オウンドメディアを見ながらフレームワークについて、具体的に考察したいと思います。
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大手製パンY社の採用ページを見てみると、全面展開で自社アピールしています。
日本の食卓を支えているとか、食の文化を作っている、売上は1兆円を超えている、グループ会社もいっぱいある、やっていないことは何もないなどなど、だからこの業界に入りたい人で、大企業に入りたい人、ブランドに憧れる人は、是非うちに来てくださいというメッセージになります。
かたやチーズケーキ専門店代表B社の採用ページを見てみると、戦う土俵を一部に絞ってアピールしています。
セグメントをして、その中で自分のポジショニングを考えて、自社の特徴をきっちり出しています。
「焼き菓子」今は特に「タルト」に特化してブランディングして、コミュニケーションを始めています。
自分たちは、お菓子のワクワク感を伝えるんだよ。自分たちが作りたいものや、お客さんがワクワクしてくれるものを作っていきたい、そういう人は是非ウチに来てね、と。純粋にお菓子を作りたかった人は、きっとB社さんに入りますよね。
自社の特徴に合わせて勝てそうな土俵を作り出していく、という戦略がSTPになります。
マーケティングのフレームワークだけをみても非常に沢山あります。それを1つ知っているだけでは、単純に「知識」としてしか利用できません。
その「知識」を組み合わせて「知恵」にして、そしていままでと異なる角度から見て、自分たちの活動や状況を有利にしていく。
現場が動かなくなったら、どうやって突破口を開くか、ゴールにたどり着くにしてもどうやったら効率的にたどり着けるかを考えていく、これが「マーケティング的発想力」です。
戦略があれば戦術があるように、マーケティングには、こうした「フレームワーク」とは別に、「テクニック」があるのも事実です。実践に用いるテクニックについても、お話ししていきます。
最初に、自社を「選んでいただく」ための市場へのアプローチについてお話します。
「これ要りませんか」と売りにいく「セリング」と言われる「アウトバウンド型」のアプローチと、情報提供、情報発信をしておいて先方からコンタクトしてくるのを待つマーケティング手法の一つである「インバウンド型」というアプローチがあります。
この2つのアプローチは何が違うのかというと、まずスタートの形が違います。
「セリング」「アウトバウンド」チームは、他社の製品と比較検討させ、いかに自社製品が良いかをアピールするところからスタートします。
一方、「マーケティング」「インバウンド」は、市場のニーズや課題、興味を探し出すところからスタートします。
スタートが違えばゴールが違ってきます。「セリング」「アウトバウンド」は、物を買ってもらって利益を上げる、他社と比較して勝つ、選んでもらうという感じです。
片や「マーケティング」「インバウンド」は、お客様のニーズや課題から出発しているので、顧客は自分の欲しかったものを手に入れて、満足し、そして利益が出る、というゴールになります。
次に、今回はオウンドメディアをご紹介するセミナーでした。では何でWebが良いんだろう、というテクニックのお話をしたいと思います。
予算が潤沢にあれば、Web制作はもちろん、セミナーも開いて、雑誌に広告を載せて何でもかんでも実施すればよいと思います。
だけど予算は限られている。なにがもっとも有効なんだろうという場合に、私たちはWebをお勧めします、というお話です。
例えば、人が「物を買おう」と考えた時、最初に何をしますか?
昔はお店に行って、何か良いものがないかな、と見て回ったと思うんですが、今はそんなことをしないですよね。
まず何をするかというと、 Web 上で欲しい商品情報を探します。そしてWeb上でその情報を比較検討して、最終的に良いと思ったものを、お店に行って現物を見て購入します。
購入までのプロセスの5~6割は、ネット上で終わっているんですね。お店に行く時には、もう買おうと思って行っているわけです。
このように、もし自分の会社のことを知ってほしいのであれば、やはりWeb上にきちんと興味のあるコンテンツを置いておく事が、非常に重要です。
しかし製品を売るために作ったWebサイトに会社情報を付加したような情報発信で自分たちの会社の魅力って本当に伝わるんでしょうか。
ほとんどの購買者の行動が、Web 上で比較検討しているにもかかわらず、そのWeb上に「ウチは良い会社なんだよ」という情報を置かないという選択肢がありますか。ということで、私たちはオウンドメディアを紹介しているわけです。
あと、Webには地理的・時間的制約がないです。それから、気軽に問い合わせもしてもらう事ができますよね。
Webや電子媒体を経由すると、気軽に質問を投げられたりします。あとはWebの特性として、誰が、どのページやコンテンツを、何回、どのくらいの時間見ているのかなどのデータを取得する事が可能となります。
また、Webでは考え方や手段のほかに、WebならではのSEOやSEMといった検索エンジンの最適化というテクニックもあります。
SEOは、昔のような技術的な優位性がほとんどなくなっています。
そんな中でも、検索結果の上位に表示されるテクニックはあります。質の高いコンテンツを掲載すると、他の人が必然的にリンクを貼ったり参照したりします。
そうすると、検索エンジン会社も「これは質の良いコンテンツだ」と判断して上位に掲示してきます。
どうすれば質の高いコンテンツになるんだろうとお考えの場合は、是非、HR総研に相談してみてください。
きっと非常に多くの情報を持っていますよ。あともう1つ、テクニックの話として、行動データの分析があります。やみくもにデータだけ持ってきても良い分析はできないので、きちんと経験に基づいて、より効率の良いWeb対策を施すことが重要だと考えます。
人事の皆さんも、マーケティングは関係ないと考えずに、多角的な視点で、マーケティング的なフレームワークを作って、発想力を高めて、人事の業務に当てはめて、戦術を駆使して効率的にゴールを目指していただければと考えています。
とはいえ、できるならやってるよ、そんなに時間は割けないよ、ということもありますよね。そんな時には、社内のマーケティング部門の力を借りたり、人事を良くわかっていてマーケティングもできるところ、我々のようなところへのアウトソーシングを検討していただければと思います。
プロフィール
ProFuture株式会社 マーケティングソリューション部 フェロー
俣野 隆行(またの たかゆき)
2000年10月にオラクル入社。以来17年もの間、マーケティング部門で業務。
長年に渡り各種オラクル製品のキャンペーン担当はもとより、
Oracle OpenWorld Tokyo などの大型イベントやコーポレートイベントを推進。
社内シェアードサービスプログラムの立ち上げや、
マーケケティングプラットフォーム統合プログラムの企画立案、
パートナー企業とのアライアンスマーケティングなど、
社内外のマーケティングの仕組みを策定し展開。
その後、大手ITSlerに努める傍らProFuture株式会社のフェローに就任。