オウンドメディアとは、自社が所有しているメディアのことです。よく耳にする言葉ではありますが、その詳細や企業ホームページとの違いなどについて知らない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、オウンドメディアの意味や目的、企業ホームページとの違いについて詳しく解説していきます。オウンドメディアの作り方や具体的な成功事例などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社が所有するメディアのことです。英語では「Owned Media」と書き、「Owned」には「所有する」という意味があります。
「自社が所有するメディア」という意味から考えれば、コーポレートサイトやブログサイト、公式X(旧Twitter)や公式FacebookといったSNSなど、オンラインのあらゆるメディアだけでなく、会社案内のチラシなどオフラインでのメディアも、すべてオウンドメディアということになります。
しかし、近年になってマーケティングの文脈の中で使われる「オウンドメディア」は、その意味がもう少し狭まります。例えば、ブログ形式の情報発信サイトや、ある領域に特化した情報サイト、マーケティングを促進するためのツールとして活用する情報提供サイトなどを指すのです。
具体的には、オウンドメディアには以下のようなものが挙げられます。
● ブランドサイト(商品やサービス・ブランドイメージなどを発信)
● コンテンツサイト(ユーザーに有益な情報などを発信)
● ECサイト(商品やサービスなどユーザーへの販売を目的とするサイト)
● 企業が運営するブログ(ブログ形式で情報を発信)
● 採用サイト(採用に関連する情報を発信)
本記事では、狭義のオウンドメディアについて解説していきます。
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オウンドメディアの目的や役割とその必要性
ここからは、オウンドメディアの主な目的や役割、必要性が高まっている背景などについて解説します。
● オウンドメディアの目的
● 注目されている背景
● オウンドメディアの役割
● オウンドメディアの必要性
オウンドメディアの目的
オウンドメディアの目的は企業によって異なりますが、一般的な目的は、役立つ情報を提供することで閲覧ユーザーの興味関心を引き、商品やサービスの認知度向上や見込み客の醸成、ファンづくりなどを行うことです。
また、コーポレートサイトでは検索エンジンでの検索順位が上がらない場合に、SEO対策としてオウンドメディアを活用することもあります。
最も典型的なオウンドメディアは、企業の主力製品やサービスを利用するユーザーの興味関心の高い情報や、製品・サービスの購入につながるような予備知識を提供する記事を掲載し、ブログ形式で配信するものです。それらの記事を検索エンジンで上位表示させ、コーポレートサイトやサービスサイトへ誘導することもあります。
オウンドメディアは、自社の採用活動を強化するために使われることもあります。採用関連の基本的な情報はもちろん、自社で働く従業員の声や職場風景などを掲載し、採用候補者が自社で働きたいと思うような情報を発信します。
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オウンドメディアが注目されている背景
オウンドメディアが注目されている背景にあるのは、自社サイトのSEO効果への期待でしょう。また近年では、「自社のファンになってもらう」というブランディング強化のための媒体としてもオウンドメディアが重要視されています。
オウンドメディアは企業色を前面に出すことなく情報を発信できるため、多くの人から関心を寄せられやすく、幅広いユーザーとコミュニケーションを図ることができます。その結果、SEOのプラス効果だけでなく、同時にブランディングの強化も期待できるのです。
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オウンドメディアの役割
オウンドメディア自体の収益は、基本的には広告売上です。しかし、企業が求めるオウンドメディアの役割には、より多くのものが含まれています。
リードナーチャリングによる顧客の育成やブランディング、ユーザーとの関係構築、リクルーティングなど、あらゆる面において利益をもたらすための手段として、各企業はオウンドメディアを保有しているのです。
企業がオウンドメディアに求める役割や運用する理由については、後ほど詳しく解説します。
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オウンドメディアの必要性
オウンドメディアは、公式サイトとはまた違った情報発信ができるメディアです。公式サイトは、一般的に取引先や幅広いユーザーに向けて発信するため、あまり自由度が高くありません。一方、オウンドメディアはターゲットを絞れることから、その層のユーザーに特に響くような情報を掲載できます。
