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LTV(ライフタイムバリュー)とは?算出方法や最大化するポイント

2024.7.18
読了まで約 11

近年、どの市場も成熟し、新規顧客獲得のハードルが上がっています。そのような中、既存顧客をいかに育て、利用継続してもらうかが重要視され、LTV(ライフタイムバリュー)を高めることが注目されています。

そこで今回は、LTVとは何か、LTVの算出方法、高め方、LTVを高めることに成功した事例を解説します。

LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは「顧客生涯価値」のことを指します。

顧客が企業のサービスを利用する際に、生涯に渡って利用する合計額を算出した数字のことです。顧客は個人だけでなく、法人の場合もあります。法人の場合は、その法人顧客がサービスと取引を始めて、その取引が終了するまでの期間で、どれだけその法人顧客から利益が得られたかということを指します。

もし個人、もしくは法人顧客が他のサービスに移ってしまうなどして、自社サービスを使わなくなってしまうまでに、どれだけ自社に代金を支払ったかの金額の総額のことです。

ここまでご説明して、おおよそ想像がついたかと思いますが、特に日用品や健康食品、化粧品など、日常的に継続購入する商品を取り扱っている場合や、月額一定額を支払い続ける課金型のサブスクリプションなどのサービスを提供している場合に、重要な指標となります。

後ほど詳しく算出方法をご紹介しますが、LTV(ライフタイムバリュー)はマーケティングの成果指標として取り扱われています。

LTV(ライフタイムバリュー)が高いほど顧客ロイヤリティが高い

LTV(ライフタイムバリュー)は、その数値が高いほど、長い間、サービスを利用しているということになります。つまり、その企業やサービスに対して信頼や愛着があると言い換えることも可能です。マーケティングにおいては、このような状態を「顧客ロイヤリティ」が高い状態と呼びます。

一般的に、顧客ロイヤリティの高い顧客ほど企業にとって収益性が高く、顧客ロイヤリティの高い顧客は長期間、企業に大きな利益をもたらします。

つまり、逆を言えば、顧客の顧客ロイヤリティを高めていくことによって、LTV(ライフタイムバリュー)を高めていくことができるということです。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

 

LTV(ライフタイムバリュー)がマーケティングで注目されている背景

ぜひLTV(ライフタイムバリュー)を高めていきたいものですが、そもそもなぜ近年、LTV(ライフタイムバリュー)が注目されているのか、その背景を確認しておきましょう。

市場の成熟化による競争の激化

近年、どの市場も成熟しており、商品のコモデティ化が進んでおり、競争が激化しています。そのような中で、企業は新規顧客獲得に苦戦しているのが事実です。

実際、新規顧客を獲得するためにかかるコストは、既存顧客の利用継続のコストと比べて多額のコストがかかるといわれています。競争が激化するほど、新規獲得コストは増大していきます。そのため、企業にとっては新規顧客を獲得していくよりも、既存顧客を大切にし、継続購入と利用拡大を促すことが、利益を生み続け、さらに利益を最大限に拡大していくために有効という考え方が浸透してきています。

このような状況から、新規獲得のためのマーケティングや販促活動を行いながらも、既存顧客の継続利用を促進させる施策を重要視する流れが起きています。そのため、LTVという指標が企業の中で重要指標となっているのです。

サブスプリクション型サービスの台頭


また、サブスプリクション型サービスの台頭も、LTVが重要視されている背景にあるといわれています。

サブスクリプション型サービスとは、月額料金等の定額を支払い、その契約期間に商品やサービスの利用が可能となるサービスを指します。近年は、動画や音楽、電子書籍や雑誌、コミック、ゲーム定額配信、ソフトウェア定額配信などのデジタルコンテンツのサブスクリプショサービスが人気を博しています。一方で、デジタル系以外の、洋服やアクセサリー、バッグ、時計等のファッション、家具やインテリアなどの定額利用サービスなども注目を集めています。

これらのサブスクリプション型サービスの流行は、消費者の価値観変化によるものといわれています。その価値観とは、いわゆるモノ消費からコト消費への変化といわれるように、商品のモノ自体の価値を超えた、体験そのものに価値を見出し、コトへと対価を支払うようになってきたということです。この消費者の価値観変化に応えるように、あらゆる体験ができるサブスクリプション型サービスがどんどん生まれてきており、この市場は大きく進化を遂げました。

矢野経済研究所の調査データによると、日本国内における、2019年度のサブスクリプション型サービスの市場規模は約6,835億円に達しており、年々大幅に増加していくことが予想されています。

