会社から初めて企画書の作成を任されたり、取引先から企画書を作ってほしいと言われたりした場合、何から始めれば良いのか分からない人は多いかもしれません。また、そもそも企画書がどういったものであるか、何を書けば良いのか分からない人も多いでしょう。
そこで本記事では、企画書の概要や作成する目的、提案書との違いを解説します。また、記事後半では企画書を書く際のステップを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
企画書とは?
企画書とは、特定のアイデア、プロジェクト、または提案を詳細に説明し、他の人にプロジェクトの価値や実現可能性を伝えるための文書のことです。企画書を作る主な目的としては、今から行おうとしている、もしくはすでに始まっているプロジェクトへの理解を得ることです。企画書には、一般的に以下の情報が含まれます。
● プロジェクトの概要
● 問題や機会の説明
● 提案される解決策
● 目標と成果の予測
● 予算とリソース
● スケジュールと計画
● リスク評価
企画書が使われる場面としては、ビジネス、非営利団体、政府機関など多岐にわたります。どのようなケースであれ、基本的にはプロジェクトに対しての理解を得ることを始め、資金集めやプロジェクトのサポートを得ることを目的に行われることが多いです。
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企画書と提案書の違い
企画書と提案書は似ていますが、これらは異なる文書です。企画書と提案書の主な違いとしては、企画書は何か新しいことを始めるためのアイデアを説明し、そのプロジェクトに対しての支持を集めることです。具体的には、プロジェクトの概要や背景に焦点を当てて、第三者に承認を得ることを目的に作成されます。
一方の提案書は、既存の問題に対する具体的な解決策を提案する文書です。主に契約の獲得やプロジェクトの実行に焦点を当てて、合意を取ることを目的とします。
なお、企画書と提案書は異なるものですが、双方を同様の文書として捉える会社も存在します。たとえば、企画書はこれから作ろうとしている新しいアイデアをベースに伝えるものですが、既存プロジェクトの改善提案を企画書として出すケースもあります。
そのため、もし仮に社内で企画書の作成を任された場合は、何に対しての企画書であるかを整理し、依頼者との目的を合致させた上で作成を進めるようにしましょう。
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企画書の目的
ここまで、企画書の概要や提案書との違いを解説してきましたが、企画書を作る具体的な目的を整理しましょう。多くのケースでは、下記3つの目的を持って作成するケースが多いです。
● アイデアやプロジェクトを他の人に説明し、理解を得る
● アイデアの実現可能性を示す
● サポートや資金提供を受けるためのプロセス
主に、社内で新規事業を立ち上げる際に作成する企画書としては、上2つのどちらかに該当するでしょう。一方で、社外の第三者向けに作成する企画書は資金提供を受ける目的も強いため、3つ目に該当するケースが多いです。
詳しくは後ほど紹介しますが、企画書は誰に向けて作るものであるかを理解して作成しなければ、どれだけ良い企画書でも伝わらない結果に終わってしまいます。そのため、企画書を読むターゲットと目的を整理して作成するようにしましょう。
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企画書の種類
企画書と一口に言ってもさまざまな種類があり、その内容と目的に応じて異なります。企画書の主な種類は下記のとおりです。
● 募集型
● 非募集型
● 非公式型
● 更新型
● 継続型
● 補足型
それぞれ順番に見ていきましょう。
募集型
募集型企画書は、外部の資金提供者や投資家から資金を調達するために使用される企画書です。プロジェクトの魅力や収益性を強調して伝えることを念頭に置いて作成し、賛同してくれる第三者を集めるために作成します。
非募集型
非募集型企画書は、組織内部での新しいプロジェクトやアイデアを、社内の管理職やステークホルダーに提案するために使用されます。戦略的な重要性を示すことが重要です。
非公式型
非公式型企画書は、プロジェクトやアイデアの概要を、同僚やチームメンバーに共有するために使用されます。そのため、第三者に向けて大々的に作成するわけではないため、企画書の作成難易度でいえば低いかもしれません。
しかし、非公式型の提案書が社内マニュアルとして活用されるケースもあるため、誰が見ても理解しやすい企画書であることが重要です。
更新型
更新型企画書は、既存のプロジェクトの進捗状況と成果を報告するために使用されます。主に、組織内での透明性を証明することが目的です。また、更新型企画書はクライアントに提出するものであるため、クライアントのリテラシーに合わせた内容にするようにしましょう。
