文書や資料を作成する際に、引用は欠かせない作業です。しかし、正しく引用しないと著作権侵害などのトラブルの元になりかねません。トラブルを回避するためには、引用と転載の違いや、出典の書き方を理解する必要があります。
本記事では、引用と関連する作業との違いや、引用する際の注意点、おすすめの引用元と媒体ごとの出典の書き方について詳しく解説します。文書や資料を作成する機会が多い人や、正しい引用の方法を知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。引用の正しい理解と適切な使用方法を身につけることで、より信頼性の高い文書作成が可能になります。
関連記事:引用の書き方マスターガイド:著作権を守りながら説得力のある文章を書く方法
目次
引用とは?
引用とは、自分の文章中に他人の書いた文章や図表をそのまま挿入することを指します。引用を適切に行うことで、自身の主張や考え、論理を補強したり強調したりすることができます。
ただし、引用を行う際には正しい形式を守ることが重要です。不適切な引用は第三者の著作権を侵害してしまう可能性があり、トラブルの原因となる恐れがあります。そのため、引用を行う際には以下の点に特に注意を払う必要があります。
● 引用部分が自身の文章と明確に区別できること
● 引用元の文章と自身の文章の間に主従関係が存在すること
● 引用元の文章や図表が改変されていないこと
これらの点に留意しながら引用を行うことで、適切かつ効果的に他者の著作物を活用することができます。引用は文書作成において重要な要素であり、正しい理解と実践が求められます。
明確に自社の文章とは異なる
引用元と自社の文章が別であることを明確に区別する必要があります。誰が見ても一目瞭然な形で引用する文章を挿入し、引用符を用いたり改行を入れたりしながら、出典と併せて強調することが重要です。
引用する文章と自身の文章を混同してしまうと、盗作や盗用として問題になる可能性があります。自社と他者の文章を適切に区別できていないと、著作物を引用する際の要件に違反してしまう恐れがあります。
したがって、引用部分は以下のような方法で明確に区別することが推奨されます。
● 引用符(「」)の使用
● インデントを付ける
● フォントや文字色を変える
● 引用部分の前後に空行を入れる
これらの方法を適切に組み合わせることで、読者にとって引用部分が一目で分かるようになります。また、引用後には必ず出典を明記し、どの文献やウェブサイトから引用したのかを明確にすることも忘れてはいけません。
主従関係が存在する
主従関係とは、文章全体における自社の文章と、引用した文章の割合のことを指します。基本的には、割合が大きい方が「主」、小さい方が「従」です。
引用を行う際は、文章全体で見て、自社の文章が「主」、引用した文章が「従」となるようにすることが重要です。つまり、文章全体において、引用の文よりも自社の文章の方が多くなるように構成すべきです。
この主従関係の要件を満たしていない場合、著作権侵害とみなされる可能性があります。そのため、引用はあくまで自身の文章を補足するものとして使用するように心がけます。
文章全体のバランスを考慮し、引用部分が必要以上に多くならないよう注意することが大切です。適切な主従関係を保つことで、著作権法に則った正しい引用を行うことができます。
引用元が改変されていない
引用する文章や図表に手を加えてはいけません。引用する場合には、文章をそのままコピー&ペーストをして、出典を明示しましょう。引用する文章に手を加えてしまうと、不正とみなされてしまいトラブルに発展するおそれがあります。
原文を改変せずに引用することは、著作者の意図を正確に伝えるために重要です。例えば、文脈を変えたり、都合の良い部分だけを抜き出したりすることは避けるべきです。また、引用元の誤字脱字であっても、そのまま引用するのが原則です。
ただし、間接引用の場合は、元の文章の意味を損なわない程度に要約して使用することがあります。しかし、無用なトラブルを避けるためにも、可能な限り元の文章をそのまま書き写す「直接引用」を使用することをおすすめします。
引用元の改変を避けることで、著作権法上の要件を満たし、適切な引用として認められやすくなります。常に原文の正確性と完全性を保つよう心がけましょう。
