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レガシーシステムとは?意味や企業にとっての課題、対策を解説

2024.9.3
読了まで約 6

レガシーシステムとは、その名のとおり古いシステムのことです。特に長年自社内でシステムを利用してきた企業に多く見られますが、このレガシーシステムが企業に大きな損害を与える可能性があることをご存じでしょうか。

そしてレガシーシステムを使うことは損害だけではなく、特定の企業にとってはメリットや合理性があります。
自社のシステムがレガシーシステムで利用したままでよいのか不安を感じている人やレガシーシステムのリプレイスを検討している人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、簡単に言うと旧型のシステムのことです。もともと最新の技術や機能を搭載したシステムであったとしても、時代の流れと同時に技術が発展することでシステムはレガシー化していきます。

そのレガシー化が進んだ結果、新しい技術に対応できなくなったり、メンテナンスに費用や工数が多くかかってしまったりすると、そのシステムはレガシーシステムと呼ばれるようになるのです。

詳しくは後述しますが、レガシーシステムではセキュリティの観点でのリスクや利便性の低さが見られることが多いです。そのため、長年システムを運用している企業を中心に問題視されるとともに、解決に向けた動きが見られています。

関連記事:複雑化するB to Bの顧客管理/システム導入のメリットや成功パターンを把握する方法

オフコン(オフィスコンピュータ)

従来では、オフコン(オフィスコンピュータ)が広く活用されていました。しかし、2022年12月時点では、オフコンはレガシーシステムの代表例とされています。

とはいえ、オフコンの利点は事務処理に特化していることが挙げられ、ウイルスに感染するリスクも低く、多くの企業で安定的に稼働させることが可能です。

加えて、IBMやリコーなどの大手メーカーが開発していることもあり、不良な製品が少ないという利点があります。

COBOL

COBOLはプログラミング言語の1つです。保険や銀行関連のシステム開発に利用されており、半世紀以上も利用され続けてきました。しかし、COBOLに関しても2022年12月時点では、COBOLで開発されたシステムはレガシーシステムであると言われてしまうケースも少なくありません。

とはいえ、COBOLは保守性が優れていたり、計算処理が得意だったりするなどの利点があります。加えて可読性が高いため、COBOLで開発したプログラムをドキュメント化し、そのまま使用できるというメリットがあることも利点の1つです。

レガシーシステムと2025年問題

2025年問題とは、2018年に経済産業省が発表したDXレポートの中で、「DX化が進まなければ2025年以降で最大12兆円の経済損失が生じる」との記述を発端とする問題のことです。

つまり、今のレガシーシステムを継続的に採用し続けた場合、2025年にはレガシーシステムによる弊害によって、最大12兆円の機会損失や損害を被ってしまうと予測されているのです。

さらに、2025年までにレガシーシステムの開発やメンテナンスを行っていた世代の多くが引退し、メンテナンスが困難になることによって、レガシーシステムによるリスクがさらに高まる可能性もあります。

上述のDXレポート内では、2025年には21年以上使用され続けているレガシーシステムがシステム全体のうち60%を超えるとされており、2025年までにレガシーシステムを新たな技術に変換することが求められています。

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なぜレガシーシステムになってしまうのか?

レガシーシステムになってしまう理由として、主に下記の4点が挙げられます。

● 常に新しい技術が出てきて対応できない
● 担当者が退職してしまっている
● システム会社に依存している
● そもそもDX化しようとしていない

それぞれ順番に解説します。

常に新しい技術が出てきて対応できない

近年の情報技術の発展速度はめざましく、常にと言って良いほど新しい技術が生まれています。その新しい技術に対して常に追いかけ続けるとなると、企業にとっては大きな負担です。

そのため、継続して既存のシステムを使い続けた結果、システムがレガシー化してしまうのです。また、レガシー化してしまうと、新しい技術を取り入れることがより難しくなり、さらにそのシステムを継続的に使用することでレガシー化を促進してしまうという、負のスパイラルに陥ってしまいます。

担当者が退職してしまっている

そもそも、レガシーシステムとなったシステムを新しくしたいと考えても、システムの開発担当者がすでに退職してしまっており、それが原因でシステムを変えられないというケースも多く見られます。先述したとおり、2025年までに、レガシーシステムの開発者世代のエンジニアの大半は退職してしまいます。

システムを開発したエンジニアが退職していることで、システム内部がブラックボックス化してしまい、結果としてレガシーシステムを新しくすることが困難になってしまっているのです。

システム会社に依存している

多くの企業では、システムの開発やメンテナンスをシステム会社に委託しています。しかし、その委託先であるシステム開発会社が、レガシーシステムに対応した技術しか持ち合わせていない場合、当然ながらレガシーシステムのままシステムを運用することになります。

その一方で、システム会社を変えようとすると、既存のシステムが使えなくなったり、より大きな予算がかかったりしてしまうため、先延ばしにしてしまうケースも非常に多いです。

