サイトの導線設計は、Webサイトの成功を左右する重要な要素です。適切な導線設計を行うことで、サイトからの売上を大幅に向上させることができます。実際に、導線設計の改善だけで売上が2倍以上になるケースも珍しくありません。
しかし、多くの人にとって、サイトの導線設計は難しい課題かもしれません。何から始めれば良いのか、どのように進めていけば効果的なのか、悩む方も少なくないでしょう。
本記事では、サイトの導線設計について詳しく解説します。導線設計の基本的な考え方から実践的なテクニック、さらには効果を最大化するためのポイントまで、幅広くカバーしています。また、よく混同される「動線」との違いについても触れ、理解を深めていきます。
これから導線設計に取り組もうとしている方はもちろん、すでに実践している方にとっても、新たな気づきや改善のヒントを得られる内容となっています。ぜひ最後までお読みいただき、あなたのサイトの成果向上にお役立てください。
目次
サイトの導線設計とは?
サイトの導線設計は、ウェブサイトにおけるユーザー体験を最適化するための重要な戦略です。この設計プロセスでは、ユーザーに期待される行動を慎重に検討し、その行動を促進するためのルートを効果的に構築します。「導く線」という言葉が示すように、ウェブサイトの運営者は、ユーザーに望ましい行動を取ってもらうよう、サイト全体を戦略的に設計します。
例えば、営業代行サービスを提供する企業のウェブサイトを考えてみましょう。このサービスに関する問い合わせをウェブサイトから獲得したい場合、「TOPページ→営業代行サービスページ→料金ページ→問い合わせページ」といった流れを設計することが考えられます。あるいは、「TOPページ→資料請求ページ(問い合わせ)」というより直接的なルートを設定することも可能です。
しかし、サイトの導線設計で難しい点は、運営者が想定したユーザーの行動パターンと、実際のユーザーの行動が必ずしも一致しないことです。ユーザーは予期せぬページで離脱したり、特定のページで長時間滞在したりする可能性があり、結果として望んでいた問い合わせに至らないケースも少なくありません。
したがって、効果的な導線設計を実現するためには、当初の設計意図とユーザーの実際の行動を常に比較分析し、必要に応じて導線を見直したり、ユーザーの行動パターンに合わせてウェブサイトを改善したりする柔軟な姿勢が求められます。このような継続的な最適化プロセスを通じて、ユーザーにとって使いやすく、且つ運営者の目的達成に効果的なウェブサイトを構築することが可能となります。
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導線と動線の違い
Webサイト運営において、「導線」と「動線」は異なる意味を持つ重要な概念です。「導線」は、サイト運営者が意図的に設計したユーザーの誘導ルートを指します。これは、ユーザーに特定の行動を起こしてもらうために計画された経路です。
一方、「動線」は実際にユーザーが辿ったページの遷移や流れを表します。これは、Googleアナリティクスなどの分析ツールを使用して詳細に把握することができます。
例えば、ある営業代行会社のWebサイトでは、運営者が「TOPページ→営業代行サービスページ→料金ページ→問い合わせページ」という導線を設計したとします。しかし、実際のユーザーの動きを分析すると、多くのユーザーが料金ページではなく運営者情報ページを閲覧していることが判明するかもしれません。
このような差異を発見した場合、Webサイトの設計や内容を見直す必要があります。具体的には、運営者情報ページの内容を充実させたり、そのページから問い合わせページへの導線を強化したりするなどの対策が考えられます。
効果的なWebサイト運営のためには、設計した導線と実際の動線を定期的に比較分析し、ユーザーの行動パターンに合わせて導線を最適化していくことが重要です。このプロセスを繰り返すことで、より多くのユーザーを望ましい行動へと導くことができるでしょう。
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サイトの導線設計が重要な理由