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画像の引用について:引用要件を満たすことは難しい
画像を利用する際、著作権法上の「引用」に該当するかどうかは、非常に慎重な判断が必要です。画像は、文章と比べて著作物としての独立性が高く、引用の要件を満たすことが難しい場合が多いからです。
著作権法第32条では、著作物の引用について、公正な慣行に合致すること、報道、批評、研究その他の引用の目的上、正当な範囲内であること、引用される著作物が公表されているものであること、引用を行う必然性があること、自分の著作物と引用される著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体であること)、引用される著作物の出所を明示すること、を定めています。
画像は文章と比べて、上記の引用の要件、とくに「自分の著作物が主体であること」という要件を満たすことが難しい場合があります。他者の画像を無断で使用することは、著作権侵害となる可能性があるのです。
引用として認められる場合でも、出所の明示は必須であり、画像の利用については、著作権者の許諾を得ることが最も確実な方法です。
引用として認められる場合、または許諾を得て画像を利用する場合、画像の著作者名、画像のタイトル(または画像の説明)、画像の掲載されている媒体名(ウェブサイト名、書籍名など)、画像の掲載されているURL(ウェブサイトの場合)を明示することが望ましいでしょう。
著作権法に関する解釈は、個別の事例によって判断が異なる場合があります。画像の利用に関しては、専門家(弁護士など)に相談することも検討してください。インターネット上にある画像は、自由に使用できるとは限りません。
参照・参考・転載との違い
引用と類似している言葉として、下記が挙げられます。
● 参照との違い
● 参考との違い
● 転載との違い
それぞれ意味やニュアンス、使われ方が異なるため、混同しないように注意しましょう。
これらの言葉は、文書作成や情報の取り扱いにおいて重要な概念です。適切に使い分けることで、自身の文章の信頼性を高め、著作権に関するトラブルを回避することができます。特に学術論文や報告書などの公式文書を作成する際には、これらの違いを理解し、正確に使用することが求められます。
下記で詳しく解説します。
参照との違い
参照とは、自身の意見や持っている情報を、他の既出の図表や文と照らし合わせる場合に使用します。参考と似ていますが、参照は、情報源との間により直接的で具体的な関連性がある場合の使用に適しています。
また、参照も引用や参考と同様に「参照元」として、文書や図表を明示する必要があります。
参照は、自分の主張や論点を補強するために、既存の資料や情報源を示す際に用いられます。これにより、読者は元の情報源を確認することができ、論文や記事の信頼性を高めることができます。
参照元の明示は、学術的な文章や報告書において特に重要で、著者の誠実性と研究の透明性を示す指標となります。
参考との違い
参考とは、他者の意見や文書などから自身の考えのヒントを得ることを指します。参照と類似した意味合いがありますが、参考はより広範囲に使用される傾向があります。
何らかの情報や意見を基に、自分の考えやイメージを発展させた場合に「参考」という言葉を使用します。参考の場合も、参考元として文献やWebサイトの名称を明示することがありますが、引用ほど厳密に区別する必要性は低いとされています。
つまり、参考は引用よりも柔軟性が高く、元の情報をより自由に解釈し、自身の考えに取り入れることができる点が特徴です。ただし、他者の著作物を参考にする際は、著作権法を遵守し、適切な形で出典を示すことが望ましいでしょう。
転載との違い
転載とは、他者が作成した文章や図表などの著作物を、自身の著作物の中に複製して掲載することを指します。引用と同様に著作物を自身の著作物に使用する行為ですが、転載は、他者の著作物が自身の著作物において主要な部分を占める場合に用いられます。