このように、委託先のシステム会社によってがんじがらめになっているケースも多く見られます。

そもそもDX化しようとしていない

そもそも、DX化を考えていないことから、レガシーシステムを使用し続けている企業も多く見られます。経済産業省は積極的にDX化を推進しているものの、DX化しないことによるデメリットが顕在化されていないことから、DX化を考えていない企業も非常に多いのです。

DX化に関する知見や重要性が少ないことによって、レガシーシステムを使用し続けることによるデメリットも考えられていないのです。

関連記事:明日から始めたいBtoB企業のマーケティングDX

レガシーシステムのままだと起こり得る問題

レガシーシステムのままシステムを運用すると、主に下記の2つの問題が発生する恐れがあります。

● システム障害が起こる
● ビジネスにも影響が出る

それぞれ順番に解説します。

システム障害が起こる

レガシーシステムでは、最新のプログラムや膨大なデータに対応できないことによって、システム障害が発生するリスクが非常に高くなります。また、修正や改変を繰り返した結果、システムが複雑化してしまい、システムの内部の構造が分からなくなる「スパゲティ化現象」が起こることも多く見られます。

この現象が起きると、システム障害が発生したときの復旧作業に非常に時間がかかったり、システム障害が重症化するリスクが高くなるため、大きな損害をもたらす可能性があるのです。

ビジネスにも影響が出る

レガシーシステムのままだと、業務パフォーマンスの低下を招く可能性が非常に高くなります。単純に技術が古いため、最新の技術を用いたシステムと比べると処理速度が遅かったり、エラーの頻度が高くなったりします。これらの要因によって、ビジネスに大きな悪影響が出てしまうのです。

また、システムによっては法改正などの変化によって内容を変更しなければならないものもあります。レガシーシステムでは、これらの変化についていくことが難しく、業務が滞ってしまうこともあるでしょう。

関連記事:企業のDXに対する取り組み調査結果を発表(ネオマーケティング調査)

レガシーシステムの2つの対策方法

レガシーシステムに対しては、主に下記の2つの対策方法があります。

● マイグレーション
● モダナイゼーション

それぞれ順番に解説します。

マイグレーション

マイグレーションとは、英語の「Migration」が語源になっているとおり、システムやデータを別環境に移転させることを指します。レガシーシステムにある機能やデータを、段階を踏んで最新環境に置き換えることで、レガシーシステムからの脱却を図る方法です。

なお、マイグレーションは下記の手順にて行われます。

1. 現状分析:今あるデータ等の資産を棚卸しするとともに、レガシーシステムの内容を踏まえて要件定義や移行の方針を決定する
2. 開発:レガシーシステムに言語の書き換えやシステムの再構築など、移行に必要な開発を行う
3. テスト・移行:新システムが正常に機能することを確認後、実際に新環境に移行する
4. 運用:実際に現場で使用する。最初は旧システムと併用することが多い

既存のシステム構造を新しいシステム・環境で再現できることから、完了後は非常に快適にシステムを使用できるでしょう。

モダナイゼーション

モダナイゼーションとは、英語の「modernize」から来ているとおり、今あるレガシーシステムを近代化することです。すでにレガシーシステム内にあるデータやプログラムは生かしつつ、稼働しているソフトウェアやハードウェアを最新の技術が搭載されたものに置き換えます。

現行機能を受け継ぎつつ、老朽化したシステムを最適化できることから、非常に利便性が高いです。なお、モダナイゼーションの手法としては、下記の3つが挙げられます。

● リプレイス:レガシーシステムを新しいシステムに置き換える手法
● リホスト:古いハードウェアで稼働していたシステムを、クラウドなどの新しい環境で使用できる状態にする手法
● リライト:レガシーシステムを新しい言語で記述することで、最新のOSに対応できるようにする手法

それぞれの手法によって異なるメリットがあるため、先述したマイグレーションも選択肢に入れつつ、自社のレガシーシステムにどのようにアプローチすれば良いのかを考えることが大切です。

関連記事:コンテンツの作成目的から複合的なシステムへと進化するCMSを使いこなす

レガシーシステムのオープン化によるメリット

オープン化とは、一般的に仕様や技術が公開されているOSやハードウェアを組み合わせてシステムを構築することです。

オープン系のシステムにすることで、拡張性や汎用性が高まるうえに、柔軟なシステム運用が可能です。オープンにされているOSやハードウェアの開発者が、随時最新の技術が搭載されたものにアップデートを行ってくれることも、大きな魅力と言えるでしょう。

また、オープン系のシステムであれば、システムの修正等も比較的容易に行えるため、万が一システム障害があったとしても早急に復旧できる可能性が高いです。技術の発展スピードが早い現代では、自社でシステムを抱える以上に大きなメリットを得られるでしょう。

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まとめ

本記事では、レガシーシステムの概要やレガシーシステムがもたらす弊害、それらの対策方法について解説しました。レガシーシステムを使用している企業の多くは、未だに問題が顕在化していないものの、いずれ大きな問題に直面する可能性が非常に高いです。さらに、2025年問題を考慮すると、できる限り迅速にレガシーシステムから脱却することが、事業を円滑に進める鍵になるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、自社のシステムの見直しを行ったうえで、レガシーシステムの改良を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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