「CPI(インストール単価)」を確認すると、広告媒体からのアプリのインストール数に、どれほどの広告費用が発生したかがわかります。モバイルアプリ開発者やアプリマーケター、広告代理店はCPIを追跡することにより、適切な広告戦略を立てられるようになるでしょう。
この記事では、CPIの概要や他の関連用語との違い、CPI広告のメリットなどをわかりやすく解説します。
目次
CPI(Cost Per Install)とはインストール単価
CPI(インストール単価)とは、広告媒体を通したアプリのインストール獲得の単価です。App StoreやGoogle Playストアからのアプリのインストール数に対し、広告費用がどの程度発生したのかを表す指標になります。つまりは、アプリがインストールされたことによって、アドネットワークに支払わなければならない1件あたりの固定費用です。
モバイルアプリの開発者やマーケターがCPIをモニタリングすることで、効果的な広告戦略を見つけることが可能になります。CPIが低いほど、アプリのインストール数を効率的に獲得できていると判断できます。
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モバイルアプリ広告におけるインストール単価の考え
CPIは、主にモバイルアプリにおける指標を表しており、アプリマーケターが広告予算を算出して配分する際に使用されます。また、CPIは「CAC(顧客獲得コスト)」と連動しており、新規ユーザーの獲得における広告費用に限定して使用されるのが基本です。
新規ユーザー獲得に必要な費用が、アプリ収益を超えないよう、アプリマーケターはCPIを追跡しつつ「ARPU(ユーザー1人あたりの平均収益)」を監視します。
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CPI広告とはインストール数を増やすのが目的の広告
CPI広告は、広告媒体を通じてのアプリのインストール数を増やすのが目的の広告です。ここでは、CPI広告の詳細の他に、アプリマーケターが適切な広告戦略を立てるのにCPIをどう役立てているかを解説します。
アプリのインストール数を増やすための広告
CPI広告は、ユーザーが広告をクリックするとダウンロード先に誘導され、アプリがインストールされるたびに料金が発生する仕組みです。CPIは、アプリが1回インストールされた時の費用のため、広告の表示回数やクリック数は関係ありません。つまり、広告がいくらクリック・タップされても広告費は発生しないことになります。
CPI広告の費用は、ユーザーがアプリをダウンロードした時に発生するため、ユーザーがダウンロードしたくなるようなマーケティング戦略が必要です。なお、CPI広告はアプリ内広告だけでなく、バナーやメール、リワード広告といったさまざまな広告形態で掲載されています。
CPIの値を小さくするのがアプリマーケターの仕事
広告運用の費用は、CPIが低いほど成果を出せていると判断でき、反対にCPIが高いと費用対効果が悪いことになります。
アプリをユーザーにインストールしてもらうには、アプリをPRできる広告を出さなければなりません。しかし、広告に多額の費用をかけるのは避けたいものです。
そのためアプリ事業では、全体の予算からどの程度アプリPRの広告に費用を使えるのかを見極める必要があります。その際に役立つ指標がCPIで、CPIによりアプリ事業全体での予算を決められるようになるでしょう。
アプリマーケターはCPIを低く抑えるため、ターゲットとなるユーザーを明確にし、魅力的な広告を展開する必要があります。アプリの特徴やジャンルに適した広告ネットワークを選び、広告を出す時間や頻度を調整できれば、インストール数を効率的に獲得できるでしょう。
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CPIの計算式と例
CPIは、投資した広告費用の合計を獲得したユーザー数(インストール数)で割って算出できます。計算式に表した場合は以下の通りです。
CPI(円) = 広告費用 ÷ 広告経由のアプリインストール数
例えば、1か月の広告費が10万円でアプリのインストール数が1,000回の場合、CPIは100円になります。CPIはデバイスのOSや広告プラットフォームや、キャンペーンを実施している地域などに影響されます。また、計算式にはアプリ内課金の収益は含まれていない点に注意が必要です。
CPIの相場
CPIの平均相場を把握しておくことで、広告効果の参考の1つになるでしょう。CPIの平均相場は、海外のデータによると約4.08ドルとされており、日本円で換算すると約500〜600円程度になります。
CPIの相場は、アプリのジャンルや市場の競争状況、競合他社の広告費用などによって変動します。プラットフォームや競合が多い市場、人気のジャンル、特にゲームアプリは他よりもCPIが高くなる傾向です。また、iOSアプリとAndroidアプリでもCPIには差が生じるとされています。CPIの相場目安を判断する際は、自社のアプリと同じジャンルの他社アプリのCPIを参考にすると良いでしょう。
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関連用語との違い
CPIには、関連する用語や似たような意味を持つ用語が複数存在するため、混同されるケースもあります。以下で紹介する用語の意味と特徴を押さえて、CPIとはどう違うのかを確認しておきましょう。
eCPI
