パソコンやWebサイトを扱ううえで欠かせないものに「ディレクトリ」があります。しかし、その正体や仕組み、一般的に使われる意味について、正確に理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、「ディレクトリ」の仕組みや種類、一般的に使われる意味について解説します。ディレクトリの理解があいまいな人は、ぜひ本記事を参考にしていただき、ディレクトリに関する理解を深めてください。
目次
ディレクトリとは?
ディレクトリとは、コンピューター上でファイルを入れておくためのフォルダのことです。
ディレクトリは、複数のファイルを1つの場所に整理して保存でき、階層的な構造を持つことができます。
コンピュータのファイルシステムにおいて、ディレクトリは、ファイルの保存場所を管理するための重要な役割を担っています。
また、Webサイトの場合は、Webページやその他のコンテンツを適切に管理するためのディレクトリ構造が必要です。
ディレクトリの種類
ディレクトリには、主に以下の2つの種類があります。
1. パソコンのディレクトリ
2. Webサイトのディレクトリ
それぞれ順番に解説します。
1.パソコンのディレクトリ
パソコンのディレクトリとは、パソコン内のローカルディスクや、外付けのHDD・SSDなどの記憶装置に保存されたファイルを管理するためのフォルダのことです。
Windows(ウィンドウズ)マシンの場合ですと、Cドライブなどのドライブ名で表され、それぞれのドライブに複数のディレクトリが含まれています。
例えば、WindowsのCドライブの場合、最上位に「C:\」というディレクトリがあり、その中に「Program Files」「Windows」「Users」などのディレクトリが含まれています。
ディレクトリは、ユーザー自身で作成でき、ディレクトリの下に別のディレクトリ(サブディレクトリ)を作ることも可能です。
パソコン上では、新しいフォルダを作成することで、その中に関連するファイルを保存できます。これにより、ユーザーはパソコン内のファイルを分類し整理することが可能です。
ディレクトリは、パソコンの管理や操作をするうえで非常に重要な役割を担っています。
また、ファイルを保存するときは、分類されたディレクトリに保存することで、ファイルの検索や整理がしやすくなります。
2.Webサイトのディレクトリ
Webサイトのディレクトリとは、Webサイト上のファイルを整理するためのフォルダのことです。
Webサイトには、ユーザーがインターネット上でアクセスできるページや画像、音声ファイルなどのデータが含まれており、これらのデータを適切な場所に保存することで、Webサイトの構造がわかりやすくなり、管理もしやすくなります。
Webサイトのディレクトリは、通常、Webサイトをホスティングしているサーバー内に存在します。
Webサイトはディレクトリの構造を決めた上で構築しますが、基本的には、ホームページやトップページを含むページがある最上位のディレクトリから始まり、サブディレクトリを作成してWebページや画像、動画などのファイルを整理することがほとんどです。
例えば、Webサイト上で「https://〇〇〇〇.com/about」というURLを表示させたい場合、サイトのトップページを含む最上位のディレクトリに「/about」というサブディレクトリを作成し、その中に「index.html」というファイルを保存することで、「https://〇〇〇〇.com /about」というページを表示できるようになります。
なお、サブディレクトリと混同しやすい概念として「サブドメイン」があります。サブディレクトリとサブドメインの違いについては下記のページで詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:オウンドメディアの基本~サブドメインとサブディレクトリの違い
ディレクトリとファイルの違い
ディレクトリとファイルの違いを簡単に言うと、ディレクトリはファイルを収納する「箱」のようなものであり、ファイルは箱に入った「もの」のようなものです。
もう少し詳しく説明すると、ディレクトリは、ファイルを格納するためのフォルダのことで、複数のファイルや他のディレクトリを格納できます。階層的なツリー状になっており、1つのディレクトリに複数のサブディレクトリを持つことが可能です。
一方、ファイルとは、データやプログラムなどの情報を保存するための単一のユニットです。ファイルは、名前や形式、サイズ、作成日時などの属性情報を持っています。
ディレクトリの中にファイルを格納すると、特定のパス(ディレクトリ構造)を使用してアクセスできます。
ディレクトリは、ファイルを整理するための仕組みであり、ファイルがどこに格納されているかを特定するために使用され、ファイルは、保存されたデータや情報にアクセスするために使用されます。
ディレクトリが使われている(含まれている)用語を解説
パソコンやWebサイトで使われるディレクトリには、以下のような種類があります。
● ルートディレクトリ
● カレントディレクトリ
● ホームディレクトリ
● サブディレクトリ
上記は、パソコンの場合とWebサイトの場合で、指しているものが異なります。
それぞれのディレクトリの詳細について、順番に解説します。
ルートディレクトリ
ルートディレクトリとは、「一番上の階層」に位置するディレクトリのことで、すべてのファイルやディレクトリの親となります。
パソコンの場合、Windowsでは、「C:\」や「D:\」がルートディレクトリ、UnixやLinuxなどのOSでは「/」がルートディレクトリとなります。
Webサイトのルートディレクトリの場合、すべてのファイルやディレクトリの一番上に位置するディレクトリのことで、index.htmlやindex.phpなどが配置されます。
カレントディレクトリ
カレントディレクトリとは、現在作業しているディレクトリのことです。ファイル操作やプログラムの実行などの操作を行うとき、その操作がカレントディレクトリに対して行われます。