サイトの導線設計は、Webサイトの成功に不可欠な要素です。適切な導線設計を行うことで、ユーザーエクスペリエンスが向上し、ビジネス目標の達成に大きく貢献します。主な重要性は以下の3点に集約されます。
● コンバージョンを増やすため
● SEO評価を高めるため
● 企業のイメージを向上させるため
これらの要因により、サイトの導線設計は、Webサイトの効果的な運営とパフォーマンス向上に直結する重要な戦略となります。適切な導線設計によって、ユーザーの行動を望ましい方向へ導き、最終的にはビジネスの成長につながります。
コンバージョンを増やすため
サイトの導線設計を行うことで、コンバージョンが増えることにつながります。冒頭でも紹介したとおり、サイトの導線設計を行っただけで、売上が2倍に増えたケースも存在します。
サイトの導線設計を行うことでコンバージョンが増える理由は、ユーザーが求めている情報を、適切なタイミングで伝えられるためです。ユーザーが料金を知りたい際に、料金ページへの導線が分かりやすければ適切に遷移し、コンバージョンに至ってくれます。
コンバージョンは売上に直結する指標であるため、サイトの導線設計は必ず行うようにしましょう。
SEO評価を高めるため
サイトの導線設計を行うことで、SEO評価も高まります。ユーザーが適切に複数のページを遷移するため、回遊率や滞在時間などの指標が高まるためです。SEO評価が高まれば、新規でページを作成した際も、比較的早くインデックスしてくれるようになります。また、適切な導線設計により、ユーザーの行動パターンに沿ったサイト構造が実現され、検索エンジンのクローラーにとっても理解しやすいサイトになります。これにより、サイト全体の評価が向上し、検索結果での表示順位が改善する可能性が高まります。
企業のイメージを向上させるため
回遊しやすいWebサイトは、UXやユーザビリティが向上します。その結果、企業のイメージが向上することにもつながります。そして、イメージが良いWebサイトはユーザーも拡散したいと思ってくれるので、SNSでも自然とWebサイトやページを拡散してくれるようになります。
サイトの導線設計を行うことはメリットしかないため、熟考したうえで取り組むことが重要です。適切な導線設計により、ユーザーはストレスなくサイト内を移動でき、必要な情報を容易に見つけられるようになります。これは、企業の顧客志向や使いやすさへの配慮を示すことになり、ブランドイメージの向上に寄与します。
また、効果的な導線設計は、ユーザーの滞在時間を延ばし、サイトへの再訪問率を高める可能性があります。これらの要素は、企業の信頼性や専門性の印象を強化し、長期的な顧客関係の構築に役立ちます。
サイトの導線設計の考え方と作り方
サイトの導線設計は、初めて取り組む人には非常に難しいと感じるかもしれません。実際、サイトの導線設計を専門に行う人も存在するぐらいなので、一朝一夕で成功するものではないでしょう。少しでも良いサイトの導線設計を行うためにも、下記4つを意識するようにしましょう。
● Webサイトの目的を明確にする
● ターゲットを細かく選定する
● ターゲットが問い合わせしやすい導線を設計する
● 効果検証を行い続ける
これらの要素を踏まえ、ユーザーの視点に立って考えることが重要です。ユーザーがどのような情報を求めているか、どのような順序で閲覧したいかを想定し、それに沿った導線を設計することで、より効果的なサイト構成を実現できます。
また、導線設計は一度完成させたら終わりではありません。継続的な分析と改善が必要です。ユーザーの行動パターンや市場のトレンドは常に変化するため、定期的に効果を検証し、必要に応じて導線を見直すことが大切です。
これらの点を意識しながら、ユーザーにとって分かりやすく、目的達成につながりやすいサイト構造を作り上げていくことが、成功する導線設計の鍵となります。
Webサイトの目的を明確にする
はじめに、Webサイトの目的を明確にしましょう。目的は、言い換えればユーザーのゴールであり、コンバージョンです。Webサイトの目的が「資料請求を獲得すること」の場合、資料請求ページへの適切な導線を設計する必要があります。
