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なぜなぜ分析とは?意味とやり方、コツ、手順を解説

2024.9.5
読了まで約 13

なぜなぜ分析とは、問題の再発を防止するために、発生した事象の根本原因を徹底的に洗い出すための考え方です。

なぜなぜ分析を効果的に行うことで、起きた問題の解決と再発防止に繋げることができます。また、なぜなぜ分析は、幅広い業種において原因追及や問題解決として役立つだけでなく、プライベートでも利用できる方法です。

本記事では、なぜなぜ分析の概要や実施方法、効果的に行うためのコツについて解説します。

目次

なぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析とは、問題解決や改善に向けて問題の原因を探る方法の一つで、トヨタ自動車から生まれた手法となっています。

英語ではなぜを5回以上繰り返すことから、5whys(five whys)と呼ばれています。また、原因を究明し再発を防ぐ考え方から「Root Cause Analysis=RCA」とも呼ばれます。

なぜなぜ分析が具体的にどのようなものか解説していきます。

「なぜ」を繰り返して根本的な原因を探る分析手法

「なぜなぜ分析」とは、問題解決や改善に向けて、問題の原因を探る方法の一つです。具体的には、問題が発生した原因を追究するために、なぜその問題が発生したのかという原因を深掘りし、その原因にもう一度「なぜ?」と質問を繰り返していくことで、根本的な原因を見つけ出す手法です。

画像:なぜなぜ分析とは

例えば、ある製品の不良率が高いという問題があった場合、原因として「なぜ不良率が高いのか?」という質問を立てます。その回答が「検査ミスがあるからだ」という場合、「なぜ検査ミスが起こるのか?」という質問を繰り返し、根本的な原因を探っていくのです。

5回「なぜ」を繰り返すと、根本的な原因にたどり着く

なぜなぜ分析では、一般的には5回「なぜ」を繰り返すことで、根本的な原因を見つけ出すことができます。「なぜ問題が起こったのか?」「それはなぜか?」と何度も掘り下げることで、根本的な原因を見つけ出し、効果的な解決策や再発防止策の策定へと導くことができるのです。

しかし、場合によっては6回以上の「なぜ」が必要な場合もあります。そのため、状況や問題に合わせて「なぜ」の回数を調整する必要があります。

なぜなぜ分析を行う重要性

なぜなぜ分析を発案したトヨタ自動車は、会社として業務を進めていく上で「問題解決」と「再発防止」を目的に、なぜなぜ分析を生み出しました。業務上で起こった問題の原因を見つけることはもちろん、その後の予防策まで立てることができます。

もしも、問題が発生した際にその場しのぎで起きた問題を処置すると、その問題は再発し、同じことで会社としての損失を生んでしまうこととなります。会社の経営を行っていく上で、何度も同じ問題で会社の売上を下げてしまうことは、非常に大きな問題です。

一度起こした問題を十分に解決し、再発を防止して会社の経営を守っていくためにも、なぜなぜ分析による「問題解決」と「再発防止」が重要となるのです。

関連記事:インシデントとは!アクシデントとの違いも合わせて解説します!

なぜなぜ分析の実施方法

「なぜを5回繰り返せばいい」という考えだけでは、なぜなぜ分析を十分に実施できないかもしれません。次の5ステップを意識して、正確に行っていきましょう。

● 問題を設定する(具体的に定義する)
● 「なぜ?」を繰り返して深堀する
● 原因の根本を明確にしていく
● 解決策を設定していく
● 解決策の実施と検証

問題を設定する(具体的に定義する)

なぜなぜ分析を行う前に、解決したい問題を明確にする必要があります。問題が抽象的な場合は、具体的に定義することが大切です。具体的に定義することにより、解決すべき問題を正確に把握することができます。

例えば、「受注数が減少している」という問題を具体的に定義する場合、「先月比で受注数が20%減少している」というように、具体的な数字を挙げることができます。

「なぜ?」を繰り返して深堀する

問題を具体的に定義したら、「なぜ?」を繰り返して深堀していきます。このとき、「なぜ?」に答える際には、客観的なデータや事実に基づく回答を心がけることが重要です。感情や主観的な意見に基づいた回答では、根本的な原因を見落としてしまうことがあります。

