ヒートマップを使ってWebサイトの分析をしたい人の中には、「Microsoft Clarityで何ができるのか知りたい」「Microsoft Clarityの使い方を知りたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
Microsoft「Clarity」は、Microsoft社が提供している、無料でありながらも優秀なヒートマップツールです。
本記事では、Microsoft「Clarity」の機能やメリット、活用事例や使い方・設定方法まで解説します。Microsoft「Clarity」を試してみたい、Microsoft「Crarity」を使ってサイト訪問者の行動を分析したい人は、ぜひ本記事を参考にしていただき、サイト改善に役立ててください。
目次
Microsoft「Clarity」とは?
Microsoft「Clarity」とは、Microsoft社が提供している無料のヒートマップツールのことです。Webサイトを訪問したユーザーが、ページ上でどの部分を見て、どこをクリックしたのかということが分かるツールで、サイトコンテンツの分析に役立ちます。
このようなヒートマップツールは他にも存在しますが、Clarityには無料とは思えないほどの機能があり、非常に質の高いツールです。
関連記事:WEBサイトの改善に役立てるヒートマップの活用方法
Clarityに備わっている機能
Clarityには、以下の機能が備わっています。
● ヒートマップ機能
● レコーディング機能
● ダッシュボード
それぞれ順番に解説します。
ヒートマップ機能
Clarityには、Webサイトのどの部分がユーザーにクリックされたかが分かる、ヒートマップ機能があります。Clarityのヒートマップ機能は、アクセスしてきたデバイス、国、期間などのフィルターで結果を絞り込んで表示できます。
プロジェクト画面から対象ページを選択すると、左メニューにクリック数の多い順に要素が表示されます。右画面にサイトのプレビューが表示され、クリックされた要素の位置が分かりやすく表示されます。
また、クリック位置のデータの他に、「スクロール」項目で何%のユーザーがどこまで画面をスクロールしたかが分かる機能や、「領域」項目で何%のユーザーがどこをクリックしたのかが分かる機能も備わっています。
レコーディング機能
レコーディング機能とは、Webサイトを訪問したユーザーの実際の動きを記録し、動画データとして記録する機能のことです。レコーディング機能では、以下の情報を動画で確認できます。
● ページの滞在時間
● マウスカーソルの動き
● クリックした場所
● スクロールの流れ
実際に、ユーザーがどんな動きをしたのかを視覚的に確認できます。
ダッシュボード
ダッシュボードとは、Webサイトに訪問してきたユーザーに関する情報をまとめて表示させたページのことです。
アクセス数や、1アクセス当たり何ページ見られているか、ユーザーの平均滞在時間などが確認できます。他にもClarityのダッシュボードでは、以下のようなデータも表示しています。
● デッドクリック率:ページを効果なくタップまたはクリックしたユーザー
● イライラしたクリック率:ユーザーが同じ狭い範囲をすばやくクリックまたはタップ
● クイックバック率:ユーザーがページに移動した後、前のページに素早く戻る
ユーザーにとって、評価の悪いページがどこなのかを知るきっかけになります。
関連記事:ヒートマップの機能や種類を紹介。用途ごとに必要な機能や種類とは
Clarityを使うメリット
Clarityには、以下のようなメリットがあります。
● Googleアナリティクスと連携可能
● セッション数に制限がない
● 無料で使うことができる
● データの保有期間に制限がない
それぞれ順番に解説します。
Googleアナリティクスと連携可能
Clarityは、Googleアナリティクスと連携が可能です。ClarityとGoogleアナリティクスを連携させることで、Googleアナリティクス上でClartityが持つデータの一部を参照できたり、逆にClarity上でGoogleアナリティクスのデータの一部を参照できたりします。
ClarityもしくはGoogleアナリティクスのどちらかのサービスだけで、アクセス解析に関する多くのデータを参照できて便利です。
セッション数に制限がない
Clarityにはセッション数に制限がありません。ヒートマップツールの中には「月間10万PVまでは無料」「1日500セッションまでで○○円」といったように、セッション数(PV数)に制限をかけているサービスもあります。
無料でありながら、セッション数の多いサイトにも利用できる点は、非常に優れています。
無料で使うことができる
Clarityの最大のメリットが、「無料で使うことができる」という点です。
ヒートマップツールは有料無料を問わず数多くのツールが存在しますが、無料で使えるツールは、仮に期待したサービスでなかったとしても、金銭的な損失がないため安心です。
「ヒートマップとはどういうものなのか」「Clarityの使い勝手を試したい」という人も、まずはお試しで気軽に始めることができます。
データの保有期間に制限がない
Clarityは無料のツールでありながら、データの保有期間に制限がありません。そのため、長期的なアクセスデータを無料で解析することができます。
他の無料版のツールでは、「データ保有期間は1ヶ月分までで、期間を増やしたい場合は有料プランに契約が必要」というサービスもあります。無料で長期的なアクセスデータから分析を行いたい場合も、Clarityは使えるツールです。
関連記事:Google Analytics(グーグルアナリティクス)とは?設定方法や使用用途を解説
Clarityの活用事例
それでは、Clarityの活用事例を紹介します。Clarityの機能を使うことで、以下のことが行えます。
● どこがクリックされているかを確認する
● マウスのカーソル位置を確認する
● スクロールの動きを確認する
それぞれ順番に解説します。
どこがクリックされているかを確認する
