仏教用語に「慢」「過慢」「慢過慢」という言葉があります。
「慢」というのは、「この人は自分より劣っている、自分の方が上だ」と他者を見下す心のことをいうそうです。たとえば年収を聞いたり、名刺の肩書きを見て、「俺の方が上だな」と思う心ですね。
次に「過慢」ですが、自分と同等の人を見て「やっぱり俺の方が上なんじゃない?」と感じる心を、そう呼ぶそうです。たとえば「あいつは、担当している商品がたまたま海外から注目を集めただけで、今回は運がよかっただけだ」「たまたまあいつの方に日か当たっているけど、本当は俺のほうが能力的には上なんだ」といった心が「過慢」となります。
最後の「慢過慢」は、「自分より上なんじゃないの?」と思う相手でも、粗探しをして「俺の方がこういう面では勝っているぞ」と思う心に対して使う言葉だそうです。
自信をもつことは決して悪い事ではないと思いますが、妬みや比較からくるこの3つの「自惚れ」は人としてはあまり飲み込まれたくはないものですね。もしそういう面もあったなと思えば、反省して行いを正した方がよいかもしれません。
ですがこの「慢過慢」状態での自分の捉え方、見方を変えると「セグメントして、ターゲティングして、ポジショニングを作る(STP)」という考え方にはとても有効かもしれません。
自分より上の対象と自分を比較してみて、自分の方が優勢なのではないか?俺の方がいけてる!というポイントを探しだすのですから。
自惚れている人を周りから見ると、あまりよい感じは受けませんが、もしかしたらそういう人は「自社のよいところ(悪いところ)を探し出して、他社にまけないようなアピールポイントを作れ!」と指示されると、ものすごい能力を発揮する人かもしれませんね。
「自惚れ」も適材適所、使い方によって役に立つかも?ということでしょうか。
しかし皆さん、「自惚れ」にはくれぐれもご注意ください。
プロフィール
ProFuture株式会社 マーケティングソリューション部 フェロー
俣野 隆行(またの たかゆき)
2000年10月にオラクル入社。以来17年もの間、マーケティング部門で業務。
長年に渡り各種オラクル製品のキャンペーン担当はもとより、
Oracle OpenWorld Tokyo などの大型イベントやコーポレートイベントを推進。
社内シェアードサービスプログラムの立ち上げや、
マーケケティングプラットフォーム統合プログラムの企画立案、
パートナー企業とのアライアンスマーケティングなど、
社内外のマーケティングの仕組みを策定し展開。
その後、大手ITSlerに努める傍らProFuture株式会社のフェローに就任。