最近よく耳にすることが多くなった「ポートフォリオ」ですが、なんとなく「Web系のクリエイティブな仕事と関わりがあるのかな?」といった認識の人も少なくないと思います。
それに合わせて「何がポートフォリオなのか?」「そもそもどんなことをするのか?」といった疑問も上がってくるのではないでしょうか?
実は「ポートフォリオ」を使う場面は、Web系の仕事だけではないのです。
今回の記事では、そのような謎多きポートフォリオが「いったい何なのか?」「どのような意味があるのか?」について、Web系をメインに説明します。
ポートフォリオの基本さえ理解していれば今後の仕事などにも非常に役立つこと間違いなしです。ポートフォリオの概念を理解することは、今後のキャリアや仕事において非常に有益です。この記事を通じて、ポートフォリオの本質と多様な活用方法を学び、自身のスキルや実績を効果的にアピールする方法を身につけていただければ幸いです。
目次
ポートフォリオとは?
ポートフォリオとは、英語を直訳すると「紙挟み」「書類かばん」「画集」「作品集」「有価証券(一覧)」「会社の品揃え、製品ライン」といった意味合いがあります。
語源はイタリア語のPortafoglio(ポルタフォリオ)で「札入れ」という意味です。
札入れといったら、携帯して持ち歩けるものです。
そんなポートフォリオですが、様々な意味合いがあるなか大事なポイントは2点です。
①「ひとまとめになっている」
②「差し替えなど、状況によって変更ができる」
フォーマットに決まったものはなく「どうやって制作したらいいのかわからない。」
といった意見も出てくるかと思います。
そこが難しく感じてしまうところなのですが、簡単にいうと、「自分の作ったものをひとまとめにしたもので、相手に自分自身を理解してもらえ確実に内容が伝わるもの」と捉えてもらっていいでしょう。
そのため、ポートフォリオは自己表現のツールともいえ、色々なパターンのポートフォリオがあります。
相手に見せるものなので、状況によって中身の変更が必要です。自分の作った作品などが新しくなる場合は、定期的に最新の状態にしておきましょう。
また、「ポートフォリオは自己紹介の資料として、日頃の準備と携帯をしておくべき」という意見もあります。
どんな場面でも「確実に自分を表現し伝えられるもの」を携帯していると、突然のビジネスチャンスにも即座に対応可能といえます。
なお、顧客満足度の調査等に用いられる分析手法、フレームワークのことはポートフォリオ分析と言います。商品やサービス、人員や価格等を項目別満足度とし、2次元グラフに表したうえで、改善するべき重要項目を洗い出すための分析手法です。
関連記事:ポートフォリオ分析とは?マーケティング視点も踏まえ解説します!
ポートフォリオが大切な理由
ではなぜ、ポートフォリオが大切なのでしょうか?
履歴書や職務経歴書といった書類だけでは自分自身の「技術」や「感覚」「センス」などを相手に伝えにくく、ポートフォリオがあるとより具体的に相手に自分を伝えられます。
特に、クリエイティブな職種や技術系の仕事を希望する場合、ポートフォリオは極めて重要な役割を果たします。例えば、デザイナーやエンジニアの場合、過去の制作物や開発プロジェクトをポートフォリオにまとめることで、自分のスキルレベルやクリエイティビティを効果的にアピールできます。
また、ポートフォリオは就職や転職の際だけでなく、フリーランスとして仕事を獲得する際にも非常に有用です。潜在的なクライアントに自分の実績を示し、信頼を得るための重要な資料となります。
さらに、ポートフォリオを作成する過程自体が、自己分析や自身のキャリアの方向性を考える良い機会にもなります。自分の強みや弱み、成長の軌跡を客観的に見つめ直すことができ、今後のキャリアプランニングにも役立ちます。
このように、ポートフォリオは単なる作品集以上の価値を持つ、自己表現と自己分析のための重要なツールなのです。
様々なポートフォリオ
様々なポートフォリオがあるといってもどのようなものがあるのでしょうか?
