ネイティブアプリのような機能を兼ね備えたWebアプリを開発できるPWAが、注目を集めています。本記事では、PWAについての概要や、ネイティブアプリとの違いについて掘り下げて説明するとともに、PWAを使用するメリットや、開発する際の構成について徹底解説します。
Webアプリを開発している人だけでなく、PWAについて興味のある人や、実際に導入を検討している人、導入コストについて知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
PWA(Progressive Web Apps)とは?
PWAとは、Webアプリがスマートフォン向けのアプリのような利便性を備えたフロントエンドの技術のことです。従来のWebアプリの仕組みではできなかった、プッシュ通知設定をはじめとする機能を使用できます。
PWAを利用することでネイティブアプリのような機能を持つWebアプリを構築できるため、現在多くのWebアプリで使用されるようになりました。
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PWA(Progressive Web Apps)はなぜ注目されているのか
従来のWebアプリは、HTML5やCSS3、JavaScript等をはじめとするプログラミング言語によって支えられてきました。
Webアプリの歴史を振り返ると、過去と比較して現在のWebアプリは技術の進歩によって表現の幅が増え、よりユーザーフレンドリーな仕様になっています。
そして、このPWAは従来の技術よりも一歩先の、あたかもネイティブアプリのような機能を兼ね備えたWebアプリを作成できます。
また、PWAはOSによって開発を変える必要もなく、ネイティブアプリよりも開発コストがかからない傾向にあります。開発者にとってのメリットも大きいために、PWAが注目を集めているのです。
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PWA(Progressive Web Apps)とその他アプリの違い
PWAはOSによる制限がありません。そのため、OSによって設計が異なるネイティブアプリとは、まったく違うものです。PWAと他アプリを区別するうえで、重要となるのが下記の2種類のアプリです。
● ネイティブアプリ
● ハイブリッドアプリ
それぞれのPWAとの違いを解説します。
ネイティブアプリとの違い
ネイティブアプリとは、OSごとに展開されているアプリケーションストアでインストールをして利用できるアプリケーションのことです。
ネイティブアプリを構築する場合は、まずはどのOSで使用することを想定するか、そしてOSごとに構築の過程が異なります。また、AndroidならGoogle Play、iOSならApp Storeにアプリの申請をして、それぞれから承認される必要があります。
これに対してPWAは、スマートフォン向けのアプリの機能を備えながらも、OSごとの構築や各種OSの承認を経る必要がないのが特徴であり、ネイティブアプリとの大きな違いです。
ハイブリッドアプリとの違い
ハイブリッドアプリとは、上記のネイティブアプリの性質と、Webアプリの両方の性質を併せ持ったアプリケーションを指します。
ハイブリッドアプリは、Webアプリに使用されるCSS3やHTML5、JavaScriptといった言語をベースに構築されますが、Webviewでの表示に限定されるため、ブラウザではその機能を利用できません。
ハイブリッドアプリは、ネイティブアプリ上にブラウザを設けるような仕組みであるため、PWAとは性質が異なります。
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PWA(Progressive Web Apps)の基本構成
PWA開発の構成要素を押さえれば、PWAがどのような仕組みかわかります。PWAの基本的な構成要素としては、下記のものが挙げられます。
● Service Worker
● httpsのサーバー
● Single Page Application
● App Manifest
PWA開発する際は、上記を満たしている必要があります。キャッシュ・プッシュ通知機能を可能にするService Workerや、Googleで使用するためのhttpsサーバー、サーバーから情報を呼び出すSingle Page Application、ホーム画面のアイコン指定やSplashスクリーンのためのApp Manifestが、基本的な構成要件となります。
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PWA(Progressive Web Apps)を導入するメリット
PWAはネイティブアプリのような機能を備えていますが、ネイティブアプリにはないメリットが多数あります。PWAを導入するメリットとしては、下記のような例が挙げられます。
● Android・iOSのどちらでもOK
● ストアに申請する必要がない
● ホーム画面にアイコンを設置できる
● 表示速度が優れている
● 検索結果にコンテンツを載せられる
● プッシュ通知を送ることができる
● 開発コストを削減できる
● 使用するデータ容量が少ない
● 直帰率を下げられる可能性がある
それぞれ順番に解説します。
Android・iOSのどちらでもOK
PWAは、アプリケーションストアを介してインストールされるネイティブアプリとは違い、OSによる制限を受けません。
ネイティブアプリを開発する際、基本的にAndroidとiOSで言語を使い分けたり、開発の過程や手順に違いが出てきます。もちろん、クロスプラットフォーム開発を行えば統一言語を使用してAndroidとiOSの両方のアプリ開発を同時に進行できますが、すべての流れが共通しているわけではありません。
そのため、ネイティブアプリの開発においてはAndroidとiOSの開発の流れの差異に注意を払わなければなりません。その点、PWAであればそもそもOSの違いがないため、両方のOSに対応できます。
ストアに申請する必要がない
ネイティブアプリと違い、PWAはアプリケーションストアに申請する必要がありません。
