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マーケティングセグメンテーション|有名事例から活用法を学ぼう

2019.5.31
読了まで約 3

マーケティング戦略を練る上で、誰もが一度は考えるのが「STP」手法です。

「STP」とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったものです。

市場を細分化して(セグメンテーション)、自社が狙うセグメントを絞り(ターゲティング)、そのセグメントで優位的な地位を築くこと(ポジショニング)を意味します。

さて、今回は、STFの最初の段階であるセグメンテーションについて、BtoBにおける事例をご紹介しながら、活用方法をご説明します。

 

■マーケティングセグメンテーションとは?

セグメンテーション(Segmentation)とは、端的にいえば、買い手である市場を、売り手側から見て様々な切り口で細分化することです。

自社が狙うセグメント(顧客層)を見つけるためには、多角的な視点で市場を見直す必要があります。

市場を細分化するセグメンテーションは非常に大事なステップだといえるでしょう。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

 

■BtoBにおけるマーケティングセグメンテーションの事例

それでは実際に、セグメンテーションの活用により、マーケティングがどのように変わり結果に繋がるのでしょうか。

ここでは、BtoBにおけるマーケティンセグメンテーションで成功した事例として、大阪に本社がある老舗の製薬メーカー「マルホ」をご紹介します。

もともとマルホは、新薬開発から販売まで手掛ける中堅の製薬会社でしたが、2002年に方針を転換します。

というのも、新薬開発にはコストがかかり、大手との競争ではこちらが先に疲弊するのが予測できたからです。

医薬品業界全体は7兆円という市場規模といわれています。

この分野において市場を細分化し、「皮膚系」と「外用薬」を掛け合わせてたどり着いたのが、「皮膚科学関連医薬品」。

マルホは、この分野のブティックカンパニーになると会社のビジョンを改め、皮膚科外用薬へと突き進みます。

皮膚科の外用薬の市場規模は約1000億円と小規模ですが、大手が開発した錠剤の成分を塗り薬に応用すれば開発費も縮小できます。

結果的に、マルホはこのマーケティングの施策の方向転換により、業績を回復し、現在は皮膚科外用薬の分野で突出したポジションを維持しています。

マルホのケースのように、自社の方向性をどのように位置づけるか、顧客層を絞る前提として、市場を様々な切り口で細分化することは、非常に有効的な手法といえます。

市場の細分化により、隠れたセグメントの発見も可能となるのです。

 

■BtoBにおけるマーケティングセグメンテーションの活用法

それでは、実際にセグメンテーションはどのように行い、活用すればいいのでしょうか。具体的な手法を見ていきましょう。

 

  • 市場の細分化の要素をリストアップする

まず、市場を分ける前に、どのような切り口から分けていくか、その要素を考えねばなりません。具体的には、以下のものが挙げられます。

・「地理的変数」

地理的な要素を意味します。地域(国、地方、県、市など)や、人口密度や天候傾向、駅やショッピングセンターの有無などにより市場を細分化します。

・「人口動態変数」

人や企業に関する要素を意味します。企業の業種や従業員規模などにより、市場を細分化します。

・「心理的変数」

心理的要素を意味します。企業風土やビジョン、また企業課題なども含まれます。

・「行動変数」

行動履歴などの行動的要素を意味します。購入経験や購入頻度、購買準備段階の態様などにより、市場を細分化します。

上記の要素で市場を分け、さらに要素の掛け合わせで、隠れたセグメントを発見していきます。

なお、最近ではインターネットやデバイスの普及で、顧客からのタッチポイントが増加したため、従来の要素とは異なる要素の掛け合わせもされています。

 

  • セグメンテーションの確認は必須

次に、細分化されたセグメントについて、現実的に有効なセグメントといえるかどうかを確認する必要があります。

というのも、細分化されたセグメントが、例えばあまりにもニッチなセグメントで需要そのものが少なければ、実効性がないといえるからです。

確認の要件としては以下の4つが挙げられます。

・Rank(優先度)

自社から見て最も優先度の高いセグメントかどうかを確認します。具体的な内容としては、セグメントの強いニーズがあるか、大手の競合がいないかなどです。

・Realistic(規模の有効性)

そのセグメントが収益を出す可能性があるか、採算のあう規模といえるかを確認します。

先ほどの例のとおり、ブルーオーシャンであったとしても、あまりにも規模が小さければ、費用対効果が低いといえるでしょう。

・Response(測定可能性)

セグメントの購買力や反応などが測定可能かどうか、数値化できるかどうかを確認します。

・Reach(到達可能性)

セグメントに対して、製品やサービスを実際に届けることができるかを確認します。

これらをクリアできて、初めて、自社のターゲットになりうるか、ようやくターゲティングの候補になることができるわけです。

マーケティングにおいてスピードは重要です。しかし、セグメンテーションに関しては、じっくりと時間をかけることが、一番結果に繋がるといえるでしょう。

自社の製品やサービスを分析するとともに、市場をどのような切り口で細分化するのが最適か。

マーケティング分門だけでなく、製品やサービスを作り出す製造部門や顧客と直接接する営業部門やコールセンターの担当者など、様々な視点を持つ部門と連携してセグメンテーションを進めていくのも一つかもしれません。

 

まとめ

◆セグメンテーションとは買い手である市場を、売り手側から見て様々な切り口で細分化すること

◆製薬会社「マルホ」はBtoBのセグメンテーションの成功事例

◆変数を使用して市場を細分化するとともに、セグメンテーションが有効か確認する

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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