BingAIとは、Microsoftの検索エンジン「Bing」にAIが組み込まれたチャットシステムです。Microsoftのブラウザ「Edge」に標準搭載された検索ツールで、対話形式で知りたい情報を得られます。この記事では、BingAIの始め方や、特徴、ChatGPTとの違いなどについて、わかりやすく説明します。
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目次
BingAIとは?仕組みとできること
BingAIとは、Microsoftが提供する検索エンジン「Bing」にAIが組み込まれたチャットシステムのことです。対話形式で知りたい情報を入手できるため、従来の検索エンジンに代わるものとして注目されています。BingAIは2023年2月に公開され、日本語にも対応済みです。
対話形式で検索できるチャットシステムといえば、OpenAI社のChatGPTが知られています。BingAIは、有料版ChatGPTであるGPT-4と同じ大規模言語モデルが利用されているため、高度なAI検索を無料で利用したい人は、BingAIから試してみるのもいいでしょう。なお、Microsoft社はOpenAI社にも出資しています。
ChatGPTについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。無料で利用する方法や検索方法など、使い方の基礎をまとめて紹介しています。
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チャット機能を搭載したBingAIの仕組み
BingAIはMicrosoftの検索エンジンにチャット機能を搭載したものです。ChatGPTの有料版GPT-4を使って開発されている点も、BingAIが注目を浴びている理由のひとつです。
後述しますが、ChatGPTは無料版でも十分に機能性が高く、文章の作成や計算などさまざまな分野で活用できます。
BingAIは、その上位版でもあるGPT-4とBing独自の検索技術をかけあわせているため、ChatGPTや従来のBingでは得られない、より高度な用途にも対応しています。
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BingAIができること
BingAIでは、次の事柄に対応できます。
● 質問への回答
● 詩や物語などのクリエイティブな文書の作成
● 画像やイラストの生成
BingAIは2023年2月に提供が開始されたサービスのため、ユーザー側もまだ手探り状態なのが実際のところです。ぜひさまざまなプロンプトを入力し、BingAIの活用方法を探ってみてください。
また、BingAIでは画像やイラストの生成も可能で、画像・イラスト生成に特化したサービスもあります。以下の記事ではAIで画像・イラストを生成できる無料サービスや、具体的な作成手順を紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:画像生成AIとは?イラストが生成される仕組みとおすすめサービス7選
BingAIの強みとは
Webトラフィックの解析を行うStatCounterの調査によれば、2023年4月に実施された世界市場におけるインターネット検索のうち、92.82%がGoogle検索で、2番目はMicrosoft社のBingによる検索で2.76%でした。
参考資料:StatCounter|Search Engine Market Share Worldwide – April 2023
一方、日本だけで見るとGoogle検索が1位(76.91%)という点は変わりませんが、2位はYahoo!検索で14.03%、3位はBingで7.97%でした。Bingの順位は下がるものの、シェアの割合は世界全体よりは高めです。
参考資料:StatCounter|Search Engine Market Share in Japan – April 2023
ChatGPTを搭載したBingAIが登場した2023年2月前後では、検索市場において大きな差は見られていません。しかし、今後Bingの利用しやすさや魅力などが伝われば、シェアが変動する可能性は十分にあると考えられます。
BingAIの強みとしては、次の2点が挙げられます。
● ユーザーの検索意図と回答のマッチング率が高い
● 最新の情報を効率的に収集できる
ユーザーの検索意図と回答のマッチング率が高い
Google検索では、検索窓にキーワードを入力して検索し、検索結果を見て、知りたい答えを得ていきます。ただし、質問に対する答えがストレートに返ってくるわけではありません。
キーワードに関連するウェブページのリンクが表示され、答えが記載されているだろうと思われるリンクをクリックし、遷移先のページを見ながら自力で答えを見つけていく過程が必要です。
一方BingAIは、対話形式で検索が進むため、質問に対する答えが検索画面にダイレクトに表示されます。多くのウェブページを開いて自力で答えを探し出す必要がないだけでなく、検索意図と回答とのマッチング率が高い傾向もあります。
最新の情報を効率的に収集できる