継続型
継続型企画書は、周期的に必要な資金(ランニングコスト)や、リソースを確保するために使用される企画書です。特定のプロジェクトやプログラムを長期間続ける場合に適しており、中長期的に資金が足りなくなる場合や、さらに資金調達をしてアクセルを踏みたい場合に作成しましょう。
補足型
補足型企画書は、他の文書やプレゼンテーションと組み合わせて使用される企画書です。詳細な情報やデータを提供し、他の資料を補完するのが主な役割であるため、補足型の企画書1つで成り立つということは基本的にありません。
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企画書の書き方
ここまで、企画書の概要や種類を解説してきました。ここからは、企画書の書き方を6ステップに分けて説明します。
● サマリーを書く
● プロジェクトの背景を説明する
● 解決策の提案
● 目標設定
● 必要な要素の洗い出し
● 結論の提示
それぞれのステップを順番に見ていきましょう。
ステップ1:サマリーを書く
企画書の冒頭には、プロジェクトのサマリー(要約)を記述します。サマリーは読み手に対して、プロジェクト全体の理解を示すものです。サマリーには、以下の要素を含めるようにしましょう。
● プロジェクトの名前
● プロジェクトの目的
● 提案する解決策の概要
● 予算とスケジュール
なお、サマリーの時点で企画書の種類に合わせて、誰が読み手であるかというターゲットの整理を行うことも重要です。ターゲットのリテラシーに合わせてサマリーを作成すれば、企画書を読み始めた時点から理解しやすい内容になるため、以降のステップに関しても伝わる可能性が高くなります。
ステップ2:プロジェクトの背景を説明する
次に、プロジェクトの背景を説明しましょう。プロジェクトの背景を説明することは、なぜこのプロジェクトが必要であるか、どのような影響をもたらすかを理解してもらう重要な要素になります。プロジェクトの背景を説明する際は、以下のポイントを考慮しましょう。
● 問題点の洗い出し:どのような問題や機会がプロジェクトの発端となったかを説明します
● 目的の明確化:プロジェクトの主な目的やゴールを具体的に示します
● 組織の背景情報:組織体制を共有します
なお、プロジェクトの背景やケースによって異なるため、企画書の種類に応じて柔軟に変更するようにしましょう。
ステップ3:解決策の提案
次に、プロジェクトに対する解決策を詳細に説明します。解決策には以下の要素を含めることが重要です。
● 提案内容:具体的なアクションプランや方法論を示しましょう
● メリットとベネフィット:立ち上げるプロジェクトがどのような問題を解決し、その結果自社にどのような利益が出るのかを説明します
特に、2つ目のメリットとベネフィットの記載は非常に重要です。プロジェクトを立ち上げることで、自社の売上が増えたり影響力が増したりするなど、考えられる要素を具体的に記載するようにしましょう。
ステップ4:目標設定
次に、プロジェクトの目標を設定しましょう。目標を設定する際は、測定可能な数値にすることが重要です。たとえば、売上増加やリード数の増加、人件費の削減、顧客満足度向上などが挙げられます。
また、いつまでに目標を達成するのかという期間設定も重要です。加えて、短期的に達成できる目標と中長期的に達成できる目標を設定することで、第三者からの評価も得られやすくなります。
ステップ5:必要な要素の洗い出し
次に、プロジェクトの実行に必要な要素を洗い出しましょう。たとえば、予算や人的リソース、必要なスキル、各種ツールなどが挙げられます。また、これらの必要な要素を確保するために必要な予算も提示することが重要です。
さらに、現時点で必要な要素が足りていない場合は、どのような手段で必要な要素を確保するのか、いつまでに確保できるのかを記載するようにしましょう。
ステップ6:結論の提示
企画書の最後に、要約と結論を記載することが重要です。読み手にプロジェクトの重要性と成功の見通しを再確認させることを目的とし、改めてなぜこのプロジェクトが重要であるのか、どのように実行していくのかを強調します。
また、直近のアクションプランも改めて伝え、どのようなスケジュールでプロジェクトを進行していくのかを伝えましょう。
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まとめ
本記事では、企画書の書き方について徹底的に解説してきました。企画書は、新しいアイデアやプロジェクトを第三者に伝え、支持を得るための重要な文書になります。
しっかりと伝わる企画書を作成するためには、本記事のステップに沿って分かりやすく情報を伝えることが重要です。まずは本記事を参考に、企画書の種類を理解することから始め、目的に応じて企画書の作成を進めてみてはいかがでしょうか。