ネットリテラシーという言葉をよく聞きますが、具体的に何を意味しているのか分からない人も多いかもしれません。しかし、ネットリテラシーがあまり高くなければ、思いもよらないトラブルに巻き込まれてしまう危険性が高くなります。
本記事では、ネットリテラシーの概要やITリテラシーとの違い、ネットリテラシー教育を行うべき理由などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
ネットリテラシーとは?
ネットリテラシーとは、インターネットを安全に正しく使うための知識や能力のことです。
リテラシーは「ある分野に関する知識や活用する能力」のことを意味しますが、「ネット」と頭につけることで、その分野がインターネットになるというわけです。
つまり、インターネットを使いこなす能力と捉えるとわかりやすいです。
インターネットは本当に便利で様々なところで活用されていますが、その反面、インターネット上で発信される情報は正しいモノばかりではないという側面もあります。
誤った情報や意図的な嘘なども多く、情報の真偽を判断し、正しいものを見極める能力が必要です。
IT依存が高まるなか、誰でも気軽に情報発信できるようになったからこそ、すべての世代でネットリテラシーの向上が求められています。
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ネットリテラシーとITリテラシーの違いは?
ネットリテラシーの類義語としてITリテラシーがありますが、その違いは何でしょうか。
前述のとおりネットリテラシーはインターネットを活用する能力のことですが、ITリテラシーはインターネットを含めてパソコンやスマホなどの情報機器を正しく扱えるかどうかまでを対象にした「ITを活用するための総合的な能力」のことを指します。
つまり、両者の違いは対象範囲の違いであり、ITリテラシーのほうが広義となるということです。
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ネットリテラシー教育を行うべき理由は?
ネットリテラシー教育の必要性が高まっていることは周知の事実かもしれませんが、なぜネットリテラシー教育が必要なのか、まずはそこから考えていきましょう。
ネットリテラシー教育が必要な理由はたくさんありますが、以下の2つに集約されます。
● 第三者に不快な思いをさせないため
● 自分の身を守るため
どういうことなのか、詳しく考えていきます。
第三者に不快な思いをさせないため
まず認識すべきは、インターネットは世界中の人が見ているということです。
誰にも見られないだろうと思って何気なく発信した内容が、たまたま見た誰かを深く傷つけてしまうかもしれません。
インターネット上での発信は相手の顔が見えないぶん、そうした相手を傷つける言葉を抵抗感なく使ってしまいがちです。
一度インターネットに発信されたら最後、その内容は閲覧した人が自由にコピーできるため、すべてを削除することはできません。
ときにそれが人を深く追い詰め、取り返しのつかない事態になってしまう、そんな事例も跡を絶たちません。
第三者に不快な思いをさせないためにもネットリテラシー教育は必要です。
自分の身を守るため
ネットリテラシー向上の目的は、自分の身を守るためでもあります。
たとえば、友人しか見られないSNSにふざけた動画をアップロードしたことで、取り返しのつかない社会的制裁を受けてしまった人もいます。
友人が誰でも見られる場所に公開したことで、瞬く間に全世界に拡散され、個人も特定されてしまった。
本当に何気ない発信が、生きていくのさえ困難にする事態を招いてしまった事例は実際にあります。
こうした事態にまで発展してしまったのも、ネットリテラシー教育を正しく行っていなかったことが原因のひとつと言えるでしょう。
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ネットリテラシーが低いことによるリスク
ネットリテラシーが低いとどのようなリスクを背負うことになるのでしょうか。
ネットリテラシーは、インターネットを使いこなす能力のことですが、それは技術的なところだけでなくリスクを正しく理解するという点も含まれることを忘れてはいけません。
ネットリテラシーに対する理解が低い世代で社会的な大問題まで発生しているので、ここでしっかりおさえておきましょう。
考えられるリスクとして挙げられるのが以下の5点です。
● 個人情報が流出する
● 企業の重要情報が流出する
● SNSアカウントが炎上する
● 危険なウイルスに感染する可能性がある
● 著作権侵害が起こる可能性がある
ひとつずつ詳しく見ていきます。
個人情報が流出する
個人情報の管理がますます重要視される昨今ですが、ネットリテラシーが低いと思わぬ形で流出させてしまうケースがあることを認識しておかないといけません。
たとえば、空がキレイだと近所の写真をSNSにアップロードしたとします。
何気なくアップロードした写真の中には情報がたくさん詰まっており、そのたった1枚の写真から名前や住所を特定されてしまうこともあります。
企業の重要情報が流出する
企業の重要情報は厳重に管理しているから大丈夫、その油断が命取りになることもあります。