どちらのWebサイトも持っておけば、公式サイトでは企業自体の情報を、オウンドメディアではさらに内容を絞った情報を発信するなど、目的に応じて使い分けることができます。さらに、広告やSNSといったほかのメディアとも連携すると、それぞれの欠点を補え、相乗効果を高めていくことができます。
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オウンドメディアの特徴
オウンドメディアには以下の特徴があります。
● ユーザー目線に立ったコンテンツ
● 検索によりユーザーに見つけてもらうことを目指す
● 売上を直接的には狙わない
ユーザー目線に立ったコンテンツ
オウンドメディアの第一の特徴は、ユーザー目線に立ったコンテンツであることです。従来の主な情報発信方法であった「広告」は、自社や製品・サービスのアピールを目的に行います。
対してオウンドメディアでは、自社や製品・サービスのアピールは最小限に留められるのが一般的です。ターゲットとなるユーザーが知りたい情報を発信することに主眼が置かれるのです。
検索によりユーザーに見つけてもらうことを目指す
企業が情報を発信する際、従来まではリスティング広告などを使用していました。それ対してオウンドメディアでは、広告は基本的に使用されません。
SEO対策を万全に施すことにより検索順位の上位を狙い、ユーザーに自ら見つけてもらうことを目指します。SEO対策を万全に施すことにより、広告費の抑制も可能となります。
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売上を直接的には狙わない
オウンドメディアの大きな特徴として、売上を直接的には狙わないことも挙げられます。サイト内で派手な広告的誘導は行われないのです。
オウンドメディアの目的は、まずユーザーとの初回接触を図ることです。そして、メディアへ何度も訪問してもらうことにより、企業や製品・サービスを好きになってもらうのです。オウンドメディアは、接触した潜在顧客を、見込み客から顧客、さらには優良顧客へと、時間をかけて育てていくために運営されます。
オウンドメディアマーケティングとは?
オウンドメディアマーケティングとは、オウンドメディアを活用したマーケティングの手法のことを指します。Webを使ったマーケティングではWeb広告が広く使われてきましたが、近年広告の数が増え過ぎたことによって、ユーザーがネガティブなイメージを持つようになってきました。
そこで、広告を使わずに効率的に成果を期待できるものとして、オウンドメディアマーケティングが注目されているのです。
企業がオウンドメディアを運用する3つの理由
企業がオウンドメディアを運用する3つの理由を、それぞれチェックしていきましょう。
● 新規顧客の獲得
● ユーザーとの関係構築
● 自社のブランディング
新規顧客の獲得
企業がオウンドメディアを運用する理由のひとつが、新規顧客の獲得です。オウンドメディアの運営によって新規ユーザーとの接触機会を作り、集客に活かしていきます。
近年、ユーザーは広告よりも自ら検索した情報を重視して、購入する商品やサービスを選定していくケースが多くなってきました。その流れを受け、各企業は検索エンジンに自社のオウンドメディアを上位表示させ、良質なコンテンツを提供することで、新規顧客の獲得につなげようとしています。
ユーザーとの関係構築
ユーザーとの関係を構築できることも、企業がオウンドメディアを運用する理由のひとつです。オウンドメディアで役に立つ情報を発信し続けると、企業に対するユーザーからの信頼度を高められます。SNSと連携し、ユーザーとより密にコミュニケーションを図ることで、自社のファンになってくれる人をさらに増やすこともできるでしょう。
また、オウンドメディアはリードナーチャリングのための手段としても有効です。リードナーチャリングとは、見込み客を育成して購買につなげるアプローチのことです。オウンドメディアによる情報提供で、見込み客の自社商品に対する興味を徐々に高め、購入を促進していきます。オウンドメディアを使ったリードナーチャリングは、営業から度々アプローチをかける必要性も低くなるため、効率的なマーケティングが可能となります。
自社のブランディング
オウンドメディアは、自社のブランディングにも効果的な手法です。オウンドメディアでのブランディングでは、コンテンツを通じて自社の考えや想いをユーザーに直接伝えられるため、発信内容をコントロールしながら企業イメージを作り上げられます。
自社のブランディングのためにオウンドメディアを運用する場合には、競合調査やペルソナ設計を行い、一貫性のあるメッセージを伝えていくことが重要です。
オウンドメディアと企業ホームページの違い
企業ホームページとは、一般的には企業がビジネスを目的として設計するコーポレートサイトを指します。コーポレートサイトも広義ではオウンドメディアではありますが、狭義では異なります。ここでは、オウンドメディアとコーポレートサイトとの主な違いを3つ解説します。
● 掲載している情報の種類
● 情報提供する対象ユーザー
