辞書の三省堂が選ぶ「2017の新語」で、第2位となったのが「インフルエンサー」というワード。
近年、「インフルエンサー」を媒介としたマーケティング手法が、一つの主流となりつつあります。
ほんの20年前には考えられなかった新たなマーケティングの形が、今、急速に加速しているのです。
今回は、インフルエンサーマーケティングに迫り、「インフルエンサーとは?」という基本的知識に触れながら、マーケティング手法として確立してきた背景をご説明します。
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「インフルエンサー」とは?
「インフルエンサー」といえば、アイドルグループの乃木坂46の代表曲を思い浮かべる人もいるでしょう。
「好きな相手が自分に影響を与える」という曲の内容でしたが、インフルエンサーとは、英語の「influence」(影響)を語源とし、「-er」(~する人)を合わせ、「影響を与える人」という意味です。
三省堂の辞書によれば、「経済・流行・価値観などに関して、多くのひとびとに強い影響を持つ人物。とくにインターネットなどのメディアを通して購買活動に大きな影響を与える人」とされています。
「インフルエンサー」を媒介として、さまざまな商品やサービスの情報を広く世に拡散させ、市場での認知度を上昇させたり、興味を持たせたりする方法を「インフルエンサーマーケティング」と呼びます。
「インフルエンサー」の代表例としては、著名人、芸能人、YouTuber、ブロガーなど、SNSにてフォロワー数の多い人物があてはまります。ここで特筆すべきは、芸能人に限らず、一消費者であっても、自らブログやツイッター、インスタグラムなどで情報を発信し、それなりのフォロワー数を獲得すれば、インフルエンサーになれるということなのです。
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SNSの発達でカスタマージャーニーが変化した!
それではどうしてこのようなインフルエンサーマーケティングの手法が加速したのでしょうか。
・ブログから始まったSNSの快進撃
まず理由の一つとして挙げられるのが、SNSの発達です。
2002年頃から日本でも始まった各種のブログサービスにより、インターネットがより私たちの生活に身近なものとなりました。
フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)、インスタグラム(Instagram)など続々とSNSのサービスも進化し、誰もが情報発信者であり情報受信者でもある2面性を持つようになったのです。
これに伴い、情報収集の方法に画期的な変化が起こります。
これまで主流であったCMや広告など、見るという「受動的」な姿勢から、オンラインでの検索、それもSNSの充実した検索機能を利用した自ら探すという「能動的」な姿勢へと移行します。
このように情報収集の方法に変化が起これば、従来の購買までの道筋、いわゆるカスタマージャーニー自体も影響を受けます。
テレビや実際の店舗など、従来の企業との接点が、インターネットなどのオンラインへと移行し、興味を持ってから購入に至るまでの道筋も多様化・複雑化していくのです。
これに対応して、企業としてもマーケティング戦略を見直し、よりスピード感があり、より効果的にターゲット層へ情報が届く「インフルエンサーマーケティング」が主流となったのです。
BtoBの「インフルエンサー」の特徴
インフルエンサーマーケティングでは、企業がインフルエンサーに対して、PRしたい商品やサービスの情報を提供し、対価や報酬を支払います。
ただBtoBとBtoCでは、イメージしているインフルエンサー像も異なります。
というのもBtoBとBtoCでは、商品やサービスの購入過程が異なるからです。
BtoCでは、個人で購入を決定することができるため、消費者からの好感度が高く、投稿に対して共感する内容のコメント数が多いタイプのインフルエンサーが望ましいといえるでしょう。
一方BtoBでは、一般的に個人の判断だけで購入は行えず、組織の上位者などが意思決定者である場合が多いです。
そのため意思決定者に対して影響のあるような人物が有効的であるといえます。
たとえば業界の第一人者のように、専門性があり業界に影響力のあるような人であれば、信頼性も高いといえるのです。
インフルエンサーマーケティングで成功するには
インフルエンサーマーケティングで成功するにはインフルエンサーとの協業関係が重要となります。
インフルエンサーにはそれぞれの個性があります。その個性に惹かれてフォロワーが集まり、その効果に期待したマーケティング方法なのです。
個性を無視した投稿、金銭や商品の授受があることを明示せずに紹介するようなステルスマーケティングなどは、逆に信頼性をなくし、本末転倒といえるため注意が必要です。