例えば、「受注数が減少している」問題を例にとると、まず「なぜ受注数が減少しているのか?」と問いかけます。その回答として、「顧客が商品に興味を持たなくなったからだ」という回答があったとします。この回答に対して、「なぜ顧客が商品に興味を持たなくなったのか?」と問いかけ、さらに深堀します。

<なぜなぜ分析の例題>
「なぜ不良率が高いのか?」「検査ミスがあるからだ」

「なぜ検査ミスが起こるのか」「検査をする従業員の負担が増えたからだ」

「なぜ従業員の負担が増えたのか」「人手不足だからだ」

「なぜ人手不足なのか」「募集しても人が集まらないからだ」

「なぜ募集しても人が集まらないのか」「それは…」

といった具合に深掘りしていきます。

原因の根本を明確にしていく

5回目の「なぜ?」までたどり着くと、根本的な原因が明確になります。この原因についてもう一度「なぜ?」を繰り返して、原因に至る背景や状況を明確にしていく必要があります。
この背景や状況を把握することで、同様の問題が再発しないようにするための対策や予防策を立てることができます。

原因を明確にすることで、問題解決に向けた効果的な解決策を立てることができます。例えば、ある商品の売上が低いという問題があり、5回目の「なぜ?」で「顧客が商品を買いたくないから」という根本的な原因が明確になったとします。

この原因を明確にすることで、商品が顧客に受け入れられるように改善するための戦略を立てることができます。具体的には、商品の品質を改善する、価格を見直す、広告宣伝を強化するなどの施策が考えられるでしょう。

解決策を設定していく

原因を明確にしたら、次は解決策を立てていきます。解決策は、問題の原因に合わせて検討する必要があります。また、解決策を実行する上で、予算やスケジュール、人員などのリソースを考慮する必要があります。

解決策を検討する際には、以下のようなアプローチが有効です。

● 対象となる問題に関する情報を集める
● 専門家の意見や知見を取り入れる
● 複数の解決策を考える
● 各解決策のメリット・デメリットを評価する
● 最も妥当な解決策を選択する

解決策の実施と検証

最後のステップは、選択した解決策を実行することです。解決策を実施する際には、実行計画を作成し、責任者を割り当て、必要なリソースを確保する必要があります。また、実施計画を実行すると同時に、その成果を測定し、改善することが重要です。

解決策を実施する際には、問題が解決されたことを確認する必要があります。選択した解決策が問題を解決しているかどうかを測定するために、指標を設定することが重要です。これにより、解決策が有効であるかどうかを判断できます。

ある製造業者のなぜなぜ分析事例

ある製造業者のなぜなぜ分析事例を紹介します。ここでは一定期間、販売商品の生産がストップしてしまったことより、1ヶ月の売上が下がってしまった製造業者のなぜなぜ分析を試みてみましょう。

画像:なぜなぜ分析の例

このように、起きた問題に対して「なぜ?」を繰り返し、問題の根本を突き詰めていきます。最終的には実施可能な解決策を出し、問題解決と再発防止のためのアクションを起こしていくことができるのです。

そのため、なぜなぜ分析は企業では主に、品質管理や労働安全管理の現場で取り入れられている問題解決方法です。

関連記事:スイスチーズモデルとは?意味や事例をわかりやすく解説

なぜなぜ分析を効果的に行うためのコツ

なぜなぜ分析を効果的に行うには、注力するポイントがいくつかあります。以下を押さえて実施してみましょう。

● 解決したい問題を明確に・具体的にしておく
● 問題の経緯・背景を把握する
● 分析は客観的に行う
● 分析は連鎖して繋げる
● 業務との因果関係を意識する
● 解決策は実行可能なものにする
● 「なぜ」は5回以上でも良い

