ビジネスや起業を成功に導くため、様々なコンテンツを作り込んでいく一番最初のプロセスにおいて「コンセプトが大事」だと耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、なぜコンセプトが大事であるか、コンセプトがどこに活きてくるのか分からない方もいると思います。コンセプトには、構想や概念といった意味が含まれています。
本記事では、コンセプトの概要を解説するとともに、コンセプトとテーマの違いについてご紹介します。また、マーケティングにコンセプトが重要である理由や、コンセプトメイキングの手順もご説明しますので、コンセプトに対する理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
目次
コンセプトの意味とは?
まずは、コンセプトの概要からご説明します。コンセプトとは、意味のある制作物を制作する際の基準となる考え方のことで、全体的な方針や目的をズラさないために使用します。また、コンセプトには概念や構想、発想といった意味も含まれます。主にビジネスやコンテンツの企画を立てる際に必要となる考え方であり、決められたコンセプトによってビジネスがうまくいくかどうかが左右されます。他社と差別化したコンセプトや、業界に今までなかったコンセプトを考えることが競争力となるため、多くの時間をかけて考えるべきことだと言えるでしょう。
様々なコンセプト
先程、コンセプトの概要を解説しました。ここからは、よりコンセプトの理解を深めるために、様々なコンセプトを使った言葉の中でも一例をご紹介します。
・ コンセプトカフェ
・ コンセプトカー
・ ブランドコンセプト
・ 製品コンセプト
それぞれ順番に見ていきましょう。
コンセプトカフェ
他にはない世界感を創出し、特定の強みを持つカフェのことをコンセプトカフェと言います。コンカフェと呼ばれることもあり、世界観が独特であるため、他カフェと差別化を図りたい場合に有用です。代表的なコンセプトカフェは下記のとおりです。
・ 多くの絵本に囲まれているカフェ
・ 映画の世界観を表現したカフェ
・ 猫カフェ
他にも「メイドカフェ」などが有名でしょう。また、カフェの代表格であるスターバックスは、単にコーヒーを提供するのではなく、雰囲気のよい店内でひとときを過ごせるサードプレイスを提供しているから人気が生まれたというのは有名な話です。そのため、スターバックスも考え方によってはコンセプトカフェの1つだと言えるでしょう。
関連記事:スターバックスやリッツカールトンが盛況な理由/CXでリピーター獲得のビジネス戦略
コンセプトカー
コンセプトカーは、各自動車を販売・製造している会社が、デザインや機能の方向性を決める際に制作される車のことです。また、今後の技術の発展のためにもコンセプトを決定します。元来より企業として、ビジョンや方向性は決まっているものの、より他社と差別化するにはどうしたら良いか、今後も長くビジネスを存続させるにはどうしたら良いかという考えを基に決められることが特徴です。
ブランドコンセプト
ブランドコンセプトとは、ブランドが提供できる価値や、今後ブランドとして提供していきたい価値を言語化したもののことです。それは、顧客がどのようなビジネスを求めているか、また自身がどのような思いで届けたいのかといった考えを基に決められます。上述したスターバックスであれば、自宅でも職場でもない第3の場所がコンセプトです。
このように、同じ業界であっても自社にしか打ち出せない価値や、打ち出したい価値を言語化することがブランドコンセプトになります。
製品コンセプト
製品コンセプトとは、製品の開発プロセスにおいて、その製品が誰にどのような価値を与えるかを明確に落とし込んだもののことです。また、製品コンセプトを決める際は、今後の経営戦略や顧客のニーズ、市場性、経済性などあらゆる観点からスクリーニングをかけることも特徴です。
製品を使用するユーザーが具体的にどのような利益を得られるのか、実際に手にしたときにどのような感情を抱くのかといった視点からも決めていくため、製品コンセプトは言い換えれば「顧客が製品を購入する理由」になります。だからこそ、今後の経営戦略を踏まえて考えることが非常に大切です。
コンセプトとテーマの違い
ここまで、コンセプトの概要や代表例を解説してきましたが、コンセプトとテーマの違いが分からないと感じる方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、本記事でも解説しているようにコンセプトは「概念」のことであり、テーマは「主題」という違いがあります。そのため、コンセプトはビジネスやマーケティングにおける概念や考え方として扱われ、テーマは特定の分野の議題に対する主題として扱われます。
分かりやすい例としては、「高齢化」についてです。