転載は、著作権法上の複製権侵害に該当する可能性が高いため、原則として著作権者の許諾が必要です。無断転載は、著作権侵害や盗用といったトラブルに発展するリスクがあります。転載を行う際には、著作権者から許諾を得た上で、転載箇所および出典を明確に表示することが重要です。
引用と転載のもっとも大きな違いは、著作物の使用量と、著作権者の許諾の必要性にあります。引用は、自身の著作物が主体であり、他者の著作物はあくまで補足的な役割を果たす場合に認められます。一方、転載は、他者の著作物が主体となるため、著作権者の許諾が必須となります。したがって、転載を行う際には、引用よりも慎重な対応が求められます。
引用の種類
引用には大きく分けて2つの種類があります。
● 直接引用
● 間接引用
これらの引用方法は、それぞれ特徴や使用する状況が異なります。直接引用は原文をそのまま使用する方法で、間接引用は内容を要約して使用する方法です。どちらの方法を選択するかは、引用の目的や文脈によって適切に判断する必要があります。詳しい内容を確認していきましょう。
直接引用
直接引用とは、引用元の文章を一字一句そのまま記載する方法です。引用元に誤字や脱字があったとしても、内容を変更せずにそのまま記載するのが基本ルールです。
直接引用には、引用する文章の長さによって2つの表記方法があります。
1.短文の直接引用
2.長文の直接引用(ブロック引用)
短文を直接引用する場合は、かぎ括弧(「」)で引用文を囲みます。一方、長文の直接引用(ブロック引用)では、かぎ括弧は使用せず、引用部分の前後に1行ずつ空白行を設け、左端を2文字分下げて記述します。
どちらの場合も、引用元の文章を改変せずにそのまま記載することが重要です。これにより、著作権侵害のリスクを避け、正確な情報伝達が可能となります。直接引用を適切に行うことで、自身の主張や論旨を補強し、より説得力のある文章を作成することができます。
直接引用の具体的な書き方については後述します。
間接引用
間接引用は、引用元の文章を自分なりに要約して記載する方法です。この場合、引用部分はかぎ括弧で括らず、著作者の本来の意図が異なって伝わらないよう慎重に文章を組み立てる必要があります。
間接引用を行う際は、以下の点に特に注意が必要です。
1.引用元の主旨を正確に理解し、要約すること
2.自分の解釈を加えすぎないこと
3.引用元の文脈を適切に反映させること
4.出典を明確に示すこと
間接引用の具体的な書き方については後述します。
引用の書き方
引用の書き方には、正確性と明確性が求められます。適切な引用を行うことで、自身の主張や論点を効果的に補強し、信頼性を高めることができます。ここでは、引用の基本的な書き方について解説します。
直接引用の書き方
直接引用は、引用元の文章を一字一句変えずにそのまま記載する方法です。この方法では、引用元の文章に誤字や脱字があったとしても、内容を変更せずに記載するという基本ルールがあります。
直接引用の表記方法は、引用する文章の長さによって2つに分かれます。短い文章を引用する場合と、長い文章を引用する場合(ブロック引用)で、それぞれ異なる記載方法を用います。
短文の直接引用では、かぎ括弧(「」)を使用して引用部分を明確に示します。一方、長文の直接引用では、ブロック引用という方法を採用し、引用部分の前後に空行を入れ、左端を下げて記述します。
どちらの場合も、引用元の文章を正確に転記し、出典を明示することが重要です。これにより、読者は引用部分と筆者の文章を明確に区別でき、また引用元の情報を確認することができます。
短文を直接引用する場合の書き方
引用する文章が短文の場合は、かぎ括弧(「」)で括って文章を記載します。この方法により、引用部分を明確に区別することができます。
短文-直接引用 基本形 |
① 担当者は「引用文・・・・・・・・・・」(上付き番号+上付き括弧の後ろ半分)と言っていました。 ② 出典を明示 |
短文-直接引用 具体例 |
広告によるマーケティングと消費者心理に関する研究によると「商品やサービスの販売促進のために広告というコミュニケーション方法が取られる」¹⁾と指摘しています。 1) 宇佐美和歌子, 境新一. マーケティングと消費者心理に関する研究.東京家政学院大学.2006-05-17,p.1 |
