ポジショニングマップとは、競合との差別化を図り、競争優位性のある独自ポジションを導き出す際に使用される手法です。
市場における各商品のポジションを、縦軸と横軸からなる2次元で表現しますので、各商品の関係性をひと目で把握できます。
この記事では、ポジショニングマップの概要、およびポジショニングマップの作り方、作る際のポイントについて見ていきましょう。
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ポジショニングマップとは?
ポジショニングマップとは、競合との差別化を図り、競争優位性のある独自ポジションを導き出す際に使用される手法です。
ポジショニングマップでは、市場における各商品のポジションを、縦軸と横軸とからなる2次元の座標によって表現します。
そのために市場の状況や各商品の関係性をひと目で把握できます。
ポジショニングマップは、たとえば下の図となります。
この図は、ビールの味を、
・苦味があるのか、それとも爽やかか
・コクがあるのか、それともキレがあるのか
の2軸上にプロットしました。
アサヒ・スーパードライは、それまで空白だった「爽やかでキレがある」領域にポジショニングを確立し、爆発的な大ヒットにつながったといわれています。
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ポジショニングマップの作り方
ポジショニングマップの作り方は、次の手順となります。
1.ポジショニングマップの軸を選定する。
2.選定した軸を縦軸、および横軸として、自社および競合の商品をプロットする。
ポジショニングマップは、どのような軸を選定するかによりまったく異なります。
ポジショニングマップを作成する際の軸のとり方を、以下で見ていきましょう。
ポジショニングマップを作成する際の軸のとり方
ポジショニングマップを作成する際の軸のとり方は、
1.商品の仕様や機能にもとづく軸
2.商品が満たすニーズや提供するベネフィットにもとづく軸
3.使われる機会や用途にもとづく軸
4.競合製品にもとづく軸
の4つがあげられます。
1.商品の仕様や機能にもとづく軸
ポジショニングマップの軸としてまず考えられるのは、商品の仕様や機能をそのまま使用します。
仕様や機能とは、たとえばPCであれば処理速度やHD容量の大きさ、自動車であれば最高速度や乗車定員、燃費などとなります。
商品の仕様や機能は、どうしても専門的になりがちです。
したがって専門知識を持っている顧客をターゲットとするケースにおいて、これらを軸とすることが向いています。
2.商品が満たすニーズや提供するベネフィットにもとづく軸
商品の仕様や機能そのものではなく、商品が顧客に対して満たすニーズや、提供するベネフィット(恩恵)にもとづいて軸をとることもできます。
ニーズやベネフィットは、仕様や機能に比べれば感覚的となります。
そのために商品のポジショニングをより一般的な表現で、定性的に訴求しようと思う場合にこれらを軸とするとよいでしょう。
3.使われる機会や用途にもとづく軸
商品が、どのような機会や用途で使われるかも、ポジショニングマップの軸にできます。
「アウトドアかインドアか」「人事か営業か」などがあげられます。
4.競合製品にもとづく軸
競合製品の特性やメリットにもとづく軸の選択も、ポジショニングマップ作成の際の戦略の一つです。
「高品質なのに低価格」など、競合と明確な差別化ができる際に有効です。
ポジショニングマップを作る際のポイント
ポジショニングマップを作る際のポイントを見てみましょう
1.購買決定要因(KBF)を考慮する
ポジショニングマップを作る際にまず重要なのは、軸を決定する際に購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)をよく考慮することです。
KBFとは、顧客が商品を購入する際に重視する要素です。
KBFと関係がない要素を軸として選んでしまうと、そもそも顧客にとっての差別化になりえません。
KBFをよく見極め、そのうちとくに重要な2つの要因を使用してポジショニングマップを作成していくことが大切です。
2.相関の高い要素を軸として選ばない
相関が高い要素を軸として選ばないのも、ポジショニングマップを作成する際のポイントとしてあげられます。
相関が高い要素として典型的な例として、「価格」と「品質」があげられます。
価格と品質は多くの場合に比例するため、この2軸でポジショニングマップを作成すると、すべての商品が右肩上がりの直線状にプロットされます。
右肩上がりの直線状にプロットされるのでは、実質的に1軸しか選んでいないのと変わりません。
ポジショニングマップを作る際には、できる限り独立した2軸の選択が重要です。
3.競合がポジショニングしにくい、空白の領域を探す
ポジショニングマップを作成する目的は、「競合と差別化でき、競争優位性のある独自なポジションを探す」ことにあります。
したがってポジショニングマップを作成するにあたっては、KBFに該当する重要な2軸を選びながらも、競合が存在しない領域がある軸の選定が重要です。
その領域が、競合がとりにくいポジションでありながら、自社でポジショニングが可能であれば、その領域が「競争優位性のある独自ポジション」となります。
まとめ
◆ ポジショニングマップとは自社のポジショニングを導き出すために使用する手法
◆ 2次元で表現されるため市場の状況や各商品の関係性をひと目で把握できる
◆ 軸を選ぶ際には、KBFを考慮し、相関の高い要素を選ばないのが重要
◆ 競合がいない、空白の領域にポジショニングできれば競争優位性が高くなる