「誰にも読まれないウェブサイト」には価値はありません。多くの人に読まれるサイトに育てるには適切なSEO対策が必要不可欠です。
ただしここで問題があります。
検索アルゴリズムがアップデートされると、それまでのSEO対策の成果が無に帰してしまう可能性があるのです。
SEO担当者が「傾向と対策」に情熱を傾ける検索アルゴリズムとは一体何なのか。検索アルゴリズム変遷の歴史とSEO対策に与える影響について考察します。
検索エンジンの生命線「検索アルゴリズム」
検索エンジン(※)を使った検索において、どのウェブページをどの順位に表示するかを決定するためのプログラムを「検索アルゴリズム」と言います。
※検索エンジンのシェアは国内外ともにGoogleが圧倒的首位ですので、本記事では「検索エンジン」という言葉の代わりに「Google」と表現します。また本記事における「検索アルゴリズム」もGoogleの検索エンジンを指しています。
検索エンジンの役割は、「検索クエリ(キーワード)に対して最適解となるウェブページを提示する」ということにつきます。
したがってユーザーのニーズを満たせないウェブページを検索結果の上位に表示してしまうと、検索エンジンとしての信頼度が下落し、ユーザーが減ってしまいます。
Googleの収入源は広告収入なので、検索エンジンのユーザーが減ると広告が集まらずビジネスが成り立たなくなります。
そのためGoogleはウェブページの品質を厳しくチェックし、基準を満たしたページだけを上位表示させることで、ユーザーからの信頼を守ろうと必死になるのです。
しかし、ウェブページの品質を一つひとつ目視でチェックするのは不可能です。そこで開発されたのが検索アルゴリズムです。
検索アルゴリズムによってウェブページのチェックを自動化し、刻一刻と増殖を続ける膨大なウェブページの検索順位決定が可能となります。
つまり検索アルゴリズムがなければ、Googleというビジネスモデルは成り立たないのです。
検索アルゴリズムはどんな内容で構成されるか
数百あると言われるGoogleの検索アルゴリズムのごく一部を紹介します。検索結果にプラスに働く内容には(+)、マイナスに働く内容には(−)を付けています。
・ ウェブサイト自体に関する事
ユーザーが閲覧しやすいサイト構造(+)、見やすいサイトマップ(+)、ある程度のボリュームを持つページ数(+)、パンくずリスト(+)、サイトがまったく更新されない(−)
・ ウェブページに関する事
タイトルタグやh1タグにキーワードを配置(+)、コンテンツの序盤にキーワードを配置(+)、広告が多くコンテンツが閲覧しにくい(−)、コンテンツが重複している(−)
・ 訪問者に関する事
離脱率が低い(+)、滞在時間が長い(+)、自然検索からのクリック率が高い(+)
・ドメインに関する事
ドメインのWhois情報を公開している(+)、ドメインの所有者が頻繁に変わっている(−)
・ 被リンクに関する事
被リンク数が多い(+)、リンク元サイトと自社サイトの関連性が薄い(−)、リンク元ページの質が高い(+)、ペナルティを受けているサイトやスパムブログからの被リンクが多い(−)
・ ソーシャルウェアに関する事
リツイート数が多い(+)、Facebookのシェア数が多い(+)
・ ブランドに関する事
ブランド名の認知度が高い〜車ならトヨタ、PCならMacなど(+)、アンカーテキストにブランド名を含めている(+)
・ スパムに関する事
ユーザーニーズを満たさない低品質なコンテンツやアフィリエイトサイト(−)、大量の有料リンク購入などのガイドライン違反(−)、キーワードを不自然に大量配置したコンテンツ(−)、隠しテキスト・隠しリンク・過剰なリンクの配置(−)、スパムサイトへの発リンク(−)、不正なリダイレクト(−)、自動生成されたコンテンツ(−)
このような具体例はGoogleが公式に発表したものではありません。
世界中のSEO研究者が知恵を出し合って「おそらくこういう内容だろう」と推測して導き出したものに過ぎません。したがって過信は禁物です。
検索アルゴリズム変遷の歴史