パソコンの場合は、現在開いているプログラムやファイルが存在するディレクトリがカレントディレクトリとなり、プログラムやファイルを開くと自動的にカレントディレクトリが設定されます。
Webサイトの場合は、現在閲覧中のページが存在するディレクトリがカレントディレクトリとなり、通常は「/」から始まる相対パスで表されます。
ホームディレクトリ
ホームディレクトリとは、ユーザーがログインしたときに最初に移動するディレクトリのことをいいます。ユーザーごとに割り当てられたディレクトリであり、ユーザーのファイルや設定ファイルが保存されています。
一般的に、ホームディレクトリのパスは、ユーザー名を含んだ「C:\Users<ユーザー名>」のようになっています。ただし、OSやシステムの設定によっては、ホームディレクトリの場所が変わることがあります。
ユーザーがログインすると、デフォルトでホームディレクトリに移動します。
サブディレクトリ
サブディレクトリとは、あるディレクトリの中に含まれているディレクトリのことです。
パソコンの場合、「C:\Users<ユーザー名>\Documents\」というディレクトリの「Documents」がサブディレクトリにあたります
Webサイトの場合、「/products/」というディレクトリの下に「/products/clothes/」、「/products/shoes/」というディレクトリがある場合、「/products/」はルートディレクトリとして機能し、「/products/clothes/」、「/products/shoes/」はその下のサブディレクトリとなります。
Webサイトにおける最適なディレクトリ構造とは
Webサイトを制作する場合は、ディレクトリ構造を意識することが大切です。Webサイトにおける最適なディレクトリ構造は、以下の2点を意識してください。
1. 基本は3階層以内に抑える
2. ページ数が多い場合はディレクトリマップも作成して整理する
それぞれ順番に解説します。
1.基本は3階層以内に抑える
ディレクトリの階層が深くなりすぎると、サイトの管理やメンテナンスが困難になりますので、基本的には3階層以内に収めるといいでしょう。
また、Webサイトのディレクトリの場合、階層が深く、複雑な構造をもっていると、SEO(検索エンジン最適化)にも不利になってしまいます。検索エンジンのbot(クローラー)は階層が深くなりすぎるとクローリングがしにくくなり、Webページや各種のファイルが検索エンジンのデータベースにインデックス(格納)されにくくなるからです。
管理やメンテナンスの面だけでなく、SEOも意識して、わかりやすいディレクトリの構造になるように心がけてください。
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2.ページ数が多い場合はディレクトリマップも作成して整理する
Webサイトが大規模になってくると、ディレクトリ全体の把握が難しくなります。
ページ数が多いWebサイトの場合は、ディレクトリマップを作成すると、全体の構造がわかりやすくなるのでおすすめです。
関連記事:サイトマップ(構成図)の作り方を解説!SEO対策に適したサイトマップとは
最適なディレクトリ構造でWebサイトを運営するメリット
Webサイトの場合、最適なディレクトリ構造で運営できれば、以下のようなメリットがあります。
● SEOの効果が出やすい
● ユーザーも目的のページに遷移しやすい
それぞれ順番に解説します。
SEOの効果が出やすくなる
前の項目でお伝えしたように、最適なディレクトリ構造でWebサイトを運営すれば、検索エンジンに理解してもらいやすくなり、SEOの効果も出やすくなります。なぜなら、最適なディレクトリ構造であれば、検索エンジンがWebページの価値や関連性を正しく理解できるからです。
検索エンジンは、Webサイトの内容を分析するために、Webサイト内のリンク構造を分析します。ディレクトリ構造を通じてWebサイト内のページの関連性を推定し、検索してきたユーザーへ適切な情報を表示するように動作します。
最適なディレクトリ構造を採用すれば、検索エンジンはWebサイトのページの関連性を正しく理解でき、ユーザーに適切な情報を提供できるため、検索エンジンに理解してもらいやすくなるのです。
Webサイトのディレクトリの適切な構造は、SEOにも良い影響を与えるでしょう。
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ユーザーも目的のページへ遷移しやすい
Webサイトを最適なディレクトリ構造にすることで、検索エンジンだけでなく、ユーザーも目的のページへ遷移しやすくなりますので、ユーザビリティの向上も期待できるでしょう。
なぜなら、適切な階層構造を持ったディレクトリでは、ユーザーが必要とする情報を迅速かつ簡単に見つけることができるからです。
例えば、カテゴリーやタグごとに分けたサブディレクトリがあると、ユーザーは興味のあるトピックに関連するコンテンツに迅速にアクセスできます。
その結果、ユーザーが目的のページにたどり着くまでのクリック回数が少なくなり、ページへのアクセスが簡単になるため、ユーザーの満足度は高くなるでしょう。
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まとめ
本記事では、「ディレクトリ」の仕組みや種類、一般的に使われる意味について解説しました。
ディレクトリは、ファイルやフォルダを整理するための仕組みであり、パソコンやWebサイトで広く使われています。
パソコンのディレクトリは、ファイルを整理するための階層的な構造であり、Webサイトのディレクトリは、URLに反映されるページの階層的な構造です。
また、Webサイトの場合、最適なディレクトリ構造を構築することで、検索エンジンに理解されやすくなるため、SEOの効果が望めますし、ユーザーは目的のページへスムーズに遷移することができるため、ユーザビリティの向上も期待できるでしょう。
特に、Webサイトを運営されている人は、本記事の内容を参考にしていただき、ディレクトリを整理してみることをおすすめします。