシブパラメータ)の使い方や例を紹介します。
関連記事:Google Analytics(グーグルアナリティクス)とは?設定や使い方を解説
トラフィックソースの識別
トラフィックソースとは、ユーザーの流入経路のことです。
Google Analytics4(GA4)では、「utm_source」「utm_medium」というパラメータを使用して、トラフィックソースを識別します。
パラメータ名 | わかること | よく使う値の例 |
utm_source | 参照元 | ・Google ・Yahoo |
utm_medium | 流入元メディア | ・organic(検索) ・cpc(クリック単価型広告) ・social(SNS) ・email(メルマガ) |
以下の例だと、Googleからcpc(クリック単価型広告)を経由して流入していることがわかります。
キャンペーンの効果測定
集客活動の効果を測定するには、「utm_campaign」というパラメータを使います。
値は任意の文字列でOKなので、「spring_sale」「new_products」などさまざまです。2025年3月に送信したメルマガの効果を知りたいときには「mail_202503」とすることもあります。
例えば、家電量販店の「生活応援セット」のリスティング広告に付与されていたパラメータは、以下の通りです。
ユーザー行動の詳細な追跡
以下のようなユーザーの詳しい行動を追跡するためにも、クエリパラメータを使用できます。
・LP内に複数のCTAボタン(Call To Actuion:購入など具体的な行動に繋がるボタン)がある場合、ボタンごとに異なるパラメータを付与し、どのボタンがクリックされやすいか調べる
・ECサイトでユーザーの動線を分析するために、リンクやバナーごとにパラメータが付与する
例えば以下のECサイトの例では、商品の詳細ページにたどり着くために、アウターのランキングページを経由したことが示されています。
関連記事:CTA(コールトゥアクション)とは? 基礎知識とポイント
クエリパラメータを除外することで、分析が簡素化される
クエリパラメータは便利なのですが、パラメータが多すぎてデータが分散し、分析が煩雑になってしまうこともあります。
そのためGA4では特定のクエリパラメータを除外することによって、重要なデータをより分析しやすくできます。例えばGoogle広告がクリックされると URL に渡されるパラメータである「gclid」や、フェイスブック広告からの流入を意味する「fbclid」などのパラメータは、よく除外対象になります。
クエリ パラメータの使用例
この章ではクエリパラメータのうち、アクティブパラメータの使用例を紹介します。
絞り込み検索結果の一覧表示
よくあるアクティブパラメータの使用例のひとつが、「絞り込み検索結果の一覧表示」です。
例えば、マーケトランクで「SNS」と打ち込んでキーワード検索すると、検索結果のURLは以下のようになります。「s=SNS」がパラメータです。
さらに「1年以内にアップされた記事」かつ「カテゴリーはWebマーケティング」で絞り込むと、期間を示す「date=y」とカテゴリーを示す「cat%5B%5D=57」が追加されます。
ECサイトや求人サイトでも、アクティブパラメータを使って、検索や絞り込み結果の表示ができます。
表示順の変更
ECサイトなどで「価格順」「評価が高い順」「新着順」などで商品を並べ替えたいとき(ソートしたいとき)にも、パラメータが使われます。
例えば、ECサイトで「レビューの件数順」で並べ替えたら、表示されるURLは以下のようになります。
ページネーション
ページネーションとは、検索結果一覧を複数のページに分割して、各ページへのリンクを並べる機能のことです。「ECサイトで商品検索したら、該当する商品が多くて1ページにおさまらなかったとき」に、ページ下部に出てくるものです。
ECサイトで商品検索結果の下に出てきたページ番号(3ページ)をクリックしたら、表示されたページのURLは以下のようになります。ページ番号のパラメータ(?p=3)が入っています。
クエリ パラメータの基本的な書き方
クエリパラメータの基本的な書き方を紹介します。
大原則として、クエリパラメータは標準的な書き方にすることが大切です。標準的な仕様ではないパラメータ(非標準パラメータ)だと、Webサイトを巡回し、情報収集するプログラムであるGoogleのクローラーに認識されない可能性があるからです。
URLの末尾に「?」を付ける