このサブスクリプション型サービスは、「継続」利用・購入という観点から、まさにLTVが重要なサービス形態であることから、より一層、各サービス提供事業者はLTVを重要視してマーケティング等に取り組んでいます。

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、国民が外出自粛を余儀なくされる中、自宅時間を楽しむためのデジタル系サブスクリプション型サービスはさらに注目を集めています。

これらが近年、LTVが注目されている背景といわれています。

LTV(ライフタイムバリュー)の算出方法

LTVを指標にしてマーケティングを実施することは、今の時勢に合っているといえます。では、具体的に、どのようにLTVを実施していくことができるのでしょうか。その第一歩として、LTVの算出をしてみましょう。

LTVの基本的な計算式は次の通りとなります。

平均購買単価とは、顧客が1回当たりに購入する平均単価です。

平均購買頻度とは、簡単に言えば平均のリピート率のことです。「多くの顧客は、一年に同じ商品を何回買うか?」ということです。

平均継続期間とは、その商品やサービスを顧客が使い続けてくれる平均期間のことを指します。

この計算式に、例えば、毎月の定期購入コースが用意されている、ある健康食品にあてはめてみましょう。

平均購買単価が2,000円、平均購買頻度は毎月1回なので1年に12回、一年間のうちで20%が購入をやめるといった場合、平均継続期間は「1年÷0.2」で5年となります。

すると、2,000円×12×5=120,000円となり、この商品のLTVは、120,000円ということになります。

これはどういうことなのかというと、この健康食品の顧客を一人確保するごとに、年間で120,000円の売上が期待できるということです。

また、LTVは、顧客の獲得コストと維持コストを差し引いた金額で表す場合もあります。

LTV=(平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間)-(顧客獲得コスト+顧客維持コスト)

LTV(ライフタイムバリュー)を算出するメリット

ところで、なぜLTVを算出する必要があるのでしょうか。その必要性を見ていきましょう。

既存顧客の継続・拡大のための施策のため

先ほど、LTVが注目されている背景として、市場競争が激化している点から、既存顧客を大切にする流れが起きているとご説明しました。これもLTVを算出する必要性の根拠となります。競合他社に顧客を取られてしまわないためには、LTVを算出して、自社商品やサービスの顧客にとっての価値を知り、顧客に継続購入し続けてもらったり、他商品も購入してもらったりするための施策を計画的に実施する必要があります。施策は戦略立てて行うことではじめて成果が出るものです。そのために、指標となるLTVの算出は大前提といえます。

既存顧客を大事にする思想が生まれる

新規顧客獲得にばかり意識がいくと、どうしても売り切りや、その場限りの対応をしてしまうこともあります。しかし、そうしたその場限りの対応をしていると、顧客からの長期にわたる信頼を得ることはむずかしいのが現実です。そこで、LTVを算出して、LTVの向上に取り組むことで、既存顧客を大事にする思想が生まれ、コミュニケーションもサポートも大切に行う傾向が出てくるはずです。そうした思想面での意味もLTV算出にはあるといわれています。

顧客満足度が下がったのを見極められる

LTVは、顧客満足度と密接に関係しています。当然、LTVの値が下がれば、顧客満足度も低下したと見るのが通常です。そのため、定期的にLTVを算出していれば、もし下がった場合に、顧客満足度が下がったことに気付くので、下がった要因を発見しやすくなります。問題が早期に発見できれば、対策を実施しやすくなります。すぐに顧客満足度を戻し、向上させることもできるでしょう。

顧客ロイヤルティを向上させることができる

先にも触れましたが、LTVが高いほど、顧客ロイヤリティが高いといえます。LTVを算出すれば、顧客ロイヤリティの高さが分かるので、低い場合には向上させる施策を取りやすくなります。数値で表すことで、「Aの商品は、Bの商品よりもLTVが●円低いので、顧客ロイヤリティが低いといえる。Aの商品の顧客ロイヤリティを上げるにはどうすればいいか?」といったような考えに至りやすくなります。

これらのように、LTVを算出して数値として見える化しておくことは、さまざまなメリットがあります。

LTV(ライフタイムバリュー)を向上させるメリット

ではここからはLTVを向上させるメリットについて解説していきます。少し前述した内容もありますが、LTVを向上させることは自社のビジネスにおいてどのようなメリットがもたらされるのかしっかり把握しておきましょう。

