「インポート」という言葉を聞いたことはありますか。Webに携わっている人であれば言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、どのようなものなのか詳細は分からないという人は多いかもしれません。
インポートとは、データを外部から取り込んで現在の環境に取り入れる作業です。これにより、外部のデータを自分の作業環境やアプリケーションに統合し、データを活用することが可能になります。インポートはWebに携わる人たちにとっては非常に利用されているもので、さまざまなシーンで活用されています。
本記事では、インポートの概要や利点、インポートと似た「エクスポート」「ダウンロード」との違いなどについて解説します。
目次
インポートとは
インポートは、データを外部から取り込んで現在の環境に取り入れる作業です。これにより、外部のデータを自分の作業環境やアプリケーションに統合し、データを活用することが可能になります。インポートは、さまざまなデータ形式やファイル形式を扱う際に使用されます。
ファイルを読み込む作業のこと
インポートは、一般的にはファイルを読み込む作業を指します。例えば、画像や音声ファイル、テキストファイルなどのデータをインポートすることがあります。ファイルを読み込むことで、そのデータを自分の作業環境で利用できるようになるのです。
関連している「互換性」
インポートには、「互換性」というものが大きく関係する場合があります、互換性とは、機能の共有性を示す言葉で、例えば、データなどを外部から取り込んで現在の環境に取り入れても、同じように動作したり処理できたりすることを言います。一般的に、パソコンなどのメーカーが異なれば、同一のソフトウェアが動作しなかったり、データの処理ができなかったりする場合があります。こうした異なる環境でも動作することが可能な場合があり、それを「互換性がある」状態と言われることが多いです。
インポートを活用する中で、互換性が無いことでデータを上手く取り入れられなかったり、活用することができなかったりなどのケースは多く存在します。しっかりと互換性をチェックしたうえで、データなどの取り扱いを行うことが重要です。
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インポートの5つの利点
インポートはさまざまなデータ形式やファイル形式を扱う際に使用されますが、以下のような利点があります。
● データの有効活用
● データの一元管理
● データの統合と連携
● 時間と労力の節約
● 柔軟なデータ形式の適応
データの有効活用
インポートによって外部から取り込んだデータを自社のシステムやアプリケーションで利用することができます。他のソフトウェアやサービスで作成されたデータを活用することで、業務の効率化や意思決定のサポートが可能になります。例えば、市場調査データや顧客の購買履歴などをインポートして分析し、マーケティング戦略の改善や製品開発の方針決定に役立てることができます。
データの有効活用には、データ品質の向上も欠かせません。インポートされたデータの品質を確保するためには、正確性、完全性、一貫性などの要素を考慮する必要があります。データ品質の向上には、データのクレンジングや変換、重複排除などの処理が必要です。正確で信頼性の高いデータを活用することで、より信頼性のある分析結果を得られ、より状況に適した意思決定が行えます。
データの一元管理
インポートによって外部のデータを自社のシステムに取り込むことで、データの一元管理が可能になります。例えば、複数のデータベースやアプリケーションから顧客情報をインポートすることで、顧客データを一箇所で管理し、重複や不整合を防ぐことができます。これにより、顧客サービスの向上や効率的なビジネスプロセスの構築が可能になります。
データの統合と連携
インポートによって外部から取り込んだデータを自社のシステムに統合することで、データの一貫性を保ちながら連携することができます。例えば、異なるアプリケーションやサービスで生成されたデータを統合することで、顧客の全体像を把握し、効果的なマーケティングや個別対応を行うことができます。また、異なる部門間でのデータ共有や情報の伝達も円滑化されます。
時間と労力の節約
インポートによって外部からデータを取り込むことで、手動でデータを入力する手間やヒューマンエラーのリスクを減らすことができます。大量のデータを一括で取り込むことで作業時間を短縮し、効率的な業務処理が可能になります。また、自動化されたインポートプロセスによって、繰り返し行われるデータの取り込み作業を効率化することができます。
柔軟なデータ形式の適応
インポートによってデータを取り込む際には、必要に応じてデータの形式や構造を変換することができます。異なるデータソースやフォーマットからのインポートを行う際には、データの変換やマッピングを行い、自社のデータベースやシステムで利用できる形式に適応させることができます。これにより、異なるデータ形式の統合やデータの一貫性を確保しながら、柔軟なデータ処理が可能になります。
例えば、CSV(Comma-Separated Values)、Excelファイル、JSON(JavaScript Object Notation)、XML(eXtensible Markup Language)など、さまざまな形式のデータをインポートできるようにすることで、外部からのデータを柔軟に取り込むことができます。
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インポートとエクスポートとの違いは?