クエリパラメータはURLの末尾に半角の「?」を付けてから書きます。
なお「?」を書くのは1回のみです。「?」を2回以上入れるとURLが正しく表示できなくなるので、注意してください。
パラメータは「変数名=値」の形式で記述
変数名と値が決まったら、半角の「=」で結びます。例えば変数名が「utm_medium」で値が「email」なら、「utm_medium=email」です。
なお「=」のかわりに「:」や「,」を使うのは非標準パラメータであり、クローラーに正しく認識されない可能性があるので避けてください。
複数のパラメータを付けるときは「&」で区切る
クエリパラメータに複数の変数名や値を付与したいときには、半角の「&(アンパサンド)」で区切ります。
例えば「?s=SNS&date=y」のような書き方になります。
「&」のかわりに「[]」を使うとクローラーに正しく認識されない可能性があるので、注意しましょう。
特殊文字などはエンコードする
URL内で使用できない「特殊文字」「スペース」「日本語」などが含まれている場合には、エンコードする(特定の形式に変換する)必要があります。意図しないエラーを回避するためです。
また「&」「=」「?」「!」など、クエリパラメータやURLの中で特定の目的で使うことが決まっている文字(予約文字)も、URLの意味を壊さないようにエンコードする必要があります。
・スペースをエンコードすると:%20
・&をエンコードすると:%26
ただし、日本語をエンコードするとURLが長くなります。クエリパラメータは「短くシンプルに」が基本なので、できれば日本語は使わず半角英数字や記号で書きましょう。例えばキャンペーンの値を「夏のセール」ではなく「summer_sale」にするなどです。
ページ内リンクは最後に付ける
ページ内リンクを追加したい場合には、パラメータの後ろにページ内リンク(#○○)を付けましょう。「URL+パラメータ+ページ内リンク」の順番です。
パラメータの前にページ内リンクを付けてしまうと、パラメータがパラメータではなくページ内リンクの一部と見なされてしまい、ページ内リンクが作動しなくなります。
クエリ パラメータの注意
クエリパラメータを付与する際の、SEO面での注意点を紹介します。
複数パラメータを付与する場合は、順番を統一
複数のパラメータを付与する場合には、順番を統一しましょう。
検索エンジンは、「?」以降のパラメータを含むURL全体を、ひとつのURLとして扱います。そのため同じ内容でURL(パラメータの順番)が違うページは、重複コンテンツだと判断されてしまいます。
例えば以下のような2つのURLは、内容が変わらないためGoogleから「重複コンテンツ」と判断されてしまいます。
・http://○○.jp/?color=red&size=xs
・http://○○.jp/?size=xs& color=red
重複コンテンツと判断されるとSEOに悪影響が出るため、順番は統一する必要があります。
関連記事:重複コンテンツとは?SEO対策に与える影響を徹底解説
URL正規化を行う
パラメータの順番を統一していても、重複コンテンツだと判断されてしまうことがあります。
例えば、分析用にパッシブパラメータを付与している場合には、ユーザーの流入経路によって、同じ内容でもURLが違うページが複数できてしまいます。
またパラメータで商品・コンテンツを並べ替える場合には、並び順が違うだけで内容は変わらないので、重複コンテンツとして認識される可能性が高いです。
上記のような場合に必要なのが「URL正規化」です。URL正規化により、同じ内容で違うURLのページが複数ある場合に、検索エンジンに評価してもらうページを示せます。
クエリパラメータが付与されたURLの正規化を行う際には、canonicalタグを使用するのが一般的です。
関連記事:Alternate(オルタネイト)タグとは! 意味やSEOを意識した上での注意点を解説!
まとめ
クエリパラメータはWebマーケティングの効果を分析し、サイトやマーケティング戦略を改善していくために重要なものです。またユーザーがより使いやすいサイトを構築していくうえでも重要となっています。
パラメータの種類はさまざまありますが、綴りを覚えなくても生成ツールで生成して追加できます。
この記事では、クエリパラメータについての基礎的な知識や例をお伝えしました。
Webマーケティングの分野で重要な知識なので、マーケターの方は、ぜひ学びを深めていきましょう。