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デジタル広告はユーザーにどれくらい嫌われているのか。何故?

2024.7.4
読了まで約 8

生成AIをはじめとした最新の手法や技術が次々に導入され、急速に進化しているデジタル広告。その一方で、なりすまし広告や詐欺広告の横行といった深刻な課題も浮き彫りになってきた。

本連載では、クオリティメディアコンソーシアム事務局長で株式会社BI.Garage 特命顧問を務める長澤秀行氏が、インターネット広告の黎明期から現代に至るまでの進化を俯瞰し、現代におけるデジタル広告の問題点と、本来あるべき理想形について解説する。

本稿では、デジタル広告は現状どれくらいユーザーに信頼されているのか、様々なデータからユーザーからの信頼度と信頼されるべきデジタル広告になるにはどうなるべきなのかを解説する。

デジタル広告の信頼度

1997年に宮崎俊監督の「もののけ姫」が公開された際、トップコピーライターの糸井重里さんは「生きろ」というキャッチコピーを創作しました。短い言葉で「もののけ姫」の作品テーマを力強く伝える名文です。50本以上の没コピーを宮崎監督からくらったそうです。まさにコンテンツと宣伝コピーの世界観の見事に昇華したコピー作品と思います。

その大先輩の糸井さんがこんな事を最近Xでつぶやきました。

糸井重里 X投稿より 6.12
『読むのを邪魔するように現れる「ネット広告」を消すために必死で「X」マークを探して、見つかって消せるとほんとにうれしい気持ちになる。どうかしてないか?! この現象! 嫌がられるために広告を出しているのか?

広告をこんなに嫌ったことはなかったなぁ。敵のように現れて、行く手を
阻むものを好きになるわけはないよな』

広告界のプロ中のプロのこの言葉は響きます。「嫌がられるために広告を出しているのか」重い言葉ですがネット広告の現実です。ネット広告費はマスメデイア広告費を超えて最大のメデイア広告費であり予測では本年、日本の広告費の50%を超えるのではないかと言われています。その広告へのユーザー評価はJIAAのネットユーザー調査では非常にきびしい。利用者からみてダントツに信頼できない広告です。信頼率23.1%。テレビ広告42.4%、新聞広告42.9%に比べれは約半分の信頼率です。(JIAAネットユーザー調査より)

図:デジタル広告を信頼できるか(利用者)いちばん信頼できない広告メディア

表1:JIAA調査1

図:ネット広告はユーザーにどう評価されている?

表2:JIAA調査2

さらに年を追うごとに倍々ゲームですが信頼度は低下。これは広告界、マーケテイング界にとっては憂うべき状況。何がそんなに信頼出来ないのか?「しつこい、不快」「邪魔、うっとおしい」「いかがわしい、怪しい」「誤解をまねく、虚偽感がある」など罵詈雑言が評価欄に並びます。

具体的な不評ポイントはどこか

1.広告表示フォーマット
画面の大部分を占める広告、意図しないクリックを誘う広告、同じものが何度も表示される広告、スキップできない動画広告、閉じるボタンがわかりにくい広告等

2.広告内容
不適切、不快な表現内容の広告、誤解を招く虚偽感のある広告、記事コンテンツか広告か紛らわしい広告、広告主や商品名の表示がない広告等

3.ターゲテイング
自分の検索・閲覧履歴に紐つくような広告、自分の登録した情報に
紐つくような広告、違うメデイアや端末でも追いかけてくる広告等
ネット広告はユーザーのまな板に載るとズタズタに言われてしまいます。

図:インターネット広告の嫌いな点(利用者)

表4:JIAA調査4

グラフ:一番利用されるインターネットの信頼ポジションは?