この形式を使用することで、読者は引用部分とそうでない部分を容易に識別できます。また、出典を明示することで、引用の信頼性を高めることができます。
長文を直接引用する場合の書き方(ブロック引用)
長文を直接引用する場合、ブロック引用という方法を用います。この手法では、かぎ括弧を使用せず、代わりに引用部分の前後に1行ずつ空白行を設けます。また、引用文の左端を本文より2文字分内側に配置します。
ブロック引用においても、引用元の文章を改変せずにそのまま記載するという基本原則は変わりません。以下に具体的な書き方を示します。
長文-直接引用 基本形 |
① 担当者の調査報告によると以下の結果となっています。 ② 出典を明示 |
長文-直接引用 具体例 |
宇佐美和歌子氏は、広告の重要性について以下のように述べています。 広告は,企業のマーケティング活動に重要な役割を担い,商品やサービスの販売促進のために広告というコミュニケーション方法が取られる。広告によるマーケティングとは,人々の心を動かし感動させる価値を情報提供することである。企業や広告の送り手は,消費者心理を理解することはもちろん,ターゲットの設定,付加価値の創造などが重要であることを認識して,送り手(消費者)にわかりやすい情報やメッセージを提供しなければならない。¹⁾ こういったコミュニケーション手段として、広告の役割が非常に重要なのです。 1) 宇佐美和歌子, 境新一. マーケティングと消費者心理に関する研究.東京家政学院大学.2006-05-17.p.1 |
間接引用の書き方
間接引用は、引用元の文章を自分なりに要約して記載する方法です。この場合、引用部分をかぎ括弧で括る必要はありません。ただし、著作者の本来の意図が歪められないよう、慎重に文章を構成することが重要です。
間接引用の基本的な書き方は以下の通りです。
間接引用 基本形 |
① 担当者は、引用文・・・・・・・・・・(上付き番号+上付き括弧の後ろ半分)と言っていました。 ② 出典を明示 |
間接引用 具体例 |
広告によるマーケティングと消費者心理に関する研究によると、商品やサービスの販売促進のために広告というコミュニケーション方法が取られる¹⁾と指摘しています。 1) 宇佐美和歌子, 境新一. マーケティングと消費者心理に関する研究.東京家政学院大学.2006-05-17.p.1 |
間接引用を行う際は、引用元の文意を正確に伝えることに注意を払いつつ、自分の言葉で要約することが大切です。また、出典を明確に示すことで、読者が元の文献を参照できるようにすることも重要です。
Web上における引用の書き方
Web上で他人の著作物を引用する際には、適切な方法で行うことが重要です。引用の目的は、自身の主張や考えを補強したり、強調したりすることにあります。そのため、引用元の著作権を尊重しつつ、読者にとって分かりやすい形で引用を行う必要があります。
Web上における引用の基本的な手順は以下の通りです。
- 引用する文章と自分の文章を明確に区別する
- 引用マークを使用する
- 出典を明記する
これらの手順を踏むことで、適切な引用を行うことができます。また、引用の種類によって具体的な書き方が異なる場合があります。例えば、画像の引用、書籍からの引用、SNS投稿の引用などは、それぞれ独自の方法があります。
引用を行う際は、常に著作権法を遵守し、引用元の意図を正確に伝えることを心がけましょう。適切な引用は、自身の文章の信頼性を高め、読者に対してより深い理解を提供することができます。
引用する文章と自分の文章は明確に分ける
引用する文章と自分の文章は、誰が見ても区別ができるように明確に分ける必要があります。特に著作物の内容を自分なりに要約して引用する間接引用では、しっかりと区別ができるようにしておかないと、剽窃と受け取られることもありトラブルの元になります。
分かりやすくするための工夫としては、かぎ括弧の他に「ダブルクォーテーション=””」を使用したり、引用文章のみ色分けをしたりするなどの方法もあります。また、引用部分の前後に一行空けるなどのレイアウト上の工夫も効果的です。引用文のフォントを変えたり、背景色を変更したりすることで、視覚的にも引用部分を明確に区別することができます。
これらの方法を適切に組み合わせることで、読者にとって分かりやすく、かつ著作権法上も問題のない引用表現を実現することができます。