安定的な事業経営に繋がる

LTVを向上させることの最大のメリットは安定的な事業経営に繋がることです。既存顧客に価値を提供して良好な関係性を構築することで、既存顧客が自社の商品・サービスのファンとなってくれます。自社の商品・サービスのファンになってくれると、その商品・サービスに愛着が湧き、長期間による商品・サービスの購入が見込めるようになります。

前述した「1:5の法則」から考えて、もちろん新規顧客獲得のための施策を行っていくことも重要ですが、既存顧客の満足度向上から長期間による商品・サービスの購入を実施することで安定した売り上げを上げることができるようになります。

口コミによる新規顧客獲得が期待できる

LTVを向上させることにより、口コミによる新規顧客獲得が期待できるというメリットもあります。顧客が自社の商品・サービスのファンとなってくれると、顧客自身が自ら気に入った商品・サービスを友人や家族などの親しい人に口コミで紹介してくれたり、SNSで口コミ投稿をしてくれたり、広告塔のような役割を果たしてくれるようになります。

親しい人からの口コミはWebの広告などの宣伝方法より信頼されやすい傾向にあるので、口コミからの新規顧客増加が見込めるようになります。いかに既存顧客が「色んな人に教えたくなる」ポイントを押さえつつLTVを向上させていくことが重要となるでしょう。

関連記事:口コミで広がるバイラルマーケティング!そのメリットや実施のポイントとは?

LTV(ライフタイムバリュー)を高める方法

では、いよいよ、LTVを高めるための方法をご紹介します。

LTVを高めるためには、次のことを実施するのが一般的です。

・平均購買単価を上げる
・平均購買頻度を上げる
・平均継続期間を伸ばす
・原価を抑制する
・顧客の獲得コストを効率化する
・顧客の維持コストを効率化する

上3つの項目については、LTVの算出式である「LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間」を思い出してください。これを見れば一目瞭然です。それぞれの値を上げれば、掛け算なのでLTVの値が上がります。

また、他のコストについても効率化しなければなりません。例えば、顧客の獲得効率が悪く、コストがかかりすぎるといった場合、いくらLTVが高くても利益は望めません。それは維持コストについても同様です。

では、それぞれの具体的な方法をご説明します。

平均購買単価を上げる

商品・サービスの購入単価を高めることで必然的にLTVの数値が向上します。単純に商品・サービスの値上げをするということです。しかし、顧客目線を考えず極端に値上げを実施してしまうと顧客離れを引き起こす原因にもなります。特に顧客が安価であることを求めて自社の商品・サービスを購入してくれていたとしたら、多くの顧客は競合他社に流れてしまう可能性があります。簡単に商品・サービスの値上げを行うだけでなく、顧客目線に立って「値上げをしても納得してもらえるか」という観点から判断しましょう。

また、購買単価を上げるための一般的な方法は、同じ商品を数多く買ってもらったり、より金額の高い商品や複数の商品を購入してもらったりする施策を行うことです。より金額の高い商品を買ってもらうことを「アップセル」、関連商品なども合わせて買ってもらうことを「クロスセル」と呼びます。同じ商品の購入数を増やしてもらったり、よりランクアップした商品を買ってもらったり、複数の商品を買ってもらったりすれば、1回当たりの購買単価は自ずと上がります。そうすれば、LTVも必然的に上がります。

平均購買単価を上げる手法としては、後ほどご説明するカスタマーサクセスを意識して、手厚いフォローをすることが一つ挙げられます。また、ネットショップであれば、Webサイト上でおすすめ商品や関連商品を掲示することで、クロスセルにつながりやすくなるでしょう。

関連記事:アップセルとクロスセルの違いは?戦略として取り組む際のポイントと事例

平均購買頻度を上げる

買ってもらう頻度を増やすには、まず平均購買単価とは異なるという点を理解する必要があります。頻度を上げるというのは、追加で買ってもらうこととは異なります。頻度というのは、「繰り返し同じものを買いたい」という欲求に基づくものです。これには、マーケティングや販促だけの問題ではなく、商品そのもののクオリティにも関わってくることです。いくら追加で多く購入してもらっても、商品が使えないものだったらどうでしょうか。もうその商品は買ってもらえなくなるでしょう。ここが継続してもらう重要なポイントとなります。

もちろん、顧客に対するフォローがポイントとなります。例えば、「そろそろ定期購入の時期がまいりますが、いかがでしょうか?」など、良きタイミングで顧客に強制にならないよう、注意しながら定期購入を促すという形が理想的といわれています。他社への乗り換えの検討の時間を与えないためにも、良きタイミングを見計らって計画的に案内をメールなどで送付するなどの方法が考えられます。

