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シナジー効果とは?ビジネスにおける事例も紹介

2024.9.9
読了まで約 4

マーケティング担当者なら一度は必ず耳にしたことがある「シナジー効果」。
消費者ニーズの多様化や、企業間競争の激化などの理由から、シナジー効果を狙う企業が増加しています。

今回はシナジー効果の意味や重要性、事例を説明していきます。

シナジー効果とは

シナジー効果は日本語にすると「相乗効果」で、2つの要素を組み合わせて1+1=2以上の成果を得られることです。

ビジネスシーンでは、複数の企業あるいは事業が提携・協同することで、単体で活動をした時よりも大きな付加価値や成果を生み出すことです。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

シナジー効果の重要性

シナジー効果を狙ったM&Aや業務提携を行うことで、技術力の向上や顧客情報の取得による事業拡大が見込めます。会社の方向性を考え、事業を手掛けることは株主に高評価を得られるので、株価指数の上昇により企業価値が高まります。

また、市場ニーズの多様化や幅広い業種のIT導入により、企業は1つの事業だけでは他社との競争に負けてしまいます。
激しい競争環境の中で企業が生き残るためには、シナジー効果を狙って企業成長を図る必要もあります。

アナジー効果とは

シナジー効果とは反対の意味を持つアナジー効果。

2つの要素を組み合わせた結果、想定したシナジー効果を下回ったり、双方でデメリットが目立ったりして価値が減少することを意味します。

M&Aや多角化戦略はシナジー効果を得やすい反面、組織拡大による意思決定スピードの遅れや組織内調整の複雑化が原因で、マイナス効果に転じてしまう恐れもあります。

シナジー効果・アナジー効果の判断

企業戦略が生み出した結果が成功なのか失敗なのかはシナジー効果、アナジー効果のどちらが生み出されたかで判断してみてください。

シナジー効果の種類

複数の企業や事業が合同することで得られるシナジー効果には、主に「事業シナジー」「財務シナジー」「組織シナジー」の3つの種類があります。

事業シナジー

事業の推進に対して働くシナジー効果で、主に下記のような効果が期待できます。

1. コスト削減
重複している部門の見直しや削減、物流の統一を行いコストの削減を実現します。
業務効率を下げずに費用を抑えることができるので、コスト削減は大きなシナジー効果です。

2. スケールメリット
生産ロットが増え単位あたりの費用が削減され、純利益を増やすことをスケールメリットといいます。業種や職種を問わず効果が得られるので、様々なビジネスシーンで使われています。

3. 人材活用
最適な人材の確保により、適材適所な人員配置が可能となり生産性の向上に繋がります。事業の提携や合同により優秀な人材を確保でき、人事面が活性化されます。

4. 技術力向上
企業や事業がそれぞれで培ってきた技術やノウハウを共有することで、技術レベルが引き上げられ生産性向上や人材育成を図ることができます。

財務シナジー

企業のお金や税金に対して働くシナジー効果で、双方に余剰金があれば合算してより大きな投資を行うことが可能になります。新たな買収費用や技術・人材の獲得費用に充てることでさらなる企業成長を図ることができます。

また、買収した企業に繰越欠損金がある場合に、その債務を自社で受け継いで黒字を圧縮すると節税効果に繋がります。

組織シナジー

別々であった組織が互いに連携・協力をして1つの組織として活動することで得られるシナジー効果で、個々のレベルやモチベーションのアップ、新しいアイデアの創出などから効率的に業務に取り組むようになり、結果的に生産性の向上に繋がります。

シナジー効果を生み出す4つの方法

企業がシナジー効果を生み出すには、他の企業や事業との協同・合同が必要となります。
ここでは代表的な方法を4つ紹介していきます。

M&A

M&A(Mergers and Acquisitions)とは企業の買収及び合併を意味し、最もシナジー効果が期待できる方法ともいわれています。

市場支配力(シェア)の拡大やスケールメリットを利用したコスト削減、新たなリソースの獲得、節税などの様々なシナジーが期待できます。

業務提携

異なる商品・サービス、技術を持つ企業同士が提携する方法です。それぞれが持つノウハウやリソースを共有することで、新たな市場の開拓や生産性の向上などのシナジーを生み出します。
M&Aほどの強い結びつきはありませんが、お互いの強みを高め合ったり、弱みを補い合ったりする相互補完が可能となり、抱えている課題を解決することができます。