解決したい問題を明確に・具体的にしておく

なぜなぜ分析を効果的に行うためには、解決したい問題を明確に・具体的にしておくことが重要です。問題を明確にしておくことで、解決策の設定や実行がスムーズになります。

例えば、ある企業で生産ラインの停止が頻発しているという問題があるとします。この場合、単に「生産ラインの停止が頻発している」というレベルで問題を捉えるのではなく、停止の頻度や停止の原因、どのような損失が生じているのか、その背景にある要因などを明確にする必要があります。

問題を明確にすることで、解決策を設定する際には、どのような方法が効果的かを見極めることができます。例えば、生産ラインの停止が頻発している場合には、どのような点で改善が必要かを明確にして、解決策を設定することができます。

問題の経緯・背景を把握する

問題を解決するためには、問題の経緯や背景を把握することが重要です。問題が発生する前の状況や、問題が発生した原因、解決策を実施する前の状況などを明確にすることで、より効果的な解決策を導き出すことができます。

例えば、前述の生産ラインの停止が頻発している問題において、問題の背景を調べてみると、新しい製品の導入や製品の仕様変更、メンテナンスの不十分さなどが原因であることが分かりました。この情報を元に、解決策を設定することで、効果的な改善が可能となります。

分析は客観的に行う

なぜなぜ分析を行う際には、主観的な判断や予想に基づいた分析を行うことを避ける必要があります。分析は客観的に行い、根拠があるデータを元にして行うことが重要です。

例えば、製品の不良品が発生している原因が作業員のミスだと思われる場合、その仮説をすぐに確定的な原因として受け入れることは避ける必要があります。作業員のミスが原因となった可能性はあるかもしれませんが、それ以外の原因もある可能性があるため、客観的なデータを収集し、問題の原因を特定することが重要です。

分析は連鎖して繋げる

なぜなぜ分析は事象の繋がりを飛ばさないように、連鎖を意識して繋げる必要があります。

例えば、「作業者が歩行中に転倒してしまった」という事象に対して行う分析で、「床が滑りやすくなっていた」という分析では飛躍してしまっています。この例では、床が滑りやすくなっていた原因として「床が濡れていた」や「作業者の靴が摩耗していた」といったような事象があるはずです。

飛躍した解にならないように事象を分解し、連鎖して繋げていくことが重要です。

解決策は実行可能なものにする

問題が明確になり、根本原因を特定したら、次に考えるべきは解決策です。しかし、ただ解決策を提案するだけでは意味がありません。提案する解決策は、現実的かつ実行可能である必要があります。

解決策が現実的でない場合、その提案をするだけで業務がストップし、問題解決のための無駄な時間とコストがかかる可能性があります。実行可能性を考慮しない解決策を提案することは、結果として問題を解決するどころか、業務を停止させることにつながる場合があります。

解決策を提案する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

● 現実的であること
● 費用対効果が高いこと
● 実行可能であること
● 将来的にも問題が発生しないようになること

これらのポイントを意識した解決策を提案し、実行に移すことで、問題解決につながることができます。

「なぜ」は5回以上でも良い

「なぜなぜ分析」の最大のポイントである「なぜ」を繰り返し、根本原因を特定することが重要です。一般的に、「なぜ」を5回程度繰り返すことが推奨されていますが、場合によっては5回以上必要な場合もあります。

問題を解決するためには、根本原因を見極めることが不可欠となり、そのためには「なぜ」を繰り返して考えることが必要です。根本原因を見つけることで、同様の問題が再発することを防ぐことができます。また、根本原因を特定することで、単に問題を解決するだけでなく、業務改善につながる可能性があります。

ただし、何度も「なぜ」を繰り返しても、解決策が見つからない場合もあります。その場合は、別のアプローチを考える必要があります。何度も「なぜ」を繰り返すことで、それだけで解決策が見つかるわけではないことを理解しておきましょう。

なぜなぜ分析が上手くいかない時の注意点

なぜなぜ分析は、問題を根本的に解決するために非常に有効な手法ですが、上手くいかないこともあります。なぜなぜ分析が上手くいかない時は、以下の点に注意してみてください。

