グロースハックとは、サービス自体の成長を担うWebマーケティングのことです。
従来のマーケティング方法にとどまらず、Webサービス自体を変更することにより成長を目指します。
グロースハッカーは、マーケターとエンジニアを兼ね備えた存在だといえるでしょう。
今回は、グロースハックとは何か、グロースハックの手法「AARRR」、およびBtoB企業におけるグロースハックの実践方法についてご紹介します。
■グロースハックとは?
最初にグロースハックとは何なのかを見てみましょう。
●グロースハックとはサービス自体の成長を担うWebマーケティング
グロースハックとは、サービス自体の成長を担うWebマーケティングです。
TwitterやDropbox、AirbnbなどのWebサービスが取り入れて大きな成功を収めたことにより、注目されるようになりました。
従来のWebマーケティングでは、広告を出稿したり、SEOやアクセス解析を行ったりすることにより、顧客をWebサービスに誘導します。
グロースハックにおいても従来のWebマーケティングの手法は同様に取り入れ、実行します。
グロースハックが従来のWebマーケティングと異なるのは、顧客をWebサービスに誘導することにとどまらず、Webサービス自体の変更を行うことにより「成長(グロース)」を目指すことです。
たとえばかつてTwitterは、ユーザー登録画面での離脱率が高いことが大きな課題となっていました。
ユーザーが離脱するのは、IDの重複が多発して何度もエラーがでるからです。
そこでTwitterのグロースハッカーは、入力された氏名を元に自動的にIDを発行するようにシステム変更を行いました。
この「ハック」により、Twitterへのユーザー登録数は1日につき6万人の増加となったといわれています。
このようにグロースハッカーは、Webサービスのシステム変更までを射程に入れてマーケティングを行います。
マーケターとエンジニアの両方の要素を兼ね備えた存在だといえるでしょう。
■グロースハックのフレームワーク「AARRR」
グロースハックの手法として知られるのが「AARRR(アー)」モデルです。AARRRモデルにおいては、
・Acquisition(獲得)
・Activation(利用)
・Retention(継続)
・Referral(紹介)
・Revenue(収益化)
の5つのフェーズからWebサービスを分析し、成長のボトルネックを解消していきます。
・Acquisition(獲得)
Acquisitionは、ユーザー獲得のフェーズです。立ち上げたWebサービスを広く人に知らしめ、サイトを実際に訪問してもらいます。
・Activation(利用)
Activationは、Webサービスをユーザーに利用してもらうフェーズです。会員登録を行うことなどにより、Activationのフェーズはさらに前進します。
・Retention(継続)
Retentionは、Webサービスをユーザーに継続利用してもらうフェーズです。できるだけ長く、頻繁に利用してもらうことを目指します。
・Referral(紹介)
Referralは、紹介のフェーズです。ユーザーの友人や知人に対しWebサービスを紹介してもらうことを目指します。
・Revenue(収益化)
Revenueは、収益化のフェーズです。BtoB企業であれば、商材やサービスを購入してもらうことに当たるでしょう。
■BtoB企業におけるグロースハックの実践方法
BtoB企業においてWebサービスのグロースハックを実践する際には、大きく以下の流れで進めていくことになります。
1. ターゲットと目的の明確化
最初にターゲットと目的を明確にします。
グロースハックは単なるシステム変更ではありません。見込み顧客を明確にすることで、Webサービスで何を達成したいのかが共有されます。
そのためには、ペルソナやカスタマージャーニーなどの作成は有効だといえるでしょう。
2. 目標の設定とスケジュールの策定
Webサービスのターゲットと目的がはっきりしたら、KGIとKPIを策定します。
KGIは「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」で、達成すべき目標のことです。BtoBサイトにおいてはお問い合わせやリードの獲得とされることが多いでしょう。
KPIは「Key Performance Indicator(重要業績指標)」で、KGIを達成するに当たっての中間プロセスの達成度合いです。
訪問者数や直帰率、フォーム到達数、コンテンツ作成数などが用いられるのが一般的です。
3. サイト解析によるボトルネックの洗い出し
ターゲットと目的および目標がはっきりとしたところで、解析ツールを使用してサイトのボトルネックを洗い出し、改善ポイントを見極めます。
解析の結果から、たとえば「直帰率」が高いポイントがあったとすると、その原因は、
・ユーザーが最初のページで満足して離脱した
・ユーザーが求める内容がなかったために離脱した
のいずれかであると予想できます。解析結果の数値とWebサイトの内容とを見比べながら、ユーザーの行動について仮説と検証をくり返します。
4. 改善案の作成と実施
サイトを解析することにより課題が見えてきたところで、改善案の作成に着手します。
Webサイトの改善は、コンバージョンポイントに近いところから行うことがセオリーです。
現在すでに得ている訪問者数を確実にコンバージョンさせる改善は、集客などのリソースがかかる改善よりも短期的に効果を得やすいからです。
また回遊性の向上や流入施策も、改善の重要なポイントだといえるでしょう。
5. 改善策の評価と見直し
改善策を実施したら、その効果について必ず評価し、見直しを行います。策定したスケジュールにもとづいてKGIおよびKPIを確認し、達成できていない場合には新たな改善案を作成します。
改善策の評価、見直し、および新たな改善案作成のサイクルは、KGIとKPIが達成されるまでくり返します。
目標が達成された場合には、新たな改善を行うかどうかの検討を行います。
■まとめ
◆ グロースハックとは、サービス自体の成長を担うWebマーケティングのこと。
◆ マーケターとエンジニアを兼ね備えた存在。
◆ AARRRモデルはグロースハックで分析のために使用されるフレームワーク
◆ BtoB企業でグロースハックを実践するにはターゲットと目的を明確にすることが重要