効果的なマーケティングを行うにはアーリーアダプターについて理解することが重要です。アーリーアダプターは他の消費者たちに影響を与える存在であり、その獲得がマーケティングの成否を分けるとさえいわれます。とはいえ、「アーリーアダプターとは何?」「なぜマーケティングで重要?」と疑問を持つ方もいることでしょう。
今回は、アーリーアダプターの意味や定義、イノベーター理論との関係性、獲得の重要性や戦略・フレームワークについて解説します。
目次
アーリーアダプターの意味と定義
まずは、アーリーアダプターの意味やその定義について解説します。
スタンフォード大学ロジャース教授が提唱したイノベーター理論
アーリーアダプターとは、アメリカのスタンフォード大学教授エベレット・M・ロジャースの「イノベーター」というマーケティング理論に出てくる用語です。アーリーアダプターという言葉の意味を知るには、まずイノベーター理論についての理解を深めておく必要があります。
イノベーター理論とは、ロジャース教授の『Diffusion of Innovations(イノベーション普及学)』で初めて紹介された理論です。新商品・新サービス・新たなアイディアなどが、一般の人々にどのように普及し、各方面に広まっていくのかが説明されています。
ロジャース教授は社会学者であり、イノベーションの研究を主に行っていた人物です。新商品等が市場に普及する流れの分析、イノベーションの普及速度に与える要因の特定などを通し、マーケティングに活用できる理論の構築を命題としていました。
つまりイノベーター理論は、ロジャース教授が追い求めたイノベーションをマーケティングに活用する土台となる理論といえます。
イノベーター理論におけるアーリーアダプター(初期採用者)の位置づけ
イノベーター理論では、新商品等の購買時期に応じて、顧客を以下の5つの層に分類しています。
・イノベーター(革新者):最も早く購買する顧客層で市場の約2.5%を占める
・アーリーアダプター(初期採用者):約13.5%を占める(詳細は後述)
・アーリーマジョリティ(前期追随者):アーリーアダプターの影響から購買し、市場に浸透させる役割を担う層で、市場の34%を占める
・レイトマジョリティ(後期追随者):リスク回避志向が強く、新商品等に懐疑的。過半数の購買を感じたタイミングで購買を検討する層で、市場の約34%を占める
・ラガード(遅滞者):保守的で変化に対する抵抗感が強い。伝統的な価値観を持ち、新商品等の一般化や価格低下などがないと購買を検討しない層で、市場の約16%を占める。
アーリーアダプターは、イノベーターよりも購買タイミングは遅いですが、市場に占める割合が高く、新商品等のベネフィットを理解し、インフルエンサー的な立ち位置でそれを他の消費者へ伝播させる力があります。つまり、アーリーアダプターは新商品等の普及において、橋渡しとしての役割を持つわけです。
そのため、新商品等が次に続くアーリーマジョリティやレイトマジョリティといった層にまで広がるかどうかは、アーリーアダプターに受け入れられるかどうかにかかっているといえます。
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アーリーアダプターの特徴
続いて、アーリーアダプターにはどのような特徴があるのか解説していきます。
革新性への高い関心
アーリーアダプターの最大の特徴は、革新性に対して高い関心を持っていることです。
アーリーアダプターは、最新のトレンドにとても敏感であるため、革新的な商品やサービスを早期に積極的に取り入れます。たとえその新商品等が成熟しきっていないとしても、高い関心を持って潜在的な価値を見極めようという姿勢を持っています。そして、取り入れたことによる恩恵をいち早く受けたいという欲求があります。
情報収集力と発信力
アーリーアダプターは情報収集力と発信力が高いのも特徴です。
イノベーターは冒険心が強く常に目新しさを求めていますが、購買によるベネフィットにはそれほど興味はありません。いわゆるマニア層であり、限られたコミュニティでのみ情報交換を行い、自ら外に向けて発信することはほぼないのです。
一方、アーリーアダプターは革新性とともにベネフィットにも強い関心があります。社会性が高く、特定のコミュニティに自ら飛び込み情報交換を積極的に行います。ときには、他のアーリーアダプターや専門家と意見交換をしながら学び合うこともあるほどです。
また、アーリーアダプターは革新的な新商品等の関連知識を豊富に持ち、高い理解力があります。そのため、新商品等の機能やメリットを早期に把握し、ベネフィットを見極められるのです。
さらに、アーリーアダプターは学びで得た知識やベネフィットを外部に対して積極的に発信する点も、特徴的といえるでしょう。
リスク許容度の高さ
リスク許容度が高いこともアーリーアダプターの特徴です。
革新的な新商品・新サービス等は市場ではまだ知られておらず、信頼性や品質も不確定要素があります。そのため、将来的に新商品等が伸びるかどうかはわかりません。