インポートはデータを外部から現在の環境に取り入れる作業ですが、インポートに関連する言葉として「エクスポート」という作業があります。
ここからは、インポートとエクスポートとの違いについて解説します。
インポートはデータの形式を変えて読み込む
インポートは、外部のデータを取り込み、自分のシステムやアプリケーションで扱える形式に変換して読み込む操作です。異なるデータ形式やファイル形式を自社のシステムに合わせて変換し、利用可能な形式に変換することが主な目的となります。
エクスポートは外部にデータを出力する
エクスポートは、自分のシステムやアプリケーションで扱っているデータを外部に出力する操作です。データを外部に提供したり、別のアプリケーションやシステムで利用したりするために、データを外部に出力します。例えば、データ分析の結果をExcel形式でエクスポートして他のチームと共有したり、ウェブサイトのデータをCSV形式でエクスポートして外部のシステムで処理したりすることが可能です。
メールソフトを例にしてインポートとエクスポートを解説
インポートとエクスポートを、メールソフトを例にして解説してみます。
新しいパソコンを購入した場合、古いパソコンに入っているメールソフトのアドレス帳を新しいパソコンにも反映したいケースがあるとします。このようなアドレス帳のデータなどを反映させるためにインポートとエクスポートがあります。以下のような流れで新しいパソコンにアドレス帳のデータを反映させます。
1. 古いパソコンのメールソフトから「アドレス帳」をエクスポート(データを取り出す)
2. 古いパソコンからエクスポートした「アドレス帳」を、新しいパソコンのメールソフトにインポート(データを取り込む)
この作業によって、新しいパソコンにも、古いパソコンに入っていたアドレス帳が反映されるようになります。
このようにソフトから特定のデータを取り出すのがエクスポートであり、エクスポートしたデータをソフトに取り込むのがインポートとなります。またエクスポートは、データのバックアップなどの目的でも使用されます。エクスポートによりデータのバックアップを取っておくことで、万が一の場合でもエクスポートしたデータを戻すことが可能です。
インポートとダウンロードの違いは?
インポートとエクスポートは関連性の高い語句ですが、その他にも関連性の高い語句として「ダウンロード」があります。
前述したようにインポートは外部のデータを取り込み、自分のシステムやアプリケーションで扱える形式に変換して読み込む作業ですが、ダウンロードは自分のシステムやアプリケーションに、そのままのデータの形式で取り込みます。
また、インポートとダウンロードのもうひとつの違いは、データ移動の方向性です。インターネットで説明すると、Webサーバーの下にパソコンやスマホなどが接続している状態となっています。インポートの場合、Webサーバーとパソコンやスマホのような上下関係はありませんが、ダウンロードの場合は、データは上から下と移動するものです。つまり、Webサーバーからパソコンやスマホなどへデータを保存するとダウンロードとなります。
インポートはどのような場面で利用されているのか
インポートはさまざまな場面で利用されており、データの取り込みや活用において重要な役割を果たしています。主に以下の場面で利用されています。
● 写真
● 動画
● メール
● CD・DVD
● iTunes
写真
デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真を、パソコンや写真管理ソフトにインポートすることで、写真の整理や編集が可能になります。さらに、デジタルアルバムの作成や写真データのバックアップ、プリントなどさまざまな目的に活用することができます。ケーブルなどを繋がなくても、ワイヤレスで写真データをインポートすることなども可能となっています。
動画
動画のインポートは、映像制作や動画編集の現場で頻繁に行われることが多いです。カメラやビデオカメラで撮影した映像素材を編集ソフトにインポートすることで、編集やエフェクトの追加、テロップの追加、音声の編集などを行うことができます。
また、インポートした動画を活用して、YouTubeやSNSなどの動画共有サイトに動画をアップロードすることもできます。インポートを活用することで、自分の撮影した動画を全世界の人に視聴してもらうことも可能です。
メール