● 目的
掲載している情報の種類
オウンドメディアとコーポレートサイトの大きな違いとして、「掲載している情報の種類」が挙げられます。コーポレートサイトは、一般的に会社概要など、幅広くその企業に関する情報を掲載する、言わば名刺代わりになる会社の顔のようなWebサイトであり、ある程度固定化された情報を掲載するのが特徴です。
一方オウンドメディアは、流動的に常に新しい情報を掲載するのが一般的です。特にブログ形式の情報配信サイトでは、日常的に記事を配信・更新し続け、動画やイラストなども使ってわかりやすく設計されているケースが多く見られます。
特定の領域に特化した情報サイトや、マーケティングなど最新のナレッジが必要とされるビジネス領域に焦点を当てた情報提供サイトなど、非常に高い更新頻度で運営されているものもあります。
情報提供する対象ユーザー
オウンドメディアとコーポレートサイトでは、「情報提供する対象ユーザー」も異なります。コーポレートサイトは、会社の基本情報を知りたい関係者や、既存顧客、取引先や株主、従業員といったビジネス上の人々が対象ユーザーとなります。
一方オウンドメディアは、不特定多数のユーザーに向けて発信し続けていくという特徴があるため、対象のユーザーは幅広いケースも多いでしょう。オウンドメディアによって見込み客の獲得を狙っている場合は、その見込み客が対象のユーザーとなります。
目的
オウンドメディアとコーポレートサイトでは、「目的」にも大きな違いがあります。それぞれの目的は企業によって異なりますが、例えば、コーポレートサイトではユーザーに購買行動を起こさせる「セールス」を目的とし、オウンドメディアでは見込み客を集める「集客(マーケティング)」を目的としているといったケースが挙げられます。
オウンドメディアとブログの違い
オウンドメディアとブログには、集客と活用方法に違いがあります。両者の効果を最大限発揮するためには、それぞれの強みを活かすことが重要です。
● ブログとは
● オウンドメディアとブログの集客
● ブログの活用方法
ブログとは
ブログとは、ウェブログの略称で、特徴としては以下の点が挙げられます。
● 意見・感想・思いを発信する
● 日記風に時系列で表示される
● ユーザーがコメントできる
企業が企業経営の戦略ツールとしてブログ形式で制作したWebサイトが、企業が運営するブログとなります。
関連記事:ブログの効果を最大化する「まとめ記事」とは!作り方をご紹介!
オウンドメディアとブログの集客
企業が運営するブログはオウンドメディアに含まれるので、集客チャネル(経路)は同じです。集客におけるオウンドメディアとブログの違いは、対象となるターゲットの幅と、情報量と言えるでしょう。
オウンドメディアの集客チャネルは、検索エンジンからの自然検索をベースとして、FacebookやX(旧Twitter)などのSNS、外部サイトからのリンクなどがあります。ブログ形式のオウンドメディアは、幅広いターゲットに大量の情報を発信することが可能なので、集客チャネルにキャッチされる可能性が高くなるのが特徴です。
対して、コーポレートサイトやコンテンツサイトなどの場合、ターゲットを絞り、ペルソナをしっかりと設定して、そのペルソナが必要とする情報を発信していきます。
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ブログの活用方法
オウンドメディアをブログ形式で運営することで、大きな効果を得られる可能性があります。有益かつ魅力的な情報を発信し、ユーザーとの接点を持つためにはブログが非常に効果的です。さらに、ブログは明確なニーズがないユーザーにアプローチするための手段としても活用できます。
ブログ形式以外のオウンドメディアでは、ターゲットを絞って情報を発信するため、ブログと比べると掲載する内容が限られることがあります。
ブログであれば、意見・感想・思いを発信することができ、時系列に記事を作成できるので、際限なくコンテンツを作り出せます。さらに、情報を多く発信することで検索エンジンにインデックスされる確率が高まるので、アクセス数を増加させたい時にも有効な方法と言えるでしょう。
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オウンドメディアとペイドメディアの違い
ペイドメディアとは、企業が広告費用を払って情報を掲載するメディアのことです。テレビCMや新聞広告、記事広告などのメディアを指し、Webではリスティング広告やバナー広告などのインターネット広告が挙げられます。
オウンドメディアとペイドメディアではこのように、広告費用の有無と、掲載する媒体が自社のものであるか他社のものであるかという点が、大きな違いとなります。
オウンドメディアとペイドメディア、そしてアーンドメディアとを合わせて、三大メディア、またはトリプルメディアと言います。アーンドメディアとは、SNSやブログなどのように、消費者やユーザー側が情報を発信するメディアのことです。
トリプルメディアとは
前述のとおり、トリプルメディアとは以下の3つの総称のことです。