アーリーアダプターはイノベーターに比べると、常識的で社会的な価値観とのズレも敏感に察知します。そうした感覚を持ちつつ、潜在的な価値を見極めるために、新商品等を積極的に分析するのです。そしてベネフィットがあると感じられれば、リスクを冒してでも購入する覚悟や決断力を持っています。
社会的影響力(オピニオンリーダー・インフルエンサー的な役割)
オピニオンリーダーやインフルエンサー的な立ち位置で社会的影響力を持つのもアーリーアダプターの特徴です。
これまで解説したように、アーリーアダプターはトレンドに敏感で、情報収集力や分析力が高く、新商品等のベネフィットを的確に見極める能力が高い傾向にあります。そのうえイノベーターと異なり、自らの意見を外部に発信することに積極的です。このようなことから、アーリーアダプターの意見・評価は、「商品を購入すべきか」と検討している他の消費者層から参考にされることが少なくありません。
特に近年は拡散性の高いSNSによる情報発信が当たり前になっており、アーリーアダプター一人ひとりの社会的影響力が高まっています。
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イノベーターとアーリーマジョリティとの違い
アーリーアダプターは、イノベーターとアーリーマジョリティの間に属する層です。アーリーアダプターには、イノベーターとアーリーマジョリティとどのような違いがあるのか、以下で解説します。
イノベーター(革新者:2.5%)との違い
イノベーターとは、新商品・新サービスの発売に合わせて、最も早く購買する層です。トレンドや最新技術などに敏感であり、目新しさを求めています。しかし、新商品等の購買による利益や恩恵、つまりベネフィットはそれほど重視していません。そのため、外部にベネフィットを発信することもほぼありません。
一方、アーリーアダプターはイノベーターに次いで新商品等を購入する層です。トレンドや最新技術に敏感ですが、イノベーターと違って性能や価格などのベネフィットを重視しています。アーリーアダプターにはインフルエンサーが多く、新商品等のベネフィットを発信したいという欲求も持ち合わせています。そのため、イノベーターと異なり、アーリーアダプターの意見・評価は一般消費者にとって新商品等購入の参考にされることが多いのです。
アーリーマジョリティ(前期追随者:34%)との違い
アーリーマジョリティとは、アーリーアダプターの成功や意見を見てから新商品等の購入を行う層です。アーリーマジョリティはトレンドや最新技術に興味・関心はあるものの、慎重でリスクを避けるという特徴があります。また、一般消費者層よりも早いタイミングで新商品等を購入して、市場に浸透させる役割を持っています。
一方アーリーアダプターは、興味・関心が高い分野については多少のリスクを冒す覚悟を持っている点が大きな特徴です。実際に新商品を購入し、積極的に試して分析・発信を行い、アーリーマジョリティをはじめとした消費者層へ影響を与える役割があります。
つまり、アーリーマジョリティは成功や意見を参考にする立場、アーリーアダプターは分析・発信する立場という性質の違いがあるのです。
マジョリティとの間にある「キャズム(大きな溝)」とは
キャズム理論とは、アーリーアダプターが担う初期市場と、アーリーマジョリティやレイトマジョリティが担うメインストリーム市場の間には、「キャズム(大きな溝)」があるとする理論のことです。この理論では、キャズムを乗り越えられなければ、初期市場の中で消えてしまい、メインストリーム市場への普及は果たせないとされています。
キャズムが発生する原因は、前述で示したアーリーアダプターとアーリーマジョリティの性質の違いにあります。アーリーアダプターは、新たな商品・技術に対して、他者よりも先に分析・発信したいという欲求があります。一方、他人が成功した安心できる商品をいち早く取り入れたいという欲求があるのが、アーリーマジョリティです。つまり両者には「目新しさや有用性を求めるか」「安心感や安全性を求めるか」という違いがあります。
アーリーアダプターが先駆者として新商品の優れたベネフィットを発信しても、アーリーマジョリティにまで届かなければ、メインストリーム市場には普及しません。そのため、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にあるキャズムを攻略することも、マーケティングでは重要なポイントであると考えられています。
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ビジネスにおけるアーリーアダプターの重要性
ビジネスにおいて、アーリーアダプターの存在は以下のような重要な意味を持ちます。
製品普及におけるキーパーソン
アーリーアダプターは、製品を普及させるうえで重要なキーパーソンとなる層です。