業界によってのポートフォリオは大きく4つです。
1. クリエイティブ系ポートフォリオ
2. 教育系ポートフォリオ
3. 金融系ポートフォリオ
4. 事業的ポートフォリオ
これらのポートフォリオは、それぞれの分野や目的に応じて特徴的な構成や内容を持っています。クリエイティブ系では作品や実績を視覚的に紹介し、教育系では学習過程や成果を体系的にまとめます。金融系は資産構成を示し、事業的ポートフォリオは企業の事業内容を可視化します。
各ポートフォリオは、その分野における個人や組織の能力、実績、方向性を効果的に伝える重要なツールとなっています。以下では、これらのポートフォリオについて詳しく解説していきます。
クリエイティブ系ポートフォリオ
一番皆さんがイメージしやすいポートフォリオ、それがクリエイティブ系のポートフォリオです。
クリエイティブ系は「Web系」「デザイン系」など含めた内容です。
クリエイティブ系の転職時「今までの自分の実績や、何をしてきたか?」をアピールする必要が出てきます。
その時に活躍するのがポートフォリオというわけです。
Web系の人は「自身がデザインしたWebサイト・ホームページ」をポートフォリオとしてまとめた「ポートフォリオサイト」を作る場合が多いです。
グラフィックデザイナーや画家のようなデザイン系の人は、自身が今まで作成した作品を紙やPDFなどにまとめておくかたちになります。
まとめておくことで「自分自身」を具体的に説明することが可能になるので就職や仕事を勝ち取る際に活躍するのです。
ここからは、クリエイティブ系ポートフォリオの作り方および内容例について説明します。
Webページのポートフォリオ
・Webページ成実績用のサイトを作成
まずは自分の実績を掲載するためのサイトを作成します。
そのサイト内に今まで自分が作成したWebページをまとめて掲載していきます。
作成したサイトへ、今までに作成したWebページを掲載
・ Webページへのリンク
・ どのようなタイプのWebページなのか
・ どのような意図で、どのような効果を狙って作ったのか
・ どのような技術を使って作成したのか
といった内容を記載します。
作成したWebページをただ載せていくような内容にはならないように注意しましょう。
デザイン系のポートフォリオ
①作品のメインビジュアル
一目で全体感がわかるビジュアルを掲載します。
細部にこだわったとしても、パッと全体がわかるような内容が大切です。
②自身が携わったプロジェクト、企画を記載
自分がどのようなものに携わってきたのかがわかります。
WebサイトなどがあればURLの掲載もして相手に見てもらえるようにしましょう。
③担当のプロジェクト
自身が携わったプロジェクトのどこを担当したのかをわかるようにします。
デザインのスキルだけではなく、Web系ならコーディングなどもできるのか、どのようなプログラム言語がわかるのかなども記載をしましょう。
④コンセプトはどのようなものなのか?