● 解決したい問題が曖昧でないか
● 分析に個人的な感情や思い込みが入っていないか
● 答えが曖昧なまま、なぜなぜ分析を進めていないか
● ただの推測で分析を行っていないか
● 個人の問題にしてしまっていないか

解決したい問題が曖昧でないか

まず、なぜなぜ分析が上手くいかない理由として、解決したい問題が曖昧なままであることが挙げられます。なぜなぜ分析は問題の根本的な原因を特定するために行うものですが、解決したい問題が曖昧である場合は原因の特定もできず、上手くいかなくなってしまいます。

例えば、社員のモチベーションが低下しているという問題があったとします。しかし、これだけでは問題の特定ができていません。モチベーションが低下している原因を「なぜ」と追求していくことで、具体的な問題点を特定する必要があります。

分析に個人的な感情や思い込みが入っていないか

なぜなぜ分析は客観的な視点で問題を見つけ、解決策を導くことが必要です。しかし、分析を行う人が、個人的な感情や思い込みに基づいて分析を行ってしまうことがあるため、注意が必要です。

例えば、上司が社員のミスを非常に怒り、その社員を問題児扱いすることがあるかもしれません。この場合、上司の怒りに基づいて問題を特定してしまう可能性があります。しかし、なぜなぜ分析では感情的な問題ではなく、事実に基づいた問題の特定が必要です。

答えが曖昧なまま、なぜなぜ分析を進めていないか

なぜなぜ分析は、答えを明確にするために行うものであり、その答えが曖昧なまま分析を進めていると、本来の目的を果たせません。分析を進めるうちに問題の本質にたどり着くことができず、結局、解決策を見つけることができないまま時間だけが経過してしまうことになります。

答えが曖昧なままなぜなぜ分析を進めてしまう原因としては、情報収集不足や分析の進め方に問題がある場合が考えられます。情報収集不足の場合、問題の本質に関わる情報を収集できていないことがあります。また、分析の進め方に問題がある場合、適切な方法で分析を進めることができず、答えが曖昧になってしまうことがあります。

このような場合、問題の本質に関わる情報を収集し、答えを明確にするために、他の分析手法を併用することが有効です。例えば、フォー・ホワット・マップ(4W1H)やフィッシュボーン図などのツールを使って、問題の本質をより詳細に分析することができます。

ただの推測で分析を行っていないか

なぜなぜ分析は、推測や想像に基づいた分析ではなく、事実に基づいた分析を行うことが重要です。ただの推測で分析を行ってしまうと、実際の問題とは異なる問題点に焦点が当てられてしまい、正しい解決策を見つけることができません。

事実に基づいた分析を行うためには、データを収集し、分析に使用することが必要です。データには、問題の発生状況や影響範囲、原因となった事象などが含まれます。また、統計的な分析を行うことで、問題の原因を特定することができます。

個人の問題にしてしまっていないか

なぜなぜ分析が上手くいかない時の注意点として、個人の問題にしていないかを注意しましょう。これは、問題を分析する際に、自分自身がその問題に関わっていることが原因で、客観的な視点を失ってしまうことがあるためです。

例えば、あるチームがプロジェクトの進捗が遅れているという問題に直面した場合、チームリーダーが「私が指示を出し忘れたから遅れているんだ」というように、個人的な問題にしてしまうことがあります。これでは、遅れの原因を客観的に見極めることができず、問題解決にはつながりません。

個人の問題になっている場合は、他のチームメンバーとも協力し、客観的な視点で問題を分析しましょう。そのためには、問題の本質を見極め、解決策を模索することが必要です。

関連記事:5W1Hとは?意味や正しい順番、ビジネスでの使い方を解説

企業の問題に対してなぜなぜ分析を行う時のコツ

企業にとって問題解決は必要不可欠な作業です。その際に、なぜなぜ分析を有効に活用することで、問題解決をスムーズに進めることができます。ここでは、企業の問題に対してなぜなぜ分析を行う時のポイントについて紹介します。