● ペイドメディア(Paid media):リスティング広告や外部メディアのメール配信、DSP(広告主のために用意された広告配信プラットフォーム)など、広告費を払って運用するメディア
● アーンドメディア(Earned media):FacebookやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSに代表されるような、ユーザーとのコミュニケーションのなかで関係性を構築するメディア
● オウンドメディア
Webマーケティングにおいては、それぞれのメディアの特徴を理解して、自社のマーケティングの目的に合わせて効果的に連携させていくことが重要です。ここでは詳細な説明は割愛しますが、オウンドメディアの運用を考えていく際には、ペイドメディア、アーンドメディアとの連携も合わせて考えていく必要があります。
関連記事:トリプルメディアとは?オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアについて
オウンドメディアのメリットと活用法
ここからは、オウンドメディアのメリット、およびその活用法について解説します。
●オウンドメディアのメリット
●オウンドメディアの活用法
オウンドメディアのメリット
先述のとおり、オウンドメディアの大きなメリットとしては、見込み客の獲得やファンの醸成、SEO対策などが挙げられます。さらに、競合他社が同様のオウンドメディアを制作していない場合には差別化も図れるでしょう。
ほかにもオウンドメディアには下記のようなメリットがあります。これらについて、ペイドメディアやアーンドメディアと比較しながら見ていきましょう
●コンテンツが資産となる
●広告予算の削減ができる
●戦略的なマーケティングができる
●顧客のエンゲージメントが向上する
コンテンツが資産となる
ペイドメディアには即効性がありますが、広告は消費していくものであり、資産としては残りません。
一方オウンドメディアでは、有益な情報を蓄積していく形式のものもあるため、そういったメディア形式の場合は、自社にとって大きな資産になり得ます。さらに、SEO効果を高められれば、コーポレートサイトへの集客も見込めることから、結果的にオウンドメディアが広告の役割も果たしてくれます。
広告予算の削減ができる
ペイドメディアに広告を掲載する場合は、広告費がかかります。
これに対し、オウンドメディアは制作や運用にはコストがかかりますが、広告費という面においては無料で、自由に自社の情報を発信できます。また、それまでどの程度の広告費用をかけていたかにもよりますが、仮にコンテンツ作成をアウトソーシングする場合でも、結果的に広告予算を抑えられる可能性があります。
戦略的なマーケティングができる
ペイドメディアとオウンドメディアでは効果の特徴が対照的ですが、意図した形で施策を行えるのは共通です。設定したターゲットに対してコンテンツの提供を行い、PDCAを回しながら戦略的なマーケティングが行うことができます。
これに対しアーンドメディアは、ユーザーからの信頼を勝ち取るために、「いいね」やシェアなどユーザー側のアクションが必要であり、企業側で操作することはできません。
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顧客のエンゲージメントが向上する
見込み客となり得るユーザーとのコミュニケーションを図り、自社のエンゲージメントを上げていくことはSNSなどのアーンドメディアが非常に有効です。
しかし、検索エンジンを通してオウンドメディア上で顧客との接点を増やしていくことも、顧客のエンゲージメント向上には効果的です。オウンドメディアは自由度が高いため、適切に運用できれば、SEO効果により顧客との接点をさらに増やすことができるでしょう。
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オウンドメディアの活用法
メリットが多数あるオウンドメディアですが、実際に活用する際は、ターゲットや目的に合わせて運用していくことが重要です。具体的には、ブランディングや新規顧客・見込み客の獲得、採用などの目的のために活用するのが一般的です。企業はこれらの目的に合わせ、ブランドサイトやコンテンツサイト、ECサイト、採用サイトなどを運営します。
オウンドメディアは、このように企業にとってさまざまなメリットと活用法があることから、どのような目的で、どのような成果を挙げたいかを明確にしてから導入するとよいでしょう。
オウンドメディアのデメリット
オウンドメディアには下記のようなデメリットもあります。
● 成果が現れるのに時間がかかる
● 運用に手間がかかる
● リソースを必要とする
成果が現れるのに時間がかかる
オウンドメディアのデメリットとして第一に挙げられるのは、成果が出るまでに時間がかかることです。リスティング広告ならすぐに掲載されるので、効果はすぐに現れます。