Googleの検索アルゴリズムはこれまで数多くのアップデートを重ねてきました。歴史的に重要なアップデートを取り上げてみます。
・カサンドラアップデート(2003年4月)
リンクの取り締まり強化を行ったアップデートです。検索アルゴリズムがSEOに影響を与えるようになったのは、実質的にはこのカサンドラアップデートからです。
・ フロリダアップデート(2003年11月)
キーワードを不自然に大量配置したコンテンツが低く評価されるようになりました。
・ パーソナライズドサーチアップデート(2009年12月)
検索したユーザーの所在地や過去の検索履歴に従って検索結果がカスタマイズされるようになりました。
・ パンダアップデート(2011年2月)
品質の低いコンテンツの順位を下げるためのアップデートで、数あるアップデートのなかで最も有名です。
パンダアップデート以降は、大半が「ユーザーのニーズに応えているか?」という基準で実施されており、コピペサイトのようにユーザーニーズに応えていない質の低いサイトは軒並み検索順位が下がっています。
・ ペンギンアップデート(2012年4月)
スパム行為を取り締まるためのアップデートで、いわゆるブラックハットSEOを駆使したサイトの検索順位が大きく下がりました。
・ ハミングバードアップデート(2013年8月)
検索クエリからユーザーニーズを深く読み込み、ユーザーに適したサイトを優先的に上位表示するためのアップデートです。
このアップデート以降、SEO対策として「コンテンツSEO」の価値が重視されるようになりました。現在のGoogleの技術的な土台となるアルゴリズムであり、数あるアップデートのなかで最も重要なものと位置づけられます。
・ モバイルフレンドリーアップデート(2015年4月)
モバイル端末で閲覧しやすいWebページが高く評価されるようになりました。
・ 日本語検索アップデート(2017年3月)
2016年に生じた「Welq問題」を受けて、Googleは質の低い医療・健康情報を載せたサイトの検索順位を一気に下げました。このアップデートは日本語検索だけを対象とした点に特徴があります。
検索アルゴリズムとの距離は「ほどほど」がおススメ
Googleが上位表示させるサイトとは、「ユーザーのニーズを満たすサイト」です。
では、そのニーズの具体的内容は誰が決めるのでしょう。Googleのエンジニアでしょうか?Googleのロボットでしょうか?
ユーザーの求めるサイトが何かを決めるのはサイト運営者自身です。
情報サイトであれECサイトであれ、ユーザーとの距離がもっとも近いのは他ならぬサイト運営者です。
サイト運営者にとって大切なのは、「自社のユーザーが満足できるコンテンツ(商品、サービス)を提供すること」であり、「いかにGoogleに気に入られるか」ではないはずです。
検索結果に上位表示されることは、新規ユーザーを獲得するには必要なことです。
しかし、だからといって検索アルゴリズムを盲信し、コンテンツとデザインを頻繁に変えることが、ユーザーの幸せにつながるのでしょうか?
この世に検索エンジンがあるかぎり、未来永劫、検索アルゴリズムはアップデートされていきます。
SEO対策で疲弊しないためには、「つかず離れず、ほどほどに」の距離感で、検索アルゴリズムを絶対視するのではなく、「自社のユーザーが満足できるコンテンツ(商品、サービス)を提供すること」を第一に考えることが大切です。
まとめ
・検索エンジンの役割は、検索キーワードの最適解となるウェブページを提示することであり、検索アルゴリズムとはその作業を自動化するプログラムのこと。
・検索アルゴリズムには数百を超えるさまざまな内容があるが、Googleが公式に発表したものではないので盲信は禁物。
・検索エンジンは数々のアップデートを重ねてきた。歴史的に重要なアップデートとして、パンダアップデート、ペンギンアップデート、ハミングバードアップデート、モバイルフレンドリーアップデートなどがある。
・検索アルゴリズムのアップデートを100%受け入れる必要はない。まずは自社サイトのユーザーニーズが何かを把握し、コンテンツに反映させることが重要。