業務に携わる複数人で分析を行う

企業の問題に対してなぜなぜ分析を行う場合、業務に携わる複数人で行うことが重要です。単独で行うよりも複数人で行ったほうが、より多角的な視点から問題を捉え、解決策を見つけることができる可能性があります。

例えば、ある製造工場で製品の不良率が上がっているという問題が発生した場合、生産ラインの担当者や品質管理担当者、製品の設計者など、関係者全員が集まって問題を分析することで、より深い原因や解決策を見つけることができます。

ただし、複数人で分析を行う場合には、意見の食い違いやコミュニケーションの課題が生じることもあります。そのため、分析の進め方や意見のまとめ方について、事前に共有することが大切です。また、各メンバーが自由に発言できるような雰囲気を作り、全員が参加しやすい環境を整えることも必要です。

現場と照らし合わせて行う

企業の問題に対してなぜなぜ分析を行う際には、現場と照らし合わせて行うことが重要です。現場で起こっている実際の問題を把握し、それに対して分析を行うことで、より具体的な解決策を導き出すことができます。

現場と照らし合わせる際には、具体的なデータや事例を把握し、それを基に分析を行うことが重要です。また、現場のスタッフや関係者とコミュニケーションを取りながら、現場の実態や課題を正確に把握することも必要です。

属人的な要素は排除する

なぜなぜ分析を行う際には、個人的な意見や主観的な判断を排除することが重要です。特定の人物に責任を負わせたり、個人的な嗜好を反映させたりすることは避け、客観的な視点で問題を分析しましょう。

例えば、ある商品の販売数が落ち込んだ場合に、企業の従業員がその原因を「商品デザインが悪いから」と主張することがあります。しかし、その従業員が自分でデザインを担当している場合や、商品デザインに関する専門的な知識を持っている場合であれば、その主張は客観性を欠いたものになってしまいます。

このような場合には、問題を客観的に捉えるために、複数の立場の人たちで議論を行うことが必要です。また、データや統計情報を活用することで、主観的な判断を排除し、客観的な事実に基づく分析を行うことができます。

さらに、属人的な要素を排除することで、問題解決のために必要な変更点や改善点を明確化することができます。個人的な意見や主観的な判断が反映された分析結果では、問題解決に必要な課題や課題の重要度が明確にならず、的確な対策を立てることができません。

複数の要素をまとめない

なぜなぜ分析を行う際には、調査対象となる問題を細かく分解し、一つずつ原因を探っていく必要があります。そのため、複数の要素を一つにまとめてしまうと、本当の原因を見つけ出すことができず、解決策が不十分になってしまう可能性があります。

例えば、ある企業で売上が低迷しているという問題があったとします。ここで、なぜなぜ分析を行い、原因を探っていくと、以下のような結果が得られたとします。

● 売上が低迷している
● 営業メンバーのモチベーションが低い
● モチベーションが低いのは、報酬が低いから
● 報酬が低いのは、経費削減のため

ここで、経費削減が原因だと結論付けてしまうと、原因を特定することができず、解決策も不十分なものになってしまいます。そこで、それぞれの要素を一つずつ分解していくことで、本当の原因を特定し、解決策を策定する必要があります。

従業員全員が取り組める解決策になっているか

最後に、なぜなぜ分析を行う際に重要なポイントとして、従業員全員が取り組める解決策になっているかどうかを確認することが挙げられます。なぜなら、分析によって見つかった解決策が、実際に実行されなければ意味がないからです。また、解決策が実行されたとしても、その影響が限定的であれば、企業の問題を解決することはできません。

そこで、企業全体が取り組める解決策かどうかを確認する必要があります。例えば、解決策が特定の部署や職種に限定されていたり、実行に必要な予算やリソースが限られていたりする場合、従業員全員が取り組める解決策ではありません。

企業全体が取り組める解決策を見つけるためには、分析に参加する複数の部署や職種の人たちを含め、広く意見を集めることが大切です。また、解決策が実行可能かどうかを確認するために、予算やリソース、社内ルールなどを考慮した上で、実際に実行可能な計画を立てる必要があります。