メールサービスにおいても、インポートの技術が活用されています。受信したメールをインポートすることで、自分のメールボックスにメールデータを取り込むことができるようになっているのです。また、特定のメールクライアントで受信したメールにインポートを活用することで、異なるメールアカウント間でメールの管理も可能となります。メールのインポートによって、重要なメールのバックアップを作成しておくことも可能です。
CD・DVD
CDやDVDに保存されている音楽、映像などをコンピュータにインポートすることで、その内容を再生・編集・保存することが可能です。CDをインポートすることで、スマホや音楽管理ソフトで楽曲を再生したり、DVDの場合はコンピュータに取り込んで利用したりすることができます。
しかし、CDやDVDに保存されている音楽、映像などは個人での視聴や利用のみにとどめることが必要です。そのデータを他者やインターネット上に共有することは禁止されているので控えましょう。
iTunes
iTunesは、音楽や映画、ポッドキャストなどのメディアコンテンツを管理・再生するためのソフトウェアであり、iTunesでもインポートが利用されています。
iTunesを活用してCDをインポートしてライブラリに追加したり、オンラインストアから音楽や映画をダウンロードしてインポートしたりすることができます。また、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスとの同期も行えるので、Apple製品をよく利用するユーザーはiTunesを活用すると非常に便利です。
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インポートの使い方
ここからはインポートの具体的な方法をシーンごとに解説します。
Windowsなどのパソコンでは「名前を付けて保存」で行う
Windowsなどのシステムでは、ファイルのインポートを「名前を付けて保存」という機能を使って行います。この作業によって、外部からダウンロードしたファイルや別の場所に保存されているファイルを自分のパソコンにインポートすることが可能となっています。
通常インポートを実施する場合は、保存ダイアログボックスが表示され、保存先やファイル名を指定することでファイルをインポートすることができます。
Excelデータからスプレッドシートにインポート
Excelデータをスプレッドシートにインポートする方法もよく利用されます。Googleなどのスプレッドシートにすることで、複数人で同時に共有できたり、編集や確認が行えたりするので、企業やチームでの利用に非常に役立ちます。
スプレッドシートにExcelデータをインポートする手順は次のようになります。
1. スプレッドシートのデータを開く
2. メニューバーから「ファイル」をクリック
3. ドロップダウンメニューから「インポート」を選択
4. 「ファイルをアップロード」のオプションを選択
5. インポートするExcelファイルを選択
6. 「開く」をクリックし、インポートオプションを設定
7. インポートを確定
「6.「開く」をクリックし、インポートオプションを設定」の部分では、データの配置方法やデータの形式などを指定することができます。データは、スプレッドシートのセルに自動的に配置され、Excelデータとほぼ同じように編集などが行えるようになります。
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インポートを行う際の注意点
インポートを行う際にはいくつかの注意点を押さえる必要があります。インポートを行う際は以下の点に注意しましょう。
● ファイルの形式と互換性
● データの信頼性とセキュリティ
● 依存関係の管理
● バージョンの管理
● データの整合性と重複排除
ファイルの形式と互換性
インポートするファイルの形式と、インポート先のアプリケーションやシステムの互換性は確認するようにしましょう。異なる形式のデータをインポートする場合、ファイルの形式に対応した変換やフォーマットの調整が必要になる場合があります。また、ファイル形式の互換性に関しては、インポート先のドキュメンテーションなど確認し、適切なファイル形式を選択することが重要です。
互換性がないにもかかわらずインポートを行うと、ファイルが壊れてしまい、全く見ることができないといったケースもあります。自分だけのデータ利用であればやり直しをすることで支障がありませんが、顧客などに共有する場合は手間をかけさせてしまうことも考えられます。ファイルの形式と互換性に注意することで、正しくデータをインポートすることができるので、余計な手間にならないように気をつけましょう。インポート元と先のファイル形式を確認し、必要な場合は適切な変換手段を選択してデータの互換性を確保することで、データの正確性を維持しながらインポートを行うことが可能です。
