Webサイトの価値を計る指標の一つが「直帰率」です。
直帰率はWeb担当者なら誰もが直帰率の数値を気にするもの。
とくにコンバージョンの向上を命じられた場合は、1日に何度も直帰率をチェックするはずです。
今回は直帰率について、「離脱率との違い」「直帰率の目安」「改善方法」などについて、具体例を挙げながらわかりやすく解説していきます。
直帰率とは?
ユーザーが最初に訪問したページ(ランディングページ、LP)だけを閲覧して離脱してしまうことを「直帰」といいます。
直帰率は、セッション全体における直帰数の割合のことです。
直帰にカウントされるパターンとしては、
(1)LPを閲覧した後、他のサイトに移動する
(2)LPを閲覧した後、ブラウザを閉じる
(3)LPを閲覧した後、30分間何も操作しない
(4)LPを閲覧している最中に午前0時を迎えた
の4パターンがあります。
(3)と(4)の場合、ユーザーは何もアクションを起こしていないので、「これがなぜ直帰に含まれるのか?」と疑問に思うかもしれません。
これらが直帰にカウントされるのは、Googleアナリティクスが(3)や(4)のようなパターンも「離脱」とみなしてしまうのが原因です。
「あるページをじっくり読んでいたら30分を経過していた」「夜11時50分にアクセスし、LPを読んでいたら0時を過ぎていた」といったことはよくあります。
したがってWeb担当者が直帰率をチェックする際は、直帰の内容も考慮しないといけません。
直帰率の計算式
直帰率はGoogleアナリティクス上で確認できますが、Web担当者の基本知識として計算式を押さえておきましょう。
直帰率を算出しようとするページをAと仮定します。直帰率の計算式は、
「Aの直帰数」÷「AをLPとするすべてのセッション数」
となります。
具体例で説明しましょう。
ページA・B・Cで構成するサイトXがあるとします。サイトXでは、2019年5月1〜5日の間に次のようなセッションがありました。
1日 A→離脱
2日 A→B→離脱
3日 A→B→C→離脱
4日 B→A→離脱
5日 A→C→A→離脱
5月1〜5日のセッション数が上記5つだけだったとすると、ページAの直帰率はGoogleアナリティクスで何%と表示されるでしょうか?
答えは「25%」です。
あるセッションが直帰率の計算にカウントされるためには、「対象となるページが最初のページ(LP)であること」という条件をクリアしないといけません。
4日のようにAがLPではないセッションは、Aのページビューが含まれていても直帰率の計算にカウントすることはできないのです。
本例でAがLPとなるセッションは、1〜3日および5日の計4セッションとなります。
そしてすでに説明したように、直帰としてカウントするのは「LPだけを閲覧して離脱した場合」だけです。
2日と3日はAがLPではあるものの、BやCに移動してから離脱しているので直帰には当たりません。
また5日のようにLP→他のページ→LP→離脱という場合も直帰ではありません。本例で直帰にカウントされるのは1日だけとなります。
これを計算式「Aの直帰数」÷「AをLPとするすべてのセッション数」に当てはめれば、1÷4=25%となります。
以上はLPごとの直帰率の計算法です。サイト全体の直帰率については、
「サイト全体の直帰数」÷「サイト全体のセッション数」
で計算します。
まぎらわしい!直帰率と離脱率の違いは?
ここで、直帰率とよく似た概念である「離脱率」について簡単に整理しておきます。
あるページの全セッションのうち、そのページが最後の閲覧ページになった割合を「離脱率」と言います。
ここでいう離脱のパターンは、すでに直帰率のところで説明した4つのパターンと同じです。
離脱は直帰を包摂する概念です。LPだけを閲覧して離脱した場合が直帰ということになります。
あるページAの離脱率は、「Aの離脱数」÷「Aのページビューを含むすべてのセッション数」で算出します。
直帰率の計算式で使った事例を流用して説明しましょう。
1日 A→離脱
2日 A→B→離脱
3日 A→B→C→離脱
4日 B→A→離脱
5日 A→C→A→離脱
「Aの離脱数」は1日と5日の2回です。「Aのページビューを含むすべてのセッション数」は1〜5日の5回です。したがってページAの離脱率は、2÷5=40%となります。
直帰率の目安(平均値)はあまり意味を持たない
Web上では「直帰率の平均は40%前後」という解説が散見されますが、「40%」という数字そのものに特別な意味はありません。
直帰率は、サイトの構造や流入経路、ユーザーの検索目的などにより変動するものだからです。
たとえば女性がある化粧品の成分を調べるためにメーカーサイトに訪問したとします。
その商品のコンテンツが1ページだけなら直帰率は上がるはずです。
価格を調べるために楽天市場に訪問した場合はどうでしょう。
お目当ての化粧品を扱うショップは大量にあり、しかも小売価格に差があります。女性はいくつものショップを渡り歩くはずですから、「直帰」自体ほとんど起きません。
では、アフィリエイト目的のペラサイトだった場合はどうでしょう。
ペラサイトは「1ページ完結型」ですので、申し込みフォームへのリンクをクリックしないかぎり、直帰率は高くなります。
「高い直帰率=悪」とはかぎらない
「どのページも同じような熱量でコンテンツを盛り込んだのに、なぜか特定のページだけ直帰率が低い……」と悩んでいる方もいるのでは?