引用マークを使用する
引用マークを活用することで、引用部分を視覚的に明確に区別することができます。WordPressなどの一般的なCMSや無料ブログサービスでは、引用マークの機能が標準で用意されていることが多いです。例えば、WordPressのエディタ画面では、引用したい文章を選択した後、「ブロックを追加」から「引用」アイコンをクリックするだけで、簡単に引用表記を追加できます。
また、引用アイコンがない場合でもHTMLの<blockquote>タグを使用することで、引用表記を作成できます。<blockquote>タグは、単に見た目上の区別だけでなく、検索エンジンのクローラーに対しても引用文であることを明確に伝えられるという利点があります。これにより、SEOの観点からも適切な引用表記を行うことができます。
書籍を引用する場合の書き方
書籍を引用する場合はWebページとは異なり、リンクを張ることができないため、著者名や書名、出版社などの情報を正確に明記することが重要です。具体的な記載方法は以下の通りです。
書籍を引用する場合の書き方 基本形 |
著者名.書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数または引用部分のページ番号,(シリーズ名,シリーズ数). |
書籍を引用する場合の書き方 具体例 |
■総ページ数を書く場合 ■引用部分のページ番号を書く場合 |
この形式に従うことで、引用元の書籍を特定しやすくなり、読者が必要に応じて原典を参照することができます。また、学術論文や研究報告書などでは、この形式を用いることが一般的です。
SNS投稿を引用する場合の書き方
SNSで投稿を引用したい場合は、各プラットフォームが提供する埋め込み機能を利用すると簡単に引用できます。SNSの埋め込み機能とは、SNSに投稿されているユーザーのコンテンツを、Webサイトやブログなどに貼り付けることができる便利な機能です。
埋め込み機能の使用方法は、多くのSNSプラットフォームで共通しています。一般的な手順は以下の通りです。
- 引用したい投稿のメニューボタンを探す
- メニューから「埋め込み」オプションを選択する
- 「埋め込みコードをコピー」を選択し、コードをクリップボードにコピーする
- 自身のWebサイトやブログの引用表記したい箇所に、コピーしたコードをペーストする
この方法を使えば、オリジナルの投稿のフォーマットや画像、動画などのメディアも含めて、そのまま引用することができます。また、多くの場合、埋め込まれた投稿は元の投稿へのリンクも含んでいるため、出典の明示も自動的に行われます。
ただし、SNS投稿を引用する際は、個人情報やプライバシーに配慮することも重要です。公開されている投稿であっても、引用する際は投稿者の意図を尊重し、適切な文脈で使用するよう心がけましょう。
引用する際に注意すべき5つのポイント
引用する際のトラブルを防止するため、下記の点に注意しましょう。
● 自社の文章と引用した文章を明確に区別する
● 著作権侵害に当たらないか確認する
● 引用だけを使うことはしない
● 「孫引き」をしない
● 許諾が必要な場合は必ず取得する
自社の文章と引用した文章を明確に区別する
自社の文章と引用する文章が異なることを明示するために、引用する文章を誰の目から見ても明確に区別されている必要があります。引用する場合には、引用符(” “や“ ”など)を使用して、改行や枠線を挟んだり、文字を斜体にしたりして、明確に自社の文章と分けましょう。
また、引用した文章には脚注をつけるなどをして、引用の書式をもとに、引用した文献・Webサイトを明記しましょう。
著作権侵害に当たらないか確認する
他人の文書や図表には、著作権があります。そのため、勝手に引用してしまうと著作権の侵害とみなされる場合もあり、最悪の場合は訴訟などになりかねません。自社の文書の使用目的によっては著作権侵害に当たるケースも考えられるため、著者の想定する範囲内か、適切な目的での使用かどうかを注意しましょう。
引用だけを使うことはしない
文書の全てを引用してしまうと、たとえ出典を明示したとしても、転載として扱われてしまいます。転載してしまうと、不正としてみなされる恐れがあり、訴訟などのトラブルにつながりかねません。
