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「スカルプD」のアンファーが再生医療への研究投資に力を入れる納得の理由

2024.6.10
読了まで約 4

薬用スカルプシャンプーの「スカルプD」で急成長を遂げたアンファー。1987年に三山熊裕氏が創業した同社では、2024年3月に経営陣の若返りがあった。新たに社長に就任したのは1987年生まれの吉田南音氏。2010年4月に入社後、マーケティング部門での活躍が評価され、グループ会社を含む経営幹部としてさまざまな役職を経験。若くして社長に選ばれた。

現在、アンファーグループを支える幹部は、同社の新卒採用第3期生である吉田社長と同じ30代が担っている。

よく”若手世代へのバトンタッチ”と言われるが、ここまで大胆な世代の切り替えは珍しいかもしれない。またシャンプーや育毛・発毛剤といった競合が多いジャンルにおいて、斬新なマーケティング戦略で勝ち抜いてきた点もユニークだ。MarkeTrunkをお読みの若手マーケッターには、ぜひ注目してほしい企業である。

エビデンスを見せるマーケティング

吉田社長自身、アンファーの成長期においてマーケティングの現場で活躍していた。若手社員だった頃、アンファーの急成長についてどのように捉えていたのだろうか。当時の目線も含めて振り返ってもらった。

「急成長できた理由はいくつかありますが、大きな要因は”医学的発想に基づく商品開発”という、起業時の発想、理念を徹底した商品開発を行い、医学的発想に基づいてエビデンスのある効果を訴求することに焦点を当てたマーケティングを行なった点にあると思います」

「そもそも、主力製品のスカルプDが開発された背景も、抜け毛を予防して髪の毛を守るためには頭皮ケアがもっとも重要であるという研究をしていた医師との出会いがありました。頭皮ケアが重要ならば、頭皮をケアするシャンプーを医師と共同で商品開発できないか。科学的根拠に基づく高品質な製品が作れるのではないか。スカルプDに限らず、私たちの製品は”医師の監修のもと”で開発しています。現在は他社も似た商品を展開していますが、私たちは創業以来、この部分にこだわってきた。そうしたことが、消費者から高い信頼を得ているのだと思います」

”医学的発想”はアンファーの代名詞だが、医学的発想だけで急に商品が売れるわけでもない。商品の優れたコンセプトを正しく消費者に伝え、さらに周辺の人たちにも伝えたくなる。そんなマーケティング戦略が必要不可欠だ。

スカルプDは、頭皮ケアに特化し、洗うべきは髪の毛ではなく”頭皮”であるという新しいコンセプトを打ち出した。

医師監修の下で開発され、科学的根拠に基づく効果が多くの消費者に受け入れられたが、そうした情報が急速に広まったのは”誰もが知っているはず”の常識とは異なる科学的事実をわかりやすく伝えたことだ。

発毛医学が認知され始めていた時代に、薄毛・AGA治療のクリニックで処方されていたシャンプーと同じ成分を持つ商品を一般向けに販売。バックボーンにある医師の知見や臨床データをインターネットで活用し、訴求したことが、口コミを生み出した。

とりわけ、楽天市場では徹底してエビデンス(証拠、根拠)を見せるマーケティングを展開した。そのことが話題を呼び、ネットの口コミを中心に広がったのだ。

そしてそこに「ダメ推し」したのが、著名人を起用した注目を集める広告戦略である。単に商品を告知するだけではなく、話題になる刺激的なCMを打ち出しながらも、その商品には医学的なエビデンスがある。この二つのセットがアンファーの商品に対する興味をさらに高めた。

MarkeTrunkの読者も、初期のスカルプDで宮迫博之氏がスーツ姿でシャンプーをするCMを覚えているかもしれない。また、発毛成分として名高いミノキシジルをギリギリの高濃度で処方した発毛剤を元SMAPの草彅剛氏・香取慎吾氏が衝撃の姿で訴求したミノキ兄弟などを覚えている人も多いはずだ。

関連リンク:
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発毛外来がいいのか?スカルプDがいいのか?