一方で「電話問い合わせ」の場合、電話をしやすい作りにする必要があるでしょう。Webサイトの目的によって適切な導線は異なるので、先に目的を明確にすることから始めましょう。
ターゲットを細かく選定する
次に、ターゲットを細かく選定することが大切です。学習塾を例にしたよくある失敗事例は、「30代の親御様に見やすいWebサイト」というケースが考えられます。一見すると、30代という年齢で絞り込みつつ、保護者をターゲットにしているので、ターゲットは選定できていると思うかもしれません。
しかし、ターゲットがどのような状況や背景があって問い合わせするのかを考えないと、コンバージョンは最大化できません。たとえば学習塾のケースでは「他の学習塾で成績が上がらなかった」「複数の塾の無料体験会に参加している」など、状況が異なります。
これらの状況まで細かく検討することが重要です。さらに、ターゲットの具体的なニーズや課題、価値観なども考慮に入れると、より効果的な導線設計が可能になります。例えば、「子どもの学力向上に強い危機感を持っている」「塾選びに時間をかけられない」「オンライン授業を希望している」といった具体的な特徴を把握することで、より適切なコンテンツや導線を用意できるでしょう。
ターゲットが問い合わせしやすい導線を設計する
ターゲットや状況・背景が決まれば、次にターゲットが問い合わせしやすい導線を設計しましょう。たとえば、先ほどの学習塾のケースで「複数の塾の無料体験会」に参加している人をターゲットにする場合、無料体験問い合わせのページに遷移させる必要があります。
同時に、無料体験会を開催している日程やカレンダーで予約ができると便利でしょう。こういった形のように、ターゲットが問い合わせしやすい導線を設計することが重要です。こういった形のように、ターゲットが問い合わせしやすい導線を設計することが重要です。
さらに、問い合わせフォームの入力項目を必要最小限に抑えたり、フォームの途中で離脱しそうな場合にポップアップで引き止めたりするなど、細かな工夫も効果的です。ターゲットの心理や行動パターンを十分に分析し、スムーズな導線設計を心がけましょう。
効果検証を行い続ける
最後に、効果検証を行いましょう。Googleアナリティクスや分析ツールを活用して、実際にユーザーがどのように遷移しているかを確認します。その遷移を基にユーザーの心情分析を行い、適切なページを作成したり、導線を設計し直したりすることが重要です。
効果検証は一度きりではなく、継続的に行うことが大切です。ユーザーの行動パターンや興味関心は時間とともに変化する可能性があるため、定期的に分析データを確認し、必要に応じて導線設計を更新していくことが求められます。また、A/Bテストなどを実施して、複数の導線設計案を比較検証することも効果的です。
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サイトの導線設計を行う際に意識するべきこと
ここまで、サイトの導線設計を行う際の考え方ややり方を解説しました。ここからは、その他で意識するべきポイントを解説します。
● TOPページの構成
● ナビゲーションメニュー
● サイドバー
● ボタンの位置
これらの要素は、ユーザーがWebサイト内を円滑に移動し、目的のページや情報にたどり着くための重要な役割を果たします。各要素を適切に設計し、ユーザーの行動を促進することで、より効果的な導線設計が可能となります。以下、それぞれの要素について順番に見ていきましょう。
TOPページの構成
TOPページの構成は、サイトの導線設計を行ううえで、最も重要なポイントと言っても過言ではありません。TOPページの構成や流れが適切でないと、下層ページにユーザーが遷移してくれません。TOPページを訪問する際に、ユーザーがどのような情報をどういった順番で求めているのかを分析し、そのとおりに構成を作るようにしましょう。
また、SEOではTOPページに情報が集中していないと、サイト全体のSEO評価が高まりません。よくある失敗例としては、見栄えだけを意識してしまって、TOPページにテキストがほとんど入っていないケースです。