BingAIでは、質問に対する回答には参照ソースがリンクで表示されます。同じチャット形式で回答が表示されるChatGPTでは参照ソースが表示されないため、真偽を見分けることが難しかったのですが、BingAIならワンクリックでソースの検証ができるため、効率的な情報収集が可能になりました。
また、参照ソースとして表示される情報は、Bingがリアルタイムでオンラインから取得したものです。ChatGPTの場合、取得する情報はオンラインではなく、2021年9月までの学習データです。つまり、BingAIは常に最新の情報を参考にしているため、信頼性が高い、というメリットもあります。
BingAIを使い始める前に知っておきたい4つのポイント
BingAIを利用する前に知っておきたい、基本的な4つのポイントをご紹介します。
1. BingAIは無料だが、チャット回数に上限あり
2. 回答内容が必ずしも正確だとは限らない
3. WebブラウザはEdge以外でも利用できる
4. BingAIは日本語・スマホ利用可能
1.BingAIは無料だが、チャット回数に上限あり
BingAIは、誰でも無料で利用できるサービスです。Microsoftアカウントにログインすれば、1セッションにつき30ターン(30回)利用できます。ログインしないまま利用するときは、1セッションにつき10ターンです。
セッションとは、同じ質問や話題でAIとの対話を続けていくやり取りのことです。上限のターン数を超えると、強制的に新しいセッションに移らなくてはいけません。
なお、BingAI公開後に設けられてきた利用回数の上限は、徐々に緩和されつつあります。近い将来、従来のBingと同様、セッションも無制限に利用できるようになるかもしれません。
2.回答内容が必ずしも正確だとは限らない
BingAIはインターネット上に公開されている情報から、質問に対する答えを導き出します。インターネット上に公開されている情報には誤情報もあるため、BingAIが導き出した回答も誤っている可能性があります。
BingAIに限らずほかの検索でも同様のことが言えますが、誤ったソースを選んでしまうと間違った回答を導き出してしまうことがありますので、注意しましょう。
正確な回答を得るためにも、BingAIで得た回答の根拠を確かめる習慣をつけておくことをおすすめします。BingAIでは、回答を導き出した根拠となるソースがすべて表示されているため、ワンクリックでチェックができて便利です。
3.WebブラウザはEdge以外でも利用できる
これまでBingAIを利用できるWebブラウザは、Microsoft社のEdgeに限られていました。
しかし、Google ChromeやFirefoxなどのブラウザでも、BingAIの利用が可能になりました(2023年5月27日時点でFirefox、Chromeで使用できることを確認済み)。Edge以外のブラウザを使っている場合は、次の手順で使ってみてください。
<Edge以外のブラウザでBingAIを使う際の手順>
1. 検索窓に「bing」と入力し、bingのページに移動する
2. 「bing」の検索窓に適当な言葉を入力する
3. 検索結果のページ上部の「チャット」のタブをクリックする
iOSでのBingAIの使い方については、次項で説明します。
4.BingAIは日本語・スマホ利用可能
BingAIのチャット機能は日本語に対応しています。検索窓に日本語でプロンプトを記載すれば、質問に対する答えが日本語表示されます。
また、Android、iOSにも対応しており、スマホからでも利用可能です。利用中のブラウザの検索窓に「Microsoft Bing」と入れて検索するか、ブラウザの「Edge」で検索すれば、手軽にBingAIが利用できます。
それでは、実際にBingAIを利用してみましょう。次の章では具体的な始め方と使い方を詳しく記載しています。
【目的別】BingAIの始め方と使い方
BingAIはMicrosoft社のEdge以外のブラウザでも利用できますが、Edgeを使う方法がもっとも簡単です。まずはEdgeブラウザをインストールしましょう。ブラウザのインストールはPC・スマホ問わず無料です。
【会話や質問】BingAIの使い方
Edgeで画面を開くと、上部に検索窓が表示されます。検索窓にカーソルを持っていくと、以下のようにBingAIの案内が表示されます。
以下で掲載する画像は、BingAIのキャプチャ画面になります。
この案内を無視して、そのまま検索窓にキーワードを入れると、通常のBing検索を利用できます。BingAIを利用する場合は、青字の「開始する」をクリックしてみましょう。すると以下の画面が表示されます。
画面下部の「何でも聞いてください」の部分に、質問内容を記載してみましょう。今回は、「椅子に座ったまま運動不足を解消する方法を教えて」と尋ねてみました。
BingAIに「椅子に座ったまま運動不足を解消する方法を教えて」と質問を投げかけると、具体的な運動方法を紹介されました。
回答の下には「詳細情報」として参照元が記されています。この部分をクリックすると、直接情報元にアクセスでき、真偽を自分の目で検証することが可能です。良い方法を紹介してくれたため、「ありがとう!」とメッセージを送りました。