ネイティブアプリはAndroidならGoogle Playに、iOSならApp Storeに必ず申請する必要があります。
特にiOSの場合は、Appleに承認されなければApp Storeに反映されないため、申請から承認の流れを経なければユーザーに届かないという弱点があります。
また、ストアの申請にはリジェクトされるリスクがあり、その場合のリリース延期や修正作業までもスケジュールに組み込まないと回らないおそれがあります。PWAはOSによる縛りがないうえに、ストアに申請する手間やリスクもなく、すぐにユーザーに届けられる利点があります。
ホーム画面にアイコンを設置できる
ブラウザで表示させたページをホーム画面に追加することは従来のWebアプリでもできます。PWAの場合では、Service Workerの機能を使用することで、アプリのようにホーム画面にアイコンを追加でき、任意のデザインのアイコンをユーザーのホーム画面に表示させられます。
また、ホーム画面に追加されたアイコンから、ユーザーの端末に保存されたキャッシュを用いてオフラインでもWebアプリを使用できる強みもあります。
表示速度が優れている
PWAを利用すれば、Webアプリ上でキャッシュを使用できます。ローカルのキャッシュに保存できるため、再びWebアプリを開いた際の読み込みのスピードが従来よりも速くなるのです。
表示速度が速くなることで、よりユーザーにとって利便性の良いWebアプリになることは間違いないでしょう。表示速度を改善することにより、直帰率を下げられるというメリットもあります。
表示速度はユーザー体験に直結する重要な要素であるため、表示速度でお悩みの人には特におすすめです。
検索結果にコンテンツを載せられる
検索結果にコンテンツを載せられるという点は、ネイティブアプリと決定的に違います。
ネイティブアプリはアプリケーションストアを介してインストールすることでしか、コンテンツを表示させられません。
しかし、PWAはあくまでWebアプリであるため、検索エンジンがコンテンツを表示してくれるのです。そのため、キーワード等を使用して新しいユーザーを流入させやすく、ネイティブアプリと比較して大きなメリットだと言えます。
プッシュ通知を送ることができる
ネイティブアプリではお馴染みのプッシュ通知ですが、Service Workerを使えばWebアプリでもプッシュ通知が可能です。プッシュ通知はユーザー体験の質を向上させるだけではなく、既存のWebアプリでも後付けで実装できるという、開発者側としても嬉しい利点があります。
使用するブラウザによってはプッシュ通知の動作に違いがあったり、そもそもプッシュ通知に対応していなかったりする可能性がある点には注意が必要です。
開発コストを削減できる
前述したとおり、PWAはOSごとに開発の手順を分ける必要がないため、開発コストを削減できます。OSによる制限もないうえに、アプリケーションストアにおける申請の期間も必要とせず、リジェクトされた際のスケジュール調整等の手間もいりません。
プラットフォームを問わず、手軽に開発できるのもPWAの魅力の一つと言えるでしょう。
使用するデータ容量が少ない
PWAは、ユーザー側のデータ容量を少なく抑えられます。PWAは、キャッシュを利用することによってオフラインでもWebアプリを閲覧できるため、データ容量を極限まで抑えられます。
ネイティブアプリでは、ストアからアプリをインストールしたり、データをダウンロードする際に多くの容量を必要とするものも少なくありません。
その点に関して、PWAはネイティブアプリと比較すると、最低限の通信で済むのも大きなメリットと言えるでしょう。
直帰率を下げられる可能性がある
PWAの性質やメリットは、Webアプリ開発・運営側やユーザーの双方にとって大きなメリットをもたらします。前述したPWAのメリットが相乗効果として作用し、Webアプリの直帰率を下げられる可能性があります。
直帰率や遷移率、回遊率は、コンバージョンにつなげるための大きな要素です。そこで、PWAを使用することで、ユーザー体験の質を高めて直帰率を下げる役割を担い、コンバージョン率を向上させる可能性を秘めています。
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まとめ
PWAは、コストを最小限に抑えながらも、ネイティブアプリの良い点をWebアプリに導入できる優れものです。ネイティブアプリには開発コストがそれなりにかかりますが、PWAにすることでOSによる制約もなくWebアプリを使用できます。
PWAは開発者とユーザーの双方に大きなメリットがあるため、現在注目されているのです。ぜひ本記事を参考にして、PWA開発を検討してみてはいかがでしょうか。
よくあるご質問
PWAとWebブラウザの違いは?
PWA(Progressive Web Apps)とWebブラウザには主に以下の違いが挙げられます。
・PWA(Progressive Web Apps)は、スマートフォンのホーム画面にアイコンとして表示できる
・Webブラウザは、ブラウザを開いて一度検索し、目的のページを表示させる必要がある
また、インターネットに接続できない環境では、PWAの場合、アイコンをクリックするだけで目的のページを表示でき、使い勝手が向上します。
PWAの要件は?
PWAは、以下のすべての要件を満たしていることが必要です。
●検索エンジンでコンテンツを見つけられる
●端末のホーム画面にアプリを追加できる
●URLを共有することで、アプリも共有できる
●オフラインやネットワークが不安定な環境でも利用できる
●最新のブラウザではフルの機能を利用できる
●デバイスに応じて最適な形で使える
●通知機能がある
●安全性維持のためにhttpsを使用する
PWAの起動方法は?
PWAを初めて起動するときは、以下の手順で操作します。
1.パソコンなどのインターネットデバイスでWebブラウザを開く
2.インストールしたいWebサイトにアクセスする
3.アドレスバーにあるインストールのアイコンをクリックする
4.画面の手順に従ってインストールする
2回目以降は、アイコンをクリックするだけで起動できます。