なぜなぜ分析の無料フォーマット・テンプレート

なぜなぜ分析の無料フォーマット・テンプレートを扱っている企業をいくつかご紹介します。

● なぜなぜ分析テンプレート – Miro
● なぜなぜ分析テンプレート – ATLASSIAN
● なぜなぜ分析テンプレート – Dolly Blog

なぜなぜ分析テンプレート – Miro

Miroは、アムステルダムとサンフランシスコに共同本社を置いているソフトウェア会社です。さらに、東京をはじめシドニーやロンドン、パリなど世界各地にも支社を置くグローバルな企業として躍進中です。

Miroの提供しているなぜなぜ分析テンプレートは、色分けがされており非常に見やすく作られているのが特徴です。
なぜなぜ分析テンプレート – Miro

なぜなぜ分析テンプレート – ATLASSIAN

ATLASSIANは、オーストラリアのシドニーに本社を置くソフトウェア会社です。主に法人向けのプロジェクト管理や課題管理に関するソフトウェアを開発・販売しています。

プロジェクト管理や課題管理を専門としている企業だけに、なぜなぜ分析テンプレートも細かく作られています。
なぜなぜ分析テンプレート- ATLASSIAN

なぜなぜ分析テンプレート – Dolly Blog

Dolly Blogは個人ブログで、主にビジネス関連や自己啓発関連のコンテンツを掲載しています。ビジネスフレームワークに関するコンテンツもたくさんあり、なぜなぜ分析テンプレートの他にもたくさんの無料テンプレートが提供されています。

こちらのなぜなぜ分析テンプレートは、非常にシンプルで分かりやすく作られており、他のテンプレートが複雑で難しい場合は、まずこちらのテンプレートをおすすめします。
Dolly Blog

なぜなぜ分析をする前に身につけたいロジカルシンキング

なぜなぜ分析を論理的に、かつ効果的に進めていくためには、ロジカルシンキングも身につけておきたい手法のひとつです。以下ではロジカルシンキングについて詳しく解説します。

● ロジカルシンキングとは
● ロジカルシンキングのメリット
● ロジカルシンキングのデメリット
● ロジカルシンキングの特徴

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは、日本語では「論理的思考法」と呼ばれるもので、事象の関係性を客観的に把握し、それを基に物事への理解や問題解決などを図っていく思考法です。

ロジカルシンキングは論理的で、一貫して筋の通った考え方であるため、感覚や主観に左右されない思考展開が可能となります。

ロジカルシンキングのメリット

ロジカルシンキングには以下のようなメリットがあります。

● 自分の考えをシンプルに伝えることができる
● 問題解決スキルが向上する

自分の考えをシンプルに伝えることができる

プレゼンテーションなどの場において、自分の考えをシンプルかつ分かりやすく伝える能力は必要不可欠です。これができないと、「結局何が言いたいの?」と思われてしまうこともあります。

最初はまとまりがないように思える自分の考えも、ロジカルシンキングを用いて順序立てて論理的に整理していけば、聞き手にも要点を分かりやすく伝えることができます。

問題解決スキルが向上する

ロジカルシンキングを効果的に使えるようになると、事象の因果関係を的確に理解する能力が磨かれるため、結果として問題解決スキルも向上します。
また、問題解決能力が向上すれば仕事の生産性もアップし、ひいては自分の能力の総合的な底上げにもなるでしょう。

ロジカルシンキングのデメリット

ロジカルシンキングは、論理的に解決策を導き出す際には効果的ですが、物事の前提条件がそもそも正解か不正解かを判断できる思考法ではありません。つまり、前提条件がそもそも間違いであった場合、適切な結論にたどり着かないこともあります。

そのような事態にならないよう、ロジカルシンキングで分析などを進めていく時には、そもそもの前提が正しいのか否かを最初に見極めることが大切です。

ロジカルシンキングの特徴

ロジカルシンキングの特徴としては以下があります。

● 考え方やその主張に筋が通っている
● 主観が介入しない
● 合理的である
● 要素を分解しながら考える
● 原因と結果への正しい理解
● 言葉や数字の正確な使用