高齢化という現象を「概念」であるコンセプトにすることはできませんが、「高齢化をテーマに議論しよう」とは言うことができます。そのため、根本的にコンセプトとテーマは使用される場面が異なることを理解しておきましょう。
マーケティングにコンセプトが重要な理由
ここまで、コンセプトとテーマの違いなどを解説してきました。ここからはより具体的に、マーケティングにコンセプトが重要である3つの理由を解説します。
・ ビジネスの成功確率が高まる
・ 何をすれば良いのかが明確になる
・ ターゲットに刺さりやすくなる
それぞれ順番に見ていきましょう。
ビジネスの成功確率が高まる
コンセプトを明確にすることで、ビジネスの成功確率が高まります。なぜなら、コンセプトを決める段階で、コンセプトより深い概念、フレームワークとして競合調査や市場調査、今後の経営戦略など創造的な観点から自社の分析を行うためです。たとえば、自社が今後カフェを出店するとします。その際、競合調査や市場調査を一切行わず、コンセプトを何も決めずに出店した場合、成功する確率は高いと言えるでしょうか。結論、失敗する確率が非常に高いと言えるでしょう。
ただし、どの市場であれば自社が強みを出せるか、ターゲットとなるユーザーがカフェに求めているものはどのようなものであるかを徹底的に分析してコンセプトに落とし込むことで、成功確率は格段に高まります。つまり、コンセプトを決めること自体が競争力となり、長くビジネスを続けられる重要な要因の1つだと言えます。
何をすれば良いのかが明確になる
コンセプトを決めることで、何をすれば良いのかが明確になるメリットがあります。これは、経営戦略を決める上でも役立つものですが、社員教育にも役立ちます。なぜなら、自社のコンセプトを求めているターゲットに対して、社員がどのような対応をすれば良いのかが分かりやすくなるためです。
一方でコンセプトが決まっていなければ、社員がどのような対応をするべきなのかが不明確になり、顧客満足度を下げることにも繋がります。ビジネスのコンセプトが決まっていることで、関わる人に共通の認識が広がり、あらゆる過程に対するブレが少なくなることも特徴です。
ターゲットに刺さりやすくなる
最後に、コンセプトが決まっていることで、ターゲットに刺さりやすくなることも特徴です。たとえば、掃除機のダイソンを例にします。ダイソンのキャッチコピーは「吸引力の変わらない、ただ1つの掃除機」です。つまり、掃除機に強い吸引力を求め、なおかつ持続することを求めているターゲットに刺さりやすいことが分かるでしょう。
このように、キャッチコピーとなるようなコンセプトを決めることでターゲットに刺さりやすくなり、結果的に売上や販売促進に繋がるメリットがあります。
コンセプトメイキングの手順
ここまで、コンセプトの概要やマーケティングに重要な理由を解説してきました。最後に、実際にコンセプトメイキングを行う手順を解説します。
・ ターゲットを決める
・ ターゲットが求めているものを探る
・ 価値を感じてくれるターゲットにコンテンツを提供する
それぞれ順番に見ていきましょう。
ターゲットを決める
まずは、自社の商品やサービスを求めるターゲットを決めましょう。新たにビジネスを展開するのであれば、先にターゲットを選定し、そのターゲットに合わせて商品やサービスを企画する形でも問題ありません。
まずターゲットを決めなければ、誰にも刺さらないコンテンツとなり、商品やサービスが流通することはありません。そのため、コンセプトを決める上での最重要項目となります。
ターゲットが求めているものを探る
次に、ターゲットが求めているものを探りましょう。言い換えれば、ターゲットとなるユーザーが日々抱えている問題や、悩みを洗い出していきます。たとえばカフェの出店を考える際、コーヒーや紅茶の料金は安いものの、子供と長時間過ごすのは周りからの目が気になってしまうと感じる主婦がいたとします。そういった主婦の方に対して、子供とでも長時間過ごせる空間を提供することが例として挙げられます。
このようにターゲットが求めているものを探り、それらを解決できるコンセプトを決めるのが大切です。
価値を感じてくれるターゲットにコンテンツを提供する
コンセプトが決まったら、実際に価値を感じてくれるターゲットに対して、コンテンツを提供しましょう。ターゲットの年齢や年収、性別によって販売経路は異なるため、最もターゲットに届きやすい集客手段を検討することが重要です。
まとめ
本記事では、コンセプトの概要や代表例、コンセプトメイキングの手順などを解説してきました。コンセプトは企業が打ち出したい価値を言語化したものであり、それは顧客が商品やサービスを購入する理由にも繋がります。そのため、経済性や市場性、今後の経営戦略など、あらゆる観点を踏まえて決めることが重要です。
まずは、自社の商品やサービスを求めるターゲットを選定し、そのターゲットがどのようなものを求めているのかを探ることから始めてみてはいかがでしょうか。