データの信頼性とセキュリティ
インポートを行う際には、データの信頼性とセキュリティを確保するために注意が必要です。
まず、インポートを行う前に、データが整合性のあるものかを確認しましょう。データが破損していたり、欠損していたりする場合は、インポート先で正確なデータを見ることができない恐れがあります。状況に応じて、インポート前にデータのバックアップを取ることや、データの検証や形式の変更を行うようにしておきましょう。
また、インポートされたデータが求めている形式や範囲に適合しているかどうかのチェックも重要です。不正確なデータがインポートされると、誤った情報が組み込まれてしまったり、利用予定のないデータが無駄に取り込まれてしまったりなど、余計な手間が発生してしまいかねません。データの検証を行い、データの正当性や妥当性をチェックすることをおすすめします。
そして、インポートで既存のデータが上書きされる可能性がある場合は、事前にバックアップを作成しておきましょう。バックアップとは、ハードウェア故障や、ハードウェア誤操作によるデータ消失などから、システムやデータを復旧させるためのコピー情報です。バックアップからデータを復元できるようにしておくことで、万が一の際にも役に立ちます。データの損失や破損を防ぐためには、定期的かつ信頼性の高いバックアップを取得しておくことが重要です。データのインポートによって問題が発生した場合でも、バックアップからデータを復元することで迅速な対応が可能となります。
データのインポートにおいては、セキュリティとプライバシーの保護も考慮する必要があります。特に、個人情報や機密情報が含まれる場合は、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。脆弱なセキュリティによって、データの漏洩などの恐れがあります。データの暗号化やアクセス制御、セキュリティポリシーの遵守などを実施し、データの漏洩や不正利用を防止しましょう。
依存関係の管理
インポートするデータが他のデータやリソースに依存している場合、依存関係を適切に管理する必要があります。データによっては、他のデータが登録されていることが前提条件となっていることがあり、前提条件となるデータが未登録のままインポートを実施すると、インポートに失敗する恐れがあります。データ未登録など依存関係が解決されていないと、データの整合性が損なわれたり、正しく動作しなかったりする可能性もあるので、インポート前に依存関係を把握し、適切な順序でデータのインポートを行いましょう。
バージョンの管理
インポート先のアプリケーションやシステムのバージョンによって、データの互換性が異なる場合があります。アプリケーションやライブラリは随時アップデートが行われたりすることがあるので、問題ないと思っていても、思わぬ形でデータがきちんと読み込めないといったケースは少なくありません。インポートするデータが新しいバージョンの仕様に対応しているか、アップデートや互換性の確認を行い、バージョンの違いによって起きる予期せぬ問題を防ぎましょう。
データの重複排除
インポートするデータが重複している場合、データをきちんと読み込むことができない可能性があります。重複したデータが存在すると、データの正確性や分析結果に影響を与えることがあるため、インポート前にデータの重複を確認し、適切な処理を行うことが重要です。データベースやスプレッドシートの機能を活用した重複の検出などをおこなうことで、重複データをチェックすることが可能です。
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まとめ
本記事では、インポートの概要や利点、インポートと似た「エクスポート」「ダウンロード」との違いなどについて解説しました。
インポートはデータの移行や連携において重要な役割を果たす機能です。適切に利用することで、データの有効活用や効率的な作業の実現が可能となります。しかし、注意点を把握し、データの信頼性やセキュリティを確保することも重要です。
また、今回紹介したインポートの使い方は、「Windowsなどのパソコン」「Excelデータ」のみでしたが、その他でもインポートを活用できる場面は多々存在します。スマホなどのデバイスも発展しているため、効果的にインポートを活用することで多くのデータ共有が可能となるでしょう。正確なデータの取り込みと管理に努めることで、より効果的なインポートを実現しましょう。