日々の業務を効率的にまわしたり新しいサービスを作ったりする際に、マニュアルの必要性を感じる瞬間は多いかもしれません。しかし、マニュアルが具体的にどのようなものであったり、何を基準にして作ったりすれば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、マニュアルの概要やマニュアルの種類、手順書との違いを解説します。また、マニュアルを作る際の流れやコツも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
マニュアルとは?
はじめに、マニュアルの概要から見ていきましょう。マニュアルとは、特定の目的やタスクを遂行するための指南書、もしくはガイドブックのことです。一般的にマニュアルは、テキストや図表、写真、その他の視覚的な要素を組み合わせて作成されます。
マニュアルは、特定のプロセスや手順を説明し、誰が見ても共通のタスクを実行できるようにするのに役立つのが特徴です。また、マニュアルが使われるシーンは幅広く、日常的な業務や社員教育、サービスの取扱い、社員が辞めてしまった際の引き継ぎなど、あらゆるシーンで利用されています。
いかに効果的なマニュアルを作成できるかが、属人性を排除して日々の業務の効率化を図ったり、品質の高い事業を提供できたりするかの鍵になるでしょう。
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マニュアルの種類
マニュアルと一口に言っても、種類は多岐にわたります。
● 業務マニュアル
● 教材
● 取扱説明書
それぞれ順番に見ていきましょう。
業務マニュアル
業務マニュアルは、組織内で特定の業務プロセスやタスクの実行方法を共有するために使用するものです。業務マニュアルには、主に業務の流れや実行手順、注意点、過去の失敗例や成功例に関する情報など、あらゆる情報を記載するのが望ましいです。
また、業務マニュアルは従業員が一貫性のある方法を知り、品質と効率性を確保する際に有用です。特に、新入社員を集めていきたい企業や、部署異動などが頻繁に起こる企業は業務マニュアルの作成が重要になるといえるでしょう。
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教材
次に、教材マニュアルは教育分野で使用され、教師やトレーナー、コンサルタントが授業やサービスを提供する際に役立つものです。教材と一口に言っても、レッスン内容や進め方、間違えやすいポイントなど内容別に個別で作成するケースもあります。また、社員教育時に使う研修資料を教材と呼ぶこともあり、使われている分野は幅広いです。
取扱説明書
最後に、取扱説明書は製品や装置の使用方法を説明するために作成されるものです。取扱説明書には、製品の組み立てや使用方法、保守方法、トラブルシューティングの指示が含まれることが多いです。
取り扱い説明書があることで、ユーザーが製品を安全かつ効果的に使えるようになるメリットのほか、カスタマーサポートの手間やコストを削減できるというメリットもあります。BtoC業界で導入が複雑なサービスを提供している企業は、取り扱い説明書の作成が必須になるでしょう。
マニュアルと手順書の違いは?
ところで、マニュアルと手順書の違いはどのようなものでしょうか。結論として、マニュアルと手順書は似ているものの、いくつかの重要な違いがあります。
まず、マニュアルは一般的に幅広い情報がまとめられていることが特徴です。一方で手順書は、特定のタスクやプロセスの具体的なステップを記載することに特化しており、扱っている情報の範囲が違うという特徴があります。
つまり、もし仮に社員教育のための資料を作成する場合、その背景や説明を丁寧に行う必要があるケースではマニュアルを作成し、特定の業務に特化した指示出しを行いたい場合は手順書を作成すると良いでしょう。
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マニュアルを作るメリット
ここまで、マニュアルの概要を解説してきましたが、マニュアルを作るメリットはどのようなものでしょうか。具体例としては下記の3点です。
● 業務効率化に繋がる
● 属人性を排除できる
● 引き継ぎがしやすい
それぞれ順番に見ていきましょう。
業務効率化に繋がる
マニュアルは、従業員が効率的に業務を行えるようになるメリットがあります。業務が効率化すれば生産性が高まったり、人的エラーを防いだりできます。1つのマニュアルを作るだけで大きく人件費を削減できるため、ランニングコストを下げたい企業はマニュアルを必ず作るようにしましょう。
属人性を排除できる
マニュアルを作ることで、個人の能力やスキルに依存せず、属人性を排除できることもメリットです。たとえば、人事異動や人の入れ替わりが激しい企業ほど、属人性をいかに排除できるかが重要になります。なぜなら、新しい人が入ってきた際に1から教育するのか、もしくはマニュアルを見てスムーズに業務を遂行できるかで、企業の生産性が大きく変わるためです。
属人的な業務が多かったり、人事異動が多かったりする企業はマニュアルの作成を急いだほうが良いでしょう。
引き継ぎがしやすい
最後に、マニュアルを作ることで引き継ぎがしやすくなることもメリットです。上述した属人性を排除できることはもちろんですが、引き継ぎがしやすいことで社員教育のコストを下げられます。特に重要度の高いタスクからマニュアル化を進めましょう。
マニュアルを作るデメリットは?