検索エンジンは、綺麗な画像よりもどれだけユーザーに必要なテキストが入っているかを判断しているので、テキストと画像のバランスが重要になります。なお、これは下層ページでも同様です。
TOPページの構成を最適化するためには、以下の点に注意しましょう。
・ユーザーニーズの把握: アクセス解析ツールを活用し、ユーザーの行動パターンを分析します。
・重要情報の優先表示: 企業の強みや主要サービスなど、ユーザーが求める情報を上部に配置します。
・適切な情報量: 必要十分な情報を提供しつつ、ページの読み込み速度にも配慮します。
・明確なCTA: 問い合わせや資料請求など、望ましいアクションへの誘導を適切に配置します。
これらの要素を考慮しながら、ユーザビリティとSEO双方に配慮したTOPページ構成を目指すことが、効果的な導線設計につながります。
ナビゲーションメニュー
ナビゲーションメニューは、ヘッダーにあるメニューのことだと思ってください。ナビゲーションメニューに問い合わせのための導線を用意していくことで、CVR(成約率)が改善する可能性があります。
また、ナビゲーションメニューにユーザーが気になるページのリンクを設置することで、ユーザーが遷移しやすくなります。効果的なナビゲーションメニューの設計は、ユーザーの回遊性を高め、サイト全体の使いやすさを向上させる重要な要素です。
サイドバー
主に記事コンテンツのサイドバーに、自社が遷移させたいページのURLやバナーを設置しておきましょう。同時に、遷移させたいURLやバナーは、ユーザーのスクロールに追従させる形が望ましいです。これにより、記事コンテンツに訪問したユーザーのなかで、一定数を自社が遷移させたいページに遷移してくれるようになります。
サイドバーは、ユーザーの視線が自然と流れる場所であるため、効果的な導線設計の一つとして活用できます。特に長文のコンテンツでは、ユーザーが記事を読み進めながら、常に関連情報や重要なリンクにアクセスできるようにすることが重要です。
また、サイドバーには関連記事や人気記事のリストを配置することで、ユーザーの興味を引き、サイト内の回遊率を高めることができます。これは、ユーザーエンゲージメントの向上とSEO評価の改善にもつながります。
ボタンの位置
最後に、ボタンの位置も重要です。先ほどのサイドバーのケースと同様で、ユーザーが問い合わせしたいと思ったタイミングでボタンがなければ、コンバージョンの機会損失が生まれます。ヘッダーやサイドバーを追従させ、そこに問い合わせボタンを設置しておくことで、CVRやコンバージョン数を改善できるでしょう。
ボタンの配置には、ユーザーの視線の動きや画面のスクロール位置も考慮する必要があります。例えば、長文のコンテンツページでは、ページ下部にも問い合わせボタンを設置することで、記事を最後まで読んだユーザーにアクションを促すことができます。また、モバイル端末での表示を考慮し、スマートフォンでも操作しやすい位置にボタンを配置することが重要です。
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まとめ
本記事では、サイトの導線設計について詳しく解説してきました。サイトの導線設計を効果的に行うためには、Webサイトの目的を明確にし、ターゲットを細かく選定することが重要です。また、ユーザーが求める情報を適切なタイミングで提供できるよう、慎重に導線を設計することが求められます。
サイトの導線設計を適切に行うことで、コンバージョンの増加、SEO評価の向上、企業イメージの向上など、多くのメリットが得られます。さらに、効果検証を継続的に行うことで、より効果的な導線設計へと改善を重ねることができます。
TOPページの構成、ナビゲーションメニュー、サイドバー、ボタンの位置など、細部にわたる配慮も忘れずに行いましょう。これらの要素を適切に組み合わせることで、ユーザーにとって使いやすく、かつ自社の目的達成にも効果的なWebサイトを構築することができます。
まずは現状のサイトの導線を分析し、改善点を洗い出すことから始めてみましょう。継続的な改善と効果検証を通じて、より効果的なサイトの導線設計を実現し、Webサイトのパフォーマンス向上につなげていくことが大切です。