eCPI(Effective Cost Per Install)は、新規ユーザーがアプリをインストールした際にかかる費用を算出するための指標です。「有効インストール単価」とも呼ばれ、インストール獲得の単価であるCPIとは密接に関係しています。
eCPIは、主にモバイルアプリの広告で使用されており、モバイルアプリのマーケティングでは特に重要な要素です。ECPIによって、実施したキャンペーンとその費用効果を把握できます。なお、有効インストール単価の費用はCPIと違い、キャンペーン後に計算される仕組みです。
CPC
CPC(Cost Per Click)とは、広告を1クリックする度に、いくら費用が発生したのかを表す指標です。CPCは広告1クリックあたりの単価を指すため「クリック単価」とも呼ばれます。
CPCはクリック単価を指すケース以外に、クリック課金の広告そのものを指す場合があります。CPCは広告でユーザーをサイトに誘導させることから、CPCの単価が低いほど広告の費用対効果が高くなるのが特徴です。
また、CPCは広告の総費用や総クリック数に関係なく、1クリックあたりに発生する費用を比較できるというメリットから、広告の効果を把握する際に役立つ指標といえます。
ROAS
ROAS(Return on Advertising Spend)とは、発生した広告費用に対して、どれだけの売上が得られたかを%で表した指標です。「広告費の回収率」とも呼ばれ、Web広告の効果を把握する際には欠かせません。
ROASを算出することで、発生した広告費用の売上額を1円あたりから把握でき、広告の費用対効果もわかります。ROASの数値が高いほど、広告の費用対効果も高いと判断します。
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リワード広告
CPI広告とリワード広告は、両者とも成果報酬型の広告ではありますが、明確な違いがあります。
リワード広告とはアフィリエイト広告の1つで、アプリ広告でよく使用されるのが特徴です。一方のCPI広告は、ユーザーにインストールされた時点で広告主に費用が発生します。
リワード広告では、ユーザーがアプリをインストールした後に、広告主が媒体に対して成果報酬を支払います。その後、媒体がユーザーに対してインストールの報酬としてポイントなどを付与します。この形式はアプリのインストールに効果的ですが、ユーザーの質が低く、売上に結びつかないケースもあります。
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ノンインセンティブ広告
ノンインセンティブ広告とは、ポイントなどのインセンティブをユーザーに付与しない成果報酬型の広告です。リワード広告はユーザーにインセンティブを付与するものですが、ノンインセンティブ広告はユーザーへのインセンティブなしで、CPI広告を配信します。
ノンインセンティブ広告の具体例としては、X(旧Twitter)といったCPCで配信する広告があります。その他に、InstagramやFacebookのようにCPM(Web広告を1,000回表示させた時に発生する費用)で配信する広告が挙げられます。
CPI広告のメリット
CPI広告を活用する大きなメリットは、低コストから運用を始められることと、費用対効果が可視化しやすいことの2つです。それぞれを詳しく解説します。
低コストからはじめられる
CPI広告は1件あたりのインストール単価が安価であるため、低コストで運用を始められます。成果報酬型の広告という特徴から、CPI広告にはクリックや表示による費用が発生しません。成果を得た時に限り費用が発生することから、効率的な広告運用が可能です。
アプリを制作したばかりで広告運用はこれから、といった状況であれば、低コストから運用できるCPI広告の活用を検討すると良いでしょう。アプリのインストール数を増やす有効な方法です。
成果報酬型で費用対効果がわかりやすい
クリック報酬型の広告の場合、クリック率などを分析しなければならず、費用対効果がわかりにくいのがデメリットです。
しかし、成果報酬型の広告であるCPI広告であれば、アプリのインストール数をすぐに確認できるため、課金料金と比較するだけで費用対効果がわかります。
CPI広告の注意点
CPI広告を活用するにあたっての注意点は、計測ツールが必要なことと、インストール後は測定できないことの2つです。それぞれを詳しく解説します。
計測ツールがいる
アプリ広告では、インストールの地点にトラッキングタグを埋め込めません。そのため、CPI広告でアプリのインストール数を正確に調べるには、専用の計測ツールが必要です。代表的なものには、Adjust(アジャスト)やAppsflyer(アップスフライヤー)といったツールが挙げられます。
インストール後は追えない
CPIは、アプリインストール後のプレイや課金に関して測定できないのがデメリットです。このため、CPIを計測する際は、広告費用に対する売上がわかるROASを併用するケースが増えています。
また、近年のアプリは無料での販売後にアプリ内課金を得るタイプのものが主流のため、CPIだけで広告の効果を測定するのが難しくなっています。
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まとめ
CPIとはインストール単価とも呼ばれている、広告媒体を通して獲得したアプリのインストール数です。CPIを増やすのが目的のCPI広告も、アプリ内やバナーなどでよく見られます。
CPI広告を活用するメリットは、運用を始める際にコストが抑えられること、費用対効果がわかりやすいことが挙げられます。ただし、CPI広告を活用する時は専用の計測ツールが必要になるため注意しましょう。