前述の通り、初期市場に属するアーリーアダプターと、メインストリーム市場に属するアーリーマジョリティの間にはキャズムがあります。これを乗り越えることが、製品普及において重要なポイントになります。
たとえばSNS等で多くのインフルエンサーが「この商品は素晴らしい」「こんな優れたベネフィットがある」と紹介していたとします。「安心感・安全性」を求めるアーリーアダプターはそれを見て「信頼できる商品・技術のようだ」「成功者が多いらしい」と感じられれば、製品はキャズムを越えてメインストリーム市場へと浸透しやすくなります。
このように、アーリーアダプターはメインストリーム市場への道のりにあるキャズムを超えるための架け橋、キーパーソンとしての重要な役割があるのです。
マーケティングコスト削減への貢献
マーケティングコスト削減に貢献できる点も、アーリーアダプターが重要だといわれるポイントです。
アーリーアダプターは製品に対する理解力・分析力が高く、それを発信して多くの人に届けたいという欲求があります。近年はSNSの普及により、強い影響力を持つアーリーアダプターも数多く存在しています。企業が高額なマーケティングコストをかけずとも、アーリーアダプターが自ら広報・宣伝を行ってくれて、製品の認知度を高めているのです。
フィードバック源としての価値
アーリーアダプターは、自社にフィードバックをくれる存在としても高い価値を持っています。
前述の通り、アーリーアダプターは理解力が高く、興味・関心を持つ製品についての分析を積極的に行ってくれます。そして、自分の知識や経験から積極的にフィードバックを提供してくれのです。
このフィードバックは、製品の改善はもちろん、今後のマーケティング活動においても重要な情報源となります。フィードバックを継続的に受け取り、問題を速やかに解決することで、市場拡大につながることでしょう。
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アーリーアダプターを獲得するためのマーケティング戦略
製品の認知をメインストリーム市場に拡大するには、アーリーアダプターの獲得が重要です。ここでは、アーリーアダプターを獲得するためのマーケティング戦略について解説します。
革新性を強調するコンテンツ・展示会などのリリース
これまでにない革新性を強調するコンテンツのリリースや展示会を開催をすることは、アーリーアダプター獲得につながります。
たとえば、現在では多くの日本人が使用する定番のスマートフォンであるiPhone。2007年に発売された当時は、競合製品と比べて画期的なデザインや機能性を備えていました。しかし、それだけではメインストリーム市場への道は開けません。そこでiPhoneは、他にはないオンリーワンの革新性を強調するため、故スティーブ・ジョブズによるプレゼンテーションやストーリー性のあるCM放映、店舗での展示などを積極的に行いました。
その結果、iPhoneの革新的なデザインや機能がアーリーアダプターたちの目に留まって支持され、口コミによってスマートフォン市場に変革をもたらすこととなったのです。
先行体験イベント・インタビューの実施
先行体験イベントへの招待やインタビューの実施も、アーリーアダプター獲得につながる戦略です。
アーリーアダプターは、自分の興味にあった新たなトレンドや先端技術を求めています。彼らを先行体験イベントへ招待することや、サービスの初期バージョンを提供することは有効な手段です。
併せてインタビューを実施することで製品に対するフィードバックが得られ、今後のマーケティングにも活かすことができます。アーリーアダプターも、自身の意見を誠実に受け止め、それを反映させる努力をする企業に対して、好意的な印象を持つことでしょう。
インフルエンサー・アンバサダーマーケティングの実施
インフルエンサーやアンバサダーマーケティングの実施も有効な戦略です。
それぞれ、以下のような意味があります。
・インフルエンサーマーケティング:「インフルエンサーマーケティングとは、特定の業界において影響力を持っている人材(アカウント)を活用してPRを行い、商品やサービスの認知の拡大、売上増加を図るマーケティング施策のことです。」(※引用1)
・アンバサダーマーケティング:「アンバサダーマーケティングとは、組織や企業がアンバサダーを採用し、SNSなどを通じて自社ブランドや商品・サービスをPRする宣伝手法です。」(※引用2)
このように、アーリーアダプターと連携することで、彼らが持つ製品に対する理解力や分析力と、社会的な影響力・発信力を活かしたマーケティング活動が行えるようになります。こうした動きは、他のアーリーアダプターを呼び込むきっかけにもなります。
また、アーリーアダプター側の自然発生的な発信ではないため、企業側でマーケティングにおける調整をしやすい点もメリットです。
※引用1:インフルエンサーの有名人活用手法をご紹介!BtoB領域でうまい活用方法とは!