表3:JIAA調査3

しかし、ネットメデイアはユーザーの生活時間で一番使われているメデイアです。ネット上の情報自体はメデイアとしての信頼度は43.4%で50%-60%のマスメデイアとSNS会話を差し引くと同等なのかなと感じます。ネット情報を信頼する条件TOP3は「有名・信頼できる発信元」「多くの人が使っているメデイア」「不快、不適切な広告が表示されないメデイア」という結果。

要するにインターネット情報のコンテンツメディアはある程度、信頼できるが広告は信頼できないというざっくりした結論です。何故こうなってしまったんだ。多様な視点から見てみるため長年テレビメディアそしてデジタメディアでも適切なご意見を出されるメディアコンサルタントの境治氏の見解を読んだ。

(境治氏ノート6.11より一部引用)
https://note.com/oszerosakai/n/n756692cc0cac

「嫌われる広告表示が売り上げを減らすことに業界はそろそろ気づくべきだ」境治

『博報堂メディアDYパートナーズのメディア環境研究所が毎年発表する「メディア定点調査2024」が公開された。2006年から「定点観測」をしているので、時代を追って人々とメディアの関係の変化がわかる貴重な調査だ。今年の結果も様々に読み取りたくなるが、この記事では一点に絞って取り上げる。「広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた」かどうかを質問した結果が示されている。この質問は2018年からおこなっているもので、2023年と2024年で明らかな差が出た。データをダウンロードして私が作成したグラフ

図:広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた

出典:広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた | メディア環境研究所|博報堂DYメディアパートナーズmekanken.com

「広告がこれまでにも増して嫌われるようになったこの一年」

このところ私が感じていた「広告表示がいよいよ過剰になって来た」ことが如実に示されたと受け止めた。2018年以来ゆっくり上昇していたのが、2024年には5.4%も上がって49%に達している。半分近い人々が「広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた」と回答したのだ。

回答は男女別、年代別に見ることもできる。10代と40代以外は、この1年間で「感じることが増えた」という人が増えている。』

以上、境氏の分析は経年資料にもとずき的確な御指摘。広告への不快感の拡大は明らかにユーザーの利用が拡大しているネットメデイアとその上で展開されるネット広告への不満、それが広告全体の質への不満を呼んでいる現実だ。

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そもそも広告の原点

昨年12月に開催された経済産業省主催の「デジタル広告の買い方改革セミナー」でこんな問いかけをしてみました。

画像:デジタル広告は想定顧客に「なんとかクリックさせるためのもの」と、思っていませんか?

表5:長澤スライド1

画像:しかし、広告をみるためにTV、PC、スマホ、紙面を見る人はいない。想定顧客は顧客である前に読者であり視聴者。

表6:長澤スライド2

画像:広告は、記事やコンテンツを見たい人に、「ついでに見てもらう」存在。

表7:長澤スライド3

画像:どんなコンテンツの「ついで」なのか、は大切だと考えます。広告のユーザー受容性の課題

表8:長澤スライド4

前回の連載でも述べましたが「広告」はユーザーから見れば邪魔者です。「広告」を見るためにコンテンツを見に行く人はいません。その為にいかに「広告」を飲みやすいオブラートに包んでユーザーに飲んでもらうか。それは広告の人の心を動かすクリエイティブセンスであり、それを包み込む信頼できるオブラート=コンテンツです。これはユーザーが全てマルチデバイスの使い手である現在でもアナログ、デジタルも超えた広告の原点です。電通の新聞局の新入社員時代にのちに社長になった読売担当の先輩から新聞は広告の最高の包み紙である。紙面広告は記事と隣合わせで、チラシは朝夕、新聞に包まれて届けられるから信頼され広告効果が出るのだ、新聞題字の価値を大切にしろと。その題字の価値で広告だけでなくスポーツ事業も芸術事業も成功しました。下は日経とやったルーブル美術館200年記念事業へのルーブル館内メセナ刻印。

画像:日本経済新聞社主催ルーブル美術館200年展

表0:ルーブル美術館写真

余談ですが、電通新聞局の新入社員の同期に佐々木宏君がいて送稿課で机を並べて新聞原稿(当時は原寸大の鉛版)を新聞社へ運んでいました。自由人の彼はそれに飽き足らず難関の社内クリエイティブ試験を受け一発合格でCMプランナーの道を歩み、メディアコンテンツに頼らない独立作品としてのCMに挑み名作「そうだ京都に行こう!」シリーズをヒットさせました。これもアドマンの生き方。閑話休題。広告はいずれにしても物語性を備えたコンテンツを帯びていないとユーザーに振り向かれない存在、逆に反発をくらいかねない毒薬です。今のネット広告は「反発上等」で居直ったお邪魔虫に自分には感じられる。不遜です。ネット広告では「枠から人へ」としてターゲテイング技術を駆使し個人に広告をあてればコンテンツメデイア依存より効率的に効果をあげられるという理論が主流です。がJIAAのユーザー調査の結果では掲載コンテンツメデイアと広告の密接な相関関係が証明されています。