ビジュアルだけではなかなか相手には伝わりません。
そのため自分の作品に対しての「誰に対して作ったものなのか?」「どのような意図があるのか?」などを記載。
この記載があることで、相手はより具体的に作品を理解してくれます。
⑤こだわったところ
デザインにあたって、自身で工夫したところや特にこだわっている点などを記載。
ユーザーにとっての価値をどのように提供したのかなどのデザインの目的や、自分自身の考えのベースを記載しておくことで、より深い説明が可能になります。
上記のような内容を記載し自分の作品をまとめますが、何でもかんでも載せるというわけではなく、「自分の得意なもの」や「直近の作品」などを見せるようにしましょう。
情報量が多すぎるのもマイナスになる可能性もあるので注意が必要です。
教育系ポートフォリオ
教育面におけるポートフォリオは「様々なことを総合的に学習して評価する教育」といった内容であり、そのような教育手法を「ポートフォリオ教育」といいます。
教育の評価といえば「テストの点数」に目がいってしまいますが、「勉強以外の才能」を発揮する人に対してもこの「ポートフォリオ教育」は有効です。
「ポートフォリオ教育」は、こまめに確認し「過程やプロセス」を評価していくため、その本人が持っている本来の能力を正確に評価できるのがポイントです。
・教育系ポートフォリオの内容
教育系のポートフォリオの主な内容については以下のとおりです。
①どのような活動をしたのか
その活動時に、「どのような疑問を持って、どのようなことを解決しようとしたのか?」
調べてわかったことやもっと調べたくなったことなどの、より詳細な内容
②どのような気づきや発見があったのか
上記のように「事柄に対してしっかりと深掘りしていく」ということがポイントです。
具体的な内容にしていくことで、教育でのプロセスを明確にでき相手の様々な才能に気づくことにつながります。
このように、教育系ポートフォリオは学習者の成長過程を多角的に捉え、個々の才能や潜在能力を正確に評価することを可能にします。また、学習者自身にとっても、自己の成長を実感し、次なる目標設定に活用できる有効なツールとなります。
教育者にとっては、学習者一人ひとりの特性や進捗を詳細に把握できるため、個別指導の質を向上させることができます。さらに、保護者との面談や進路指導の際にも、具体的な成長の証拠として活用することが可能です。
ポートフォリオ教育は、lifelong learning(生涯学習)の概念とも密接に関連しており、学校教育のみならず、社会人の継続的な能力開発にも応用されつつあります。このアプローチは、変化の激しい現代社会において、個人の多様な能力を育成し、評価する上で重要な役割を果たすことが期待されています。
金融系ポートフォリオ
金融系ポートフォリオは、運用を対象として保有する株式などの資産の構成内容のことを指します。簡単にいうと、金融系のポートフォリオは「色々な資産の組み合わせ」ということです。
もともと有価証券などは紙挟みに挟んでの保管が多かったこともあり「ポートフォリオ」という名前がつけられました。
ポートフォリオを組むことで、リスクの軽減につなげ資産運用の安定を図ることが可能です。金融系ポートフォリオの主な目的は、投資リスクの分散と運用パフォーマンスの最適化です。例えば、株式、債券、不動産、外貨など、異なる資産クラスを組み合わせることで、市場の変動に対する耐性を高めることができます。
また、金融系ポートフォリオは投資家の年齢、リスク許容度、投資目標に応じて調整されることが一般的です。若年層ではより高リスク・高リターンの資産配分を、高齢者ではより安定的な資産配分を選択するなど、個々の状況に合わせた最適なポートフォリオ構築が重要となります。
事業系ポートフォリオ
事業系ポートフォリオは、企業の利益を生み出している事業をまとめて可視化できるようにしたものです。
可視化することで、どの経営資源を有効に使うかを選定するためのツールとして利用可能です。
メリットとしては、以下のようなものがあります。
経営判断の迅速化: 事業全体の状況を一目で把握できるため、迅速な意思決定が可能になります。
リスクヘッジ: 複数の事業を適切に組み合わせることで、特定の事業のリスクを分散させることができます。
経営資源の最適配分: 各事業の状況や将来性を考慮し、限られた経営資源を効果的に配分できます。
長期的な成長戦略の立案: 現在の事業構成から将来のあるべき姿を描き、戦略的な事業展開を計画できます。
企業は定期的に事業ポートフォリオを見直し、市場環境の変化や自社の強みに応じて、事業の選択と集中を行うことが重要です。これにより、企業全体の価値向上と持続的な成長を実現することができるのです。
ポートフォリオでの大切なポイントは?