対してオウンドメディアは、検索結果の上位表示を狙うため、それまでにはある程度の数の良質な記事が蓄積され、自然に被リンクを得られようにならなければなりません。オウンドメディアはじっくりと取り組んではじめて、結果が現れるのです。
しかし、オウンドメディアの目標は検索結果に上位表示されることではありません。上位表示されることにより得られたユーザーを、潜在顧客から見込み顧客、顧客、さらには優良顧客と育てていくことにより、売上を作っていくことです。ユーザーが潜在顧客から顧客へと育ち、売上が発生するようになるまでには、さらに時間がかかるのです。
運用に手間がかかる
オウンドメディアの第二のデメリットは、運用に手間がかかることです。オウンドメディアを運用する場合は、ユーザーをきちんと引きつけられる質の高い記事を量産していかなければなりません。記事の作成は、内製する場合であっても、外部に委託する場合であっても、企画や編集、校正、サイト制作、効果の検証などにかなりの手間をかけていかなければならないでしょう。
得られたユーザーを顧客へと育て、売上を作るためには、ユーザーと適切に接触することによりメディアへの訪問が途切れないようにする必要があります。そのためには、オウンドメディアを中心としつつも、メールなども活用したコミュニケーションを設計し、運用していくことが必要になるでしょう。
リソースを必要とする
メディアの立ち上げ・運用には、経済的・人的リソースが必要になります。また近年では、オウンドメディアに取り組む企業が増加したことにより競争が激化しており、ユーザーの獲得難易度が高くなってきています。他社と差別化するためには、シェアされやすいコンテンツの制作ノウハウやSEOへの知識も習得しなければならず、そのためには時間的リソースも必要となるでしょう。
オウンドメディアを成功させるためのSEOの重要性
先述のとおり、オウンドメディアを成功させるためには、SEOの知識と対策が重要です。どんなに手の込んだメディアでも、ユーザーの目に留まらなければ意味がありません。
SEO対策を適切に行えれば、検索結果の表示順位が上がり、安定したアクセスを得られるようになります。SEO対策によって検索順位をアップさせるには、「このWebサイトはユーザーにとって必要な情報を載せている」と、検索エンジン側に評価してもらえるようなページを作ることが重要です。
BtoBでのオウンドメディアの重要性
オウンドメディアは、BtoCのみならず、BtoBにおいても重要です。実際、BtoB企業の多くがオウンドメディアを戦略的に活用しています。
オウンドメディアがBtoBでも重要視されている理由は、企業の購買担当者が製品やサービスの購買を検討する際、それを扱っている企業のWebサイトから情報を得ることが多いからです。
以前であれば、カタログやパンフレット、あるいは営業担当者による説明が、企業の購買担当者が情報を入手するための大きな手段となっていました。しかし近年では、企業の購買担当者が製品やサービスの詳細情報を入手する際、対象企業のWebサイトを利用するケースが増えているのです。
BtoBビジネスにおいても、オウンドメディアをしっかりと運用することにより、企業の購買担当者を囲い込み、見込み客から顧客へと育てていくことができるのです。
オウンドメディアの作り方・戦略手順
続いて、オウンドメディアの作り方や戦略の手順についてチェックしていきましょう。なお、オウンドメディアは自社で立ち上げるだけでなく、外注して作ってもらうことも可能です。
● 課題とゴールの明確化
● KPIの設定
● ペルソナの設定
● 運用予算の設定
● コンセプトの設定
● コンテンツ内容の検討
● 運用体制の構築
課題とゴールの明確化
オウンドメディアを立ち上げる際は、まずは自社の課題を理解し、その課題解決に向けて計画を立て、ゴールを明確にしておきましょう。
目標の達成状況を判断する際の指標は、最終目標である重要業績評価指標(KGI)です。これとは別に段階的な目標のことをKPIと言いますが、KPIについての詳細は後述します。
KPIの設定
続いて、KPIの設定を行います。KPIとは、オウンドメディアの最終的なゴールであるKGIを成し遂げるために達成するべき、段階的な目標数値のことです。KGIやKPIを設定しておくことにより、メディアの目的や目標を見失わずに戦略を立てることができます。
例えば、オウンドメディアの運用目的が資料請求数の増加だとしましょう。この場合、月に何件のリードを獲得できれば目標達成となるのか、段階的な目標としてアクセス数はどれほどにしておくかなど、最終的なゴールに向けた取り組みの結果を評価しやすいよう、具体的な基準を設定しておきます。
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ペルソナの設定
次にペルソナを設定します。ペルソナとは、ユーザーの具体的な人物像のことです。オウンドメディアでは、ユーザーの目線に立って関心のあることや知りたいこと、悩んでいることに関する情報を中心にコンテンツを作っていきます。掲示板サイトやキーワードサジェストなどを基に、どのような人に向けて情報を発信するのかを設定していきましょう。