グループ一体経営

複数のグループ会社を持つ企業が、共通業務の一本化によるコスト削減や顧客・ノウハウの共有を実現し、経営のスリム化を目指せます。
共通のニーズを持つ顧客へアプローチの強化を図ることも可能です。

多角化戦略

自社の主力事業とは別の分野に進出し、企業の総合的な売上や収益を向上、シェアの獲得・拡大を目指せます。主に下記の4つに分類され自社にあった戦略を構築しましょう。

● 水平型多角化戦略
これまで蓄積してきた自社の技術やノウハウをもとに、既存顧客を対象に新製品を投入する戦略です。
例えば、パソコンを製造している企業がスマートフォンやタブレット端末の製造を新しく始める場合などが当てはまります。
企業がすでに持っている技術やマーケティング能力を活かすことができるので、成功しやすい戦略ともいわれています。

● 垂直型多角化戦略
現事業の上流や下流で新しく事業を始め、ビジネス領域を広げる戦略です。
例えば、飲食店が野菜などの原材料の生産事業を始める場合や、皮革製造工場が革製品やレザーバッグのブランドを立ち上げるなどがあります。

● 集中型多角化戦略
自社の中核技術やターゲット顧客に関連性を有する事業に参入する戦略です。特殊な技術を持つ企業が活用することで、シナジー効果が期待できます。
代表的な例として、デジカメに搭載するレンズを医療機器分野への転用を図った富士フイルムの戦略が挙げられます。

● 集成型多角化戦略
現事業に関連しない分野に新規参入する戦略で、他の多角化戦略に比べるとリスクが高いです。その反面、複数の異なる事業を展開することで、リスクの分散や市場拡大の幅が広がります。
自動車メーカーが不動産分野に進出する、コンビニエンスストアがATMを使った銀行業務代行手数料を得る銀行業務を行うなどが該当します。

シナジー効果の成功事例

シナジー効果の意味や種類を解説してきましたが、実際にシナジー効果を狙って成功した企業の事例を見ていきましょう。

ソフトバンク

M&Aによる高いシナジー効果を得た例として、取り上げられることが多い企業の1つがソフトバンクです。
2004年に日本テレコムを子会社化し、法人営業の強化と通信事業での地位を確立しました。その後は、ボーダフォンの日本法人の買収などM&Aを繰り返して日本を代表する通信事業の企業となりました。

また、プロ野球チームのホークスを買収したことで、一気に知名度やブランド力が向上し、顧客の層を広げることにも成功しました。

JT

JT(日本たばこ産業)は国内での喫煙者の減少により、売り上げが減少しました。打開策として、1999年にアメリカの企業からたばこ事業を買収したことを皮切りに、イギリスやロシアなど、海外で積極的にM&Aを展開していきました。

現地のたばこ事業を買収することで、海外進出コストの大幅な削減や、海外での顧客獲得のシナジー効果を生み出すことができました。その結果、売り上げは大きく向上して世界でも主要なたばこメーカーに成長しました。

ファミリーマート

大手コンビニエンスストアのファミリーマートは、業務提携や多角化戦略によりシナジー効果を得ています。

今ではよく見かけるようになった、コンビニ併設のガソリンスタンドはファミリーマートとENEOSが業務提携を組んで始まりました。

また、コインランドリー一体型のファミリーマート「Famima Laundry」も話題になりました。洗濯中に買い物をしたり、イートインスペースで食事ができたりとシナジー効果を高めています。
コンビニは雨の日に売上が落ちる傾向がありますが、反対にコインランドリーは雨の日の利用が増えるため、コンビニの集客に繋がっています。

他にも、店舗の2階に24時間フィットネスジムを併設し、運動前後の買い物を促し売上が向上しています。

まとめ

シナジー効果の意味や種類、事例を紹介しました。

「シナジー効果」とは、企業や事業の合同によりそれぞれが元々持っていた以上の価値が生み出される相乗効果のことで、M&Aや業務提携、多角化経営、グループ一体経営などのマーケティング戦略により実現されます。

ただし、戦略を実行したからといって必ずシナジー効果を得られるわけではありません。アナジー効果を生み出さないように入念にリスク想定を行い、自社分析やアプローチする企業選びを慎重に行いましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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