ひと段落したため、検索窓の左にあるほうきアイコンの「新しいトピック」をクリックしました。そうすると、今までの会話が消去されて新しいセッションを開始できます。
次に、漠然とした内容ではありますが、「ブログ記事のアイデアに悩んでいるので、今日の話題を教えて」と尋ねてみました。
このように、新しく投げかけた質問についても、スムーズに答えてくれました。
なお、BingAIと上記の会話をしたのは2023年5月27日ですが、1番目にブログのアイデアとして提示された話題は2021年11月、2番目の話題は2023年5月22日、3番目の話題は2023年5月21日(日本時間22日)のニュースです。
BingAIで正しい回答を得るためにも、「今日」ではなく日付を記載したほうが良いということがわかりました。
【画像生成】BingAIの使い方
BingAIは、画像生成にも活用できます。
なお、BingAI自体はMicrosoftアカウントにログインしなくても使えますが、画像生成に関しては、ログインが必要です。
Microsoftアカウントにログインしないまま画像を生成するプロンプトを入力すると、「Bingにログインしてください」と表示されます。Bingへのログインは、Microsoftへのログインと同じ意味です。
画像を生成する際は、「イラストを描いてください」とわかりやすいプロンプトを入力する必要があります。そこで「しっぽがふわふわの、かわいいキツネのイラストを描いてください」と入力してみました。
このように、基本的に4つの画像が自動で作成されます。次に、背景についても「森を追加して」と注文してみました。
以上のように、森を背景にした、しっぽがふわふわのかわいいキツネのイラストが生成できました。
なお、BingAIチャットを使わなくても、2023年3月21日(米国時間)に追加された「Bing Image Creator」のサイトに直接アクセスし画像生成することも可能です。
BingAIも「Bing Image Creator」を使ってイラストを作成しているため、クオリティに関しては差がないと考えられます。
BingAIを使いこなすための2つのコツ
BingAIを使いこなすコツとしては、次の2点が挙げられます。
1. 目的に応じて「独創性」「バランス」「厳密」などの方向性を使い分ける
2. 質問内容は具体的に記入する
効率よく検索意図に沿った回答を導き出すためにも、コツを押さえておきましょう。
1.目的に応じて「独創性」「バランス」「厳密」などの方向性を使い分ける
BingAIには、回答の方向性を定めるため、「独創性」「バランス」「厳密」の3つのスタイルが用意されています。方向性を変えると、回答の内容は大きく変わります。
回答の方向性を切り替えるには、検索窓の左横にある「ほうき」のアイコンをクリックしてください。新しいトピックに切り替えられ、「独創性」と「バランス」「厳密」の選択肢が表示されます。
なお、「独創性」を選ぶと背景はパープルになり、「バランス」を選ぶとライトブルー、「厳密」を選ぶとグリーンになります。
そこで、BingAIの回答の方向性として、まずは「独創性」を選んで、「どうしても行きたいコンサートのチケットが取れませんでした。どうすればいいですか?」と尋ねてみました。
チケットを取る方法を聞き出したかったのですが、コンサートに行きたい理由や、歌のジャンルについて質問されてしまいました。どうやら「独創性」を選ぶと、答えを見つけるというよりは、会話を楽しむことに重点が置かれるようです。
次は「バランス」の方向性を選んで、同じ質問をしてみました。
今回はシンプルにチケットを取る方法を教えてもらえました。具体的な回答が欲しいときには、「バランス」を選ぶとよさそうです。
最後に「厳密」を選び、同じ質問をしてみました。
まずは何のコンサートなのかを質問され、続けて具体的な答えを用意してくれました。
「バランス」の方向性を選んだときは、一般的なコンサートチケットの取り方を教えてくれましたが、「厳密」では、行きたいコンサートに限った回答を返してくれました。
このように、汎用性のある答えを得たいときは「バランス」、確度の高い答えを得たいときは「厳密」と使い分けるのがおすすめです。
また、画面右上の「b」のボタンをクリックすることでも、方向性を切り替えることが可能です。ただし、サブ画面として表示されるため、スマホで見るのと同様、縦長表記になる点に注意しましょう。
2.質問内容は具体的に記入する
BingAIの回答のクオリティを高めるためには、あいまいな質問ではなく、具体的な質問にする必要があります。例えば、「おもしろい話を書いて」ではなく「〇〇をターゲットにした〇〇な話を書いて」と指示した方が、より精密な回答を期待できます。
そこで、方向性として「独創性」を選び、「おもしろいストーリーを書いてください」と依頼してみました。
テーマが決まっているときには、漠然としたプロンプトは不向きと言えます。また、質問がありきたりだと、ほかの質問者と内容が被りやすく、回答にも被りが生じる可能性があり、独創的なストーリーにはならない恐れがあります。
次に少し設定を決めてから、ストーリー作成を依頼してみました。
プロンプトの設定をさらに足していけば、面白いストーリーを書いてくれそうな予感がします。
BingAIとChatGPTの違いとは?