実際にあった流出例として、エンジニアの女性が、発売前の自社のスマートフォンを手にした動画をYouTubeに公開したところ、その動画が瞬く間に拡散され、エンジニアは解雇されてしまったというケースもあります。
ひとりでもネットリテラシーが低い人が周りにいると危害が及ぶという例でもあります。
SNSアカウントが炎上する
SNSによるちょっとした悪ふざけが、近年は本当に問題になっています。
軽率な意見発信が炎上につながり、自身だけでなく巻き込まれた周りの人も追い詰めることになります。
企業が運用する公式SNSアカウントが不適切な発信により炎上してしまうと、企業の存続が危ぶまれるほどの影響が出てしまいます。
ときには犯罪行為につながってしまうこともあります。
個人でも簡単に意見を発信できるようになったからこそ、対面で伝えるのと同じくらいの慎重さが必要です。
危険なウイルスに感染する可能性がある
インターネットを使ううえで、危険なウイルスに感染する可能性があるリスクは常に考えておかないといけません。
ウイルスに感染するのは、能動的な行為によることがほとんどです。
たとえば、知らない人からのメールを開いて、その中のリンクをクリックしてしまったというケースです。
それは知らない人に限らず、本物そっくりに偽称されて送られてくるケースもあります。
知っているか、知らないかでウイルスに対する自衛対応はまったく違うので、そうした教育も重要です。
著作権侵害が起こる可能性がある
ついうっかり、著作権を侵害するコンテンツをアップロードしてしまい、著作権侵害の罪に問われてしまう可能性もあります。
すぐに消したらバレないという考えは浅はかであり、インターネット上で行ったことはサービス提供業者やインターネットプロバイダーなどに必ず通信記録として残っており、言い逃れはできません。
インターネットは匿名のように見えて実際は匿名ではないということを正しく理解する必要があります。
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ネットリテラシーを上げる際のポイント
ネットリテラシーの重要性についてここまで考えてきましたが、ネットリテラシーを向上させるにはどうしたら良いのでしょうか。
ネットリテラシーを向上させる主なポイントは以下の3点です。
● 会社全体で取り組む
● 中長期的な視点を持つ
● 世代間の価値観の違いを知る
それぞれのポイントについて詳しく考えていきます。
会社全体で取り組む
ネットリテラシーはひとりだけ高くても意味がありません。
それこそ、会社にひとりでもネットリテラシーが低い人がいれば、会社の存続が危ぶまれるような事態を招いてしまうこともあります。
ネットリテラシーの向上は会社全体で取り組み、全員で向上していくのが重要なポイントです。
中長期的な視点を持つ
ネットリテラシー教育は一度の講習実施で終わらせてはいけません。人は忘れますし、何も起きないとどんどん危険意識が低下していきます。
定期的に講習会を実施するなど、中長期的な視点をもったネットリテラシー向上の取り組みが必要です。
世代間の価値観の違いを知る
世代間の価値観の違いも大事です。子供の頃、インターネットが無かった世代と、インターネットに触れて育った世代では、インターネット利用に関する考え方や感覚がまるで違います。
そうした価値観の違いは、「そんなこと言うまでもないだろう」というような認識の齟齬を生んでしまい、結果として、教育が行き届かなく見落としてしまうこともあります。
このため、世代ごとの価値観の違いを埋めていくような教育も大切です。
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具体的なネットリテラシーの上げ方
ネットリテラシー教育とはどのような方法があるのか、最後に具体的なネットリテラシーの上げ方について紹介します。
リテラシーを学ぶ勉強会を開催・参加する
リテラシーの必要性・重要性を説くだけでは、すべての社員にはなかなか行き渡りません。
定期的に学ぶ勉強会を開催し、具体的な事例をあげながら、どうすれば良かったのか、どうしてこうなったのか、自身がその立場に立たされたときの状況を想定したディスカッションを行うことで理解度は一段と上がります。
ネットリテラシー検定というのもあるのでみんなで挑戦するのも良いでしょう。
社内でガイドラインを策定する
同じ内容のネットリテラシー教育を受けても、世代や人それぞれの性格などによって理解度が違ったり、軽視されたりすることもあります。
そうならないよう、会社の方針としてガイドラインを策定することが重要です。
ガイドライン策定の際には、法務や総務の意見を取り入れ、SNSの正しい使い方、リスク回避の方法、トラブル発生時の責任の所在まで、誰が読んでも理解が一致する具体的でわかりやすい内容とするのが望ましいです。
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まとめ
ネットリテラシーはインターネットを使いこなす能力であり、インターネットは何でもできる反面、どのようなリスクが潜んでいるのかを正しく理解する必要があります。
ネットリテラシーの欠如により、機密情報の漏洩、企業イメージの失墜、著作権の侵害などの事例が跡を絶ちません。
誹謗中傷により奪われた命もあります。
それらはすべて防げたものであり、起きてしまった後ではもう取り返しがつきません。
自身のみならず、全社員へ向けての定期的なネットリテラシー教育が大切です。