ダイレクトメールや公式LINEなどのメッセージで定期的に情報発信を実施し、顧客との関係性を保ちましょう。
利用していただいた自社の商品・サービスのことについて情報発信も良いですが、商品・サービスのアップグレードや顧客にとって有益な情報も発信していくと良いでしょう。顧客にとって新しい可能性を提案できれば、購入のきっかけになるかもしれません。

関連記事:メルマガとは?配信の目的やメリット、開封率が上がる作り方

平均継続期間を伸ばす

できるだけ長く買ってもらうこと、離脱させないことが平均継続期間を伸ばすポイントとなります。これも、これまでご説明してきた内容に深く関わることですが「顧客ロイヤリティ」が重要となります。顧客にいかに自社や商品を信頼し、支持してくれるかというところが重要になってきます。そのため、顧客とのコミュニケーションの際に親身になって対応する、カスタマーサポートを手厚くするなどの直接的なかかわりはもちろんのこと、企業として信頼を寄せられるような活動も重要になってきます。

顧客に商品を買ってもらったり、サービスを契約してもらったりしたら、顧客がそれを用いて何かの成功を創出するまで、手厚くサポートするカスタマーサクセスを意識した施策が有効です。「売ったら終わり」ではなく、顧客が目的を達成できるように支援することで、この商品やサービスを使い続けてもらうことができるでしょう。これはBtoB商材の場合には特に有効といえます。

定期的に顧客の求める情報発信をしたり、その商品・サービスを使いこなすためのHow toの情報をお伝えしたり、顧客が「自分には必要なサービスだ」と感じるための施策を実施していきましょう。サブスクリプションのサービスであればそういった情報発信によって解約率を下げることができるというメリットもあります。

原価を抑制する

単純ですが、原価を抑えることも重要になります。いくら販売価格が高く売れても、原価が高ければ得られる利益は少なくなります。今より安く仕入れる方法が無いかなど、原価を抑える材料や仕入れ方法を探ってみましょう。この「原価を抑制する」というのは自社の努力次第ですし、まず手始めに実施できる部分でもあります。ただ、原価を抑制するあまり、自社の商品・サービスのクオリティが落ちてしまっては元も子もありません。お客様が満足するクオリティを保ちながら試行錯誤を行っていきましょう。

顧客の獲得コストを効率化する

顧客を獲得するためのコスト、例えば広告費を効率化します。ただコストを下げるという意味ではなく、効率的に実施し、最適化するという意味です。LTVを算出し、LTVの高さに応じて広告費用のかけ方を変えるなどして調整していきます。明らかに効果の薄い広告があれば、それをやめる、LTVの高い商品に広告費をより多くかけるといったことが考えられます。

顧客の維持コストを効率化する

顧客を維持するためのサポートなどのコストも、効率化することがポイントです。手厚いアフターフォローで顧客ロイヤリティを高めることは、LTV向上のために欠かせませんが、それもLTVに応じて予算をうまく配分していく必要があります。

LTV最大化のポイントは全部を同時に意識すること

上記でご説明した通り、LTVを高め、最大化していくためには、どれか一つを行うのではなく、相互に関わり合う、平均購買単価、平均購買頻度、平均継続期間を同時に伸ばし、それとともに、顧客の獲得コストと維持コストを効率化することが重要です。つまり、全部を同時に意識しながらアクションを起こすことが、最大化のポイントといえます。

もちろん、それぞれの項目においては異なるアクションが必要なこともあります。また顧客ロイヤリティの向上はすべてに関わることです。そうしたさまざまな施策を実施していくことがLTV向上達成の秘訣といえます。

LTV(ライフタイムバリュー)とカスタマーサクセス

ところで、ここまでのお話で出てきた「カスタマーサクセス」という言葉について、ここで詳しく解説していきます。

カスタマーサクセスとは、直訳すれば「顧客の成功」となります。成功というのは、顧客がその商品やサービスを購入した後で、その商品やサービスを用いて、顧客の思い描いていた目的を達成することを意味します。販売側は、ある意味「売れたら成功」と考えてしまいがちですが、顧客は「買ったら成功」ではありません。買うからには何らかの目的があるため、その目的が達成されてはじめて成功なのです。

例えば、1か月分の健康食品を買ったとすれば、それを毎日1粒ずつ継続して飲み続けることで、何らかの健康効果を得ることが目的のはずです。そのためには、「毎日飲み続ける」「健康を実現する」といった成果が必要になります。

