マーケティング・マネジメント・プロセスとは、大まかにいえばマーケティング戦略を効果的に提案し実践・評価するまでの一連の作業の流れです。
調査分析、市場の細分化分析(STP分析)、マーケティング戦略の具体化(4P分析)、マーケティングの実行、評価、という5つのプロセスに分けることができます。
本記事では、マーケティング・マネジメント・プロセスの各段階の詳細と全体像について解説していきたいと思います。
マーケティング・マネジメント・プロセスとは?
マーケティング・マネジメント・プロセスとは、安定して効果的なマーケティングを行うために設定された、思考の枠組みといえます。
アメリカの経営学者である、フィリップ・コトラーによって提唱されました。
マーケティング戦略の策定と実行・評価までを5つのプロセスに分けて、一連の流れとして体系化しています。
まずは、各プロセスの詳細を見ていきましょう。
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マーケティング・マネジメント・プロセスの5つのプロセス
●調査分析
はじめに、現在の状況についての調査分析を行います。
加えて、市場全体や競合の状況、さらには政治や自然環境の状況などを包括的に検討する必要があります。
PEST分析、VRIO分析、3C分析、SWOT分析などが代表例です。
●市場の細分化分析(STP分析)
マーケティング対象となる市場を明確に決定します。
このプロセスはさらにセグメンテーション・ターゲティング・ポジションニングという3つのプロセスに分けられ、それぞれの頭文字をとってSTP分析と呼ばれます。
・セグメンテーション
市場を様々な角度から調査し、細分化して整理します。
分割の切り口は、ユーザー層や購買層、購買プロセスなどが考えられます。
・ターゲティング
様々な軸で分割されたセグメントの中から、自社に競争優位があるかなどの観点で、参入するべきセグメントを選定します。
・ポジショニング
自社の製品やサービスがベネフィットを生み出すためにはどの位置付けを狙うべきかを考えます。
顧客のニーズを満たしているか、他社との関係性の中で独自性を認めてもらえるかなどを検討します。
●マーケティング戦略の具体化(4P分析)
明確化に設定された市場で実際にベネフィットを生み出すために、特に製品・価格・流通・販売促進の4つの観点から具体的なマーケティング戦略を練ります。
これら4つの観点を組み合わせて効果的な戦略を打ち立てる手法を、各観点の頭文字をとって4P分析といい、別名マーケティングミックスとも呼ばれます。
・製品
製品自体の魅力の有無は、最も基本的な要素といえます。
どのような製品をつくるかについて、作り手のモチベーションが沸くかはもちろん、顧客のニーズを満たすか、他社との差別化が可能かなどの客観的観点でも検討していきます。
・価格
製品の価格については、安すぎると売れなくなる、ブランディング戦略に沿っているかなどの観点も含めて考える必要があります。
また、支払い方法についても同時に考える必要があります。
・流通
製品流通経路について決定します。
倉庫や販売店舗の立地、ECサイトを活用するかなど、多くの考慮すべき要素があるといえるでしょう。
・販売促進
広告や営業といった販促行為をどのように展開するかを考えます。
基本的には多くの人に知ってもらうほど売れやすくなるとはいえるものの、費用対効果を慎重に検討しなければなりません。
●実行
具体化されたマーケティング戦略の計画をたて、実行します。
●マーケティングの評価
実際に行ったマーケティングの効果を評価します。
これにより、次のマーケティング戦略の作成に知見を活用しやすくなります。
ただし測定や評価と簡単にいっても、実際に行うことはしばしばとても難しく、様々な工夫がなされています。
例えば、アンケートをどう効果的に実施するかは古くからの実践的課題だといえますし、学問的にも効果検証や因果推論などの領域が発展してきているといえます。
まとめ
これら5つのプロセスを1回転させることで、ある1つの手法についての評価が完了します。
実際のマーケティングでは、評価結果をどう改善に生かすかを見定めることも重要なポイントとなるといえるでしょう。
多くの場合、このサイクルを何度も回すことで、より強力なマーケティング戦略を練り上げていくことになります。
◆ マーケティング・マネジメント・プロセスとは、マーケティング戦略を効果的に提案・評価するまでのプロセスを体系化したもの
◆ 全部で5つのプロセスがあり、各プロセスで考慮しなければいけない要素の数は多いものの、常にマーケティングの骨格を意識しておくことが重要といえる
◆STP分析によってマーケティング対象となる市場を明確に決定し、4P分析によって、製品の流通サイクルの課題を洗い出し、より良い市場展開の戦略を打ち立てる
◆ 実際にはこのサイクルを何度も回していくことで、マーケティング戦略の完成度をあげていくことが多い