画像:メディアと広告の信頼関係=ユーザーは広告は掲載メディアと一体評価

表9:JIAA調査5

画像:メディアと広告の信頼関係=ユーザーを行動履歴により追いかける広告の限界

表10:JIAA調査6

信頼できるメデイアに掲載されれば広告も評価が上がる、逆に不快な広告が掲載されると掲載メデイアの評価が下がる。コンテンツメデイアとユーザーと広告の不可逆的な相関性です。我々のPMPでの調査でも証明されています。 (上、電通サイエンスジャムによるニューロ調査)(下ビデオリサーチ調査)

画像:脳波測定による感性分析調査に見る記事と広告の関係性

表11:クオリティメディアコンソーシアム調査資料 電通サイエンスジャム実査

画像:クオリティコンテンツメディアコンソーシアム参加メディアの強み

表12:クオリティメディアコンソーシアム調査資料 ビデオリサーチ実査

「枠から人」へアドテク、運用型広告

「枠から人へ」は広告効果論的には広告を自ら「価値化」してそのクリック率のみで個人データマーケテイングの技術を過信して「広告単独」で「クリック価値」が生まれるんだ、掲載メデイア効果は無視。というアドテク信仰の狭域最適化ですがKPIがクリック率などで数値化、相互比較しやすいので今のネット広告の主要KPIとして多用されています。掲載コンテンツの影響を捨象する手間暇かからないKPIです。しかし、LINEYahoo!の宮村壮氏が本誌連載でも語られたように同じ運用型広告でも依然多くのシエアを持つ検索連動広告は「検索」というコンテンツ選別領域でのユーザー行動に紐ついた「検索コンテンツ枠」の力に依拠した仕組みです。検索のニーズがある限り、テレビ放送と広告の関係に似た安定した受容性があります。ウザイけれどタダでこのコンテンツサービスを受けれるならしゃあない的な受容性。広告のKPIはリーチと受容性の二本軸でありこれはマスもデジタルも外せないKPI軸と思います。

画像:今後どうすべきかユーザー「受容性」視点が重要

表13:小出氏資料1

上記のスライドで、資生堂の元コミュニケーション統括部長でJAAのデジタルメデイア委員長も務められJICDAQの設立に関わり、現在事務局長の小出誠氏はクオリティメデイアコンソーシアムの勉強会で広告受容性の重要性とその復権の必要性を熱く語ってくれました。

画像:なぜ、そうなったかチラシ的な感覚・ルールに覆われていた

表14:小出氏資料2

ネット広告の創成期はマスメデイア広告のいわゆる予約型広告と同じでYahoo!等のトップ面枠の枠取りを競うものでした。iモード広告もDメニューのトップ面が価値。それはやはり最大リーチとトップ面によるクリエイティブ力での広告受容性を狙う。それがインターネット利用の拡大とあわせ、商材の販促、販売効果への即効性に注目されてくると同時に、運用型広告取引という広告商材の宣伝目的に合わせたマスメデイアではできない細かい広告出稿設定、フレキシブルな広告料金設定が出きる「広告仲介プラットホーム」の存在がネット広告の利用を急増させました。そのエンジンは広告を載せるだけでは掲載料は殆どかからずクリックされて初めて広告料が発生するという極めて広告の出し手サイドに有利な広告費体系(それを可能にする多種多様なサイトも含む広告仲介プラットホームの広告在庫)と、Eコマース市場の急速な発展とそこでマネタイズを狙う新興事業群のネットマーケットへの参入があります。ネット広告市場への参加はマス広告に比べれば障壁は低い。この部分が日本のネット広告費の倍倍ゲーム的拡大を大きくプッシュしてくれたと思います。