直帰率が高くなる原因は、必ずしも悪いものばかりではありません。
たとえばそのページが他のサイトでは扱わないニッチなテーマについて、非常に詳しく説明したページなら、自然検索でそのページに訪問したユーザーの直帰率は高くなる可能性があります。
メルマガでオススメニュースを案内したリンクから流入した場合も、そのページを読み終えればユーザーは満足するので直帰率は高くなります。
このように、直帰率が高いページでもコンテンツに問題があるとはかぎりません。高い直帰率の原因は何か、冷静に見極めましょう。
直帰率を改善すべきページをどうやって見つけるか
直帰率を改善すべきページは、次の2つのポイントに注意すると見つけやすくなります。
(1)滞在時間との関係
滞在時間が短く、かつ直帰率が高いページは、多くのユーザーにとって必要なコンテンツを提供できていない可能性があります。
事務的な告知ページやインデックスページならともかく、事業に直接関わるコンテンツページなのに滞在時間が短く、直帰率も高いという場合は、そのページに何らかの問題が潜んでいるという前提で詳しくチェックすべきです。
(2)コンバージョンとの関係
たとえば直帰率が95%のECサイトにおいて、直帰しない5%のユーザーのCV率が50%だとしたらどうでしょう。直帰率を改善すればCVの大幅アップが期待できます。
しかし直帰しない5%のCV率が1%だったら、たとえ直帰率が改善してもCVはさほど増えないかもしれません。
この場合、直帰率の改善よりもCV率の改善にリソースを割り当てるほうが効率的です。
直帰率の改善に絶対欠かせない3つのポイント
直帰率を改善するには、次の3つのポイントに注意しましょう。
(1)モバイルファーストに対応できているか
2017年2月にGoogleが発表したデータによると、モバイルサイトの読み込みに3秒以上かかるとユーザーの53%が離脱してしまうそうです。
モバイルファーストの時代において、リッチでヘビーなサイトは敬遠されます。レスポンシブデザインになっていないサイトも同様です。
(2)ナビゲーションに不備はないか
「リンク切れ」「工事中」「内部リンクのミス」「インデックスの欠落」のように、ナビゲーションに不備がある場合も直帰率を高めます。
ナビゲーションはサイト全体のユーザビリティに直結するので、不備を放置すると見込顧客を失うおそれすらあります。
(3)ユーザーの求める十分なコンテンツを提供できているか
ユーザーを直帰させず、ページビューや滞在時間、CVを増やすためには、「ユーザーの求める十分なコンテンツがある」ということが大前提です。
検索キーワードに適合するコンテンツをLPに配置するのはもちろんのこと、サイトが持つブランドイメージに対してユーザーが抱く「このサイトなら、このくらいのコンテンツを提供して欲しい!」というニーズをキャッチし、コンテンツを刷新しつづけることも重要です。
まとめ
◆直帰率とは、ユーザーが最初に訪問したページ(ランディングページ、LP)だけを閲覧して離脱してしまうこと。
直帰にカウントされるパターンは、「他のサイトに移動する」「ブラウザを閉じる」「30分間何も操作しない」「LPを閲覧している最中に午前0時を迎えた」の4つ
◆直帰率の計算式は、「あるページAの直帰数」÷「AをLPとするすべてのセッション数」。あるセッションが直帰率の計算にカウントされるためには、対象となるページがLPでないといけない
◆離脱率とは、ページAの全セッションのうち、Aが最後の閲覧ページになった割合のこと。「Aの離脱数」÷「Aのページビューを含むすべてのセッション数」で算出する
◆直帰率は、サイトの構造や流入経路、ユーザーの検索目的などにより変動する。したがって直帰率が高いからといって、そのページのコンテンツに問題があるとはかぎらない
◆直帰率を改善すべきページは、滞在時間やCVとの関係性に注意すると見つけやすい。直帰率を改善するには、「サイトの読み込み速度」「ナビゲーション」「コンテンツ」の3つがポイントとなる