ポートフォリオでの大切なポイントは「自分の経歴やスキルなどをわかりやすく伝えること」です。
作品などの掲載はもちろんですが「自分の得意なスタイルや分野」「将来的に何をしたいか、未来のビジョンを記入する」などの情報を記入すると具体的なポートフォリオになります。
特にWeb系のポートフォリオは就職や個人で仕事を獲得するために非常に重要です。
いくら素晴らしい作品が作れたとしても、相手に伝わらないと意味がありません。
「自分を魅力的」に見せるために、わかりやすくデザインを考えましょう。
そして、そのデザインに紐づいた自分の思いやスキル等を伝えることがポートフォリオでは大切になってきます。
具体的には、以下の要素を含めることが推奨されます。
●作品の掲載: 自身の代表作や最新の作品を適切に選択し、展示します。
●得意分野の明確化: 自分が特に秀でているスタイルや専門分野を強調します。
●将来のビジョン: キャリアの展望や目指す方向性を記述し、志望先との適合性を示します。
●スキルセットの提示: 保有する技術やツールの使用経験を具体的に記載します。
特にWeb系のポートフォリオは、就職活動や個人での仕事獲得において非常に重要な役割を果たします。優れた作品を制作しても、それを効果的に伝えられなければ意味がありません。
したがって、ポートフォリオのデザインにも十分な注意を払う必要があります。視覚的に魅力的であることはもちろん、閲覧者にとって理解しやすい構成を心がけましょう。さらに、各作品や経歴に関連する自身の思考プロセスやアプローチを説明することで、技術力だけでなく、問題解決能力や創造性も効果的にアピールできます。
最後に、ポートフォリオは定期的に更新し、常に最新の実力を反映させることが大切です。技術の進歩や自身のスキル向上に合わせて、内容を適宜リフレッシュしていくことで、常に魅力的なポートフォリオを維持することができます。
ポートフォリオは紙?Web?
ポートフォリオは紙の場合とWebの場合があります。
どちらがいいのか迷うこともあるかと思いますが、転職時に関しては「紙のポートフォリオ」を用意しておくことが基本と考えて良いでしょう。
なぜなら、面接会場の通信環境によってはWebのポートフォリオが見れない可能性も考えられるからです。また、面接相手のデジタルに関する知識に影響されないところもポイントです。
紙のポートフォリオは相手に手渡すことが出来るうえ、どのような状況であっても情報を伝えやすいというメリットがあります。
Webのポートフォリオの良さは、デジタルな動きや3Dのアングルを見られることです。
また紙のポートフォリオではソースコードなどを表示することは出来ないので、そうした内容が必要な場合はWebのポートフォリオが必要になります。そのような場合は、Webのポートフォリオの補完的な意味合いで、紙のポートフォリオを利用することをおすすめします。
紙のポートフォリオで補完的な役割を行うことで、Webのポートフォリオがさらに魅力的になります。
Webポートフォリオの場合は、様々な一流の人のサイトやギャラリーサイトを自分で見て学ぶことができるので自分で勉強していくには非常に進めやすいです。
デザイナー、フォトグラファー、アーティストなど、様々な人がポートフォリオをWeb上にあげています。是非参考にして見ることをおすすめします。
一流の高いクオリティーのポートフォリオを参考にすることは、自分が良いポートフォリオを作る近道です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
ポートフォリオといっても、様々なポートフォリオがあり、内容も多種多様でした。
多種多様とは言いつつも、基本は「相手にわかりやすく体系的にまとめられている」という点はどれも同じです。
クリエイティブ系に関しては、自分を相手に具体的に知ってもらうために「個性を活かす」という観点でもポートフォリオは非常に大切です。
特に転職時などでは、ポートフォリオがあることで、採用担当者に自分のスキルや熱意を確実に評価してもらうために有利に働くのは間違いありません。
ポートフォリオを作るにあたって、作業の合間にも頭の整理も行え、「面接や自己アピールに役立つ思考」が副産物として得られるでしょう。
ポートフォリオは「自分を相手に知ってもらう手段のひとつ」です。
ですが「ポートフォリオを作ること」だけを目的にしてしまうと、重要な目的を見失ってしまいます。そのことは必ず頭に入れておくようにしましょう。
最後に、ポートフォリオは常に最新の状態に保つことが大切です。定期的に見直し、新しい実績や成長を反映させることで、より効果的なアピールツールとなります。自身のキャリアの成長とともに、ポートフォリオも進化させていくことを心がけましょう。