画像:デジタル広告急成長の背景と課題

表15:小出氏資料3

しかしそこに小出氏が語られた上記スライドの様にデジタル広告への過信があったと言う事は否めない。当然日米の広告環境の違いは歴然とあります。(下記JICDAQ提供日米比較資料)しかしここに現れたブランドセフティ意識の歴然たる差は広告主のデジタル広告への意識の差が透視されます。これは経営レベルでのブランド観の差、経営トップの意識差と言っていいかもしれません。

画像:日本の広告主と米国の広告主の違い

表16:小出氏資料4

ネット広告の質の問題への直近の問題意識は日本の広告主も昨年の経済産業省の広告主意識調査でも高まっています。

図:広告主がデジタル広告に抱く課題感

表17:経産省資料

図:デジタル広告の質に係わる広告主の意識

表18:経産省資料

しかし、同時に広告の即時的パフォーマンスへの要求も極めて高いです。

図:広告主による広告枠の買い方の傾向(重視しているポイント)

表19:経産省資料

図:買い方の違い(重視する効果)

表20:経産省資料

この広告主の「クリック率に代表される即時的パフォーマンス」への強い要求に最適化されるように、広告仲介プラットホームの広告取引構造も最適化され広告代理店もそれに準応するシフトをひいています。

図:広告主による広告枠の買い方の傾向(事業者との関係性)

表21:経産省資料

特に大手広告代理店は広告主のKPIを達成する為、大手デジタルプラットホームに対してかって新聞社、テレビ局に四つに組んで全力対応しているようにチームシフトを敷きデータマネジメントも含め全力対応している。そこにユーザーのネット広告の受容性への視座が、何故その長い経験値から生まれて広告主に戻せないのか?不思議である。その作業がデジタル収益性を圧迫するからであろうか。かえって新興のネット専業エージェントがネットメデイア事業を抱えながらユーザーのネットメデイア体験知見を独自に蓄積して、それを生成AIを活用して分析、広告主に斬新なデジタル政策の提案を行っていると聞く。総合代理店が逆にユ―ザーのコンテンツメディアへのロイヤリテイ心性への洞察力に不全を抱えている。いくらKPI分析力やデータ知見に富んでそこに生成AIを駆使してデータ科学化出来てもその前提なるユーザー、顧客、消費者、生活者の情報生活での深い心理を洞察できなければアドマン、アドウーマン、メデイアマン、メデイアウーマンとしては「喝」です。クリックしない99.9%のユーザーの心理はマーケテイングプロセスのおいて無視していいのか?

そこにネット広告不満のマグマがたまっています。「糸井先生ですら」です。

アドマン駆け出しの頃、先輩たちからよくデパート売り場へいけ、映画の封切りをみに行け、新聞記事を切り抜け、そしてお客様の行動や反応に眼をこらせといわれました。人を知る、メデイアを知る、商品を知る、基本です。

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何故ユーザーがネット嫌いになったのか

1:ユーザーの邪魔者感を無視した広告配置、広告形式によるクリック優先
2:その広告配信を支えるクリック課金による広告メデイアの掲載価値の無視
3:パーミション自覚のない個人データを利用された追跡広告への強い違和感
4:広告審査、広告主審査が実体として機能していない一部広告現場の現状
5:クリックをえるための大量広告在庫を品質管理をしないプラットホーム
6:「あとは野となれ山となれ」感覚で広告メデイアを消費する焼き畑農業

以下は昨年経産省が実施した「広告の質に関するヒアリング調査」結果です。

画像:デジタル広告相談「広告の質」に関したヒアリング調査での声

表22:経産省デジタル相談窓口1

画像:「買い方改革」とはデジタル広告市場の構造改革です

表23:経産省デジタル相談窓口2 

広告の構造改革を官主導でないと始められないという業界も公からの受注産業でもないのに恥ずべきことだと思います。そこになりすまし詐欺広告問題が社会問題化して政府、総務省、経産省等が規制方向で検討を進めています。グローバルプラットホームが相手なのでやむをえない部分もありますが。その問題は次回の寄稿で語ります。今現在、自分のいえる解決策はシンポジウムで語りかけた以下のスライドの言葉につきます。ネット広告人は美学を持て!