マニュアルには多くのメリットがある一方で、当然ながらデメリットもあります。結論として、マニュアルを作成するには時間とリソースが必要です。また、マニュアルは一度作って終わりではなく、更新や管理にもコストがかかることがあります。
加えて、マニュアルを詳細に作ることを念頭に置いた結果、かえって複雑になってしまって読み手が混乱してしまう可能性も考えられるでしょう。
そのため、マニュアルを作る際は誰が見ても分かりやすく、読み手のレベルに依存しないようにすることが重要です。
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マニュアルを作る際の流れ
ここからは、マニュアルを作る際の流れを簡単に紹介します。大きく下記3つのステップに分かれます。
● 大枠を決める
● 構成を作る
● 実際に肉付けする
それぞれ順番に見ていきましょう。
大枠を決める
まずは、マニュアルの目的や対象となる読み手、範囲、形式を明確にします。これによってマニュアルの方向性が確立され、読み手に依存しないマニュアルが作成できるようになります。
構成を作る
次に、マニュアルの章やセクションを設定しましょう。この段階では、各セクションのタイトルと内容を決定するだけで問題ありません。この段階で重要なのは、あくまで構成づくりに留めることです。ここで肉付けしてしまうと、後から方向性が変わったり内容を追加したりする際に、二度手間になってしまう可能性が高まります。
実際に肉付けする
最後に、各セクションごとに必要な情報を肉付けし、説明や手順を詳細に記述していきましょう。なお、視覚的な要素(図表、写真、グラフ)は文章を作った後に入れる流れで問題ありません。最初から図解などを入れてしまうと時間がかかってしまうため、効率化の観点から文章→図解の順番で作成するようにしましょう。
マニュアルを作成する際のコツ
最後に、マニュアルを作成する際のコツを4つ解説します。
● 視認性にこだわる
● 5W1Hを意識する
● 継続的にブラッシュアップする
● マニュアルを管理する担当者を決める
それぞれ順番に見ていきましょう。
視認性にこだわる
マニュアルの視認性は、読み手が情報を簡単に理解して、迷わずタスクを実行できるようにするための重要な要素です。テキストのフォントやサイズはもちろん、レイアウトにこだわったり、図表やイラストを挿入したりして、ひと目見ただけでも分かる視認性を意識しましょう。
5W1Hを意識する
次に、5W1Hを意識しましょう。たとえば「Why(なぜ)」については、特定のタスクをなぜ行う必要があるのかを説明したり、「Where(どこで)」や「When(いつ)」については、特定の場所で行うべきタスクや、タイミングに関する情報を記載したりします。これらを記載することで、不要なタスクやタイミングによって重要なタスクを共有できるメリットがあります。
継続的にブラッシュアップする
次に、マニュアルに最新の情報を反映させるために、継続的な改善を行うようにしましょう。特に、新しいプロセスやツールが導入された場合は、すぐにマニュアルに組み込むことが重要です。また、従業員や読み手から定期的にマニュアルに対するフィードバックを受け、マニュアルの不明瞭な部分や誤りを修正することも大切です。
マニュアルを管理する担当者を決める
最後に、マニュアルの担当者を決めましょう。マニュアルの担当者は、継続的な改善を行う責任を負ったり、アクセス権の管理やマニュアルのセキュリティを確保したりする役割があります。
これらの担当者を決めなければ「誰かが更新するだろう」と人任せになってしまう可能性が高まるため、必ず担当者を決めることが重要です。
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まとめ
本記事では、マニュアルの概要や作り方を解説してきました。マニュアルは、組織内での業務効率化や生産性を高めるための非常に重要なツールです。マニュアルを適切に作成してブラッシュアップすることで、属人性を排除したり、引き継ぎの容易化に繋がったりするなど、多くのメリットを享受できます。
まずは本記事を参考に、誰が見ても使いやすいマニュアル作りを始めてみてはいかがでしょうか。