BingAIとChatGPTの違いをより詳しく見ていきましょう。両者の主な違いは、以下のとおりです。
チャットシステム | BingAI | ChatGPT |
料金 | 無料 | 無料(有料版あり) |
回答速度 | 時間がかかることがある | BingAIより速い傾向にある |
利用制限回数 | 1セッション30ターンまで | なし |
取得できる情報 | オンラインで得たリアルタイムの情報 | 2021年9月までの学習データ |
BingAIではリアルタイムの情報を参考にした回答が生成できますが、ChatGPT(GPT-3.5)ではAI学習に利用された2021年9月までのデータしか取得できません。そのため、より新しい情報の収集については、BingAIのほうが適していると言えます。
ChatGPTで以下のように現在の情報について尋ねたところ、このような回答が返ってきました。
ChatGPTについては、次の記事もご参考ください。
関連記事
・ChatGPTとは?日本語でも使える?始め方や使い方の基礎を解説
・GPT-4とは?Chat(チャット)GPT-3.5との違いや使い方を解説
以下では、さらに詳しくBingAIとChatGPTの違いについて解説します。
● 提供元の違い
● 無料で利用できるプランの違い
● 有料プランの有無の違い
● 強みの違い
● 回数制限の違い
● 情報の鮮度の違い
● 会話内容の制約の違い
● 機能及びできることの違い
● プラグインの違い
提供元の違い
BingAIとChatGPTは共に対話型AIチャットボットですが、提供元がそれぞれ違います。BingAIの提供元はMicrosoftで、ChatGPTの提供元はOpenAIです。OpenAIは営利法人のOpenAI LPと、その親会社の非営利法人OpenAI Inc.からなる米国のAI開発企業です。
これら2社は、AI開発分野においてお互い競合相手ではあるものの、MicrosoftはOpenAIに対して出資を行っており、株式の49%を保有する筆頭株主でもあります(2023年2月時点)。
無料で利用できるプランの違い
BingAIとChatGPTでは、無料で利用できるプラン内容にも違いがあります。BingAIでは、ChatGPTにおいて有料プランとなっている「GPT-4」が無料で利用できます。
GPT-4はマルチモーダルで、複数の「モダリティ=情報」を組み合わせることで文章の生成のみならず、画像からも文章の作成が可能となります。
一方、ChatGPTの無料プランは「GPT-3.5」となっています。GPT-3.5はシングルモーダルとなり、こちらは文章の生成のみ可能です。
有料プランの有無の違い
BingAIとChatGPTでは、有料プランの有無にも違いがあります。2023年10月時点において、BingAIに有料プランはなく、チャット回数に上限はあるものの、最新言語モデルのGPT-4を無料で利用できます。
一方、ChatGPTでGPT-4を利用したい場合は有料となり、「プラス」プランで一ヶ月20米ドル(約2,700円)の料金がかかります。こちらは、使用量の上限が「3時間ごとに50メッセージ」となっているものの、GPT-4やプラグインが利用でき、高度なデータ分析も可能です。
また、最上位プランの「エンタープライズ」プランは、無制限の高速GPT-4の他、APIや専用の管理コンソールなども合わせて利用できます。こちらは「販売担当者に連絡」となっており、料金は表示されていません。
強みの違い
BingAIはBing検索と連携されており、Web検索をリアルタイムに実行しながら最新情報の検索を行うことができます。いわゆる検索エンジンとしての強みを活かしながら、情報収集が行えるのです。
一方、ChatGPTは表現力豊かな文章生成能力が強みと言えます。物語や芝居のようなクリエイティブな文章表現や会話、雑談のようなくだけた文体など、人間が執筆したような表現力豊かな文章生成能力が特徴です。
回数制限の違い
BingAIとChatGPTは利用できる回数にも違いがあります。BingAIの利用制限は、「会話のターン数が30」で、「1日に利用できる回数の合計は300ターンまで」となっています。
一方で、ChatGPTでは無料で利用できるGPT-3.5は「無制限」、プラスプランで利用できるGPT-4は「3時間ごとに50メッセージまで」となっています。最上位の「エンタープライズ」プランは、販売担当者に連絡する必要があり公表されていません。