Clarityの「ヒートマップ機能」「レコーディング機能」を使えば、訪問ユーザーがページのどの部分をクリックしたかを確認できます。どこが多くクリックされているかを確認できれば、ユーザーがどのリンクをクリックしたかが分かり、どの情報に興味があるのかが分かります。
また、クリックされていないリンクは、あまりニーズがないコンテンツであると判断できますので、見直しが必要であると分かります。
マウスのカーソル位置を確認する
Clarityの「レコーディング機能」を使うことにより、ユーザーがWebページ上で操作したマウスのカーソル位置を確認できます。
マウスのカーソル位置は、ユーザーの視点に近くにあるため、ユーザーがWebページ上のどの部分を主に見ているのかを推測できます。ユーザーがWebページ上のどの部分に興味を持っているかを把握でき、コンテンツを強化するための参考になります。
また、クリックされた位置と併せて確認することで、適切な導線がとれているレイアウトになっているか確認できます。もし、マウスのカーソル位置とクリックされた関連リンクの位置が遠いようであれば、レイアウトの見直しをした方が良い可能性もあります。
スクロールの動きを確認する
Clarityでは、スクロールの動きを「レコーディング機能」で、スクロールされた領域の割合を「ヒートマップ機能」で確認できます。
レコーディング機能でスクロールの動きを確認することで、ゆっくりスクロールされている部分と早くスクロールされている部分が分かります。ゆっくりスクロールされている部分は、ユーザーがきちんと読んでくれており、逆に早くスクロールされている部分は、ユーザーが興味がなくて読み飛ばした部分であることが分かります。
また、スクロールされた領域の割合が分かれば、ページのどの辺りが一番よく読まれていて、どの辺りが読まれていないかが分かります。ユーザーが読まなかった部分は、見直しが必要であると判断できます。
関連記事:WEBサイト分析のツール活用、ここだけ抑えてパフォーマンス向上
Clarityの使い方と設定方法
最後に、実際にClarityの使い方と設定方法を解説します。Clarityを使うためのステップは、下記の通りです。
1. アカウント登録
2. 新規プロジェクトの作成
3. タグの設置
4. Googleアナリティクスとの連携
5. 計測開始
それぞれ順番に解説しますので、参考にしてください。
アカウント登録
はじめに、Microsoft 「Clarity」の公式サイトより、アカウントを登録する必要があります。以前は公式サイトが英語表記しか対応していませんでしたが、2023年2月現在では、日本語表記にも対応しています。
Clarityのアカウント登録には、以下のいずれかのサービスでサインアップする必要があります。
● Microsoftアカウント
● Facebookアカウント
● Googleアカウント
上記のいずれかのアカウントがない場合は、事前に作成が必要です。サインアップを行い、利用規約に同意すると、新規プロジェクトの作成画面に進みます。
新規プロジェクトの作成
新規プロジェクトの作成画面で、Clarityを使いたいサイトの情報を登録します。「名前」には任意の名前を入力し、「WebサイトURL」にはClarityを使いたいサイトのURLを入力します。
以上を入力すると、プロジェクトが作成されます。なお、このプロジェクトは複数作成可能です。
タグの設置
プロジェクトが作成できたら、Clarityでデータを取るためのタグをサイトに埋め込みます。タグは、Clarityの画面左の「セットアップ」より行います。
解析するサイトの状態によって、推奨されるタグの設置方法が異なります。具体的に、主なタグの設置方法は以下の通りです。
● Googleタグマネージャーを利用しているサイトの場合:Google タグ マネージャを使用してインストールする
● WordPressを利用している場合:Microsoft Clarityのプラグインをインストールして設定する
● フリーコーディングされているサイトの場合:タグを手動でコピーしHTMLの<head>タグ内に貼り付ける
他にも、ShopifyやWIXを利用している場合の設置方法などもセットアップ画面に案内がありますので、使っている人は参考にしてみてください。
Googleアナリティクスとの連携
もし、Googleアナリティクスを利用している場合は、GoogleアナリティクスとClarityの連携が可能です。
GoogleアナリティクスとClarityを連携することで、Clarity上でGoogleアナリティクスのデータが見られるようになります。
連携の手順は以下の通りです。
1. Clarityのアカウント画面右上の「設定」をクリック
2. 左メニューの「セットアップ」をクリック
3. 「Googleアナリティクスの統合」項目の「開始する」をクリック
4. 連携させるGoogleアカウントをクリック
5. 「Microsoft Clarityがアクセスできる情報を選択してください」で各項目にチェックを入れ、「続行」をクリック
6. 接続するサイトのURLを選択して「保存」をクリック
7. 「Google アナリティクスの統合」項目に「ログイン済」と表示されれば連携完了
Clarityのアカウント画面上部に、新たに「Googleアナリティクス」というメニューが作成され、Googleアナリティクスの内容がClarityから参照できるようになります。
計測開始
タグの設置が完了し、数時間経つとClarityによる計測が始まります。サイトへの訪問者があると、Clarityのダッシュボード、レコーディング、ヒートマップにデータが反映されます。
まとめ
本記事では、Microsoft「Clarity」の機能やメリット、活用事例や使い方・設定方法を解説しました。Clarityは無料で使えるヒートマップとして、非常に質の高いツールです。
レイアウトも分かりやすく、機能的にも、ユーザーの導線を分析するために十分なものが具備されています。セッション数が多いサイトや、長期的なアクセス分析にも無料で安心して使える便利なツールですので、ぜひヒートマップ分析として役立ててみてください。