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運用予算の設定
オウンドメディアは広告費を削減しやすいというメリットがありますが、立ち上げや運用のためにはある程度のコストがかかります。オウンドメディアは成功した場合コストパフォーマンスは高いものの、予算は必要であるため、予め運用予算をしっかりと見積もっておきましょう。
コンセプトの設定
続いて、オウンドメディアのコンセプトを明確に設定します。「設定したペルソナに対してどのような情報を届けたいのか」をイメージすると、提供するコンテンツや機能、サービスなどが考えやすくなるでしょう。オウンドメディアを構築する前にコンセプトや目的をはっきりさせておくことで、コンテンツ内での訴求内容に一貫性が生まれ、ユーザーに効果的なアピールができます。
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コンテンツ内容の検討
次に、実際にどのようなコンテンツを提供するのか考えていきましょう。コンテンツ制作時は、読んだユーザーが拡散したくなるような内容になるよう意識しながら制作することをおすすめします。ユーザーが知りたい情報で、かつ独自性のある、質の高いコンテンツを作りましょう。拡散を意識して作り上げたページにはシェアボタンを設置するなどして、シェアしやすい仕組みをつくっておくとより効果的です。
運用体制の構築
記事やコンテンツを作り上げるのと並行して、Webサイトの開発も行います。オウンドメディア立ち上げの際は、1~3名などの少人数で始めるケースが多いようです。Webサイトの開発時期とコンテンツの制作時期は、なるべく間が空かないようにするといいでしょう。
検索結果で上位表示されるページが出始める時期として多いのが、50~100記事ほど投稿した頃です。オウンドメディアの効果を発揮させるためには豊富な記事が必要となるため、しっかりとした運用体制を構築しましょう。
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オウンドメディアの3つの集客成功事例
オウンドメディアで集客に成功した多くの企業のうち、ここでは3社の事例をご紹介します。
● 株式会社クラシコム
● サイボウズ株式会社
● 株式会社LINE
株式会社クラシコム
株式会社クラシコムでは、「北欧、暮らしの道具店」というECサイト内でコンテンツを提供する形で、オウンドメディアを運営しています。
北欧テイストの家具や雑貨が好きなユーザーからの絶大な人気を誇るWebサイトで、2016年時点のデータによると、毎月1,600万アクセスがあるそうです。ユーザーが読みたいと思う良質なコンテンツの提供や、商品の活用例による訴求により、効果的なメディア運営ができています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営しています。こちらは独自性の高いメディア運営をしており、KPIなど数字での目標設定は行わず、他メディアと被らないコンテンツを作成するという自社ルールがあります。
ユーザーとのコミュニケーションを徹底的に重視し続けたことで、TV番組で取り上げられたり自社のブランディングが強化されたりと、高い成果を生み出しています。
株式会社LINE
株式会社LINEでは、「OnLINE」というオウンドメディアを運営し、社内の取り組みやインタビュー記事などを配信しています。社内の雰囲気や活動内容を伝えることで、ユーザーからの求人応募を獲得し、採用力を強化することを目的とした採用オウンドメディアです。
柔軟な働き方ができる点などをアピールしつつ、リアルな情報を発信することで読み手と信頼関係を築き、求職者とのミスマッチを防いでいると考えられます。
HRベンダーによるオウンドメディア
HR業界にも、オウンドメディアを運営しているベンダー様がいます。下記に数社様をご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
● ベネフィット・ワン様『BOWGL』
● アデコ様『Power of Work』
● jinjer様『HR NOTE』
上記の3社のように、1メディアとして一定のPV数を維持しているオウンドメディアを運営しているHRベンダーはまだ多くはありませんが、SEO施策と合わせてニーズが高まっていると言えるでしょう。
まとめ
◆オウンドメディア(Owned Media)とは、「自社が所有するメディア」のことで、一般的にオウンドメディアという言葉を使う場合には、狭義としてブログ形式の情報発信サイトやある領域に特化した情報サイト、マーケティングを促進するための情報提供サイトなどを指す。
◆オウンドメディアと企業ホームページ(コーポレートサイト)の違いは、掲載している情報の種類や対象とするユーザー、目的である。
◆オウンドメディアのメリットとして、見込み客の獲得やファンの醸成、SEO効果、競合他社との差別化、情報資産の蓄積、広告費の削減などが挙げられる。