※引用2:アンバサダー(Ambassador)とは?アンバサダーマーケティングの意味や事例
口コミマーケティングの活用
口コミマーケティングを活用することも、アーリーアダプター獲得につながります。
口コミとは、具体的には以下の通りです。
「商品やサービスを購入・利用した消費者の声のことです。また、口づてで人から人に情報を共有すること自体を指す場合もあります。インターネットが普及した現在では、口コミサイトと呼ばれる、店舗・商品・サービスを対象にした消費者が気軽に感想や批評を投稿できるプラットフォームも多く見られるようになりました。」(※)
アーリーアダプターは、トレンドや革新的な技術の情報をキャッチするために、さまざまなところから情報を得ています。口コミも、その一つです。たとえば、ある分野のコミュニティで話題になっている製品があれば、アーリーアダプターはそれについて興味・関心を持ちやすくなります。そして、製品の魅力やベネフィットが伝われば、自然にその情報を発信してくれるようになるわけです。
アーリーアダプター獲得のためのフレームワーク
アーリーアダプター獲得の基本となるフレームワークについて解説していきます。
ペルソナ設計
アーリーアダプターを獲得するために、まずペルソナ設計を行いましょう。
ペルソナとは、以下のような意味を持ちます。
「ターゲットの中の個人を指します。ターゲッティングによって狙いを定めた集団の中から、さらにより詳細に人物像をイメージできるように設定した個人がペルソナとなります。」※
つまり、特定の集団であるターゲットとは異なり、個人に狙いを定めたのがペルソナです。
よりリアリティのある人物像、つまりペルソナを設定すれば、分析して理解を深めるべき対象が明確化され、社内でも共有しやすくなります。そして、企画立案からローンチ、そしてマーケティング活動を通して、ペルソナという目標に対してブレることなく活動できるようになります。反対に、ペルソナが適切に設定されていないと、社内で齟齬が生じてしまい、マーケティング活動に一貫性が失われ、結果的にアーリーアダプターの興味・関心をひきつけることが難しくなるでしょう。
こうした理由で、ペルソナ設計がアーリーアダプター獲得のフレームワークとして重要とされるのです。
関連:ペルソナ設定・作成ができる無料パワポテンプレート(BtoBマーケティング用)
カスタマージャーニーマップ作成
ペルソナを設定したらカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
カスタマージャーニーとは「ペルソナが認知から購入に至る一連のプロセス(行動、思考、感情など)を時系列化し、そのプロセスの途中でどんな体験をして、どんな心理的変化を起こすのかを見極め、マーケティングに活用するためのフレームワーク」(※)です。
カスタマージャーニーマップを作成すれば、ペルソナの目線で製品やサービスについてチェックでき、社内で共通認識を持ったうえで迅速な対応が可能になります。また、KPIが明確になることでマーケティング精度が上がりやすく、何らかの壁にあたった際にもブレークスルーしやすくなるといったメリットがあります。
関連資料:【テンプレート無料配布】カスタマージャーニーマップをパワーポイント(PPTX)で作ろう|MarkeTRUNK
ジョブ理論
アーリーアダプター獲得のためには、ジョブ理論について理解しておくことも大切です。
ジョブ理論とは、顧客が購買行動においてどのような背景があるのかを説明するための理論です。ジョブ理論では、ある状況で顧客が解決したいと願っていることを「ジョブ」と捉えます。製品やサービスが、どのようなシーンにおいて顧客のジョブを解決するのかを分析することで、新たな製品・サービスの構想を行います。
つまり、アーリーアダプターがとあるシーンで解決したいと考えているジョブを知れば、彼らの興味・関心を集めることが可能な製品・サービスを生み出しやすいというわけです。