同じようなコンセプトで商品展開を行うライバルも登場しているが、吉田社長は直近の課題として、他社との競争はもとより、発毛外来などの医療サービスとの競合関係が激化していることを上げた。

「現在、発毛業界は状況が大きく変化しています。変化の理由はオンライン診療が認められるようになり、病院に通わなくとも5,000円程度で、医師から発毛薬を処方してもらえます。スカルプDは1本4,000円弱の製品ですから、処方される薬とどちらがいいのだろう?と検討して、オンライン診療で処方される内服薬に流れるお客様も多い。内服薬に投資をして、シャンプーは安く抑えよう。競合製品も増えているが、発毛・育毛といった目的が同じ中で、より幅広い選択肢が生まれています」(吉田社長)

一方で内服薬に不安を感じる人も多い。少なからずリスクがあるためだ。

「体毛が濃くなる、性欲が減退する、食欲が増える。そういった副作用は全ての人に現れるものではありませんが、ネット上で評判になるとやはり気になる。必然的に外用薬やシャンプーの方がいいのではないかと戻ってくるお客様もいます。アンファーはシャンプーなどの商品だけではなく、薄毛治療のクリニックも運営しており、消費者には一人ひとりに寄り添う形で“医療としての発毛”と“シャンプー”などの組み合わせを提案しています」

半額の「スカルプD NEXT」をラインナップ

スカルプDの顧客層を広げるマーケティングも実施している。

「スカルプDは4000円弱ですが、1本2000円弱のスカルプD NEXTも展開しています。通販ではなくドラッグストアを主な流通として、若い人たちが”次の10年のために髪を鍛える”というコンセプトで、格闘家の那須川天心氏を起用したプロモーションを行なっています」

このようなマーケティングで成長してきたアンファーだが、吉田社長はこれからの成長に関してどのようなビジョンを持っているのだろうか。

「アンファーは『自分をより”美しく”、”健やかに”することを通じ、人生をより”愉しく”過ごせる人を増やすこと』を企業理念として掲げています。その結果、実年齢よりも10歳若いライフスタイル、いつまでも活動的で愉しい年の重ね方を実現する“アクティブエイジングライフ”の実現に力を入れています」と吉田社長は話す。

関連リンク:プロモーションの定義とは?戦略を練る時に重要な7つの手段を解説

睡眠関連製品が新しい成長軸に

そもそもアンファーが成功したのは”ドクターの発想力をもって商品を開発すること”だ。ならば、ドクターとの関係性を深め、広げることで医学的発想の事業を広げていくことができる。それは決して発毛というジャンルだけではない。

「現在展開している”ブレインスリープピロー”をはじめとする睡眠関連製品は、眠りはじめの90分が睡眠の質にとって重要という医学的な知見のもとにラインナップを拡充し、アンチエイジング効果を高めます。女性向けには健康と美容に特化した製品ラインを強化しています。以前よりまつ毛ケアに着目した製品を提供していましたが、新たな領域として更年期症状の緩和やホルモンバランスの調整をサポートする製品で、女性の健康と美に貢献できると考えています」

そして再生医療についても積極的な投資を行っているという。「医療の領域に踏み込んで、アクティブエイジングライフの延伸に向けた技術開発に取り組んでいます。再生二種を取得し、自身の肌細胞を培養し移植することで、肌のハリやシワの改善などの若返り効果をもたらす線維芽細胞療法のサービスメニューの事業化に取り組んでいます

一方で、「再生医療への投資」は外野からみると、本来のコア事業から遠いような気もするのだが、吉田社長はそうではないと言う。「我々はドクターと連携し、医学的エビデンスをもとに商品を開発してきたことが強みでした。アンファーグループとして、この強みをブランドとして定着させるには、今まで以上の医療連携、そして成功までの道のりが長い事業の研究開発にも投資を行い、企業の掲げるビジョンでもある「アクティブエイジング社会の実現」を通じた社会貢献が必要だと考えています

アンファーは、若いリーダーシップのもとで、かなり遠い先を睨んだ経営戦略を描こうとしているようだ。

関連リンク:ブランディングとは?意味やマーケティングとの違い、成功事例と効果について紹介

プロフィール

吉田 南音

吉田 南音(よしだ みおと)

2010年にアンファーに入社。当初はデジタルマーケティング、ダイレクトマーケティングを中心にデジタル広告のディレクションを経験。その後、ブランド戦略/店頭販促へと担当領域を拡大。2019年10月よりグループクリニックのコンサル業務を統括し、商品開発から販売まで、ブランドマーケティングの全事業領域を統括。2021年にアンファー取締役。2024年3月15日に代表取締役就任。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

本田 雅一(ほんだ まさかず)

ITジャーナリスト

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

編集者

山田 俊浩(やまだ としひろ)

東洋経済新報社 編集局次長

2020年10月から現職。2014年5月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。就任時には月間3000万PVだった東洋経済オンラインを月間2億PVを超える大手新聞社に匹敵する大型ニュースサイトへと引き上げた。2019年1月から2020年9月までは週刊東洋経済編集長。著書に『稀代の勝負師 孫正義の将来』(東洋経済新報社)がある。また不定期でAbemaTV の『ABEMA Prime』(アベプラ)にコメンテーターとして出演中。趣味はオーボエ演奏で都民交響楽団に所属。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

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