考え方やその主張に筋が通っている

ロジカルシンキングの特徴のひとつが、考え方やその主張にきちんと筋が通っていることです。筋の通った思考を進めていくためには、「ピラミッドストラクチャー」というフレームワークが便利です。

ピラミッドストラクチャーでは、結論を三角形の頂点に置き、その根拠となる項目を下段に並べていきます。結論と根拠がピラミッド状に図式化されることで視覚的に物事を捉えられ、論理展開が行いやすくなります。

関連記事:ピラミッドストラクチャーとは?ロジックツリーとの違い、具体例を紹介

主観が介入しない

ロジカルシンキングはあくまで論理によって行われる思考法であるため、その人自身の主観や感情が入ってはいけません。認知バイアスやハロー効果などによる先入観や非合理的な判断、及び直感や経験則に基づく曖昧な結果も排除されます。

合理的である

ロジカルシンキングでは合理的であることも大きな特徴です。手当たり次第に問題解決に着手するのではなく、優先順位を的確に判断し、然るべき課題から順に処理をしていくことが大切です。

要素を分解しながら考える

ロジカルシンキングでは、その過程において様々な情報や論理を分解していきます。

この分解をしていく際に気をつけなければならないのが、「重複や漏れ」です。同一課題中に情報や論理の重複や漏れがあると、結果に矛盾が生じることがあるため、これらは排除する必要があります。

そこで役に立つフレームワークが、「MECE(ミーシー)」です。MECEは英語で「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」と書き、「互いに重複せずに全体として漏れがない」という意味になります。

このMECEというフレームワークを活用することで、情報や論理を「重複せずに漏れなく」分解していくことができます。

関連記事: MECE(ミーシー)とは?ビジネスで使えるロジカルシンキングの基本を解説

原因と結果への正しい理解

原因と結果の関係を正しく理解することもロジカルシンキングにおいて重要です。偏った考え方や主観に捕らわれず、その事象が起こった真の要因を把握できてはじめて、根本的な問題解決が可能となるのです。

言葉や数字の正確な使用

ロジカルシンキングでは、出てくる言葉の定義や数値も正しく捉え、適切に扱わなければなりません。

例えば、グループや集団において順位付けを行う場合、「絶対評価」を用いるのか「相対評価」を用いるのかで結果が変わってきますが、両者の定義や定量的な基準を間違って認識してしまうと、適切な結論を導くことはできません。

このように、言葉の定義や数値などを適切に捉えることも、ロジカルシンキングでは重要な意味を持つのです。

ロジカルシンキングは以上のような特徴から、論理性が重要とされるなぜなぜ分析にとても効果的な手法です。なぜなぜ分析をより意味のあるものにするために、ぜひ積極的に身につけていきましょう。

なぜなぜ分析とは?意味とやり方、コツ、手順を解説 まとめ

今回は「なぜなぜ分析」について解説してきました。「なぜなぜ分析」は、問題解決において非常に有効な手法です。この手法を使えば、表面的な問題だけでなく、根本的な原因を探り出すことができます。

また、この手法を使うことで、意思決定における感情的な側面を排除することができます。そのため、より客観的に問題解決を行うことができます。

「なぜなぜ分析」を効果的に行うためには、問題を明確に具体化し、客観的に分析を行うことが重要です。また、分析は繋げて考えることが必要であり、答えが曖昧なまま放置することは避けるべきです。

企業の問題に対してなぜなぜ分析を行う場合には、業務に携わる複数人で分析を行うことや、現場と照らし合わせることが重要です。また、個人的な要素は排除し、従業員全員が取り組める解決策を見つけることが必要です。

問題解決には様々な手法がありますが、その中でも「なぜなぜ分析」は、客観的に問題を解決することができるため、非常に有用です。ぜひ今回の内容を参考にして、問題解決に取り組んでみてください。

関連記事:労働安全衛生法とは?違反しないために企業が守るべき重要事項をわかりやすく解説

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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