情報の鮮度の違い
BingAIとChatGPTは情報の鮮度においても違いが出ます。上項目「強みの違い」でも解説した通り、BingAIはBing検索と連携されており、検索エンジンとしての強みを活かしながらリアルタイムで最新の情報を取得できます。
一方で、ChatGPTの言語モデルに登録されている学習データは、2023年10月時点で以下のようになっています。
● GPT-3.5:2021年9月までのインターネット上におけるあらゆるテキストデータ
● GPT-4:2022年8月までのインターネット上におけるあらゆるテキストデータ
このような理由から、ChatGPTでは「GPT-3.5」と「GPT-4」のいずれも、最新情報に関する質問には回答することが難しいと言えるでしょう。
会話内容の制約の違い
BingAIとChatGPTでは、会話内容の制約にも違いが見られます。まずBingAIでは、倫理的な観点から、あまりに不道徳かつ不適切な質問が続いた場合には、「この会話を続けるのは好ましくありません」との回答により、会話が打ち切られてしまうことがあります。
これはBingAIにルールが設定されており、そういった不道徳かつ不適切な質問には回答しないような仕様となっているためです。一方ChatGPTにはそのような制限はなく、会話を自由に続けることができます。
機能及びできることの違い
BingAIとChatGPTでは機能やできることにも違いがあります。
● BingAIの機能及びできること
● ChatGPTの機能及びできること
BingAIの機能及びできること
例えばBingAIでは以下のようなことができます。
● 対話形式での情報収集
● ストーリーの作成
● 画像コンテンツの生成
対話形式での情報収集
BingAIの特徴のひとつは、対話によって端的に回答を返してくれることです。「〇〇とは何?」「〇〇について教えて」と投げかけると、シンプルに整理され、的を射た回答が返ってきます。
長いセンテンスで論文のような回答が返ってくることの多いChatGPTとは、この点が異なります。また対話を続けることにより、テーマをより一層深掘りさせていくこともできます。自分では思いつかなかった質問や潜在的に知りたかった事柄など、会話中に出てくることもあります。
さらにテキスト翻訳機能も備わっており、本来海外メディアでしか発見できないような回答文も日本語に変換されて返ってくるため、都度翻訳する手間が省けます。
こういった機能により、検索エンジンを利用して情報収集を行うよりも、BingAIを活用して情報収集した方が効率が良い場合もあります。
ストーリーの作成
BingAIはストーリーも作成可能です。例えば「〇〇が登場するようなSF小説を書いてください」と投げかければ、そのようなストーリーが回答として返ってきます。細かく指示すればするほど、それに合ったストーリーが出来上がります。
「小説と指示した場合」「脚本と指示した場合」など、シーンに応じた表現もAIによって適切に判断されるため、ごく自然な文体となります。
これを活用して新たなストーリーを作成したり、アイデアを模索したりするなどして、創作活動の補佐的役割を担わせる使い方もできます。
画像コンテンツの生成
BingAIは画像コンテンツを作成することもできます。BingAIには、OpenAI社が開発した「DALL-E2」という画像生成AIが搭載されているため、画像作成の指示を投げかければ、指示内容に近い画像を4、5枚程度返してくれます。
小説のストーリーに見合った画像を探したり、広告をデザインする際の参考にしたりなど、ヒントやひらめき、アイデアを得るための良い手段として活用できます。
ChatGPTの機能及びできること
ChatGPTでは、例えば以下のようなことができます。
● プログラミングコードの生成
● 画像の認識と生成
● 文章の要約
プログラミングコードの生成
ChatGPTの得意機能としておなじみなのが、プログラミングコードの生成です。ユーザーが指示した要件に近いプログラミングコードを返したり、コードエラーの原因を突き止めて修正するように促せば、しっかりと修正されたプログラミングコードが返されたりします。
特にJavaScriptやPythonなどのメジャーなプログラミング言語に関しては、大量の学習データが存在しているとの声もあり、高精度なプログラミングコードの生成が期待できます。
画像の認識と生成