画像:CPC至上主義を少し見直して広告掲載面のことも考えましょう。「広告のクオリティ」を吟味する。広告のクオリティ=クリック率だけならユーザーはネット広告からますます離反する。

表24:長澤講演スライド5

まとめ

画像:クパチーノキャンパスにてiアド研究会2012年8月

表25:アップルクパチーノオフィス写真

最後にappleのステイーブ・ジョブスとの懐かしい交流の話をします。ご存じのようにジョブスは日本の禅にも傾倒した自らの美学を持ったトップリーダーでした。すでに僕のチームはNTTドコモと合弁の世界初のモバイル広告会社D2C社を宝珠山君達やドコモの榎常務、夏野さん、前田さん(現NTTドコモ社長)達と設立して多様なiモード広告モデルを創造、販売を始めました。長澤は電通の初代モバイル広告部長として営業責任を担いました。ドコモはキャリアですから、非常にコンテンツ管理、広告管理に厳しい。テレビで放映できた広告がiモードでは流せなかった記憶があります。そんなモバイル広告はiモードの爆発的普及とともに広告界に受け入れられて行きました。2012年appleのiPhoneが普及をし始めて広告モデルも考え始めているという噂を聞きつけ、ダメ元で公開されているメルアドにステイーブ・ジョブス宛てにこんなメールを打ちました。「世界で始めてのモバイル広告会社をドコモと立ち上げてブランドクライアントに販売している。モバイルは一番ユーザーに近いメデイア、その広告の信頼性やエンターテイメント性は必須。それをドコモ、電通の最高チームで実践して世界で初めてのモバイル広告モデルを開拓している。もしiPhoneでモバイル広告を考えているなら、モバイル広告の将来の為に意見交換しないか」そんな内容です。そうしたらすぐジョブス本人から返信があり「大変興味ある。クパチーノの自分のオフィスにきて話を聞かせてくれ。但し日本のトップクリエータを連れてくる事」やはり広告モデル(のちのiアド)をジョブスは考えていると確信しました。2012年8月に電通の原野君等トップクリエーターを連れてクパチーノのappleキャンパスを訪ねappleチームと喧々諤々議論をいたしました。ジョブスはやはり彼のappleブランドに対する美学は貫きたく「iアドは広告審査でクリエーテイブ審査をする。それだけiPhoneは最高のユーザー体験を与える商品、サービスだ」と。iPhoneにかけるジョブスの美学を強く感じました。その思想はアプリの審査や個人情報の厳守姿勢にも表れています。彼の美学は自分の美的感覚というより「ユーザーに最高の体験をさせるのがアップルブランドだ」というその頃はだいぶ痩せていましたがカッコよくポルシエを運転してクパチーノのオフィス玄関に乗り付けてきました。とても懐かしい思い出です。彼がプラットホーマーとして広告ビジネスに参入してきたら、現在のデジタル広告のクオリティシーンはだいぶ違うものになっていた思います。ITにも美学必です。彼とのメールは僕の一生の宝物です。ルーブル美術館の入り口ゲートの大理石へ彫られたのメセナ刻印と共に。そんな感動をネット広告に!

執筆者

長澤 秀行

長澤 秀行(ながさわ ひでゆき)

クオリティメディアコンソーシアム 事務局長
株式会社BI.Garage 特命顧問
1977年(株)電通入社、新聞局デジタル企画部長を経て、2004年 インタラクティブコミュニケーション局長、2006年 (株)サイバー・コミュニケーションズ 代表取締役社長 、2013年(株)電通 デジタルビジネス局局長、2014年一般社団法人日本インタラクティブ広告協会常務理事を歴任。
2017年より(株)デジタルガレージの顧問に就任し2020年には同社グループのBI.GARAGEの取締役に就任。
現在は同社にて日本国内の30媒体社からなるコンテンツメディアコンソーシアムの事務局長としてコンテンツメディアの価値を活かしたデジタル広告事業を推進。
著作 「メディアの苦悩28人の証言」 (光文社新書)。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

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