バリュープロポジションキャンバス(VPC)
バリュープロポジションキャンバスとは、製品やサービスと顧客のニーズを可視化し、両者にあるズレを解消するし、よりマッチさせるためのフレームワークです。自社が顧客へ提供できる価値(バリュープロポジション)と、顧客セグメントを同一の紙面にデザインすることで可視化し、ニーズのズレを把握してそれを少なくしていきます。バリュープロポジションキャンバスの実施が有効なタイミングは「市場がまだまだ未成熟で、競合他社がそれほど参入していないときです。自社が先陣を切って市場を開拓する必要があり、顧客を深く理解することが重要だからです。」(※)とされています。
注意すべきポイントとしては「「自社の経験や体験だけが先行してしまう」場合があることです。自社の経験や体験から、「このようにすれば顧客も喜ぶだろう」という企業側の一方的な想いだけが先行し、顧客の本当に望んでいる価値が見えていない可能性もあります。」(※)とされています。
こうした特徴を理解し、バリュープロポジションキャンバスを活用してペルソナとのズレを修正すれば、アーリーアダプターを効果的に獲得できることでしょう。
※引用:バリュープロポジションキャンバス(VPC)の重要性と作り方、事例を解説
アーリーアダプターやイノベーター理論を学ぶのに参考になる本
マーケティング活動において、アーリーアダプターやイノベーター理論について理解を深めることは大変重要です。学ぶ際に参考となる本を以下でご紹介します。
『イノベーションの普及』エベレット ロジャーズ著(2007年)
イノベーター理論の提唱者であるロジャース教授の本です。原書は初版発行からすでに40年以上経過しています。しかし本書は5回の改版を重ねており、最新研究や現在のトピックが盛り込まれているため、今読んでも新たな気づきがある良書です。
『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』クレイトン M クリステンセン著(2017年)
ジョブ理論の提唱者であるクリステンセン教授の本です。
イノベーションの成否は、データや市場分析から得られる数字で決まるのではなく、顧客が片付けたいと考えているジョブにあるというのがこの本の根幹となっています。数値化できない顧客が抱える「ジョブ」をどのようにキャッチアップするのか、フレームワークを用いながら詳しく解説されているのが特徴です。マーケティングはもちろん、さまざまな分野で応用が利く名著といえるでしょう。
『カフェ de 読む 図解キャズム理論がよくわかる本』中野明著(2008年)
経済経営、情報技術、歴史民俗、哲学美術心理学などの分野で執筆するノンフィクション作家・中野明氏による「キャズム」についての本です。
アーリーアダプター(初期市場)とアーリーマジョリティ(メインストリーム市場)の間にあるキャズム(大きな溝)を乗り越えられるか否かが、マーケティングの成否に大いに関わります。こちらの本では、カフェでもサクッと読めるようなテイストで、キャズム理論を噛み砕きわかりやすく解説しています。図解も豊富に掲載されていますので、キャズムを乗り越えるための手法、戦略を知りたい方におすすめです。
まとめ:ビジネス成功の鍵はアーリーアダプターの獲得にあり
今回は、アーリーアダプターについて解説しました。
SNSの普及により消費者たちの情報共有がスピーディーかつ容易に行えるようになった現代において、マーケティング活動を成功させるためには、アーリーアダプターを獲得することが重要視されています。
まずは、アーリーアダプターの市場における立場や特徴を理解し、彼らの行動特性を知ることが大切です。本記事で紹介したアーリーアダプター獲得戦略、獲得のためのフレームワークを参考に、彼らに向けた戦略を展開していきましょう。