ChatGPTは、有料版「プラス」プラン以上で利用できる「GPT-4」において、画像の認識と生成を行うことができます。
有料版「プラス」プラン以上には、2023年9月21日にOpen AI社が公開した「DALL-E3」という画像生成AIが搭載されたため、高精度な画像認識ができるようになりました。
「〇〇の画像が欲しい」などと質問を投げかければ、条件に合致した最適な画像を4、5枚程度返してくれます。
文章の要約
ChatGPTは文章の要約にも長けています。「以下の文章を要約してください」とはじめに入力してから一段落空け、そのあとに要約してもらいたい文章を貼り付けて送信します。
すると、コンパクトにまとまって要約された短文が回答となって返ってきます。一度の回答でまだ長いようであれば、何回が繰り返すことで徐々に短くなっていきます。
プラグインの違い
BingAIとChatGPTは利用できるプラグインにも違いがあります。BingAIでは、プラグインがサードパーティーに開かれてはいるものの、OpenAIとMicrosoftが共同で構築しているプラグインプラットフォームの一部のプラグインしか利用できません。
OpenAIとMicrosoftは、このプラグインプラットフォームの相互運用性を高めることを目指しており、まだまだ開発途中の段階であると言えます。一方で、ChatGPTはすでに2023年7月時点で約600近くのプラグインが提供されています。
こちらは有料版の「プラス」以降のプランで提供されており、有料会員は自由に利用できます。その種類も豊富で、「検索系プラグイン」や「生成系プラグイン」、「自動化系プラグイン」など、ChatGPTをより便利に使いやすくするための機能が多くあります。
BingAIの将来性
Microsoft社では、BingAIを検索AIのみならず、あらゆるアプリやサービスで活用しようとしています。
例えば、2023年3月17日には、ビジネスアプリにGTP-4を組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」を発表しました。また、開発者向けに「GitHub Copilot X」などもリリースしています。
今後もBingAIはビジネスシーンでさらに活躍することが予想されます。ぜひBingAIを試し、使い方のコツをつかんでください。
まとめ:BingAIの基本を理解しビジネスで活用しよう
BingAIは、ChatGPTの有料版であるGPT-4を搭載したチャットシステムです。無料で利用できるだけでなく、会話形式で回答を得られるため、通常の検索ツールよりも使いやすいというメリットがあります。
また、検索ツールのBingを使っているため、ChatGPTと違って最新の情報を入手できることも特徴と言えます。
今後もBingAIを活用したビジネスアプリなどが、続々とリリースされる気配を見せています。ぜひ早めにBingAIに慣れておき、使いこなせるようにしておきましょう。
よくあるご質問
BingAIは何がすごいの?
BingAIは、会話形式で知りたいことを調べられるシステムです。Microsoft社のブラウザ・Edge以外のブラウザでも使え、誰でも無料で利用できます。
同様の会話形式のサービス・ChatGPTの有料版であるGPT-4が搭載されており、ChatGPTの有料の機能を無料で使えるというメリットがあります。また、リアルタイムの最新情報を入手できる点や、回答に参照元のリンクがついているため、真偽を判断できる点もBingAIの特徴です。
BingAIの使用制限はある?
BingAIでの会話は、1セッションあたり30ターン(30回)までに制限されています。会話が30ターンを超えると、新しいセッションを開始することが必要です。
なお、リリース時はセッション数が制限されていましたが、2023年5月27日時点では制限なしに会話を楽しめるようになりました。また、1セッションあたりの制限も、徐々に緩和されると予想されています。
BingAIで入力できる文字数は?
BingAIでプロンプトとして入力できる文字数は、回答の方向性によって異なります。「独創性」と「厳密」という方向性を選ぶと4,000文字、「バランス」という方向性を選ぶと2,000文字(2023年5月27日現在)までに制限されます。
これ以上の長いプロンプトになるときは、文章を見直して完結に記すようにしましょう。なお、ChatGPTではプロンプトの文字数制限はありません。