また、出典を明示しない場合には剽窃として判断されてしまいます。引用をする場合には、必要な部分だけを最低限切り取り、他人の文書・図表であることが誰の目から見ても明らかである状態にしましょう。
「孫引き」をしない
孫引きとは、引用元となる媒体で引用されている文書や図表を、二次的に利用することを指します。つまり、もともと引用されているものを、さらに引用している状態のことです。
孫引きをしてしまうと、情報の信用性に欠けたり、原文を間違って引用してしまったりと、文章や資料を作成する側にとって良い効果が得られません。
そのため、出典が明示してある場合には、出典にあたって原文を引用しましょう。数字やデータなど、正確性が重要となる情報に関して出典が記載されていない場合には、官公庁の統計や論文など、ある程度信憑性が担保されている情報を使用することで、トラブルを回避できます。
許諾が必要な場合は必ず取得する
著作権法上の「引用」の要件を満たさない場合や、引用の範囲を超える利用をする場合は、著作権者の許諾を得る必要があります。許諾を得ずに著作物を利用すると、著作権侵害となる可能性があります。特に、商業目的で利用する場合は、許諾が必要となる場合が多いので、注意が必要です。
これらの点に注意して、適切な引用を行いましょう。
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おすすめの引用元
引用元として便利な媒体として、下記が挙げられます。
● インターネット上の情報
● 書籍
● 論文
● 新聞
詳しく解説します。
インターネット上の情報
【出典の書き方】
著者名. Web サイト名. URL, (アクセスした日付).
Webサイトをはじめとしたインターネット上の情報は、コピー&ペーストで簡単に引用できるため非常に便利です。
一方で、事実であるかどうかの裏が取れていない信憑性に欠けた情報も溢れており、誤った情報を引用しかねないリスクもあります。インターネット上の情報を引用する際には、信憑性のある媒体かどうか、著者は誰なのかを確認しましょう。
現在では、官公庁が出しているデータや論文や新聞のデータベースなど、信憑性のある情報も多いです。まとめサイトなどの情報ではなく、公的機関や大学が発表する情報やPDFなどの正確性の高い情報に限定しましょう。
書籍
【出典の書き方】
著者名.書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数(該当ページ),(シリーズ名,シリーズ数).
書籍は図書館を利用すれば簡単に情報にアクセスできるため、引用元として活用されることの多い媒体です。インターネット上の情報よりは信憑性がありますが、書籍が古すぎる場合は情報が間違っている可能性も考えられます。書籍の引用では、出典とともに第1版が出版された年も明示しましょう。
論文
【出典の書き方】
著者名.記事タイトル.雑誌名.出版年,巻数(号数),該当ページ.
論文は、引用元として信憑性が高いため、より正確な引用を行いたい場合に適しています。
論文を引用する場合には、論文のタイトルや著者名だけでなく、雑誌名、出版社(学会名)、該当ページを表記することで体裁が整います。
また、英語の論文を引用する際には、引用する文の書体をイタリック(斜体)で表記しましょう。
新聞
【出典の書き方】
記事タイトル.新聞紙名.出版年月日,朝刊/夕刊,版,該当ページ.
新聞も、論文と並んで信憑性の高い媒体です。紙の新聞の他に、Webの新聞やデータベースもあるため、媒体に合わせて出典の表記を変えましょう。また、新聞特有の出典の書き方として、朝刊か夕刊かを明記することが特徴として挙げられます。日付と併せて忘れずに記載しましょう。
まとめ
本記事では、引用と他の語句の違いや引用する際の注意点、おすすめの引用元と媒体ごとの出典の書き方について解説しました。引用をすることで、自身の考えや主張を補足したり、強調したりできます。
一方で、正しく引用できていないと不正引用や盗用、剽窃とみなされてしまい、トラブルになりかねません。引用をする際は文書全体のバランスを取りながら、出典の書き方や書式に気をつけましょう。