ダイレクトマーケティングとは、企業と顧客が直接やり取りをすることにより販売を行う手法のことです。
顧客との双方向的なコミュニケーションにより効果の測定が容易となり、費用対効果が高い、またPDCAサイクルを回しやすいなどのメリットがあるため、BtoBでも注目を集めています。
ここでは、ダイレクトマーケティングの意味、ダイレクトマーケティングの対義語「マスマーケティング」との違い、ダイレクトマーケティングのメリット・デメリット、BtoBでの活用事例をご紹介します。
ダイレクトマーケティングの意味とは?
ダイレクトマーケティングとは、企業と顧客が直接やり取りをすることにより販売を行う手法のことです。
米国ダイレクトマーケティング協会(DMA)の定義によれば、「1つまたは複数の広告メディアを使い、測定が可能な反応や取引をどのような場所でも行うことができる双方向性のマーケティングシステム」とされています。
発祥は、19世紀のアメリカで誕生した「メールオーダー」(通信販売)です。
一般になじみのある手法だともいえますが、近年、Eコマースの普及とともに、より広い概念として捉え直されています。
ダイレクトマーケティングは企業と顧客とのコミュニケーションが双方向であり、また効果が測定可能なところが、対義語である「マスマーケティング」と区別されます。
それにより、PDCAサイクルを回しやすく、また費用対効果が高いメリットがあることから、多くの企業に取り入れられています。
顧客が個人ではなく組織となるBtoBビジネスにおいては、これまでダイレクトマーケティングは積極的に取り入れられてきませんでした。
しかしキーマンを抑える従来型の営業手法が市場環境や価値観の変化にともない通用しにくくなっている近年、ダイレクトマーケティングがBtoBでも注目を集めるようになっています。
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ダイレクトマーケティングの特徴と対義語「マスマーケティング」との違い
ダイレクトマーケティングの特徴と、対義語である「マスマーケティング」との違いについて見てみましょう。
ダイレクトマーケティングの特徴は、
1. コミュニケーションが双方向的であること
2. 効果の測定が可能であること
3. メディアを柔軟に活用すること
4. どのような場所でも販売が行えること
としてまとめられます。
●特徴1 コミュニケーションが双方向的であること
コミュニケーションが双方向的な「One-to-Oneコミュニケーション」であることが、ダイレクトマーケティングの第1の特徴です。
マスマーケティングのコミュニケーションが「一般大衆」に向け、自社の商品を知らせることを目的として行われるのに対し、ダイレクトマーケティングのコミュニケーションは、個人に向けて相手を知るために行われます。
●特徴2 効果の測定が可能であること
ダイレクトマーケティングにおけるコミュニケーションは双方向的であることが前提であるために、レスポンスによって施策の効果を測定することが可能です。
レスポンスがすべて蓄積されていく顧客データベースは、顧客ニーズに迅速に対応するための基盤となります。
マスマーケティングの効率指標が「到達効率(リーチ・フリークエンシー)」であるのに対し、ダイレクトマーケティングの効率指標は「レスポンス効率(CPR/CPO)」となります。
●特徴3 メディアを柔軟に活用すること
ダイレクトマーケティングは、中間の流通業者を介さないため店舗がないことが特徴です。
広告やWebサイトが店舗の役割を果たすことになりますので、顧客を開拓するためにメディアがフルに活用されます。
特定のメディアに限定されることなく、テレビや新聞、ラジオ、カタログ、ダイレクトメール、SNSなど、さまざまなメディアを利用します。
●特徴4 どのような場所でも販売が行えること
店舗がないダイレクトマーケティングは、逆にいえば、顧客の自宅や事務所、通勤中の電車の中など、どのような場所でも販売を行えます。
地域や商圏などに限定されることなく、商品を届けることが可能であれば、どのような場所に住んでいる人でも顧客となります。
ダイレクトマーケティングのメリットとデメリット
ダイレクトマーケティングのメリットとデメリットがどのようなものかを見てみましょう。
●ダイレクトマーケティングのメリット
1. 費用対効果が高い
ダイレクトマーケティングはマスマーケティングと比較して費用対効果が高くなります
。顧客データベースを活用することにより、ターゲットに即した広告媒体を限定して利用することができるからです。
2. PDCAサイクルを回しやすい
ダイレクトマーケティングにおいては、得られたレスポンスを数値化することが容易です。
そのために効果を検証し改善策を検討するPDCAサイクルを回しやすいことが特徴です。
3. 人件費をかけずに事業を立ち上げられる
ダイレクトマーケティングは、店舗がないために人件費をかけずに事業を立ち上げることができます。
コールセンターなどが必要となった場合はアウトソーシングも可能です。
●ダイレクトマーケティングのデメリット
1. 投資の回収に時間がかかることがある
ダイレクトマーケティングで事業を立ち上げる際には、Webサイトやデータベース、決済手段などに対して初期投資が必要です。
また広告についても、専門的な知識とスキルを備えた人材によりテストをくり返し、表現を確立していかなくてはなりません。
そのために安定的な売上を獲得し、投資を回収するまでに時間がかかることがあります。
2. ターゲットにより広告や手法を変える必要がある
ダイレクトマーケティングは、ターゲットとなる顧客のレスポンスを最大にすることが目標です。
ターゲットとなる顧客が異なれば、異なる広告や手法を新たに開発しなければならなくなることがあります。
ダイレクトマーケティングのBtoBでの活用事例
ダイレクトマーケティングは、BtoBでも注目を集め活用が始まっています。
BtoBにおいてターゲットとなるのは個人ではなく企業です。ダイレクトマーケティングの手法を取り入れ、見込み度合いが高い企業にターゲットを絞り込み、リソースを集中させていくことにより、営業活動の効率を高めることが期待できます。
●BtoBでの活用事例1
BtoBでは、連絡先情報を残してもらうためのオファーが営業活動において重要です。
ある企業では、担当者へのオファーとして通常の資料のほかに「稟議書の通し方」を加えました。それにより、資料請求の成約率が大幅に高まりました。
●BtoBでの活用事例2
BtoBにおけるテレアポは、セールスを行うことが目的となるのが一般的です。
ある企業では、資料のオファーを目的としてテレアポを行いました。
それにより、見込み客リストを効率よく収集できるようになったため、テレアポ部隊を削減することができたとともに、テレアポ後の成約率も高まりました。
まとめ
◆ ダイレクトマーケティングとは、企業と顧客が直接やり取りをすることにより販売を行う手法のこと
◆ コミュニケーションが双方向的であり、効果が測定可能であることが、対義語となるマスマーケティングとの違い
◆ ダイレクトマーケティングは、費用対効果が高く、PDCAサイクルを回しやすいなどのメリットがある
◆ 市場環境や価値観の変化にともない、BtoBでも導入が始まっている