BtoBの事例で言えば、顧客がお問い合わせ対応用のチャットボットのサービスを契約したとします。顧客はそのチャットボットサービスを契約して導入したら終わりではありません。それを使って、実際にお問い合わせ対応を実現し、そのチャットボットをお問い合わせ対応ツールとして成立させなければなりません。

売る側、サービス提供側は、カスタマーサクセスを考えて顧客とかかわることで、LTVの向上につながるといわれています。

先述の通り、購入後に成果を創出するために伴走すれば、その商品やサービスを途中で使わなくなってしまうリスクが減るでしょう。また、手厚いフォローをすれば、顧客が何らかの成果を出すことにつながり、顧客から信頼を寄せてもらえるはずです。

その結果、顧客から「またこのような成果を生み出したい。この商品だけでなく他の商品も試してみたい」と思ってもらえたり、「今回、このサービスで成果を出せたのは、この企業のサポートがあったからだ。この企業は信頼できるな」と評価してもらえたりします。

このように、LTVの向上のためには、カスタマーサクセスを意識して、顧客と販売後も密にコミュニケーションを取っていくことが重要となります。長期的な関係を意識することがポイントです。

そのためには、戦略的に顧客の成功を創出するためのアイデアや手法を考案し続けていくことも重要です。

LTV(ライフタイムバリュー)とCRM(顧客関係管理)

LTVは、CRM(顧客関係管理)とも、深く関係しています。そのため、CRMと共にLTV向上施策を実施していくことでより良い成果が生まれます。

CRM(顧客関係管理)とは、顧客満足度を重視して顧客との関係を良好にするための関係構築に重点を置く手法のことです。多くの場合、顧客第一主義といったことになるでしょう。その際、顧客とのコミュニケーションのログを取得し、それを集積するツールなどが活用されていることから、近年、よく耳にすると思われます。

このCRM(顧客関係管理)は、LTV向上にも密接に関係しています。

なぜなら、平均購買単価、平均購買頻度、平均継続期間いずれも向上するためには、顧客との良好な関係を構築することが欠かせないためです。顧客の行動特性を理解しない限り、顧客にアプローチすることもむずかしいものです。

そのため、CRMをうまく活用して、LTVの最大化を実施することも多くの企業で実施されています。

CRMのツールで蓄積した情報をもとに、LTV算出、戦略立案などを行うことができます。同時に、CRMの成果をはかる指標の一つにもLTVはなり得るでしょう。

CRMとLTVを互いに意識活用しながら進めていくことが重要です。

LTV(ライフタイムバリュー)を伸ばした事例

では、最後に、LTV(ライフタイムバリュー)を伸ばした事例をもとに、具体的にどのようにLTV最大化の取り組みを実施していくことができるのかをみていきましょう。

通販専門の化粧品メーカーがオフラインイベント実施でLTV向上

通販コスメメーカーは、あえてオフラインで顧客と交流する機会を設けることで、顧客との関係強化に取り組んでいます。これは、通販専門だからこその施策といえます。自社ブランドのファンを1,000人ほど集めてオフラインイベントを年に複数回実施することで、ファンとブランドとの結びつきの強化や、ファン同士の交流を通じて、このブランドの信頼性やエンゲージメント強化につながっています。こうした取り組みにより、LTV向上も達成しました。

関連記事:秀吉・家康を警戒させた千利休と古田織部のファンマーケティング【歴史の偉人に学ぶマーケティング 連載第3回】

カスタマーサクセス専門部署でLTV向上に集中

あるIT企業は、クラウドサービスを提供していますが、カスタマーサクセスを顧客に提供するために、専門部署を立ち上げています。このカスタマーサクセス部は、サービスの解約阻止と共に、アップセルも同時に働きかけるという戦略的な計画をもとに活動しています。カスタマーサクセスをサポートすると共に、顧客ロイヤリティの向上及び、LTVの最大化を実現しています。

これらの事例を参考に、今回ご紹介したLTVの特徴や施策のポイントを押さえて、ぜひLTV向上を目指してください。

まとめ

◆LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは「顧客生涯価値」のこと。顧客が企業のサービスを利用する際に、生涯に渡って利用する合計額を算出した数字。

◆LTVの基本的な計算式は「LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間」となる。

◆LTVを高めるためには、「平均購買単価」「平均購買頻度」「平均継続期間」を高めることと同時に、「顧客の獲得コスト」「顧客の維持コスト」を効率化することが重要。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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